実に丁寧に、かつ綺麗な字を書く友人がいた。
「自分では丁寧に書いていると意識したことがない」
という。
「じゃ、文字を書くときに何か考えていることは?」
と聞いたことがある。
「そんなことを聞かれたのは初めてだ」
と言った後、
「伊藤くんの言葉を聞いていると、
実に丁寧だなァ」と感じるのと同じだという。
言葉に比べ、文字の歴史は浅いけれども、何百年という歴史を経て私たちが受け継いでいる文化だから、雑にだけは扱いたくないということでした。
わたしも、劇団での話に、同じようなことをいう。
これは文字や言葉に限ったことではない。
自分自身もそうだ。
親、祖父母、曾祖父母・・・ヒイヒイ祖父母と何代も受け継がれてきて、今の自分が在る。
その自分を粗末にしていないかと時々考える。
とすれば、他人も同じである。
その人の人生も、何代、何十代、何百代と受け継がれてきて今がある。
役者ってすごいじゃないですか・・・
その何人もの人生を演じるのですから。
ちょい役なんてないと書いたことがあるが、
なまじな仕事じゃないのですね・・・役者って仕事は。

