インタビュー三人目は、都内で医師として忙しい日々を送る辻陽介さんです。ショパン、モーツァルト、バッハがお好きという辻さんも、彼らとはちょっとテイストが違うカプースチンを好んで演奏されるのですが、さて、どんなお話になりますやら。



Q:今はどんなお仕事をしていますか?

A:消化器内科医師として働いています。いわゆる、「胃カメラ」、「大腸カメラ」、すなわち消化器内視鏡を駆使した診断、治療に従事しております。内視鏡を用いて早期の癌を剥離してしまうような治療もしておりますが、こうした治療は技術ものなのでピアノと同様に修練が必要で、ピアノと同じような気持ちで日々トレーニングに励んでおります。



Q:忙しいお仕事だと想像しますが、ピアノは普段どのくらい練習していますか。また年にどの程度人前で演奏していますか。

A:週末に1-2時間程度だけです。人前では年に3-4回程度は演奏していると思います。



Q:カプースチン作品と最初に出会ったのはどの曲ですか。そしてそのきっかけは何だったですか?

A:1999年ごろ、東大ピアノの会で先輩にあたる不破友芝さんの紹介で「8つの演奏会用練習曲」を聴いたのが最初ですね。そしてこうしたジャズ風の曲がキレイに記譜されていると知り驚きました。



Q:カプースチン作品を練習する際は、他の人の作品とは違うことをやっていますか?

A:タッチなどを耳コピーできるように自作自演をひたすら聴きこんでいることが、他の人の作品を弾く時と最も違うことだと思います。



Q:今回「夜明け 作品26」を選曲した理由は?

A:テクニック的に安心して演奏できる点やおしゃれな曲だから。



Q:カプースチン本人にはどんなことを伝えたいですか。

A:ご本人の演奏が、やはり独特の雰囲気をもっていて他の追随を許さないものだと感じています。そしてジャズテイストの音楽を楽譜にあらわしていただいたおかげで、自分のようにジャズの素養のない人間にもそうした曲を演奏できるという点をとても感謝しています。



Q:今回「祭り」に参加されて、同じような境遇にある人たちのカプースチン演奏をお聴きになったと思いますが、何か得るものがありましたか?

A:カプースチンを愛して、こんなに上手に演奏してしまう人たちが全国に多くいらっしゃることに感銘を受けましたし、自分ももっと頑張ろうと思いました。



Q:また「祭り」が開催されるとしたら、参加なさいますか?

A:もちろんです!



どうもありがとうございました。