「全部トヨタ自動車のせいだ!」叫ぶメディアの見当違い…もっと深刻な豊田自動織機の病巣とは?
2/3(土) 8:32配信 ダイヤモンド・オンライン
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「トヨタ車を買った、不正があった車だったしかしエンジン作ったのは”豊田自動織機”なのでトヨタは悪くない」と
うどん屋に食べに行った、まずかったのでうどん屋のオヤジに聞いたら「中力粉頼んだのに薄力粉来ちゃってさあそれで作ったらこうなった、うちの店は悪くない」って言われて納得しますか??バカヤロー粉間違えたなら取り替えろ!!!この記事書いた”未来調達研究所 坂口孝則”って男は「ああそう、じゃオヤジ悪くないね」って言うのか
どこが作ろうが”トヨタ”って看板付いているんだから部品が悪かったらまともなものができるまでやる、それができなくて悪いままの部品つけたんだからトヨタが悪い
提灯記事ってのは普通他社に問題すり替えるのだが豊田自動織機はトヨタの源流だよ、メディアはこの問題早くもだんまりになっちまった
トヨタグループで相次ぐ試験不正。一連の問題を受けて、トヨタ自動車の豊田章男会長が責任者として謝罪した。しかし、「不正は全部トヨタ自動車のせいだ!」といった通り一遍のメディアの論調は、ちょっと違うのでは?と私は思う。渋沢栄一『論語と算盤』から学ぶ問題の本質とは。(未来調達研究所 坂口孝則)
● 「全部トヨタ自動車のせいだ!」でいいのか?
トヨタグループで、エンジンの認証試験に関する不正が相次いでいる。2022年に日野自動車、23年にダイハツ工業で検査不正が発覚。ダイハツは長期かつ大量の不正が判明したことで国内4工場の生産停止に追い込まれ、サプライヤーや販売店にも甚大な影響を及ぼした。
年が明けて1月、今度は豊田自動織機が不正の報告書を公表した。すでに判明していたフォークリフト用だけではなく、自動車用のエンジンでも複数の不正が確認されたという。一連の問題を受けて1月30日、親会社であるトヨタ自動車の豊田章男会長が記者会見を開催。トヨタグループの責任者として3社の不正について謝罪した。
これを受けて、「トヨタ自動車に全責任がある」とする論調が目立っている。確かに豊田自動織機は、デンソーやアイシン精機と並んで「トヨタご三家」とも称され、トヨタグループの主要サプライヤーであることに間違いない。豊田自動織機にとってトヨタ自動車は25%程度の株式を保有する筆頭株主であり、トヨタ自動車への売上比率は36.2%に上る。しかし、「不正は全部、トヨタ自動車のせいだ!」といった通り一遍のメディアの論調は、ちょっと違うのでは?と私は思う。
「大企業はどうせ悪さばっかりする」「権力を振りかざしている」などと、トヨタ自動車を批判するのは簡単だし、実際にSNS上ではそうした意見があふれている。しかし、それだけでは問題の解決にはならない。トヨタ自動車に全責任をなすり付ける前に、豊田自動織機自体の問題の本質を探るべきだと私は思う。ガバナンスなど組織的構造を分析したほうが価値はあるだろう。
● 豊田自動織機で何が起きていたのか
豊田自動織機の一連の不正と、その背景には何があるのか。特別調査委員会の報告書を見てみよう。発端は、20年後半に米国環境保護庁から試験データの疑義について問い合わせがあり、そこから不正が発覚した…というのが概要だ(以下、かぎかっこ内は報告書からの引用)。
前述のとおり、最初はフォークリフトや建設機械用の産業車両用エンジンがリコール対象となった。その不正は、「実測値と異なる数値を使用」「試験中に部品等を交換」「量産品と異なる制御ソフト使用」「複数の測定値からの値の選択」「規定と異なる頻度、量産品と異なる制御ソフト使用」といった内容で、認証年は07年~20年となっている。
そして次に明らかになったトヨタ自動車から開発を委託されている自動車用エンジンに関する不正でいえば、「試験の際、燃料噴射量を調整し、出力・トルクカーブについて、見栄えの良いデータにするといった行為」があり、認証年は17年から21年の範囲だ。
不正の理由は多岐にわたるが、産業車両用エンジンでは、「各事業部門だけでは対応しきれないリスクや経営課題について、横断的に検討し、全体最適を図るといった経営陣の関与や取り組みが不足していた」、あるいは「不合理な開発スケジュール設定、管理者層の機能不全」ということに尽きるだろう。
