トヨタにホンダまで!自動車メーカーの経営が「コンプラ順守」を叫んでも、現場が結局「不正」を起こす | kappa1945のブログ

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トヨタにホンダまで!自動車メーカーの経営が「コンプラ順守」を叫んでも、現場が結局「不正」を起こすワケ
6/20(木) 5:02配信  ダイヤモンド・オンライン
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 記事が長すぎて読むのが嫌になる、筆者はさも気の利いたこと書いていると思っているのだろうけど”現場が結局「不正」を起こすワケ”なんてトップがマヌケなだけだろ”現場が勝手にやったことで俺は知らん”なんてのが通用すると思いますか?”不正は根絶できない”みたいなことを言ったトップもいたようだが

 

 ”トヨタ、マツダ、ヤマハ、ホンダ、スズキの5社、38車種で認証不正があった”と横並びで書くが各社不正内容は違うそこまではっきり書いてもらわないと、マフラーの音が不正だった会社と衝突試験の方法が規定と違っていたりやっていなかった会社を同じにされてはたまらんぞ

 


 主要自動車メーカーの全てで品質・認証の不正問題が起きている。各社の問題発生に共通するのは、技術に対する過信や審査に対する慣れなど心理の影響だ。現場の技術者は皆、審査の重要性を軽視したのだろう。そのため、経営者も「認証試験は現場の判断に任せて良い」といった経営判断が続いたとみられる。生産の現場から経営トップ層まで、現状の生産管理、認証の体制に不備はないという一種のバイアスが強まったと考えられる。また、人手不足で認証体制の強化に影響があったかもしれない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

● トヨタ、マツダ、ホンダ、スズキ… 自動車「認証不正」が経済の下振れリスクに

 6月上旬、5つの自動車・二輪車メーカーで「型式指定」を巡る不正が発覚した。いわゆる認証不正問題だ。6月3日、トヨタ自動車は、2014年以降生産した7車種で国の基準と異なる方法で試験を実施したと公表した。マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキでも不正が明らかになった。

 世界の自動車業界をリードする日本企業で、なぜ、このような問題が発生するのだろか。背景の一つに、自社の製造技術に対する“過信”があるのだろう。技術に自信があるため、どうしても試験実施方法などの軽視が起きる、といった専門家の声は多い。現場の自信が悪い方向に作用してしまったということだ。そのため、経営トップがいくら法令順守=コンプライアンスと叫んでも、なかなかこの問題を根絶することが難しい。

 有力自動車メーカーの認証不正問題は、明らかに日本経済にマイナスだ。生産の中止などで裾野の広い自動車産業の機能が低下することは避けられない。それによって、わが国の経済成長率の下振れリスクが高まる。コロナ禍が明けてからも個人消費がまだまだ弱い一方、自動車の生産や輸出が景気の腰折れを防いできた。しかし、認証不正問題で景気を下支えする力は弱まるだろう。

 また、品質不正をきっかけに、各自動車メーカーの信頼性が低下することも懸念される。それは、国内の自動車関連企業の収益減少につながる。電動車の開発や全固体電池の実用化に必要な投資資金が計画を下回り、成長戦略が遅れる可能性もある。認証不正問題は、わが国経済にとって大きな火種になりかねない。

● 主要メーカー全てで品質・認証の不正 どうしてそんなことに?問題の背景は…

 今回の発覚によって、わが国の主要自動車メーカーの全てで品質・認証の不正問題が起きたことになる。振り返れば16年、三菱自動車で燃費データの改ざんが明らかになった。続く17年、日産自動車とSUBARUで無資格検査員による完成車の検査が発覚した。さらに22年、商用車(トラック)の生産を行う日野自動車で燃費試験などの不正が表面化した。

 そうして23年、ダイハツ工業の衝突試験不正、豊田自動織機でエンジン出力に関する不正も発表された。一連の認証不正、データ改ざんの実態を把握するため、国土交通省は各メーカーに調査を求めた。

 これまでの発表によると、トヨタ、マツダ、ヤマハ、ホンダ、スズキの5社、38車種で認証不正があった。生産終了分を含め、不正の対象台数は500万台を超えた。トヨタでは14年から不正が発生していた。16年に問題が発覚したにもかかわらず、不正が続いたのはかなり深刻だ。

 問題は、型式指定に関するものである。自動車メーカーが新車を生産する際、安全性、環境性能の基準を適合しているか、事前に国の審査を受ける。審査を通過し型式指定を得ると、メーカーの完成検査で販売できる。協定国であれば検査を簡素化できる。

