映画『この世界のさらにいくつもの片隅で』 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

昨年末に公開されたアニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅で』を観ました。

 ( )内の文字は、前後と比べて小文字になっています。

 

 基本的には2016年公開の映画『この世界の片隅で』に30分追加したものですが、相当違った印象の作品となっています。

 (私は2018年の夏に前作を観ました。)

 前作をご存じない方のために一言でまとめると、広島生まれの主人公すずが呉(くれ)に嫁いで、戦時中のつらい生活を耐え生き抜くという話です。

 

 原作 : こうの 史代(漫画、双葉社刊)

 監督・脚本 : 片渕 須直

 音楽 : コトリンゴ

 声優 : 

 主役の北條すず(旧姓 浦野)は、のん(本名と旧芸名は能年玲奈(のうねん・れな)。朝ドラあまちゃん主演)。

 夫の周作は、細谷佳正(ほそや・よしまさ)。声優として活躍している方。

 すずの親友兼三角関係のライバルとなる遊郭の女性白木リンは、岩井七世(ななせ)。女優・ファッションモデルとのこと。

 

 前作では、手を引いて一緒に歩いていた姪が時限爆弾に吹き飛ばされて、同時にすずの右手も失われるシーンと、原爆投下ですずの両親が亡くなることの印象が非常に強かったのですが、今作ではそれらは相対的に退いているように感じました。

 白木リンをめぐるエピソードが相当追加されたので、それらの印象が強まったのはもちろんですが、他にもあります。

 それは、軍港呉に対する連日の執拗な爆撃であり、軍の施設だけではなく、畑の中に北條家を含む民家が点在する山の中腹まで爆撃の対象となっていることです。

 (前作でも含まれていて、今回私の見方が変っただけなのかもしれませんが。)

 これでもかこれでもかと繰り返される空襲の下で、これまでと同じ日々の営みを何とか維持しようと懸命に努力するすずたちの姿が目に残りました。

 

 終了後にパンフレットを買って読んだのですが、原作者のこうのさんは、「原爆もの」としてではなく「呉空襲の話」として描いてほしかった、その希望が叶ったと述べています。

 

 多くの方に推薦したい映画ですが、上映している映画館はそれほど多くはありません。

 前作の高評価で上映館を増やしても商業的な成功は見込めたと思うのですが、その辺の事情は不明です。

 

 アニメ・実写という区分に関係なく優れた映画だと思うので、機会がありましたら、ぜひご覧になることを強くお勧めします。