・表面からコロナ直下まで、ロケット観測でわかった太陽の磁場
アストロアーツ2月26日付記事、元は国立天文台です。
表面からコロナ直下まで、ロケット観測でわかった太陽の磁場 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)
概要>太陽観測ロケット「CLASP2」と科学衛星「ひので」の観測で、太陽表面からコロナ直下までの広い高度にわたる磁場の構造が世界で初めて明らかになった。
>私たちが可視光線で見る太陽の像は光球と呼ばれていて、その表面温度は6000度ほどだ。光球の上には彩層という厚さ数千kmのガスの層があり、その上は遷移層と呼ばれる層を経てコロナへとつながっている。彩層からコロナまでは合わせて「太陽大気」と呼ばれ、皆既日食の際には彩層が鮮やかな赤色で、その上のコロナが淡い白色で輝く様子を見ることができる。
地球のような岩石惑星だと、固体(液体)と大気の境目が表面です。
しかし、太陽のような恒星や木星、土星のような巨大ガス惑星では、全体がガス(気体)から構成されているため、宇宙空間に向かって連続的に密度が低くなります。
そうなると、どこが表面なのか、悩むことになります。
そこで、地球大気の地表付近の密度以下の部分を大気とみなします。
太陽の場合は、彩層とコロナは大気となります。
通常、太陽の大きさというと、光球部分の大きさを指します。
彩層とコロナは、絶えず形が変化します。
また、コロナは相当遠方まで広がっています。
ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。
2019年7月3日、T.Hiroseさんという方がアルゼンチンで撮影された皆既日食です。
コロナの複雑な流線構造が見えます。
モノクロですが、これなら見る価値がありますね。
>太陽大気は不思議な温度分布を持っている。彩層は約1万度、その上に広がるコロナは約100万度で、いずれも太陽の表面よりはるかに高温なのだ。彩層やコロナがなぜ表面より熱いのかはいまだ謎で、「彩層・コロナ加熱問題」という未解決問題の一つになっている。これまでの研究から、太陽大気が熱くなる原因には彩層の磁場が何らかの重要な役割を果たしているとみられているが、彩層の磁場の様子はほとんどわかっていない。
太陽(恒星)の本体では、内部に行くほど温度が高く、表面に近いほど温度が低くなります。
これを温度勾配(こうばい)といいます。
中心部でエネルギーが生成され、表面から光(電磁波)としてエネルギーが放射されるので、温度勾配があるのは自然です。
星の構造1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
ところが、それが彩層・コロナで逆転しているというのは、天文学における謎の一つです。
他の恒星でも同様と考えられますが、太陽ほど近くて調べやすい恒星は他にないので、太陽についての研究は重要です。
>彩層のように1万度を超えるプラズマは、紫外線の波長で様々なスペクトルの光を放射・吸収する。また、磁場の中を光が通ると「偏光」という現象が起こる。そこで、彩層から出る紫外線の偏光を観測できれば、彩層の磁場について多くの情報を得られるはずだ。紫外線は地球の大気でほとんど吸収されてしまうため、宇宙空間から観測する必要があり、日米欧は共同で、太陽大気の磁場を計測する観測ロケット「CLASP(Chromospheric Lyman-Alpha SpectroPolarimeter)」と「CLASP2」を2015年と2019年にそれぞれ打ち上げた。
「様々なスペクトルの光を放射・吸収する」とありますが、放射の方が輝線、吸収の方が吸収線です。
どちらも、黒体放射の連続スペクトルの中に明るい・暗い線として刻まれます。
CLASPは、太陽の彩層・遷移層(彩層とコロナの間の薄い層)から放たれるライマンα線(水素原子が出す真空紫外線域・波長121.6nm の輝線)を偏光分光観測する装置で、観測ロケットを用いて宇宙空間に打ち上げ観測を行うというものです。
研究紹介は6回に分かれていますが、専門的内容です。
>国立天文台の石川遼子さんとスペイン・カナリア天体物理研究所(IAC)のJavier Trujillo Buenoさんたちによる研究チームは、「CLASP2」が得た約6分半のデータのうち、太陽表面で特に明るく強い磁場が集中している活動領域「プラージュ」の観測データを解析した。その結果、波長280nm付近の紫外線の領域にあるマグネシウムイオンや中性マンガンのスペクトル線から、磁場で生じた円偏光を初めて検出した。
