次元、そして時間とエネルギー | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

物理で出てくる量には、「次元」というものがあります。
ルパン3世とは関係ありません(^_^;

これは普通我々が使っている空間の1次元、2次元、3次元を一般化した概念です。
たとえば速度は長さを時間で割って得られますから、
[速度] = [長さ][時間]-1
ここで[速度]は速度の次元を、[長さ]は長さの次元を、・・・それぞれ表します。
いろいろな物理量を、一番基本的と考えられる物理量(通常、長さ、時間、質量など)からかけ算割り算で組み立てられているものと考えるわけです。

他に、力学でよく使う加速度、力、エネルギー、運動量については次のようになります。
[加速度] = [長さ][時間]-2
[力] = [長さ][質量][時間]-2
[エネルギー] = [長さ] 2 [質量][時間]-2
[運動量] = [長さ][質量][時間]-1

[長さ]、[質量]、[時間]について英語の頭文字をとってそれぞれL、M、Tで表すこともあります。

なんで次元の話が出てくるかということですが、
物理のさまざまな局面で「時間と空間」という組合せに対して「エネルギーと運動量」という組合せが出てくるからです。
つまり、時間に対してエネルギーが、空間(その1次元である長さ)に対して運動量が対応していると考えられます。

たとえば相対論では時間と空間を一体のものとして考えますが、時空の座標を表す4元ベクトルでは、時間tに光速度cをかけて空間の長さと同じ次元にします。
(空間の長さをcで割って時間tと同じ次元にしてもいいでしょうが、長さに揃えるのが一般的なようです。)

これに対してエネルギー・運動量ベクトルは、先の式をみれば分かるようにエネルギーを光速度cで割れば運動量と同じ次元になります。

そこで対応関係を示すために
× 時間:空間(長さ) = エネルギー:運動量 あるいは
× 時間:エネルギー = 空間(長さ):運動量
と書きたくなりますが、比の記号:は通常割り算を意味するので、これでは誤解を招きます。(頭の×はダメという意味)
[時間]×[エネルギー] = [空間(長さ)]×[運動量]
これなら大丈夫でしょう。あまりきれいにみえませんが(^_^;
この式の両辺の次元は
[長さ] 2 [質量][時間]-1
となります。
これは「作用」と呼ばれる物理量ですが、あまり聞き慣れないかもしれません。
たとえば角運動量が同じ次元ですが、特に重要なのは量子力学で中心的役割を果たすプランク定数です。
[時間]×[エネルギー] = [空間(長さ)]×[運動量] = [プランク定数]
これについてはまた後で。

以上からたとえば
仮に時間が2次元の世界があったとすると、そこではエネルギーも当然2次元になります。
2次元の時間も想像できませんが、2次元のエネルギーはもっと想像できません・・・
そういう話も追々していきたいと思います。


★ 2005/ 7/28に時間トピにmsg281として書き込んだものです。