ロシアのウクライナ侵攻がはじまってから、「グローバルサウス」という言葉を耳にすることが多くなりました。「グローバルサウス」とはインドやインドネシア、トルコ、南アフリカといった南半球に多いアジアやアフリカなどの新興国・途上国の総称で、主に北半球の欧米先進国と対比して使われています。

 

少し前までの世界経済における格差を表すときに使われた、南北問題の「南」にあたる国々のようですが、実際には領土がどこに位置しているかにかかわらず、新興国全般を意味する場合が多いようです。特にロシアのウクライナ侵攻以降の民主主義と権威主義の分断のなか、中立を貫くスタンスをとるのが特徴で注目されるようになりました。

 

またかつて冷戦期に、東西双方の陣営と距離を置いた「第三世界」を表現するときにも使われ、1955年にインドネシアのバンドゥンでインドネシアの初代大統領スカルノが主催し、インドのネール首相ほか非同盟諸国の首脳が集まったアジア・アフリカ会議を連想します。「第119話 G20サミット」でも書きましたが、グローバルサウスに属する国々はウクライナ侵攻をしたロシアに対し、話し合いの場にも排除しない姿勢を示しています。

 

それは国連での対ロシア制裁決議に際しても顕著で、単純に欧米諸国に追随して賛成せず、棄権または反対している国が多く見うけられるのです。インドは過去のロシアとの関係から、経済制裁に加わらずにロシアから原油を輸入しました。またインドネシアは2022年11月にバリ島で開催したG20サミットにロシアを招待し、ロシアからは外務大臣が出席しています。

 

インドやインドネシア、アフリカのグローバルサウスの国々の多くは、過去に欧米諸国の植民地として長い間侵略・搾取された暗い過去があります。だから今になってかつての宗主国であった欧米諸国から、ロシアのウクライナ侵攻に反対して経済制裁に加われと言われても、素直に応じかねないのは自然な反応だと思います。ただトルコのように平和仲裁ができる国としての役割を果たせたりするので、今後インドやインドネシアなど、グローバルサウスの国々に寄せられる期待は大きくなりそうです。

 

第1回アジア・アフリカ会議場@バンドゥン

 

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