「チェ・ゲバラ」
すでにウン十年前になるが、
某劇団俳優教室の面接試験で、
「あなたが尊敬する人物の名前は?」
という質問があった。
「2人いますが、ゲバラとカストロですが、
どちらか1人と言われたらカストロです」
と答えた記憶がある。
試験官の女優がゲラゲラ笑っていた。
後で、試験官の一人だった俳優から、
チェーホフとかシェクスピア、
スタニスラフスキーやその劇団の所属俳優の名前を言う人ばかりなのに、
「カストロだのゲバラと言ったのは君一人だったよ」
と言われた。
ま、ぼくみたいな者が1人くらいいても可笑しくない時代だったのかもしれない。
正直いって、演劇関係者の顔など全然浮かばなかった。
ピンときたのは“ゲバラ”だったが、
粋がっていると思われたくないという思いから、
フィデル・カストロを挙げたのだった。
ところで、「チェ・ゲバラ」はよかった。
革命は愛・・・愛のない革命はありえない。
ラストシーンの、
「盗んだ車でハバナへ行くよりも、ぼくは歩いていく」
彼のぶれることのない思想が印象的だった。