自然科学の俳句・短歌から | 宇宙とブラックホールのQ&A

宇宙とブラックホールのQ&A

2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

読売新聞2009年5月4日(月)
俳壇
 宇多喜代子 選
   耕して星の夜空となりにけり        (玉名市) 弓田 幸代
・天文ファンではなく、農業に携わる方の見る春の星空です。
冬の間は外での作業が少ないので、星を見る機会もなかったのでしょう。

 正木ゆう子 選
   観潮船渦の落差にまかせけり        (阿南市) 森脇 定雄
・鳴門の渦潮を見る観光用の船ですね。
選者評:渦の高低差のままに、船も浮いたり沈み込んだり。

歌壇
 俵万智 選
   熟れ切つて甘酸き匂ひただよはすいまが食べごろ小さき地球
                            (つくば市) 潮田 清
・選者評:「小さき地球」を、果物かなにかをたとえたものだろうと、まずは読む。が、宇宙から見れば、地球だって小さき存在だ。そう思って地球の歌として読んだとき、恐ろしい警告の歌となる。
私には、選者の思い過ごしとしか思えないのですけど(^^;

日本経済新聞2009年5月3日(日)
俳壇
 黒田杏子 選
   阿蘇の月満つ末黒野のひろびろと       (阿蘇) 井沢俊子
・「末黒野」は「すぐろの」で、春先に害虫の駆除と肥料にするために畦や野を焼いた跡に黒々と広がる大地のこと。

歌壇
 岡井隆 選
   歩み来てなほ残りしを未来とぞ言ふべかりけりその道を行く
                             (鹿児島) 杉村 幸雄
・未来は歩んできた道の残りだというのは、面白い発想です。

 穂村弘 選
   夏時間始まる朝は慌ただし 十一個の時計一時間進める
                             (オランダ) 平田 曜子
・サマータイム制の国ならではの光景ですね。

産経新聞2009年5月5日(火)
俳壇
 宮坂静生 選
   夜桜のき間に見える星座かな     (井原市) 山崎 範雄
・夜桜見物に来たのですが、夜桜の透き間から見える春の星座に気がついて感動しました。

 小島ゆかり 選
   宇宙にて三月を過ごす日本人われは地表に夜桜仰ぐ
                            (佐倉市) 薄井 隆
・若田宇宙飛行士のことなので、「三月」は「みつき」です。
宇宙と対比しての「地表」という言葉が的確です。

毎日新聞2009年5月3日(日)
俳壇
 大峯あきら 選
   恒星の自転公転春めける          (桶川市) 小林 茂之
・よく分からないのですが、恒星ではなくて惑星の方が合っているような。

歌壇
 加藤治郎 選
   一生に一度は渡ってみたい虹どこからどこへ行けるのだろう
                             (町田市) 岡 栄一
・今だにこういう気持ちをもっている人がいるんですね。その方が不思議です(^^;

 篠弘 選
   明日の朝は堅雪ならむオリオンが庭のみなみの空に凍てつく
                            (横手市) 浦部 昭人
・真冬の頃の歌ですね。寒さが伝わってきます。

読売新聞2009年4月27日(日)
歌壇
 岡野弘彦 選
   精霊を送りし窓にしろしろと宇宙飛行士の暮らす月みゆ
                            (秋田県) 鈴木 あい子
・彼岸明けの空を仰いで詠んだのでしょう。でも、月は地球から約38万km、国際宇宙ステーションは高度約400kmなので、全然違うんですが(^^;


日本経済新聞2009年4月26日(日)
歌壇
 岡井隆 選
   満月の裏にはいつでも夜がありて寂しきものらが集いておりぬ
                             (群馬) 両角 博守
・満月の裏を思う発想が新鮮です。
月の裏は暗い海がなくて高地ばかり、というのでは歌にならないですね(^^;

毎日新聞2009年4月26日(日)
俳壇
 西村和子 選
   春めくと思ひしきのふ雪のけふ        (宝塚市) 西部 通子
・選者評:春先の天候の変わりやすさを、明快にリズミカルに表現して巧み。