神戸大学チーム、第9惑星を予言! | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

冥王星が惑星から外れて太陽系の惑星の数が8になったのはすでに一昨年の夏ですが、新たに第9惑星の存在予言が理論的になされました。
2月27日にその発表を行ったのは、神戸大学のパトリック・ソフィア・リカフィカ (Patryk S. Lykawka) 研究員(31歳)と向井正教授 (惑星科学研究センター長、62歳)のお二人です。
http://www.kobe-u.ac.jp/info/topics/t2008_02_28_01.htm

今朝からテレビニュースや新聞の第一面で報道されているので、すでにご承知の方が大半かと思います。

詳細はこちら↓から。
http://www.org.kobe-u.ac.jp/cps/press080228_j.html
日本語資料で詳しいのは、下の「5)解説:新惑星」のpdfです。
また、一番下にアメリカの天文学専門誌Astronomical Journal 4月号に掲載予定の論文のプレプリントが載っています。

内容についての説明は発表資料などを見ていただくのがいいと思いますが、予測される新惑星候補のデータだけ写しておきます。
 近日点距離:80天文単位(120億km)以上
 軌道長半径:100-175天文単位
 軌道傾斜角:20-40度
 公転周期:約1000年
 直径:地球の0.8-1.3倍(1万~1.6万km)
 質量:地球質量の0.3-0.7倍(1.8-4.2×1024kg)
 近日点での明るさ:14.8-17.3等
 成分:主に氷と岩

「この大きさであれば、現在の定義でも発見後、新しく「惑星」に分類される可能性が高い。」という点が重要です。
現在の惑星の定義は、2006年の国際天文学連合決議5Aにあります。
>太陽系の惑星(注1)とは、
 (a) 太陽の周りを回り、
 (b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、
 (c)自分の軌道の周囲から他の天体をきれいになくしてしまった
天体である。

http://www.asj.or.jp/news/060904/planet.pdf

読売新聞(紙)の朝刊2面には「第9惑星確認なら「発見者」の栄誉も」というタイトルの解説記事が載っていて「日本の天文学史に輝かしい歴史が加わることになる。」とまとめています。
栄誉は栄誉なのですが、それは論文の最初に名前が出ているリカフィカ研究員に与えられるべきものでしょう。
(どちらの国の方でしょうか。見かけない苗字です。)

まあいずれにしても、発見されなければ意味がありません。
今後、この論文に基づく国際的な新惑星発見競争が始まるのでしょう。


★ 2008/ 2/28に時間トピに書きこんだのですが、転載するまでに何日も過ぎて賞味期限切れですかね(^^;

リカフィカ研究員については、dionaeamusさんから
>イタリア系ブラジル人のようですね。
http://harbor.scitec.kobe-u.ac.jp/~patryk/index-jp.html
http://harbor.scitec.kobe-u.ac.jp/~patryk/CV.pdf

>一時滞在中の研究者ではなく、修士号、博士号も神戸大学で取得していますから日本育ちの研究者ですね。
「日本の天文学史に輝かしい歴史」は間違いではないかも知れません。

というコメントをいただきました。
dionaeamusさんに改めて感謝申し上げます。