メテオ観測開始 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

千葉工業大学惑星探査研究センターの進める国際宇宙ステーション(ISS)からの流星観測プロジェクト「メテオ」が、2016年7月7日より観測を開始したということです。
千葉工業大学プレスリリース:http://www.it-chiba.ac.jp/topics/201607192/

概要>千葉工業大学  惑星探査研究センター(PERC)が進める国際宇宙ステーション(ISS)からの流星観測プロジェクト「メテオ」は、2016年7月7日より観測を開始しました。
>3度目の打上げ(2016年3月23日、日本時間)で無事ISSに届けられた後、観測準備を進めてきました。当初、4月から観測を始める予定でしたが、ISS側の諸事情や予期せぬ不具合が続き、観測開始が遅れました。5月20日にはISS上のPCと通信が確立、6月16日にはメテオカメラを起動し動作確認を行い、7月7日にようやく観測窓のシャッターを開ける許可が下り、観測を開始しました。観測映像はほぼリアルタイムで、ISSからPERCのメテオ運用室にダウンロードし、確認しています。現在は流星群の期間ではありませんが、すでに流星を捉えることに成功しました。

「メテオ」はこれまで二度も失敗してきたのですが、ようやく安心していいようですね。

「メテオ」のこれまでの歩みを振り返っておきます。
2014/10 : メテオ(一代目)を載せた米民間企業ロケットが打上げ直後に爆発
2015/6/29 : メテオ(二代目)を載せた米スペースX社のロケット「ファルコン9」、打上げから2分後に空中で爆発
2016/3/23 : メテオ(三代目)を載せたロケット、打上げに成功
7/7 : メテオ、観測開始

どこかの男性歌手グループじゃないんだから三代目まで行かなくても・・・と思いますが、打上げ失敗は担当した米企業2社の責任であり、千葉工大のせいではありません。

一代目の打上げ失敗についてはこのブログに該当記事がないのですが、二代目のときは詳しく載せているので、引用しておきます。
ISS補給船の事故と・・・:http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/68598007.html
概要>>国際宇宙ステーションに物資を届けようと、アメリカのベンチャー企業、スペースX社が打ち上げた無人のロケットが飛行中に爆発し、去年10月以降、3機の異なるロケットの打ち上げが失敗していることから、宇宙ステーションの今後の運用に影響が出るのではないかと懸念されています。
・・・
>今回の打ち上げ失敗が日本にどんな直接の影響を及ぼすかというと、
>>アメリカでは去年10月にも別の民間企業のロケットが打ち上げの直後に爆発していて、千葉工業大学が開発し、このロケットに載せていた流れ星の観測カメラも失われました。千葉工業大学は今回のロケットにも同じカメラを載せて再び宇宙を目指しましたが、2度の爆発事故に見舞われたことになります。
>千葉工業大の流星観測カメラは、「メテオ」という名称です。
・・・
>>・千葉工大研究員「2度も続き信じられない」
>>アメリカ・フロリダ州にある発射場からおよそ4キロの場所で打ち上げに立ち会った千葉工業大学の荒井朋子上席研究員は、当時の状況について「順調に打ち上がったと思って喜んでいたら、しばらくしてNASAの担当者から失敗したことを知らされ、初めは耳を疑いました」と話しています。
>>開発したカメラが再び失われたことについては、「このようなことが2度も続き、信じられないとしか言いようがありません。ただ、予備のカメラがあるので、NASAには3度目は失敗しないよう、国際宇宙ステーションに向けて改めてカメラを打ち上げてもらい、少しでも早く宇宙での観測を開始したい」と話しています。
>>また、今回の打ち上げに関わったNASAの関係者の様子については、「打ち上げ前の説明会では、NASAの所長が『打ち上げは間違いなく成功するので安心してください』とスピーチしていたが、失敗が分かったとき、NASAの担当者は大きなショックを隠せない様子だった」と話しています。



「メテオ」研究開発の中心である荒井朋子上席研究員のご略歴は次のとおり。(少し長いです)
http://www.perc.it-chiba.ac.jp/member/arai.html

>東京生まれ、東京育ち、茨城県つくば市在住。東京大学理学部地学科卒業、同大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。

>大学院在学中、日本学術振興会特別研究員としてNASAジョンソンスペースセンター(JSC)及びUniversity of California, Los Angeles (UCLA)に留学。学位取得後約6年間、宇宙開発事業団(現、宇宙航空研究開発機構(JAXA))にて有人及び無人宇宙機の開発・運用に携わる。在職期間中、国際宇宙ステーションの生命科学実験棟と搭載実験装置の開発、日本の与圧実験棟(きぼう)に搭載する米国実験ラックのインタフェース適合試験や運用性評価を行うと共に、月探査衛星かぐやの開発に従事。JAXA退職後、国立極地研究所、東京大学総合研究博物館を経て、2009年4月惑星探査研究センター(PERC)設立時より現職。

>地球外天体物質(隕石やアポロ試料)分析、岩石溶融・結晶化実験及び探査機のリモートセンシングデータ解析などの多角的手法の融合により、様々な空間・時間スケールで太陽系天体を理解し、太陽系成り立ち解明を目指し研究を行う。PERCでは上記研究成果を踏まえ、探査計画の提案や探査機に搭載する科学機器開発を行う。現在、国際宇宙ステーションにおける流星観測プロジェクト、はやぶさ2探査、セレーネ2将来月着陸探査計画、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の彗星探査機ROSETTAミッションに携わると共に、小型科学衛星による小惑星Phaethonへの探査計画を提案中。また、2012年11月から2013年1月まで米国南極隕石探査隊に参加した。

>探査計画や探査機開発を通じて、国内外の様々な分野の研究者や技術者の方と知り合えることは大きな刺激であり魅力。趣味はカラオケと剣道。

>研究室ページ:http://www.tomoko-arai.com

他の情報も含め要約すると、
米NASAとUCLAに留学し、恐竜の化石発掘と月の岩石の分析に携わる。
JAXAに就職し、その後国立極地研究所、東大総合研究博物館を経て現職。
米南極隕石探査隊に参加。
というわけで、輝かしい経歴と実績をお持ちの本物のリケジョの星です。(前ににせもののリケジョにだまされましたが、今度は大丈夫です。)
カラオケであれば私も張り合えると思いますが、研究どころか剣道ですでに負けていますね・・・(^^;;;

母校である埼玉県立熊谷女子高校で2013年10月28日、中間テスト最終日の午後に体育館で行った講演の様子が次に載っています。
http://www.kumajo-h.spec.ed.jp/index.php?key=jogbrsmrp-1119