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此処は、《迷時》時代に位置する、
カラクリンゴ研究所。
かつて此処では、
食べると夢が叶うという”カラクリンゴ”の研究・栽培に、
研究員が慌ただしく動いていたが、
《リンゴの不作》により、
研究所は動かなくなってしまった。
この事態を受け、
所長のDr.アカリンゴは部屋に引きこもり、
娯楽も交えつつ原因を追い続けた。
そして、ついに不作の原因が解明された。
その原因とは、別次元の歪みによる、
《トキメキ》の欠乏。
カラクリンゴがなる《トキメ木》には、
人の心が動いた時に発生する《トキメキ》が
必要不可欠だったのだ。
そして、トキメキを発生させるために所長が思いついたのは、
自身もやっていた《人々の前で歌うこと》。
”ラヰブ活動でトキメキを集めれば、
きっとトキメ木は再び実をつけるはず”
しかし、所長は自分が歌う事は考えていなかった。
「アナタ、歌が好きよね?」
「…は?」
所長は、引きこもり中ずっと世話をしていた
研究員である《ただのあかり》に白羽の矢を立てた。
引きこもり中に面倒をかけさせた上、
突然こんな事を言う所長に、
ただのあかりはかなり不満を感じた。
だが…
確かにあかりは歌うことが好きだった。
そして、活気のない研究所の様子に、いい加減嫌気がさしていた。
それに、所長の目は本気だ。
「原因は見つけたんだからもう休みたい」
「今やりかけのゲヱムを終わらせたい」
という強い意志を感じる。
(私が動かなければ。本当に研究所が死んでしまう…)
そう思い、意を決して答えた。
「い、いいですけど、私の好きにやって良いですか?」
所長はにっこり頷く。
「勿論よ。だけど、自由すぎてもアレでしょ?
だから、こっちで条件を決めといたわ。」
所長は懐から一冊の書を渡してきた。
「大事なことはココに書いてあるから、あとで読んで頂戴。
じゃあ、ご苦労様!私はもう休むからもう戻りなさい。」
そう言って手をひらひらし、
すっかりぐうたらし始める所長にため息をつく。
…所長が原因を突き止めたのはついさっきのはずだ。
ということは…こんな本を予め用意していたことになる。
どうやら休みたくて仕方なかったらしい。
「しょうがないかぁ…」
呆れつつそう呟き、思い切り伸びをして部屋を後にする。
その後ろを、少し遅れてキカイのフクロウ《リンゴロウ》がついていく。
ただのあかり、改め《灯(あかり)》。
所長に振り回される彼女の活動の、ハジマリハジマリ。
ーPrologue 終ー

