最後の衣裳を・・・ | 演劇人生

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今日を生きる!

「ただいま、最後の衣裳を整えております」

「それでは旅立ちを見守りください」

ドクロまかはんにゃはらみったじ・・・ポクポクポク・・・・

が聞こえて来そうなことばですが、

これが何と、ウエディングでの式場側のコメント・・・・


そういえば、ずいぶん前になるが、

某ホテルで婚礼司会に入った時である。

ゲストの入場の時間になり、

少しずつ席が埋まり始めた頃だ。

ご婦人が一人司会席に近づいてきて、

「司会者でしょう?」

「はい」

「私、新婦の主賓だけど、スピーチは何時ごろになるの?」

「ありがとうございます。大変申し訳ありませんが、

 その前に、媒酌人の挨拶が入り、その後に新郎側の主賓のスピーチが入りますので

 ○○様のお時間は、凡そは申し上げられますが、それ以上は申し上げられません」

「あゝ、そう…司会者の時間管理なんて、その程度なの?」

「それは、どのような意味でしょうか・・・・・」

答えもせずにさっさと行ってしまった。


さて、そのご婦人の祝辞の順番が来て、

マイクの前に立つと、


「本日は誠にご愁傷様でございます」


・・・・と、やらかした(こんな言い方失礼でしょうが)

会場全体の空気が氷った。


「・・・・・・・!!」


さすがに気づいて、

「これは大変失礼なことを申し上げました」

・・・口ごもりながらだが、

直ぐに落ち着いて祝辞を行い、まとめの言葉に入りった。


「簡単ですが、祝辞に致します。本日は誠にご愁傷様でした。あら、またまた失礼しました」


1回ならまだしも、2回目は会場内も反応した。

ただのザワツキではない、

「何だ、あの女は・・・」

「失礼な奴だ」

等々の声が聞こえる。

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これはお客様の失敗であるが、

この日も3~4組の式を挙げているはずの

チャペルのアナウンスである。

同じことを繰り返しているだけではなく、

今後もずっと続くことを考えて、

苦情の一つでも言ってくれば良かったかもしれないと思う。


その時の新郎新婦が一昨日旅行先のギリシャから帰ってきた。

お土産のチョコレートを頬張りながら・・・・・


・・・だが彼女は嬉々としていた。


この話には、

「ええええッ・・・本当ですか?!」

全く意に介していない…といった表情だった。


大らかで…いいなァ!!!