FRBの緊急利下げは企業の資金繰りを助けるためであって、新型肺炎の蔓延を抑制するものでもないので、米株は冷ややかな反応となりました。

 前回の緊急利下げは'08/10/8の協調利下げでした。この時もダウ平均株価は2日間低迷したものの、翌月曜日10/13に大きく上昇しました。

 金融危機とウィルス危機では事情が異なりますので、今後どうなることやら・・・

 

 日経平均株価は、下値目途がPBR=1倍程度ではないかとの期待からか、今日前場は反発していますが、本当かどうか。

 下図に、日経平均株価とBPSの推移、およびTOPIXと日銀ETF買いの損益分岐株価(試算値)の推移を示します。

 昨日時点でのBPSは20,874円でしたので、PBR=1倍割れは買いの思惑が働いています。 

 '12年の日銀異次元緩和開始前では、日経平均株価がBPSを下回ることがあったものの、それ以降ではBPSが日経平均株価を下支えしてきたのは事実であり、今回もそれを期待することができます。

 

 しかし、海外投資家の日本株を見る目がすでに変わっており、日銀異次元緩和から流入した海外投資家の資金は既に殆ど引揚げられ、大きく再流入する見込みもありません。

 とすると、BPSを底に反発するシナリオに対して、'12年以前のようにBPS付近で澱んでしまう可能性も考えておかねばならないと思います。

 

 一方、株価を下支えしてきた日銀のETF買付。こちらもTOPIXの下支えとなってきました。ETF買付の多くがTOPIXベースですので、TOPIXとの比較を示していますが、試算値では1,460となり、NT倍率14倍とすると、日経平均株価換算で20,440円付近になります。

 こちらは、'16年でも日経平均株価が損益分岐株価を若干下回るところまで達しましたので、今回ももう少し下限が下がる可能性がありそうです。

 

 PERも13倍まで下がってきました。

 でも、これからEPSが下がってくるでしょうから、実質的にまだ高いかな。

 米株大幅続落にもかかわらず、日経平均株価の下落が何となく抑えられています。

 ひと昔前なら連日千円以上の下落になったでしょうに、政府誘導された上海市場の堅調さと比較的しっかりした為替市場が支えになっているように見えます。

 果たしてNY株式市場が200日移動平均線で下げ止まるのかどうか。

 

 過去5年間での株価急落事例を下図に並べてみました。各事例、直近高値を今回の事例に合せ込み、変動値幅を比較してみました。

 '15/8と'16/1は中国ショック。'18/2は株最高値恐怖の中での米長期金利上昇嫌気の急落。そして'18/12はFRB利上げと資産圧縮を嫌気した急落です。

 

 今回、新型コロナウィルスの影響が世界に広がりつつあり、世界経済の下押し懸念が強くなっている中、株価の下落はまだ途中段階にあるとも言え、落ちるナイフを素手で掴むのはまだまだ危険のようです。

 下値目途は21,000~21,500円なのでしょうか。

 過去事例では、株底域にひと月ほど滞留していたようです。

 '18/12事例ではリバウンドが早かったのですが、これはパウエル発言にて利上げ停止が示唆されたため。

 

 少なくともあと一週間は厳しそう。

 アップルの業績見通しに新型コロナウィルスの影響が見られ始めました。

 中国の企業活動が再開されはじめたとはいえ、春節含めて約1ヶ月間の操業停止のダメージは相当なものでしょう。

 

 米国はまだ個人消費に失速が見られない(?)ので、FRBへの風当たりはそれほど強くありませんが、失速気味の欧州では、ドイツの財政出動が期待されています。

 日本でも、あまり効果のない経済対策が望まれるとともに、日銀への緩和期待が出てくることでしょう。でも、何ができるのか・・・

 

 '09年のリーマンショック以来、日米欧の各中銀の緩和政策が米国株式市場を支えてきました。下図に、FRB、ECBと日銀の各資産額の単純和($1=100円=€1)とダウ平均株価の推移を示します。

 '14/10でQE3が終了し、さらにチャイナショックが生じたことにより、'15~16年の株価が横ばいとなりましたが、株価は概ね各中銀の資産総額に追従してきたように見えます。

 さらに、'17/9のFOMCでバランスシート縮小が決まり、FRBの資産縮小が始まると、'18年から株価の停滞が始まりました。

 

 '19/10からFRBの国債買入れ再開を受け、この数か月間、株高になっています。

 因みに、ECBがQE再開していますが、ECBの資産総額は'19年から殆ど横ばいです。

 

 図からダウ平均株価はFRB+ECB+日銀の資産総額に準じて増加傾向となっているものの、FOMCの政策転換が米株動向の転換点となっていました。

 パウエル議長は、この7月にも再開した国債買入れを停止する旨の発言をしていますので、これが実施されれば、米株は再びレンジ相場入りになることでしょう。

 今の疑似QE4をやめられるのかな。