狂躁亭日乘・動物の記憶力201512222222 | おととひの世界

おととひの世界

リンクも始めましたよ

20年以上前だけど、石垣島近海を
めちゃくちゃ船酔いしながら
二日漂流したことがあります。

マンタを見に行くためです。
穴場のマンタ銀座を見つけたという
セミプロダイバーの友人に
ついていったわけです。

ところがマンタ=オニイトマキエイは
まったく現れない。その代わりに
イタチザメの大群に取り囲まれ

200頭近くがいましたよ。
とても危険なサメなので
ちょっと ダイブなんて
もってのほかですよ。
結構大きい上に貪欲で
あのあたりの漁師さんの 最大の敵。

漁船のうえなら安全と言っても
あれほど多数のサメに取り囲まれる
というのはあまり
いい気分じゃありません。

結局2ヶ月後にまたいって
もっと確実にあえるという
とても有名なところで
オニイトマキエイと一緒に
泳いできました。

とても大きな個体。
幅が3.2メーターくらい。
しかしおとなしいと聞いていたので
あまり緊張しなかったけど
それでも友人によれば


水中でストロボフラッシュを
絶対にたいてはいけない。
確実に怒りだし、下手すると殺される。
その点は念押しされましたよ。

レンタルだったけど
結構重装備の撮影機材
持ってきてたので
ちょっともったいない気もした
でもいうことは聞きました。

友人によれば
かつて マンダの前でフラッシュを使い
マンタが興奮して猛然と向かってきた。
あれだけの体重で
思いっきり衝突されたら
殺されてしまいます。

ちょっとはずれた瞬間に
ボートの上に逃げてたすかった。

友人によれば、同じマンタに
その後何度かあったらしいのですが
向こうはっきり覚えているらしく
友人を見つけると向かってきたそうです。

マンタは背中の模様で
ほぼ確実に個体識別ができるそうで
間違いなく同じやつだったそうです。
それほど高等な脊椎動物ではない。
そもそも カルシウムを含む骨を
持っていない。

はっきり言って かなり下等な
軟骨魚類です。脳も大して
発達していない。

それでも自分の身の危険に関する記憶。
それだけしっかり覚えている。
私だって やられたことくらい
覚えていられると思うけど
誰がやったかまで
覚えていられる自信が無い。

同じことはウミガメでもあるらしい。
やはり執念深く向かってくるそうです。

彼らの記憶、どうなっているのか?

イヌは、半年くらいかまわないと
飼い主を忘れることがある。
自分も経験があります。

しかしどこで遊んだかとか
遊んだ記憶は しっかり残っている。
場所に関する記憶は凄いですよ。
10年たっても覚えてますから。

トリは、図形のパターン認識力は
おそらく人間の数十倍
いやもっとかも?と言われている。
毎日餌をくれる人の顔。
20分割くらいしてシャッフル。

人間だったら誰が誰だかわかりません。
人間にはそこまでの
図形パターン認識能力はない。

ところが鳩ぐらいでも
シャッフルした人間の顔いくつ並べても
百発百中で餌をくれる人の顔をつつく。
あの小さな脳みその働きでね。

トリが地磁気への反応能力を
もっているというのは
よく知られています。

しかし彼らの帰巣本能は
磁気にだけたよったものではない。
例えば 人間は
向きを変えられた地図を
きちんと読み解くことが難しい。

写真なら なおのことそう。
しばしば 航空写真を見せられても
どこを撮っているんだか分からない。
自分が住んでいる場所の
航空写真であってもです。

ところが 鳥の仲間
そういうことがまずないらしい。
向きが変わっても バラバラになっても
図形の共通パターンを
抽出する力があって

上から見た 地形パターン認識だけでも
元の場所に戻ることができる。
人間などとても及ばない超能力ですよ。

考えてみれば 鳥は恐竜から進化している。
7000万年ぐらい前の話です。
それから現在まで
地磁気の逆転現象は何度もあったはず。

地磁気頼みの飛行していたら
こんにちまで生きのこれたはずがない。
おそらくそうした種類が
滅亡してきたはずです。

別のノウハウを持っている連中だけが
生き残った。それは間違いない。
だから 彼らはそういう記憶力を
こんにちでも維持している。

先ほど、動物たちが人間の顔を
覚えているらしいという話を。

ここ30年くらいデジタル思考
アナログ思考という文脈で
右脳と左脳の話がやたら語られてきた。

アナロジーとして面白いが
それからの研究成果にかんがみれば
おそらくそれは間違いです。
というより必ずしも正しくない。

ハンガリー出身の女流チェス棋士。
彼女がプロになっていく過程で
CTスキャン. MRIまで
徹底的に脳機能が調べられている。

その結果 彼女の超人的記憶力は
脳の後ろ側、相貌認識野で
一括して大きなカタマりとして
処理されていることが分かっている。

そしてその後の研究で
それが彼女のレアケースではなく
すべての人に当てはまることも分かった。

顔を認識する能力がすぐれた人。
ほかの記憶能力も
抜きん出ていることも分かっている。

このあたりのメカニズムは
かなり動物と共通しているらしい。
顔をどのようなパターンで
区別するかはよく分かっていないけれど
いくつかの大きなカタマりに分けて
高速でシャッフルしている
ことが分かっている。

どちらかと言えばアナログ的だけど
完全にアナログ的かというと
そうも言えないらしい。

ただ 人間の場合は特に
人の顔を瞬時に区別する脳の部分
これは従来いわれてきた
いわゆる大脳の 右脳 左脳ではなく

右と左をつないでいる 脇役的部分が
最も大きくものを言っている。
ここまで分かってるんですよ。
そしてそれは、もちろん最新の
人工知能にも搭載されている。
それを真似した 機能が。

とても動物的 な機能ですよ。
それが 脳の高次機能、
果ては最先端の創造的活動にまで
はっきり 役に立っている。
そういうことらしく。

カタマりで記憶しているというのが味噌。
数百万 ケースの記憶でも
それによってとんでもない高速で
処理できる。

この点は動物も人間も同じなんだけど
私が一つわからないのは
動物の種類によって
記憶できる時間の長さが違うこと。

イヌは、比較的短い時間に
世話をしている人、飼い主の顔を
忘れることがあります。
ところが イヌより知能は かなり低い
ウマやウシ。彼らは何年たっても
自分の世話をした人の顔を
忘れることはない。

なぜなのか?
生き残る知恵に関係があるとも
思えないけど。人間による淘汰で
そうなったのか?

今日久しぶりにウマにあって
ウマが私の顔をはっきり覚えていた。
それを見てちょっと考えていました。