長期推移で言えば、ドル円為替は日米の10年実質金利差との連動性が見られています。

 下図は、'95年以降の10年債金利から物価変動分を差し引いた日米の実質金利差を示しています。

 

 確かに、'18年以降、青線の実質金利差が低下傾向にあり、ドル円為替も114円から106円台へと切り下がってきました。

 直近では、実質金利差が-0.6%近傍にあり、これを為替に換算すれば100円ということになります。

 

 しかし、この5年ほどは、実質金利差に対する為替の反応は鈍く、すぐさまドル円為替が急落することはないでしょう。

 FRBがゼロ金利政策が'23年ごろまで続く予想のようですので、その間に物価が2%になってしまうと厄介です。

 

 日本の物価上昇懸念は小さく、日米間の実質金利差が-1.3%程度と'12年以前の水準に落ち込むことが予想され、さすがにドル円為替も追従せざるを得なくなり、100円割れの事態もあり得ます。

 

 安倍政権発足後の異次元緩和('13)と追加緩和('14)で、ドル円為替が120円超まで進みましたが、日銀の緩和政策に手詰まり感が見られてからは下降の一途。

 菅政権になっても、もう日銀に手段が限られることから、ドル円為替のゆるやかな低下傾向には変わりがないものと推測されます。

 

 そうなると、日本株価の米国株価への追従は遅れることに。

 先月8/5に示したデータの追記版です。

 大統領選挙年の日経平均株価の推移に1ヶ月間のデータを追記しました。

 8/3時点での日経平均株価終値に規格化した場合、その後の1ヶ月間は従来の平均株価の推移Aveよりも高めに推移しました。これは2012年と2016年に似た傾向で、大統領選挙後の高騰を期待させる動きとなりました。

 この数日間、NASDAQが軟調に推移したこともあり、コロナ後高騰の大きな調整が始まったと見る向きもあります。

 

 確かにこの3ヶ月間の上昇には実体を伴わない行き過ぎの面がありましたので、多少の調整はやむを得ないものがあります。さらに、バイデン有利と言われる大統領選も、1桁%台の支持率差だけでは、前回の例があるだけに不透明感が残っているので、上値を追いにくい状況が続きます。

 

 ただ、当たり前ながら、不透明感は選挙開票まで。霧が晴れれば、過去に例を見ないFRBの緩和政策に支えられたバブル相場が戻ることが期待されます。

 

 では、選挙直前の底値はどの辺なのでしょう。

 上記のデータでは、平均株価の推移Aveの低下傾向を現状株価に当てはめて見れば、22.6千円が見込まれます。

 

 一方、9/1時点の日経平均株価終値で規格化し直してみると、下図のようになります。

 1ヶ月間の時間差で、それほど大きな違いはありませんが、偏差分を考慮すると、底値は21千円ちかくまで見込む必要もありそうな一方で、2012年や2016年のような動きになると、22.5千円を底にして選挙日を待たずに早々にリバウンドし24千円近くまで上昇する可能性もありそう。

 コロナ下でも、本当に楽観状態にある米国株式市場ですが、これもFRBの緩和政策があるから。

 ゼロ金利政策が'25年ごろまでは継続しそうですが、これ以上の緩和政策が出るのかどうか。市場は貪欲ですので、追加緩和政策が出そうになくなったと見限った途端に、怪しい雰囲気になってしまいます。それも、雇用がまだ回復しない限りは大丈夫でしょうけれど。

 

 この超長期の低金利政策の恩恵を受け、米国の住宅市場は順調に回復を続け、新築住宅販売では1990年代以前の平均販売件数である60万件を回復しています。今回のコロナ禍でも若干の落ち込みで済み、'90年代後半以降の住宅バブル(サブプライムショックで崩壊)以来の水準に戻っています。

 

 しかしながら、新築住宅販売累積件数のトレンドを見ると、この'90年代後半の異常な購入件数の下駄を履いたうえで、その増加トレンドは、'90年以前の増加トレンドに並行して進んでいます。

 すなわち、今のところまでは、住宅バブルにあらず・・・ということでしょう。

 

 月間販売件数80万件は、'70年以降、ピーク値となることがしばしばありました。

 多くの場合、金利上昇が住宅バブルの崩壊を招きましたので、今回もFRBが金利を引上げるを得なくなった時がじゃぶじゃぶマネー時代の終焉になることでしょう。

 

 それまでの数年間は、上値を狙った最後の駆け引きが続くのでしょうね。