ー3ー
此処は、《迷時》時代に位置する、
カラクリンゴ研究所。
かつて此処では、
食べると夢が叶うという”カラクリンゴ”の研究・栽培に、
研究員が慌ただしく動いていたが、
《リンゴの不作》により、
研究所は動かなくなってしまった。
この事態を受け、
所長のDr.アカリンゴは部屋に引きこもり、
娯楽も交えつつ原因を追い続けた。
そして、ついに不作の原因が解明された。
その原因とは、
たくさんの《トキメキ》の欠乏だった。
ー《トキメキ》とはー
人が何かを見て楽しいと思ったり、
ドキドキしたり、熱くなったり、
心が高鳴った時に発生するもの。
カラクリンゴが実をつける《トキメ木》には
この《トキメキ》が必要。
それが、この《迷時》時代とは別の次元で発生した歪みのせいで
失われてしまったのだ。
《トキメキ》を発生させるには、
やはり人々の心を動かさなければならない。
そして、人々の心を動かすための方法として
所長が思いついたのは…
以前所長がやっていた、《歌う事》だった。
しかし、所長は自分が歌う事は考えていなかった。
「アナタ、歌が好きよね?」
「…は?」
散乱した食事を片付けていた研究員は再び、呆気にとられた顔をした。
→続ク→