トロントのダウンタウンにあるセントジェームス教会にやって来ました。
英語名は Cathedral Church of St. James
トロント市内にある地下鉄King駅から歩いて10分位のところにあります。

地元の人にどこかベンチに座ってのんびり絵が描ける建物がないか聞いてみたところ、ここを紹介してくれました。
街の中で見かける近代的なビルとは全く違うスタイルの建物に目を奪われました。
ちょっと難易度が高そうでしたが、絵心をくすぐられる立派な教会です。
この教会が最初に建てられたのは1803年頃で、その後火事によって消失しましたが、1850年頃に再建されて今に至っているそうです。
写真に写っている正面の入り口側からスケッチしたかったのですが、道路側で歩行者も多く、とても落ち着ける場所ではなかったので、建物の裏側にまわりました。
どうしても木陰のベンチに座りたかったので、建物をどの角度から見てスケッチするかはベンチの場所によって決まります。

手前にある大きな木が邪魔でしたが、他によい場所が見当たらなかったので、この場所に決めました。
この大きな木をそのまま絵に入れてしまうと、一番際立たせたい教会の存在感が薄れてしまうので、この木は省くことにしました。
この日も用意したのは3本の鉛筆と消しゴムとスケッチブックです。
鉛筆が3本あるのは、芯の先が尖ったものと、少し丸みを帯びたもので使い分ける為です。
消しゴムは本来スケッチでは使うべきではないと聞いたことがありますが、経験の少ない私の場合は何度も輪郭線を描くうちに画用紙が真っ黒になってしまい、どれが本線なのか分からなくなってしまうので、消しゴムを容赦なく何度も使ってしまうのです。

この教会は高くそびえる緑色の細長い屋根が特徴的で、建物のシンボルともいえる部分です。
中央の屋根の根元にある茶色い4本の尖塔は、細長い建物を補強するためにあるのだそうです。
緑色の尖った先端部を地上から見上げると、まるで天を突き刺すように果てしなく高ーい!という感じがしました。
今回はいかにしてこの高さを絵でアピールできるか、それを課題にしてスケッチしてみることにしました。

晴れた日のトロント市内の公園にいると、地元の人たちの休日の過ごし方を垣間見ることができます。
ここでも若いカップルや家族らが芝にシートを敷いて、暖かい日差しのもとで昼寝をしたり、会話を楽しんでいました。
隣のベンチに年配の女性が座り、ペットの犬を抱き上げてドンとベンチの上に乗せました。
犬は私の左腕をペロペロと舐めました。
くすぐったい!(笑)
「あら、ごめんなさいね。かわいいでしょこの子?この子ね、知り合いが27時間も部屋に閉じ込めていて可愛そうだったから、私が昨日引き取ったのよ」と女性が話してくれました。
聞くと、この教会の隣にある建物はホームレスの人たちの保護施設だそうです。
ちょっと小汚ない身なりの人たちを見かけた理由が分かりました。
この公園はそんな人たちの憩いの場でもあったのかもしれません。
また暫くすると、別の女性が大きな音を出したラジオを聞きながら隣のベンチに腰掛けました。
「ちょっと、あなたイヤホン持ってない?もしあったら貸して欲しいんだけど?」
私は残念ながら持ってないことを伝えました。
「ラジオの音がうるさくないかしら?」
私もラジオの音楽を一緒に楽しんでいるので全く気にならないことを伝えると、女性は少しホッとしたような表情を見せて、音楽に合わせて体を動かしていました。
何だか心温まる会話でした。
この方もホームレスかどうかわかりませんが、身なりからして少なくとも貧しい暮らしをしているように見えました。
でもこの人たちは、決して私にお金が欲しいとか物乞いをしてくることはなく、何気なく普通に話しかけてくれることにちょっと嬉しさを感じました。
ようやくスケッチが完成しました。

自己採点では100点満点中20点。
なかなか満足できる絵が描けませんが、この失敗も大切な経験となりました。
絵の中で、左右にある木がとても重要です。
もしこの木がなければ、ただ直線的な建物だけとなってしまい、機械的で何の面白みもありません。
この左右の木が存在することで、全体的に柔らかい印象を与えてくれます。
私にはまだ木を上手く描ける技術がないので、今回は薄く残したまま終わらせてしまいました。
建物の輪郭も仕上げに同じ濃さで描いたのも大きな失敗でした。
遠くの位置にある所をもう少しぼかして描いた方が、より遠近感を強調できると感じたからです。
絵の課題は色々とあるものの、今回も良い思い出が残りました。