詩 「海との別れ」
私が海へ出てからどれほどの歳月が経ったでしょう
恐る恐る潮風を胸に吸い込み
浜辺で心地よい音楽と出会いました
水遊びはいつしか沖へ向かう魂と化し
潮風に乗って飛び回る自由に酔いしれました
いつしか魂は大きなマリンブルーの瞳を持ち
静かに海原という景色を見つめるようになりました
そしてあの帆船が迎えにやって来たのです
優しい波の音と 帆が風にはためく微かな声は
私の魂をそうっと包み込むようにその背に乗せ
この浜へ 送り届けたのです
魂を思いのままに遊ばせながら私はそれでも
私の裸の魂が帰って来るのを待っていました
「おかえり」
声をかける淡く丸い私の魂は 遊び疲れたのでしょう
手のひらの上で瞳をうっすらと開けたまま
じっと温かく動きません
空からは冷たい雨が次々と降りて来ます
「街へ帰ろう」
あの懐かしい喫茶店のドアを押して
いつもの窓際の木の椅子に座りましょう
そして窓ガラスの雫と 通りを流れる人の波を見ながら
温かい飲み物に幸福のため息をつきましょう
その時 私は回顧するのです
懐かしい海にいた時代を
瞳は静かに閉じられ
一筋の涙が まあるい魂を流れて落ちました
かっぱぶいこ
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