WMAPのトップ・テン | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

宇宙論に貢献した衛星WMAPの成果をまとめた英文サイトの一部を訳してみました。
http://map.gsfc.nasa.gov/

1.NASAのウィルキンソン・マイクロ波異方性探査衛星(WMAP)は、宇宙マイクロ波背景(CMB)放射(宇宙の最古の光)をマップし、マイクロ波による全天地図の高精細度版(0.2度)を初めて作成した。

2.WMAPは宇宙の年齢が137.3億年であることを1%(1.2億年)の誤差の範囲で決定した。
これはギネスブックに世界記録として認定された。

3.WMAPは宇宙の曲率が「平坦な」ユークリッド幾何的なものであることを1%の誤差範囲で決定した。これは以前に賞を得た測定を一桁以上精確にする改善である。

4.CMBは宇宙の「最古のバリオン計測器」となった。
これは、WMAPにより通常の原子(バリオンとも呼ばれる)が宇宙のわずか4.6%(誤差0.1%以内)しか構成していないことが精確に決定されたことによる。

5.WMAPによる宇宙の全数調査は、暗黒物質(原子から構成されていない)が23.3%(誤差1.3%以内)を構成することを発見した。

6.WMAPによる精確な測定は、暗黒エネルギーが宇宙の72.1%(誤差1.5%以内)を構成することを決定した。この暗黒エネルギーは宇宙膨張率の加速を引き起こしている。
「暗黒エネルギーの存在と宇宙の構成に関する長い間の疑問は、WMAP衛星が宇宙マイクロ波背景放射(CMB)に関するもっとも詳しい描写を得たときに、解消された。」(サイエンス・マガジンの「今年のブレークスルー」記事2003)

7.WMAPは全天のマイクロ波放射の偏光を地図に描いて、宇宙がこれまで信じられていたより前に再電離していたことを発見した。
「WMAPは大規模構造に関して成功した。
CMBの偏光を測定することにより、最初の銀河たちを作った宇宙密度の揺らぎの振幅を見ることができるようになった。
これは大規模構造の起源に関するわれわれの理解の真のブレークスルーである。」
サイエンス・ウォッチ「物理学でホットなこと」サイモン・ミルトン2008年3・4月号

8.WMAPは、最初の1兆分の1兆分の1秒に生じたことの可能性をひとつひとつ調べて分類し始めた。最初に行ったのはよく知られた教科書に載っているようないくつかの模型を棄却したことだった。

9.WMAPによって測定されたCMB揺らぎの統計的性質は「ランダム」であるように見える。しかし、単なるランダムさからの逸脱を示唆する点がいくつか存在し、なお研究が行われている最中である。
重大な逸脱は、初期宇宙における新たな物理の極めて重要な兆候であろう。

10.2000年以来、物理学と天文学の全分野においてもっとも引用された論文の上位3点は、WMAPの科学論文である。


★ 分かりやすいものばかりでもなかったですね(^^;

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WMAPの7年間データで分かったこと:http://blogs.yahoo.co.jp/karaokegurui/62838452.html