狂騒亭日乘Amazonで1円201602240630 | おととひの世界

おととひの世界

リンクも始めましたよ

「日本封じ込め・強すぎる日本
      VS巻き返すアメリカ」

  ジェームズ・ファローズ  著
            1989年

「日本封じ込め」というのは
意訳ではなくて、
Containing  Japanと、元タイトル
はっきり記されていましたよ。

この言い方はかつて
ジョージ・ケナン何かが言っていた、
「ソ連封じ込め」と、
全く同じ文脈、全く同じ使い方
なんですよ。

この一事をとってもね。
まぁ当時1989年、まさしく
平成元年です。アメリカ合衆国が
日本をどう見ていたかというのが
すごくよくわかると思うんですよ。

現在の新米の若い官僚諸君、
その頃のことよく知らないかも
しれませんけど
こういう時代だったんですよ。

ともかくアメリカは
ソ連をやっつけた。肉を切らせて
骨を断つやり方だった。

ソ連は確かに強い国でした。

しかし経済規模アメリカとは
比較になりません。日本と比べたって
比較にならないくらい小さかった。
それは何を思ったか
軍事大国になって、世界中に
衛星国を作ろうとしていた。

笑っちゃいけませんよ。
戦前の日本がやろうとしていたこと
大して変わらないんですよ。

ソ連という国は産油国でもあるんです。
しかしそれが輸入国になるのは
1985年ではないかと考えられました。

だから現在の日本のネトウヨの元祖
みたいな人達が、1985年
第三次世界大戦勃発みたいなことを
盛んに言っていました。

産油国であり産金国でもある。

この両方が2度のオイルショックで
暴騰しました。特に最初の
オイルショック、

アメリカと産油国との
共同謀議だったところが
かなりあるんですけど、

その陰にちゃっかりソ連が
稼いでいたんですよ。もう1つ、
その陰でこっそりがっちり稼いでいた
国があった。南アフリカ共和国です。

カーター政権時代の末期に
南アフリカ沖海上で、
軍事衛星から謎の巨大閃光が
観測されました。

当時からこれは
南アフリカによる核実験ではないかと。
台湾、イスラエル、南アフリカという
どちらかというとお仲間が少ない国、

彼らが共同開発して
核実験をやったのではないか?
そういう噂があった。

ソ連と、南アフリカ、
そしてイスラエル。

アメリカと西側がオイルショックと
不況で苦しむ間にうまくステップを
踏んでいた国。

これを見事に叩いてみせたのは
実はロナルド・レーガンだったんです。

レーガンはアメリカ最後の
大軍拡をやりました。冷戦時代最後の
大軍拡、アフガン戦争と大軍拡で
とうとうソ連は行き詰まり、

ミハイル・ゴルバチョフを立てて
アメリカとの対話に応じざるを
えなくなりました。

南アフリカに対しては
カーター政権以来のいわゆる
人権外交引継ぎ、徹底的に締め上げて
最後はネルソン・マンデラ政権誕生に
つなげた。もっともレーガンは
マンデラをよく言っては
いなかったですけど。

そしてレーガン政権のイスラエル政策。
レーガンはかつてない
極右主義大統領と考えられていました。

だからイスラエルと関係の深かった
シオニストも熱烈に支持。

しかし当選した後のレーガンは
ユダヤ人を結局裏切りました。

1982年、6月、イスラエル軍が
レバノンに侵攻した。直後では
なかったと思います。

しかしレーガンは
当時のイスラエル・ベギン政権に対し、「もうとっくに堪忍袋の緒を
切っている」という、

戦後のアメリカ大統領としては
最もドギツイ言い方でイスラエル非難、

最大後援国にそう言われたイスラエル、
結局ベギン政権退陣を
余儀なくされました。

1984年1月、当時のPLO議長
アラファト、イスラエル軍に
完全に包囲され

いつ殺されてもおかしくない
状況だった。これに対し
強硬にねじ込んでやめさせたのが
実はレーガン政権だったこと

あまり知られていません。

もしそれがなければ、
90年代のクリントン政権による
イスラエルとパレスチナの
一定の合意もなかったでしょう。

しかもレーガン、
大統領2期8年務める間
ついに1度もイスラエルを
訪問していなかった。

結局これはレーガンが、
アメリカ国内でも強い影響力を
持っている反共右翼シオニストを
選挙の時だけ利用し、

あとはロックフェラー中心の
東部エスタブリッシュメントの
言う通りに政策を推進したこと
意味します。

ナカナカたいしたタマでした。

レーガン大統領という人、
役者上がりだと小馬鹿にする人が
多かったですけどね。

肝っ玉の据わり方
半端じゃありませんでしたね。
まぁ第二次世界大戦にも
従軍してる人ですからね。

ギリギリのところでは
円満な判断ができる
バランス感覚に優れていた。

就任直前か直後か、
狙撃されて銃弾が心臓近くにまで
っていう暗殺未遂事件を経験。

割と有名な話だけどあの時、
手術室に入る際に

緊張している医師団に

     「   トキに君たち。
  みんなアメリカ共和党員だろうな? 」

とジョークを飛ばす余裕を見せている。

するとチーフの心臓外科医
「少なくとも手術の間は
      全員共和党員ですから」と返し
 お互いに打ち解け、笑ったという。

緊張が解けて手術はうまくいった。

とても危険な手術だったけど。
こういうことってなかなか
できそうで、できないですよ。

1980年代を通じてアメリカが、
自らも大赤字で血ミドロになりながら
進めていたこれらの政策。

その陰で着々と力を蓄えすぎていた
国があった。それこそが
日本だったのですよ。

ソ連と共産主義が片付いた後に、
アメリカは今度は役者を変えて
日本を叩きに来たのです。

それが日本封じ込めという
意味なんです。

1989年ゴルバチョフ政権との間で、
正式に米ソ冷戦時代が終わったことが
確認された時、

ニューヨークタイムズ社説は
こう書いたのですよ。

「これで心置きなく
   日本を憎むことができる日が来た」

 これこそアメリカや日本の外務省が
日本の国民から目をそらしたい、
アメリカの本音でもあるのですよ。

ジェームズ・ファロウズの本は
それを代弁するものです。

そしてその系譜はクリントン夫妻、
オバマ政権にも一貫して
受け継がれているのですよ。

オバマにしても日本に2回
ちょっと寄っただけでしょ?
それだけ見ても、この人物の
対日感覚がちょっと
わかりそうなもんですが。