俳優になる 15 | 演劇人生

演劇人生

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俳優修業


つくられる役者・・・

これは貴重な経験である。

「創られる」という字を当てるべきかもしれない。

舞台に限らない。

テレビドラマやCMの収録を通して、

これを感じたことが多い。

NHKの大河ドラマで「徳川家康」に出演した時に

特に感じた。

佐治日向守という役だったが、

秀吉の妹を妻にしていたが、家康にやりたいので返せと迫られ、抗うことの難しいことから自害して果てるものだったが、相手役のかかわり、カメラワークなど(つまりは演出による)の助けによって創られた自分を感じたのだった。

他に、舞台では宇野重吉さん演出「イルクーツク物語」や「七月六日」「うちのお姉さん」「星の牧場」という作品での役づくり、浅利慶太さん演出「ヴェニスの商人」のグラシャーノー役でもそうだった。


「うちのお姉さん」

「星の牧場」

「ヴェニスの商人」

自分は懸命に役を創っているつもりだが、「これは自分の力量では創れなかった」としみじみ感じた役がいくつもあった。

また40年にわたって継続(最近は収録がめっきり少なくはなったが)している通販のCMがある。

いま演出をする機会が多くなったが、どの役にでも、

そのような環境をあてがう演出を出来れば最高だと思う。

役者は将棋の駒ではない。

実を言えば、私は将棋に詳しくはない。

しかし、その素人でも、動かせる程度は出来る。

考えてみれば、本当の意味での「駒」なのかもしれない。

いや駒でいいのかもしれない。

歩が裏返って金になるかもしれないが、

その役割は飛車角や様々な働きを併せ持つことが出来る。

役者一人一人も計り知れない可能性をもっている(筈だから)。

それを引き出す演出がいて、

自らも気づきそれを活かせればいい。

続く。