ロジバンの心態詞1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
ロジバンの心態詞2 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
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5 態度の修飾子(8種類)
態度の修飾子とありますが、39の基本心態詞、6つの感情カテゴリの両方と直交する第3の次元と考えればよいと思います。
― cu’i nai 元の内容語
ga’i ; 横柄/階級 同等の階級 柔和/階級の欠如 <- galtu
le’o : 攻撃的 受動的 防衛的
vu’e : 美徳(zabna) 罪(mabla) <- vrude
se’i : 自己志向 他者指向 <- sevzi
ri’e : 解放 拘束 制御 <- zifre
fu’i : 助けを得て 反対され、 助けを得ず <- frili
簡単に 苦労して
be’u : 欠如/必要性 現前/満足 飽食/飽き
se’a : 自給 依存 <- sevzi
いずれも心態詞修飾系UI5類です。
これらは内容語から作られているため、規則性はありません。
元になった内容語をみておきます。
galtu : x1は x2(照合枠)・x3(基点)において 高い。「ガㇽトゥ」
vrude : x1は x2の観点で 有徳/高潔/光栄だ。「ヴルデ」
sevzi : x1は x2(者)の 自己/自我/自分のイメージである。「セヴズィ」
zifre : x1は x2(事/状態)において x3という条件で 自由だ。「ズィㇷレ」
frili : x1(事)は x2(者)にとって x3(条件)において 簡単/容易だ。「ㇷリリ」
修飾子の「ga’i」は話者と指示対象の相対的な階級を表現します。
(5-1) ko ga’inai nenri klama le mi zdani
「コ ガヒナイ ネンリ ㇰラマ レ ミ ズダニ」
もしあなたが私の住まいに来るなら、私は光栄だ。 [下から]
(5-2) ko ga’icu’i nenri klama le mi zdani
「コ ガヒシュヒ ネンリ ㇰラマ レ ミ ズダニ」
私の家においで。 [対等]
(5-3) ko ga’i nenri klama le mi zdani
「コ ガヒ ネンリ ㇰラマ レ ミ ズダニ」
おまえ!中に入れ! [上から]
nenri : x1は x2の中に ある;x1は 内部/内側だ;x2は x1を 内蔵する
日本人としては、最初の言い方を丁寧語的に使いたくなりますが、ちょっと違うようなので、やめておく方がよいでしょう。
修飾子の「le’o」は、攻撃の規模を表します。
サッカーチームは、彼らのコーチが
(5-4) ro’ole’o [肉体的] [攻撃的]
を使用することで、掻き立てられるでしょう。
「le’o」は、怒りを感じた時に表現する「o’onai」の代替手段として、脅威を感じているときにも便利です。
修飾子の「vu’e」は、美徳、またはその不在を表しています。
私たちはしばしば私たちの感情に高潔な感じ---私たちに正しい義憤を呼び覚ますかもしれないものを
(5-5) o’onaivu’e 「オホナイヴヘ」 [怒り] [美徳]
とすることができるでしょう。
これは、次とは区別されるので注意してください。
(5-6) u’unai 「ウフナイ」
僕は悪くない。 [罪悪感の欠如]
修飾子の「se'i」は、利己的と利他的の間の違いを表現します。
(5-7) .ause’i 「アウセヒ」
私はそれが欲しい! [欲望] [自己指向]
(5-8) .ause’inai 「アウセヒナイ」
私はあなたにそれを持って欲しい! [欲望] [他者指向]
(意中の恋人にプレゼントを渡すとき)
(5-9) .uuse’i 「ウゥセヒ」
僕は可哀そうだ。(自己憐憫) [哀憫] [自己指向]
(5-10) .uuse’inai 「ウゥセヒナイ」
可哀そうに。(誰かのために哀れみを感じる) [哀憫] [他者指向]
