天文などの俳句・短歌から(2020/11/16~30) | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 毎日新聞2020年11月30日(月)

 俳壇

  鷹羽狩行 選

    海鳴りの届く民宿星月夜       (奈良市) 石田 昇己

 ・海鳴りと満天の星と。聴覚と視覚、地上と空の対比。

 

  小川軽舟 選

    宵闇を突つ切る宇宙ステーション  (横浜市) 村上 玲子

 

  片山由美子 選

    腑に落ちぬままの別れや後の月   (横浜市) 村上 玲子

 ・選者評:別れ方にもいろいろある。納得のいかない別れの後味の悪さを後の月の冷やかさに重ねた。

 

 

 朝日新聞2020年11月29日(日)

 俳壇

  高山れおな 選

    戦争に行きてそのまま十三夜    (近江八幡市) 藤本 秀機

 ・十三夜に思い出されるのは、出征してそのまま戻って来なかった人のこと。ご家族のどなたかでしょう。

 

 

 毎日新聞11月23日は該当なし。

 

 

 読売新聞2020年11月23日(月)

 俳壇

  宇多喜代子 選

    日の芒月の芒となりにけり      (大牟田市) 田頭 俊博

 ・選者評:白銀の芒(すすき)の花の美しさ。昼は昼で日のひかりをうけて美しく、夜もまた月光に輝いて美しい。その景が見事に表現されている。

 

  独り居の都営アパート十三夜      (東京都) 石田 絹子

 ・選者評:満月ではなく「十三夜」が「都営アパート」によく寄り添っている。それだけで独居ながらもささやかにして豊かな暮らしの様子が窺(うかが)える。

 

  正木ゆう子 選

    神の旅成層圏はいつも晴       (芦屋市) 清水 洋子

 ・選者評:飛行機は雲を突き抜けて常に晴れた空を飛ぶ。その辺りから上が成層圏らしい。出雲へ向かう神の旅はさてどんな高さだろう。もう少し下で、人間界を眺めながらだろうか。

 

 歌壇

  小池光 選

    店先を覗いた月に蛸が言ふ「ぼくはモロッコ生まれなんです」

                           (羽曳野市) 鎌田 武

 ・選者評:おもしろい。日本人はイカ、タコを好んで食べる。モロッコやモーリタニアで採れたタコがスーパーで売っている。そのタコとお月様の会話。メルヘンのはじまる日だ。

 

 

 朝日新聞2020年11月22日(日)

 俳壇

  稲畑汀子 選

    満たされぬ胸の寂寞(せきばく)十三夜 (福知山市) 松山 牧子

 ・選者評:十三夜の月を仰ぎ心の寂しさを埋めようとした作者。またも思い出すあれこれに寂しさがつのる。

 

 

 毎日新聞2020年11月16日(月)

 俳壇

  西村和子 選

    名月や残業抜けて五分ほど       (志木市) 谷村 康志

 ・コロナ禍でも出勤し残業までしなければならない職場もあります。でも、今晩は中秋の名月、ほんの五分くらいは月見を楽しんでも良いでしょう。

 

    亡き人に一声かけて月を待つ      (奈良) 吉原 恵美子

 ・亡き人とはお連れ合いか。生前もご一緒に月見をなさっていたのでしょう。

 

  小川軽舟 選

    三日月のぎらりと光り山に落つ     (八女市) 水町 よもぎ

 ・「ぎらり」が強烈な印象ですが、そのように光るのは三日月でなくてはなりませんね。

 

 歌壇

  加藤治郎 選

    ここにいまあるのは月と月暈(つきがさ)かきみが梨をむく音だけがして

                             (東京) 石原 健

 ・梨の剥いた皮が月暈なのでしょうか。

 

 

 読売新聞2020年11月16日(月)

 俳壇

  宇多喜代子 選

    庭下駄の夫に呼ばるる良夜かな    (小美玉市) 網代 奈津江

 ・庭のあるおうちで生活するご夫婦の仲の良さ。名月も微笑んでいるような気がします。

 

