演劇人生 -22ページ目

演劇人生

今日を生きる!

実に丁寧に、かつ綺麗な字を書く友人がいた。

「自分では丁寧に書いていると意識したことがない」

という。

「じゃ、文字を書くときに何か考えていることは?」

と聞いたことがある。

「そんなことを聞かれたのは初めてだ」

と言った後、

「伊藤くんの言葉を聞いていると、

実に丁寧だなァ」と感じるのと同じだという。

言葉に比べ、文字の歴史は浅いけれども、何百年という歴史を経て私たちが受け継いでいる文化だから、雑にだけは扱いたくないということでした。

わたしも、劇団での話に、同じようなことをいう。

これは文字や言葉に限ったことではない。

自分自身もそうだ。

親、祖父母、曾祖父母・・・ヒイヒイ祖父母と何代も受け継がれてきて、今の自分が在る。

その自分を粗末にしていないかと時々考える。


とすれば、他人も同じである。

その人の人生も、何代、何十代、何百代と受け継がれてきて今がある。

役者ってすごいじゃないですか・・・

その何人もの人生を演じるのですから。


ちょい役なんてないと書いたことがあるが、

なまじな仕事じゃないのですね・・・役者って仕事は。

高倉健さんが逝った。

私たちは高倉さんのことを「俳優」とは言いませんでした。

「映画俳優」あるいは「役者」と言っていたように思います。

劇団の事務所と同じビルに高倉さんの事務所があります。

一階のフロント前にたくさんの胡蝶蘭が並ぶときがあり、

「高倉さんの誕生日だ」

「そういえば何か受賞したんだ」

と、フロントの人と話したものです。


その高倉健さんが世を去りました。


残念ながら高倉さんとご一緒した作品はありません。


今回、思いをめぐらしたことがあります。


広い宇宙の中のちっぽけな地球だけれども、

まだまだ未踏の地が沢山ある。

・・・と同じように、

それと比較するまでもなく、

塵あくたにも満たないちっぽけな私の人生に、

まだまだ未踏の地と言えるようなものがあるに違いない・・・

このような思いを噛み締めたことです。


名人位を得た或る棋士が

「今の心境は?」と聞かれ、

「辿り来ていまだ山麓」

と答えたそうです。


役者の人生もそういったものかもしれません。

高倉さんは、自らの人生に未踏の地を感じていたかどうかは分かりません。

しかし、本物の役者だったと心底思います。


心から、高倉さんのご冥福をお祈りします。



工夫


今はシアトルに移住してしまったMさん。

彼女は韓国に生まれ育ったのだが、

日本人と結婚し麻布に住んで20年ということだった。

「ススキです」

「スズキでしょう?」

「はい、ススキです」

「ずって言えないですか?」

「大丈夫です。言えます」

「じゃ、もう一回スズキって言ってみて」

「ススキ」

「どうしてススキになるのかな」

「いえ、言ってますよ、ススキって」

この日は、ここまでにした。


翌週、

「鈴木さん、もう一回スズキって言ってみて?」

さすがの彼女もうんざりの表情を浮かべた。

「もういいもん」

「ね、鈴木さん、あなたは女優の勉強をしたいんでしょう?」

だったら、自己紹介で「鈴木」を「ススキ」と言っちゃ通じないことをわからせ、一つの方法を試させた。

「鈴木さん、平仮名で鈴木って書いてみて?」

すると、

「すずき」

と書いた。

そこで、「すずき」の「ず」を「づ」と書いてもらった。

「それを読んでみて?」

と、何と、スヅキと言えたのだ。

これからは、自分の名字を「スズキじゃなくてスヅキ」だと思って言えばいいんだよ」

「但し、ふり仮名はスズキじゃなきゃいけないよ」

ほんのちょっとした工夫で、

ススキさんが鈴木さんになれた話です。


今頃、シアトルでも「SUSUKI」ではなく「SUDUKI」と言ってるかどうかはわからない。


これも役者としての大切な勉強です。

大学2年で劇団に入ったS君がいる。

まったくの未経験者だった。

電話が来て、

「俳優になろうと思って・・・」

と言ったきり無言。

「そこでうちの劇団に入りたいという?」

「はい」

あとはこちらがしゃべり続けて東京ミッドタウンの喫茶店で会うことに。

時間ピッタリにウロウロする青年に声をかける。

「S君?」

「はい」

コーヒーを飲みながら、

「どうしてうちの劇団に?」

「アルファベットで前にあったから」

とのこと。


その彼が中心メンバーとなって、

「壁」では主人公に抜擢・・・

というか、三浦綾子さんの「壁の声」を彼向けに脚色して上演。


              右(Sくん)
S君の成長に、観た多くの人たちから驚嘆の声が寄せられた。


俳優というのは面白い。

突然変異に近い変わりようをする。

それだけに元の木阿弥に戻ってしまう場合もある。

飛躍した自分に馴染めないのかもしれない。

うまく馴染んで、次に進化してくれるといいのだが。


S君は元には戻らなかったが、

進化への道のりが鈍い。

彼は、

「大学時代以上に勉強が多い」

これが役者ですねと神妙な顔をしていう。


そうなんです。

私など、この年になっても勉強、勉強ですから・・・


劇団代表 三園ゆう子の講座



少々人数に余裕があります。
区外の方でもメッセージで問い合わせ下さい




定員 20名以内


一昨年から始まった三園ゆう子の「ハッピーコーナー」


今回から麻布区民センターの体験講座として、


5年間のレギュラー講座になりました。





役者にとっても、


多くの人々を相手にするさまざまな職業の方々にも、


役立つ講座です。





三園ゆう子


劇団アドック女優で代表ですが、


交流分析応用心理士


産業カウンセラー専任講師


ビジネスマナー講師


としても活躍しています。