さぶ | 明日こそスキップ

明日こそスキップ

独断と偏見の読書感想とひとりごとを書いてます

 

 

 

江戸下町の表具店で働くさぶと栄二

男前で器用な栄二と愚鈍だが誠実なさぶは

深い友情で結ばれていた

ある日、栄二は盗みの罪を着せられる

怒りのあまり自暴自棄になり、人足寄場に流れ着く栄二

人間すべてに不信感を持つ栄二をさぶは忍耐強く励まし、支える

一筋の真実と友情を通じて人間のあるべき姿を描く時代長編

     (あらすじより…)

 

audibleで聴きました…

先日同じくaudibleで聴いた沢木耕太郎さんの「深夜特急」で

異国の地で「さぶ」の冒頭の文を読んで

胸が熱くなって読み進めることができなかったとあったので

読んでみたいなと思ったのでした…

 

題名は「さぶ」なのですが

このお話の主人公はさぶの友人の栄二です!

栄二が陥れられていく前半は聴くのも辛く

なんだかなという感じでしたが

寄場での仲間たちとの出会いや困難を通して

ぎゅっと閉じていた栄二の心が解けていくさま…

また、さぶやその他の幼馴染たちの献身など

心温まるエピソードもあり

紆余曲折はあったものの清々しいお話でした…

栄二を陥れた犯人もかなり意外で

ミステリのようなところもありました!

 

山本周五郎作品はほとんどの短編集を持っているのですが

長編作品を読むのは初めてかも…

他にも名作と言われる長編作品があるので

また聴いてみようかなと思います…

 

ちなみに「さぶ」の冒頭は

「小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ

さぶが泣きながら渡っていた」というもの…

これを一片の雲もなく、一滴の雨も降らない中近東で読んだ沢木さんは

日本を強烈に想起してしまったとのことでした…