加えて、自動車用エンジンでは、「コミュニケーションが不足し、試験のプロセス、守るべき手順などが十分にすり合わされず、出力試験業務を行っていた」という。
報告書では、根本原因について「受託体質」を真っ先に挙げている(以下、引用)。
「受託体質」ともいうべき気質が形成されてきたものと考えられる。その意味するところは、「トヨタ自動車から指示されたことは実行することができるが、自ら問題や課題を発見し、それを解決する方策を導き出す力が弱い」ということである。
さらに報告書では、各事業部内での対立が描かれる。簡単にいうと、発言力が強い部門と弱い部門があり、力関係がいびつになっていた。
もちろん、これら不正の理由や根本原因を含めてグループの頂点に立つトヨタ自動車の責任、と断じることも可能だろう。ただ、繰り返すが、まずは豊田自動織機自体の問題の本質を探るべきではないだろうか。
そこで、再発防止策としては次が挙げられている。
1、コンプライアンス文化の醸成
2、不正行為の防止および早期発見に資する仕組みの整備
3、経営陣における意識・行動の改革
上記だけだと無味乾燥とした表現だが、私が興味深く読んだのは下記の箇所だ。この点が、豊田自動織機自体の問題を象徴していると思う(以下、一部引用)。
法規を遵守すべきことは、あまりに当然のことであるが、開発スケジュールとの二者択一を迫られるような緊迫した場面において、その当然の選択をすることは必ずしも容易なことではない(略)。
従業員が…(略)…法規遵守か開発スケジュール遵守かの選択が求められるような場合に迷わず正しい選択をできるようにするため、まずは、コンプライアンスに関する教育・研修を充実・強化する必要がある。
● 渋沢栄一『論語と算盤』から学ぶこと
私は問題の本質を探る際は、先人の哲学や知恵を借りるようにしている。近代日本経済の父である渋沢栄一は『論語と算盤』で、商売に道徳を求めた。これは日本企業が社会的責任を果たす源流とされたり、あるいは教科書的な説教として流布したりしている。
しかし、渋沢が本当に言いたかったのは、「道徳的に商売をしないと、長く稼ぎ続けられない」ということだ。短期的に稼いで終わりなんて欲が少ない。もっと永続的な利益を稼ぐためには道徳的にならねばならない――。
話を戻すと、自動車業界はもとより世界中のあらゆるビジネスシーンで、取引先や親会社、グループ会社などが無理難題を押し付けてくる機会がなくなるなんてことはない。減ることにも期待はしないほうがいい。また、社内の部門の発言力が完全に平等になるはずもない。ときに理不尽な要求がまかり通ることも往々にしてあるだろう。そうした現実を前提に、不正が許されない仕組みを作ることこそが重要なのではないだろうか。
日数が足りなくなる場合であってもデータを改ざんできない仕組み、あるいは、すぐに内部通報が届き検証できる仕組みをつくる。そうして部門間で牽制(けんせい)する。人間は弱い生き物なので、やすきに流れることもある。だから、流れた場合は発覚するようにすればいい。
これは理想論や建前ではない。むしろ、内部通報などの充実で、事前に早く不正が分かったほうが損失は抑えられる。経営陣はカネと手間暇をかけてでも、不正を徹底的に解明する仕組みをつくるべきだ。渋沢の言うとおり、それは長期的な利益を考えるときに、逆説的に重要となる。
ところで、私は日本人のある種の優しさも気になっている。取引先や親会社などが無理難題を押し付けてくる機会があったとして、人々の自己主張が強い国だったら、「そんな理不尽な要求をのむなら試験は遅れますよ。は? 工夫しろっていっても試験をこれ以上は合理化できないって分かるでしょ」「何とかしろって? そのための仕組みを考えたり、人やカネを引っ張ってきたりするのが、上に立つ者の仕事でしょ。何のために私より高い給料もらってるの?」と上司や経営陣に対して言うだろう。
「組織のために尽力する社員」といったフレーズを考えるとき、これまた渋沢の言う「短期と長期」の話を思い返す。私たちはよく、「組織のため、会社のため」と言う。しかし、その先の行動は、本当に組織のためになっているだろうか。本当の愛国者ならぬ愛組織者は、無理なことは無理と言うはずだ。
坂口孝則