月夜野神社本殿
月夜野神社は、利根川の段丘端部にある杉木立の中にひっそりとたたずむ。創建当初は、天照大神を祀る都神明宮と呼ばれ、江戸時代前期、沼田藩主真田伊賀守信利により再建されている。
明治年間になり、社寺整理令により「一村一寺一社」とされ、当地区内に点在していた、社・祭神をここに合祀し、明治四一年(1908)月夜野神社と改称した。
この本殿は、空宮になっていた、吾妻谷神社の里宮本殿を、昭和一二年、本神社の山腹から、木ソリとコロを使い人力で移設したといわれる。棟札には、寛政四年(一七九二)の建立で、宮大工棟梁は榛東村新井に住む柏木・大河原二人の名が書いてある。と案内板の有るが、「榛東村誌」には松岡出雲正藤原増浮(本名忠蔵)が造成したと記されているという。気になる彫工の名はいずれにも記されて無く不明である。
ご本殿は今までは町の重文でしたが、令和7年8月県の重要文化財とするように答申されました。答申の大きな理由は「軒裏に彫刻を施す社殿建築として年代が明確なものでは県内最古とされています。」軒裏まで彫刻を施すものは、他には本県中之条の「大國魂神社(嘉永四年1851)」と本県桐生市と栃木県佐野市の境にある「根本山神社(天保二年1831)」位であると思える。
いずれも工匠が不明で今後の調査が気になる建物である。
北面胴羽目 松に鷹
社殿全体がほぼ東向きであるので本殿の左胴羽目は北側になる。鷹が松の木の傍の岩の上に乗っているのか獲物をつかまえたのかちょっとはっきりしないがなかなか勇壮である。
北面腰羽目 犀
案内板では「麒麟」とあるが、麒麟特有の髭が無く、一本角と甲羅がある犀ではないだろうか、波の上を走る姿が勇ましい。
西面胴羽目 鳳凰
西背面は「鳳凰に雲」優雅に舞っているいるように見える。
西面腰羽目 犀
波の中で少し後方を見ている、口は閉じて吽形であろう。上の段は兎に波である。
南面梅の木に猛禽
目つきが鋭く、嘴が下を向いている所から猛禽類であろうと思われる。枝ぶりから見るとそれほど大きな鳥ではないように思える。
南面腰羽目 犀
北面とあまり違いはなく双方とも阿形である。しかし波型が違うようで何か意味があるのかもしてない。
西面妻飾り
本殿は「春日造」である。したがって妻面は入口側と後側になり、正面は軒唐破風となり向拝となっているから妻飾りは後側だけとなる。その面を二重虹梁大瓶束で飾り軒裏に龍を彫ってあるのは圧巻である。彫工の名は残されていないがその実力は十分に発揮されている物であろう。
脇障子 張果老と陳楠
左は張果老(ちょうかろう)の「瓢箪から駒」裏から見たものである上の方に瓢箪があり下には馬が降りている。たまには裏もいいのかと思うが、実は正面からはピンボケで失敗してしまった。これでご勘弁願いたい。
右は案内板では「葉公(しょうこう)の龍の図」となっているが、陳楠(ちんなん)が雨乞いの為、鉄鉢から龍を出したところであろうと思われる。
彫工は花輪系統しか考えられないが地紋彫りが少なく、いまいち断定は出来ない。初めに書いた榛東村誌よる大工が松岡出雲正とすると、川場村の武尊神社を手掛けているので、彫工は星野慶助とも思ったが、残念ながら武尊神社に見られる林大隅流特有の特徴が見られないことから、大工は棟札通りであろうと思われる。「春日造」の神社も本県には少なく、もしかすると諏訪大隅流の仕事かもしれないが、それもこれといった確証はない。今後の調査が楽しみである
神社名 (みなかみ町)月夜野神社(つきよのじんじゃ)
所在地 群馬県利根郡みなかみ町月夜野 1259
主祭神 大日孁命(おおひるめのみこと)(21社19祭神を合祀)
文化財指定 令和7年8月 (県指定重要文化財 答申)本殿
建造年代 寛政四年(1792)建立 (棟札)
彫工 不明
大工 榛東村新井 柏原・大河原 (棟札) 松岡出雲正藤原増浮 (榛東村誌)
神事 春季例大祭(4月上旬)祇園祭(8/1)風祭・諏訪祭(8月下旬)秋季大祭(9月下旬)
御神迎(旧暦11/1)歳旦祭(12/31~1/1)
(神事は群馬県近世寺社総合調査で調べた範囲内です、記載漏れや変更等ある場合があります、ご容赦ください。)
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寺社彫刻の盗難について
(彫工の作品は建物の一部であるため取り外しは出来ず、出来ても、一点ものです。したがって商品として取引されるものではなく、正当な持ち主以外が持っていたらそれは、「ほぼ盗品」です。例え落ちていたもの拾っても、窃盗に問われる場合もあるし、知らないで買ったり貰ったりしても、罪に問われる場合があります。
最近はほとんど無くなりましたが、万が一、盗難に遭ったしまったら、必ず警察に通報してください。写真等が必要な場合は全面的に協力いたします。盗難が犯罪であることは間違いありませんが、盗難品を買ったり、貰ったりする場合も犯罪です。新聞、週刊誌等に載せて貰うのも効果あると思います。この時、懸賞金の類は絶対に出してはいけません。また、警察を名のる人間は信用できません、返品される場合でもお金の類は出してはいけません。どんな場合でも必ず警察を通してください。むしろ犯人が返品しない場合は罪が重くなるとしてください。処分が出来なくなり、犯人は捕まり返品するほかなくなる状態に成ります。)









