序章
川は天から落ちてきた — 文明の原型を探して
文明はどこから始まったのか。
王からか。武力からか。都市からか。
世界史を見渡したとき、その答えは驚くほど単純である。
文明は、例外なく「水」から始まっている。
ナイル、チグリス、ユーフラテス、ガンジス。
人類最古の高度文明はいずれも大河のほとりに生まれた。
だが、それらの川は単なる生活用水ではなかった。
川そのものが神であり、生命の循環装置だった。
水は天から落ち、山に受け止められ、川となり、海へ還る。
そして再び天へ昇る。
この循環こそが文明の原型構造である。
私はこの構造が、日本列島にも精緻に刻まれていることに気づいた。
しかもそれは偶然ではなく、意図的に配置された「文明モデル」だった。
その中心にあったのが、八溝山である。
始まりから終わりへ。
アルファからオメガへ。
この構造を見たとき、私ははっきり連想した。
八溝山は、日本列島のアララト山なのではないか。
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【図版①:世界主要文明と水系循環モデル】
(ナイル・チグリス=ユーフラテス・ガンジス・日本列島水系)
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