石川遼子さんについては、次をどうぞ。
石川氏と秦氏が文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞 | 国立天文台(NAOJ)
どちらにもお写真が載っていますが、眼鏡の有無とライトの関係で別人のように見えます。
Javier Trujillo Buenoさんの方は、口ひげを生やした50歳くらいのおっさんなので、見なくていいです(^^;
普通、偏光というと直線偏光を意味しますが、円偏光というのは振動面が進行方向に向かって回転する光波です。
>マグネシウムイオンのスペクトルは彩層内の比較的高い場所から放射され、マンガンのスペクトルは彩層の底に近い部分から放射されるため、今回のデータによって、彩層全体の連続した磁場の情報が得られた。さらに、太陽表面を観測する衛星「ひので」のデータも組み合わせることで、太陽の表面から彩層の底部・中部・コロナ直下にわたる、活動領域の磁場の構造が世界で初めて明らかになった。
「太陽の表面から彩層の底部・中部・コロナ直下にわたる、活動領域の磁場の構造が世界で初めて明らかになった」というのですね。
ここで、アストロアーツ掲載の上から2番目の画像をご覧ください。
今回解析が行われた観測データです。
残念ながら、私には解説能力がありません。
>石川さんたちの解析により、太陽の表面には小さくすぼまった「磁束管」(磁力線の束)が互いに離れて分布しているが、彩層まで高度が上がると急激に磁場が弱まり、彩層内でも上空へ行くほど徐々に磁場が弱くなることがわかった。また、表面では磁場が弱いのに彩層内では比較的強い磁場を持つような場所も存在することが明らかになった。これらのデータから、彩層では磁束管が急激に膨張して互いにひしめき合っているという、これまで想像されていた描像が観測で初めて裏付けられた。
磁束管が光球の表面を出入りしている場所は、表面周囲と比べて温度が低下するため、黒点として見えています。
つまり、光球表面では磁束管は小さくすぼまっているわけです。
ところが、その上の「彩層では磁束管が急激に膨張して互いにひしめき合っている」ことが確認されたのですね。
ここで、アストロアーツ掲載の上から3番目の画像をご覧ください。
太陽の表面から彩層の最上部までのびる磁束管の様子を示したイラストです。
理解を深めるのに有用だと思います。
>さらに、彩層の最も上部では、磁場が強い場所ほどプラズマのエネルギー密度も高いことがわかった。これは、彩層が加熱されている原因が磁場にあることを明らかに示す結果だ。彩層やコロナが加熱されている謎を解くためには、今後は太陽表面だけでなく彩層の上部での磁場を詳しく観測することが欠かせない、と研究チームでは考えている。
・彩層の最も上部では、磁場が強い場所ほどプラズマのエネルギー密度も高い
したがって、
・彩層が加熱されている原因は磁場にある
ことが示されたということです。
アストロアーツ掲載の一番下の画像は、解説動画です。
ロケットの打ち上げと回収以外の部分はすでに出てきた画像で、音声もないので、あまり見る価値はないかな。
今回の研究は、「彩層・コロナ加熱問題」の解明に向けての重要な一歩だと思います。
今後の更なる研究の進展に期待しましょう。
★ 今日のロジバン 相制詞 za’o
le ctuca pu za'o ciksi le cmaci seldanfu le tadgri
「レ゚ ㇱトゥシャ プ ザホ シㇰスィ レ゚ ㇱマシ セㇽ゚ダンフ レ゚ タドグリ」
先生は、生徒たちに数学の問題を延々と説明した。
(予定した授業時間を超えて昼休みまで食い込んでいるのかな(^^;)
ctuca : 教える,x1は x2(生徒/門下生)に x3(命題)・x4(題目)を x5(方法)で。
教育・指導・伝道も
za’o : 延続相。~の自然な終了時点からさらに継続して。相制詞ZAhO類
ciksi : 説明/弁明/解説する,x1(者)は x2(事/状態/性質)を x3(者)に x4(命題,du’u)で
cmaci : 数学だ,x1は x2(種類/表現内容)の
seldanfu : <- sel+danfu ,sel <- se.danfu のx2 なので、問題という意味になる。
danfu : 解答/回答/返答だ,x1は x2(質問/問題)に対する
tadgri : <- tad+gri,tad <- tadni 学生/生徒,gri <- girzu組/チーム。3重子音になるので、発音しにくい(^^;