 日本の自動車審査方法は米国と異なる。米国では排ガスに関する事前の審査がある。審査で安全性に問題があればリコールで対応する。

 一方、日本では事前に政府が基準を定める。自動車メーカーはそれぞれ基準を満たし、効率的な自動車生産のため“すり合わせ製造技術”を磨いてきた。その結果、燃費、安全、走行など性能は向上し、日本車は世界で高い評価を得た。

 認証不正は、消費者が各メーカーに寄せた安心感・信頼感を棄損する懸念がある。トヨタで発覚した6件は国際基準に該当するものだった。同社によると、問題の全貌はまだ把握できていない。問題の完全な解決には、まだ時間がかかるだろう。

● 認証不正が発生する主な要因は? マツダとトヨタの資料で判明

 なぜ、認証不正が起きたのだろう。問題が発覚した企業の開示内容を確認すると、マツダの公表内容が分かりやすい。同社は「不正の原因」を3つ指摘した。

 まず、ガバナンスの問題だ。試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、ガバナンス(管理・監督などを行う)体制が不足していた。

 次に、手順の不備があった。認証法規に準拠した試験実施の手順が十分ではなかった。

 そして、設備の不足だ。認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備が不足した。マツダは改善策に、チェックや管理体制の強化、手順書の見直しと教育などの強化、設備の整備強化を挙げた。

 一方、トヨタの公表内容を見ると、一般的に、安全性と環境性の認証は3つの方法があるという。(1)試験時、認証機関の審査官が立ち会う、(2)メーカーが試験を行い、データを提出する、(3)開発試験で有効なデータを認証データとして提出する。トヨタは(2)と(3)で認証の不正が起きた。

 各社の問題発生に共通するのは、技術に対する過信や審査に対する慣れなど心理の影響だ。自社の製造技術は高い。完成車の性能に問題もない。現場の技術者は皆、審査の重要性を軽視したのだろう。そのため、経営者も「認証試験は現場の判断に任せて良い」といった経営判断が続いたとみられる。

 生産の現場から経営トップ層まで、現状の生産管理、認証の体制に不備はないという一種のバイアスが強まったと考えられる。また、人手不足で認証体制の強化に影響があったかもしれない。

 ただ、いずれも経営トップの責任であることは間違いない。本来、経営者は社会的責任を果たすために、抜き打ちで試験の実施体制を検証すべきだ。時代にそぐわない認証基準があるなら、当局に掛け合い、実態に即した認証体制を確立する必要もあった。根本的な原因は、経営者にあると考えられる。他の分野でも決して他人事ではない。

● 自動車メーカーの認証不正が 日本経済に与える大きな負のインパクト

 自動車の認証不正問題は、日本経済の下振れリスクを高めている。1~3月期の国内総生産(GDP)は実質ベースで前期比0.5%(年率で2.0%)減少した(1次速報)。実質賃金の減少に加え、ダイハツの認証不正による販売減少から個人消費が減少したのだ。自動車関連の設備投資が減少した面もある。

 それでも、国内経済は何とか踏みとどまった。北米向けの自動車輸出の増加は景気を支えた。省人化や半導体分野の設備投資、インバウンド需要も景気を下支えした。

 4~6月期、自動車の生産回復など前期からの反発で、成長率は上向くとの見方は増えていた。しかし、新たな認証不正の大規模発覚が、そうした展開に完全に水を差している。今後、各社の生産停止などが拡大することになると、経済成長率の下振れ懸念は高まるだろう。

 自動車産業の競争力が低下する懸念もある。トヨタの営業利益率は米テスラや独フォルクスワーゲンを上回っており、資金を電気自動車(EV)などの生産体制強化に再配分してきた。可能な限り早いタイミングでエンジン車、ハイブリッド車(HV)、EV、FCV(燃料電池車)、水素エンジン車など“全方位型”のプロダクト・ポートフォリオを拡充することで国際規制に対応し、より多くの需要を創出する戦略だ。

 しかし、認証不正問題のせいでEV開発などが遅れる可能性がある。欧米市場で日本車の評価が揺らぎ、需要が現地メーカーに向かうことも考えられる。11月の米大統領選挙後に、次期政権が日本の自動車産業を批判する、輸入車の関税引き上げを示唆するなど、逆風が強まる展開もあるだろう。

 現在、アジア新興国市場では、中国や現地EVメーカーの投資が加速している。日本勢にとって電動車への生産強化がいっそう必要なタイミングで、認証不正問題が起きた。そのため、アジア新興国地域の自動車需要が、他国企業に流れることもあるだろう。

 そうした展開が現実味を帯びると、自動車関連の素材、汎用型の機械など日本経済全体で研究開発や設備投資の勢いは鈍化する。認証不正問題が、当面の景気、経済の実力である潜在成長率の回復を阻害する要因になることが、大いに懸念される。

真壁昭夫