欲望が自己指向、哀憫が他者指向なのは当然なので、意味があるのは (5-8) と (5-9) だと思います。
修飾子の「ri’e」は感情制御に対する感情的解放を示します。
(5-11) .o’onai ri’enai 「オホナイ リヘナイ」 [怒り] [感情制御]
「私がどれだけ怒っているか、彼には知らせない」と部屋に入る前に自分に言い聞かせる。
また、「ri’e」はそれ自体で、感情の爆発を示すために使用することができます。
修飾子の「fu’i」の例です。
(5-12) .o’u fu’i 「オフフヒ」 [くつろぎ] [助力を得て]
おかげで楽になったよ。(肩こりがひどいときに、誰かが肩をもんでくれたのに対し、感謝の言葉として)
修飾子の「be’u」は、量の程度を表す数詞「mo’a」少なすぎる、「rau」十分な、「du’e」多すぎる、に対応する主観的表現です。
(5-13) .ui ro’o be’unai 「ウィ ロホ ベフナイ」 [幸福] [肉体的] [十分すぎるほど]
たっぷり食べて、お腹いっぱい、幸せ気分。(十分な食事の後で)
(5-14) le cukta be’u cu zvati ma 「レ シュクタ ベフ シュ ズヴァティ マ」
その本はどこにある? 私にはそれが必要だ! [必要]
zvati : x1(物/事)が x2(事/所)に 居る/在る(一時的な所在を表す)
修飾子の「se’a」は、自足または他者への依存と関連する感覚があるかどうかを表現します。
次は、子どもの発言です。
(5-15) .e’ese’a 「エヘセハ」
僕は何でも自分でできるよ! [能力] [自足]
(5-16) .e’ese’anai 「エヘセハナイ」
手伝ってくれたら、できるよ。 [能力] [依存]
(5-17) .e’enaise’a 「エヘナイセハ」
自分じゃできないよ! [能力欠如] [自足]
6 態度の質問、共感、態度の変化
態度を尋ねる疑問詞が pei です。
pei : 左の心態詞が表す感情を覚えるかどうかを尋ねる。心態疑問詞CAI類
(6-1) .iepei 「イェペイ」
あなたは同意しますか? [同意] [疑問]
(6-2) .iare’epei 「ヤレヘペイ」
あなたは信者ですか? [信念] [宗教的] [疑問]
(6-3) .aipei ― .aicai 「アイペイ ― アイシャイ」
やるつもり? [意図] [疑問] ― 絶対やるよ! [意図] [最大]
(返事は、cai だけでも同じ意味になる)
(6-4) .e’apei 「エハペイ」
お願い、ママ!していい?? [許可] [疑問]
(6-5) pei mi prami do ― .aunaisai 「ペイ ミ ㇷ゚ラミ ド ― アウナイサイ」
私があなたを愛するということについてどう思う? ― 嫌すぎる!! [不本意] [強]
さらに、pei は心態詞の組合せの最初に使用されたときに、(病気や痛みにある誰かの質問などで)回答者の態度を反映した質問を作ります。
(6-6) pei.o’u 「ペイオフ」
気分はいいですか? [質問] [快適]
(6-7) pei.o’ucu’i 「ペイオフシュヒ」
もう痛みませんか? [質問] [快適] [中立]
(6-8) pei.o’usai 「ペイオフサイ」
全快しましたか? [質問] [快適] [強い]
dai は共感(英empathy)を表します。
同情を表す uuse’inai [哀憫] [他者指向] と混同してはなりません。
dai : 先行の心態詞に対する話し手の共感を表す。心態詞(修飾系)UI5類
(6-9) .oiro’odai 「オイロホダイ」
痛そう!傷ついたでしょ! [苦痛] [肉体的] [共感]
ルールとして心態詞は話し手の態度を反映するものとされますが、pei と dai はその例外です。
感情・態度の変化(英attitude contours)を表す心態詞として、bu’o があります。
「bu’o」は、ある態度を持ち始めていること、「bu’ocu’i」は持ち続けており、「bu’onai」は消えつつあることを意味します。