  小澤實 選

    乱歩読む屋根裏書斎いなびかり    (川口市) 高橋 まさお

 ・江戸川乱歩には『屋根裏の散歩者』という短編があります。名詞だけを並べることで怪しげな雰囲気を出していますね。

 

 歌壇

  小池光 選

    教室の窓から見える稲妻に授業中断 一ねん二くみ

                            (新潟市) 古泉 浩子

 ・「ねん」と「くみ」から小学一年生であることが分かりますが、作者は担任の先生でしょうか。このくらいの年の子にとっては、稲妻の観察も立派な理科の授業。

 

  栗木京子 選

    速報を売り物にする新聞に時候外れの歌壇俳壇

                            (桜井市) 東 利行

 ・選者評:歌壇俳壇への投稿作品。選を経てから掲載されるため時間がかかる。速報のきらめきの中で「時候外れ」はがんばっている。

 ・確かに「選」の時間が必要でしょうが、しかし朝日の歌壇俳壇の掲載はかなり早いです。失礼ながら努力もあるのではないかと。

 

    仲秋の月愛でる日に団子屋の長蛇の列はやや密となり

                            (奈良県) 藤本 京子

 ・月見でお団子をお供えするのでしょう。「やや密」という表現によりコロナ禍の2020年らしさも出ています。

 

  黒瀬珂瀾 選

    JAFを待つ車パンクの国道に陽ははや沈み今宵満月

                            (和歌山県) 奥田 瞳

 ・選者評:短歌では珍しい、修理車待ちの場面。焦りと不安にさいなまれる国道脇で見上げた満月が、一瞬の慰めになったのだろう。

 

    嗚咽せし去年の映画のビデオ消し遥けく赤き火星を見つむ

                            (坂戸市) 納谷 香代子

 ・感動した名画のビデオも一年経てば消去。火星の最接近は10月6日でしたが、月と違って数日経ってもそれほどは変わりません。

 

 枝折しおり  鈴木恵子著『平成データ短歌論』

  「短歌年鑑」掲載作品などを基に平成時代の短歌を分析。口語短歌が増え、題材も相聞や自然詠に代わり病が歌われるようになったという。

 ・相聞が減って病が増えたのは明らかに高齢化の影響でしょう。自然詠が減ったのは、それだけ我々の身近な環境が人工的になり自然が遠ざかったということでしょうか。

 

 

 ★ 今日のニュースでショックだったのは、二度目の緊急事態宣言発出ではありません。

 アメリカで、バイデン氏の大統領選勝利を正式に認定するための上下両院合同会議に、トランプ大統領の扇動で暴徒化したトランプ支持者が乱入し、一時占拠して、警官隊との衝突で4人の死者が出たことです。

 日本でいえば、国会議事堂がデモ隊に占拠されて、総理大臣の指名が出来なくなるようなものです。

 落ち目の権力者が大衆を扇動して権力にしがみつくやり方は、毛沢東の文化大革命を彷彿とさせます。

 世界の民主主義のお手本となるべき国がこの体たらくでは、中国の独裁政党に笑われてしまいます。

 

 ★★ 今日のロジバン 「である」を意味する me

   lo vi nanmu cu me lo dinju cikre

 「ロ ヴィ ンム シュ メ ロ ディンジュ ㇰレ」

  この男は建物修繕者たちの一人だ。

 dinju : x1は x2(目的)のための 建物である

 cikre : x1は x2 を x3(使用)のために 修理する/直す

 me は、項(sumti)の前に付いて述語(selbri)に変換する機能語です。繋辞copula、日本語の「である」、英語のbe動詞に相当します。数学でいえば、同一である”=”,属する”∈”,含む”⊂”の3つのいずれかです。

 me を消せば、次のようになります。

   lo vi nanmu cu cikre lo dinju

  この男は建物を修繕する。

 15. 繋辞(be動詞) - はじめてのロジバン第2版 (cogas.github.io)