このシリーズもいよいよ終わりです。
インプロも最終に入り、
犬山さん(やはり「さん付け」します)は稽古場の真ん中で
膝をついて我輩のご先祖さんの銅像のような格好で座った。
それから肘をついて姿勢を低くして顎を床につけ舌を出して大あくび・・・
「アッ、奴さん、我輩の真似をしている」
「レロレロは出来ない」
の行も口中で舌を動かしている様子が見える。
「まいったな!」
正直、我輩はシャッポを脱ぎたくなった。
「あッ、笑ったッ!!」
そこまでやられちゃ堪らんねェ・・・
「こりゃ、文化勲章ものだな」
そうか・・・我輩は犬山さんが何故こっちをじっと見ていたのかを
初めて理解した。
「たいした人物だ」
「役者だァ!」
完全にやられた思いで凝視していたに違いない。
呼吸が荒くなっているのを実感しながら、それを抑えられない。
本当は、
「やったなァ!」
といいたいところだが、
「やられた!」
という思いのほうが強かった。
人間というものはたいしたものだ。
見くびっちゃいけない・・・そんな思いの中で、
犬山さんの演技を見終わった。
ご婦人のことばに我輩は驚いた。
「犬山さん、何だか犬らしくなかったわね」
「・・・・・・」
我輩の脳内は混乱した。
「えッ、それ、どういう意味?」
分からない。
演技がどうのこうの、良いの悪いの、
上手いの下手のという声が飛び交っていたが、
それもいつしか終わり食事会になった。
残したままの鶏の唐揚を見た婦人が、
「ワンちゃん、お腹空いてないのね」
と言ったまま持ち去り、我輩の前には何も配られなかった。
寒くなってきましたね。
貧乏人にはつらい冬がやってきます。
屋外生活の我輩も寒い冬は弱りものです。
雪やこんこん あられやこんこん
降っても降っても まだ降り止まず
犬は喜び 庭駆け回り
猫は 炬燵(こたつ)で丸くなる
この歌もいい加減そのものです。
「犬に聞いたのですか?」といいたいですよ。
犬は寒がりなんです。
我輩などより猫のほうが寒さには強いんです。
猫は頭がいいですから、炬燵に近いところに陣取り、
いかにも寒さに弱そうな振舞いで、人間の目に同情を訴えます。
ところで犬猫の殺処分数をご存知ですか?
何年のことか忘れましたが、
全国で80万頭で300億円かかったという話を耳にしたことがあります。
人の自殺について述べたことがありますが、
この中に自殺を考えた犬猫は一頭もいなかったはずです。
それにお願いです。
鼠の数も一匹、二匹、犬も猫も一匹、二匹はやめて欲しいな。
ゴキブリも同じでしょう?
犬猫といえども誇りをもってこの世に存在しようとしているんです。
だからこそ、いじましいと思いながらも、人様に媚びたりもします。
本意ではなくてもです。
人間様も森羅万障の中のひとつだってことを忘れないで欲しい。
一緒に生きている仲間だという意識をもって欲しい。
飼われて生きる我輩がこんなことを言っても説得力ありませんか?
「でも、これ、我輩の願いなんです」
この短いシリーズを通じて、
「我輩の言いたいことはこの一点なんです・・・はい」
では、お元気で。
・・・おわり