最近の宇宙関係ニュースから | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

1.「こうのとり」、無事国際宇宙ステーションにドッキング
JAXAの1月28日付発表です。
http://www.jaxa.jp/press/2011/01/20110128_kounotori2_j.html
>平成23年1月22日にH-IIBロケット2号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機が、本日1月28日3時34分(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)との結合に無事成功しました。

その後の作業も順調に進んでいるようですね。


2.イカロスの定常運用終了と今後
JAXAが1月26日に宇宙開発委員会に報告した内容です。
http://www.jaxa.jp/press/2011/01/20110126_sac_ikaros.pdf
イカロス(IKAROS、小型ソーラー電力瀬いる実証機)は約6か月間にわたり定常運用を実施して、
ミッションの達成を確認し、また、今後予定している後期運用計画についても報告されたということです。
>世界で初めてソーラーセイルによる航行を実証し、同時に将来のハイブリッド推進に向け薄膜太陽電池での発電を確認する
これは成功。
ミッションは次の4つ。
(1) 大型膜面の展開・展長
(2) 電力セイルによる発電
(3) ソーラーセイルによる加速実証
(4) ソーラーセイルによる航行技術の獲得
すべてフルサクセス・レベルで達成しています。

後期は継続3テーマに、新規4テーマも加わります。

さらに、オプション機器ミッションの継続が三つ。
(1) GAP:ガンマ線バースト偏光検出器
 世界で初めてガンマ線バーストの偏光を観測する
(2) ALDN:大面積宇宙塵検出器
 地球より太陽に近い領域での宇宙塵の分布を解明する
(3) VLBI計測用マルチトーン送信機

イカロスと金星のツー・ショットもあります。
読売新聞1月26日付。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110126-OYT1T00806.htm


3.宇宙船6機が大集合へ
「こうのとり」関連で、朝日新聞1月26日付記事です。
http://www.asahi.com/science/update/0125/TKY201101250474.html
「こうのとり」が27日に到着し、さらに
>米国のスペースシャトルや欧州の補給船ATVも近く到着して、ドッキング中のロシアの補給船プログレスやソユーズ宇宙船も含め、最大6機の宇宙船が勢ぞろいしそうだ。


4.宇宙ごみを漁網で一網打尽 広島の老舗とJAXA開発中
朝日新聞1月25日付記事です。
http://www.asahi.com/science/update/0125/OSK201101250056.html
>人工衛星の残骸など、地球の周りに増え続けて問題化している「宇宙ごみ」に、長さ数キロの「網」をつけて大気圏に突入させ、燃やしてしまおうという試みが、広島県の老舗漁網メーカーと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の間で進められている。
>まず、金属で編んだ長さ数キロの「導電性テザー」と呼ばれる細長い網を「捕獲衛星」に積み、ロケットで打ち上げる。軌道に乗った後、衛星のロボットアームを使って宇宙ごみに網を取りつけ、アームの先端を切り離す。
>網は地球のまわりを周回することによって電気を帯びる。これが地球の磁場と影響し合って、徐々に高度を下げさせる力となり、大気圏にごみごと再突入して、最終的に燃え尽きるという仕組み。

網で一網打尽という見出しとは、捕獲の仕方が少し違うようですが。
いずれにしても、中国が人工衛星破壊実験で撒き散らした多数の宇宙ゴミもこれで掃除できますかね。


5.米大統領一般教書演説に「スプートニク」
読売新聞1月26日付記事です。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110126-OYT1T00480.htm
>オバマ大統領は、中国やインドなどが経済大国として台頭し、米国を猛追する現状について、「我々の世代のスプートニクの時だ」と述べ、旧ソ連が1957年に人工衛星スプートニク1号打ち上げを世界で初めて成功させ、米国民に衝撃が広がったスプートニク・ショックになぞらえて危機感を示した。

スプートニク・ショックを受けてアポロ計画で月に宇宙飛行士を送り込むことになったわけですが、今でも引用されるのですね。


6.はやぶさチーム、朝日賞受賞
http://www.asahi.com/shimbun/csr/topic3/page4.html
探査機「はやぶさ」プロジェクトチームの川口淳一郎(JAXA教授)、萩野慎二(NECシニアマネージャー)、土屋和雄(京大名誉教授)の三氏が2010年度朝日賞を受賞されました。
朝日新聞1月28日付記事(紙23面)です。
川口さん>帰還翌日の記者会見後、コンビニで野菜ジュースを買ったんですが、店員さんが私の顔をまじまじと見て、「砂が入ってるといいですね」。本当に、砂が入っていてよかったなと。
萩野さん>産業界ではおそらく150社を超える会社が一致団結しました。企業だけではありません。発射場に行ってからチームをまとめてくださったのは、地元の旅館のおばさんたちです。

コンビニの店員さんも旅館のおばさんたちも素晴らしいですね。


ところが、そういう宇宙開発の将来はどうも明るくないようです。
7.H2B打ち上げには成功したけれど・・・ロケット開発ぐらつく
朝日新聞1月28日付記事(紙、29面科学欄)です。

まず世界のロケットの打ち上げ実績の表。
名称   開発国 打上げ 失敗 成功率
H2A,H2B 日本  20回  1回 95.0%
アリアン  欧州  199回 12回 94.0%
アトラス  米国  343回 42回 87.8%
デルタ   米国  340回 16回 95.3%
プロトン  ロシア 364回 40回 89.0%
長征    中国  130回 10回 92.3%
日本以外は2010年末現在、三菱重工調べ

>「老齢化とまでは言わないが、とても若い人を投入できる状況にはない」
三菱重工業の大宮英明社長の説明
>宇宙関連全体でも08年度の約300人から12年度には100人を切る見通しだ。H3のような新しいロケットの開発などがなければ、多くの技術者を育て続けられない。
>打ち上げビジネスも厳しい。(他国の打ち上げ回数と比べて少なすぎるのは上の表で一目瞭然です。)

小見出しは二つ。
・人材減り撤退企業も
>昨年度までの8年間で54社が撤退した。日本航空宇宙工業会によると、98年度に3800億円あった会員企業の売上高は、10年間で2千億円に減少。関係者は「もともと注文が少ない上、安定受容も見込めないようでは撤退せざるを得ない」と話す。
・体制・目標定まらず
>09年に策定された政府の宇宙基本計画では、人工衛星の打ち上げ回数をほぼ倍増させ、5年間で34機、月面探査や宇宙太陽光発電など研究から産業応用、安全保障分野まで列挙し、5年で「官民合わせて最大2.5兆円の資金が必要」とした。年5千億円がいる計算だが、新年度予算案は3100億円にとどまる。
>計画を進める体制も固まらない。・・・「宇宙庁構想」も進んでいない。

実は、表を含め同様の記事を産経が少し前に載せており、朝日は二番煎じの感がありますが、こういう認識が定説になっているというのでは、先行き暗いですね。