夜の便で帰国する日の午後。

ドライバーH氏のバイクで
郵便局に寄った後に
美味しい所があるからと、
屋外のお店に連れていかれ

一緒に、カニを食べていました。

そこで、昨日、
バイクでミトーに行ったことをみんなに話したら
驚かれて、よく無事に帰ってきたと言われたことや
カフェの店長が、よっぽどドライバーが良かったんだろう、
無事に帰ってこられた理由を知りたいと言っていたことなどを
H氏に話しました。

そうしたらH氏が、開口一番に
「だって約束したから。」

へ?
やくそく?


約束って、何だっけと思い、記憶をさかのぼってみたら、



「あ!約束・・したした。
って、あれを守ったの?」

 

 

私は、約束したことなど、すっかり忘れていたのです。


それと同時に、とても大切なことも、忘れていたことに気づきました。

「約束って、守るためにするものだ・・。」

この頃の私にとって、約束とは
「またね」
「そのうちね」
「あ、行きたいですね」
のような、その場のノリや社交辞令で使う、

実現するあてのない、あいまなものであり、
こういうことを、コミュニケーションと捉えていたので、
決して「守るためにするもの」という感覚ではなかったのです。

もちろん、仕事上でもプライベートでも、
日時の決まった約束は、
約束として、実行しますけれどね。

そんな訳で、正直言って、
ミトーに行く朝に約束したことを、
H氏が必ず守るなんて、思いもしなかったし、
身を守るために、言っておこう程度のものだったのです。

 

己の残念さを感じます。

 

そんな中で、H氏が、
「でも、皆が、僕のように、良いドライバーとは限らない。
僕はサイゴン川に投げられた日本人を何人も見た。
と怖いことを言っていたので、本当に私はドライバーに恵まれたのですね。

さて。
H氏から、「このドライバーは安全です。」というのを、
日本語で書いてほしいと頼まれました。

でも、当時、私が持っていた日本のガイドブックには、
「このドライバーは安全です。」と日本語で記しているバイクタクシーは
信用してはいけないっと書いてあったのです。

なのでそれを伝えて、私にやってくれたように、英語で話しかけて、
約束を守ったら、お客さん喜ぶと思うんだけれど・・と話したら、

だって日本人英語話せない!
と返ってくるではありませんか。
 

・・そうでした。
 

でもH氏なら、だいじょーぶだいじょーぶ。
そう伝えて、日本語での推薦文を書かずに終えたのでした。

H氏とのドライブが、もうすぐ終わるという頃。

私たちは、綺麗な青い空が広がる中
トラックやバイクがひっきりなしに通る、

片道3車線の大きな、舗装されている道路を走っていました。

後部座席からH氏に
「楽しかったね」と声をかけたら、
「楽しかったね」と返ってきました。

「また会いたいね。」
「また会いたいね。」

「いつか、どこかで。」
「いつか、どこかで。」

 

次の約束ができない中でのやり取りは、

なんだか映画のワンシーンみたい、だったのです。


社交辞令でも、その場のノリでもなく、

心から、そう思うほどに

ベトナムの旅は、私にとって、とても楽しいものでした。

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