ぼくは一度も鏡を見ない日がある・・・
といったら驚かれた。
「歯を磨くときも見ないの?」
「うん、見ない」
「あるんでしょう、鏡?」
「そりゃ鏡の一つや二つありますよ」
「じゃ、どうして見ないの?」
髭もシェーバーで、パソコンの画面を見ながらゾリゾリ・・・
「どうして・・・?」
といわれても、ただ見ないだけ・・・
いや、意識的に見ていないだけで、
実は見ているのかもしれない。
役者は見た方がいい。
ただ漫然とではなく、
そして、表面だけではなく、
こんな顔で、普段生きているのを知るためである。
「なかなか行けている」
と思えるときは要注意かもしれない。
実は、そんな顔で生きてはいないからだ。
役者やタレントは人前に顔を出すのが商売のように思われている。
だが、本ものの自分の顔をどこまで知っているかといえば、
はなはだ疑問である。
知らぬは・・・
顔を含めて自分なのかもしれない。
人を見るときほどの厳しさで、
自分を見つめたら何が見えてくるかである。