原油価格が市場を揺るがしています。

 世界の多くの国で行われている人々の移動制限や企業活動の停止により、石油消費量が減少し、供給過多に。

 備蓄施設も限界とも言われ、原油先物価格が暴落しました。

 

 FRBの無制限資金供給により、企業の資金繰り不安は当面解消されているものの、原油市場の急変をFRBが止めることはできません。

 原油相場の低迷が長引けば、石油資源国発の金融危機やオイルマネーの逆流によるリスクマネー市場の縮小が想定されます。

 

 下記に、IEA発表データから作成した世界の原油供給量(1toe=7バレル換算)の推移を示します。

 環境問題が叫ばれても石油需要は右肩上がりでした。'09年の金融危機でも、その落ち込みは軽微でしたが、今回のIEA予測は強烈です。年平均の推計でしょうから、単月ないしは1四半期分の落ち込みは、どれほどか想像の域を超えています。

 OPEC+での減産協調 約1,000万バレル/日では、需要の落ち込みをはるかに超えてしまいます。

 因みに、日本国内の原油輸入量は'00年代前半では約400万バレル/日ありましたが、需要低下が続き、この数年、約300万バレル/日です。このため、石油備蓄量が'00年代前半よりも減少したにもかかわらず、備蓄日数は最高水準です。

 

 東京のガソリン価格(総務省データ)と輸入原油価格(財務省データ)、ドバイ原油価格の推移を下記に示します。

 今日現在、WTI原油先物価格は$11.57と暴落状態にあり、ドバイ価格も相応水準でしょう。

 輸入原油価格は、ドバイ原油価格X為替換算です。そして、ガソリン価格は、直近で、輸入原油価格+90円(税金(約60円)+精製費+他)で推移してます。

 輸入原油価格(元値)が14~15円?なのに・・・

 

 WTI原油価格は2月に$50前後だったのに、半値8掛け2割引きでも$16。今の水準は売られ過ぎですが、この状態はもう少し続きそう。

 

 

 

 緊急事態宣言から約2週間が過ぎました。

 外出自粛の効果が出始める頃です。しかし、ここからが正念場なのでしょう。

 

 国内の感染者数の推移は、PCR検査が不十分との声もあり、余り役に立たない数字とは知りつつも、これ以外に効果確認の手段がないので、止む無く使います。

 下記に、前回掲載図をひと月ずらし、縦軸スケールも大きくした図を示します。

 4月上旬の推移では、前回の推定線(薄青線)を上回るペースで感染者数が増加しました。σ値30日→24日(青線)で合せ込むことができます。σ値の低下は検査数増加によると思われます。他の国々の場合、σ値は10~15日と短く、PCR検査能力の大きな差が見て取れます。

 

 4/13頃から増加傾向がやや鈍化し、これは3/30都知事会見以降の夜間外出自粛の効果が表れ始めたと考えられます。

 検査能力に差がないと仮定(σ=24日)のまま、データに合せ込むと最大累積感染者数Nmax=約5万人(ピンク線)となり、厚労省で想定されていた最悪事態はやや回避できていることがわかります。

 4/7からの緊急事態宣言の効果はこれからになります。

 もし、最大の感染者数が2.5万人に抑えられると仮定した場合には、緑線のような推移となることが期待されます。

 

 今後1週間で、どのような軌跡を描くことになるか。国民の意識が試されています。

 因みに、もう少し長期のレンジで、想定される日々の感染者数の推移を下図に示します。

 4/21以降、緊急事態宣言の効果が上記の予想通りに現れた(緑線)とすれば、1日当たりの感染者数を5月末に100人以下に減らすことができそうです。

 

 これも5月連休時の行動にかかっており、その効果が見極められる一月後の5/18頃までに、感染者数の減少傾向が明確になるかどうかにかかっています。

 緊急事態宣言は、少なくともその頃までの延長が必要でしょう。

注)本来ならば、累積感染者数に対して正規分布の重ね合わせ形で推計すべき所ですが、ここでは簡略化のため、一つの正規分布で近似しました。

 他国のデータについても、テール部分を除けば、一つの正規分布だけで傾向を概ね把握できます。

 欧米諸国の感染者数増加傾向にピーク感が見られ始めたとの観測から、株価の持ち直しが続き、ダウ平均株価も半値戻しとなりました。

 IMFによれば、'20年の経済成長率が-3%となるものの、'21年は+5.8%となる見通しだそうな。

 

 半値戻しにはなったものの、これからどちらに舵を切るのでしょう。

FT解説者の「売るには遅すぎる、買うには早すぎる」がぴったりの水準でもあります。

 

 新型コロナショックはリーマンショックを超えると言われるものの、金融・財政対策の規模が驚くほど(欧米は…)なので、市場は取り敢えず短期間収束を願った動きになっています。

 下図に、そのリーマンショック時と今回のダウ平均株価の動きを比較してみました。

 

 縦軸は、凡そ株価比率が同じになるよう、上端と下端が2倍になるように揃えてあります。両事例の横軸の日付を急落時の底値の日に合せました。

 これを見ると、今回の下落率はリーマンショック時とほぼ同等で、底値以降のV字回復水準も、時期的に同じようなところにあることがわかります。

 

 新型コロナショックでは、欧米では都市封鎖により直接雇用に影響を及ぼし、金融危機にはまだ至っていないという状況で、リーマンショックのように金融危機が先に来た状況とは異なり、何しろ短期間で収束する"だろう"との見込みが支配的です。

 それなら、今後も、少なくとも今の株価水準は維持されるような動きをするだろう(?)なのか、否、金融への波及はこれから…と、もう一度そこを見に行くのか...悩ましい。

 

 感染者数の増加が緩やかになっても、社会生活が正常に戻るには数ヶ月かかりそうです。その間の需要減を見越してWTI先物は再び底を探りに行きそうですので、これがまだまだ足を引っ張りそう。