bu’o : 感じ始め。心態詞(修飾系)UI7類
次の3つの例文は、いずれも心態詞だけで構成されています。
(6-10) o’onai bu’o 「オホナイ ブホ」
私は怒り始めているんだよ! [怒り] [感情開始]
(6-11) .oi ro’o bu’onai pei 「オイ ロホ ブホナイ ペイ」
もう痛くありませんか? [痛み] [肉体的] [感情終了] [疑問]
(6-12) .iu bu’onai .uinai 「ユ ブホナイ ウィナイ」
私はあなたをもはや愛していない。(私は)悲しい! [愛] [感情終了] [不幸]
(6-7) と (6-11) の比較も興味深いです。(6-11)は心態詞を使いながら分析的になっています。
(6-12)を、内容語(brivla)を使って命題(bridi) の形にすると、次のようになります。
(6-13) mi ca ba’o prami do ja’e le nu mi badri
「ミ シャ バホ ㇷ゚ラミ ド ジャヘ レ ヌ ミ バドリ」
私はもはやあなたを愛していない。だから、私は悲しい。
ja’e : ~という結果になって。法制詞BAI類
badri : 悲しい/落胆している,x1は x2(事)について ; 悲しませる,x2は x1を
この文は話し手が特定の感情を持っていることを論理的分析的に説明していますが、先の文は短い音節で直接それらの感情を表現します。
ロジバンの心態詞の威力を示す対比だと思います。
7 呼応系など
ロジバンには基本的な心態詞以外に、認識系(英evidentials)、談話系(英discursives)、呼応系(英vocatives)などといった心態詞があります。
真偽疑問詞として紹介した xu も、心態詞(談話系)UI6類です。
今回は認識系と談話系は飛ばして、呼応系を少しだけみておきます。
(7-1) coi rodo mi’e karaokeguruis. 「ショイ ロド ミヘ カラオケグルイㇲ」
こんにちは、みなさん、私はカラオケグルイです。
coi : 挨拶(会う)。心態詞(呼応系)COI類
ro : 各/全/一つ一つの。数詞PA4類
mi’e : 自己紹介「私は~です」。~は自分の名前で、la を付けない。
心態詞(呼応系) COI類
(7-2) ki’e lo sidju ― je’e do’u 「キヘ ロ スィヂゥ ― ジェヘ ドフ」
助けてくれてありがとう(ありがとう、助ける者よ)。― どういたしまして。
ki’e : 感謝。心態詞(呼応系)COI類
sidju : x1は x2(者)を x3(行動/事)に関して 助ける
je’e : 了解(相手からの提供や申し出に対して)。心態詞(呼応系)COI類
do’u : 呼応系心態詞終了。終止詞で、省略可能。DOhU類
(7-3) fau’u 「ファウフ」
ごめんなさい。
fau’u : 謝罪。心態詞(呼応系)COI類 <- fraxu,u’u
fraxu : 許す/容赦する,x1は x2を x3(事)について
(7-4) co’o la .alis. 「ショホ ラ アリㇲ」
さよなら、アリス。
co’o : 挨拶(別れ)。心態詞(呼応系)COI類
(7-5) coico’o 「ショイショホ」
(通過時の挨拶)
8 おわりに
ロジバンの心態詞は素晴らしいのですが、とにかく数の多いことが問題です。
最初、基本39種類に加えて nai と cu’i が付いたものもあるということで、いきなり100近くを覚えろと言われても、絶対無理と思いました。
しかし、それらとカテゴリや修飾子との組合せによる表現力の高さは、やはりロジバンの強烈な魅力の一つだと感じます。
おおざっぱな全体像を頭に入れておいて、後は個別に少しずつ攻略するしかないのでしょう。
39のうち最初に覚えるべき一番大事な基本的心態詞は、次のようなものでしょうかね。
心態詞(純粋感情)
.ui [幸福]
.oi [苦痛]
.o’onai [怒り]
.iu [愛]
心態詞(命題態度)
.ai [意図]
.au [欲望]
.ei [義務]
.e’o [要請]