パウエル議長の議会証言にもかかわらず、米国長期金利上昇による資金繰り懸念からの株価下落懸念が払拭されません。

 3年前、'18年の高所恐怖症による株価急落を思い起こさせます。

 

 実体経済が伴わず、経済回復期待が先行し、長期金利がジワリと上昇する環境は、'18/1時点と変わりません。

 当時はFRBの利上げの真っ最中。1月FOMCでの利上げを停止したものの、金利上昇をきっかけに大きな調整となりました。

 

 下図は、'12年以降のダウ平均株価上昇局面における、上昇トレンドとそれに対する乖離幅の推移を示しています。

 長期に渡る緩やかな上昇トレンドに対して、ダウ平均株価が$3,000程度乖離すると、調整が入ってきたような。

 昨年のコロナ禍は外的要因ですが、これも時期的に調整すべき時期にきっかけが現れたようなものでしょう。

 

 そして、コロナ禍から急回復し、再び乖離幅が$3,000に近づきました。

 

 '18年下落時、長期金利2.8%が嫌気されました。時々で水準が異なりますが、今の限界は1.5%とも言われています。

 期待インフレ率的なBEI(Break Even Inflation)で見ると、'18/1にはBEIが上昇傾向にあり、2%超えとなり、これも引き金になったのでしょう。現状のBEIも長期にわたり上昇を続け、既に2%を超えて2.2%近傍にいます。

 

 最後のきっかけは、上昇し続けた原油価格の下落かも。もしそうなら昨年の再現に。

 

 

 30年ぶりの高値、30,000円の大台に復帰しました。

 日経平均株価の3万円台は、過去、'88/12~'90/8の1年8ヶ月の間だけでした。

今回は、中銀の量的緩和政策の支えで株価が維持され、その間に経済活動が株価水準に見合ったところまで上昇してくれるのかにかかっています。

 

 それにしても、上昇ピッチが速い。

 昨年の3月に16,000円台に急落した後、コロナ禍前に戻ったのが11月頭でした。それから3ヶ月間、急上昇し続けて30,000円を突き抜けました。

 

 いわゆる”倍返し”は、日経平均終値では31,614円になると思われますが、昨日の高値に1,000円足さずして倍返し水準に到達です。

 ここは一服の水準ですから、利確に押される危険ゾーン。

 上図の日経平均株価とNASDAQの推移でみると、NASDAQは倍返しを昨年暮れに達成しました。NASDAQは、倍返しに至る前に、一旦軽い調整を済ましています。

 急落以前の水準に戻った後の上昇幅の半分程度の調整がありました。

 

 日経平均株価でも、倍返し達成前後の水準から、コロナ禍前の24,083円との中間点の27,850円程度への調整があって当然かと思われます。

 どう見ても、スピード違反だから。

 スルスルっと株価上昇傾向は継続中です。

 疑心暗鬼の中、来期業績を織り込みつつ・・・と言いたいところですが、日経平均株価のEPSがコロナ以前に戻るのはまだ先の話なのに。

 今の株価水準は、今年末のEPSがコロナ前に到達しないとならない水準であって、今のEPSから見るとかなり乖離はあるのですが、市場ははるか先を見ているらしい。

 

 それもこれも、イエレン発言にみられるように、米国の追加経済対策が相当規模になれば、'22年末には完全雇用復活らしいので、ダウ平均株価も先走っています。

 下図は、先走った典型的なQE3時の事例との比較になります。昨年12月に示したダウ平均株価の図の日本版です。


 今回の株価動向は、2012~2013年の上昇傾向に類似しています。

 2012~13年時はQE3と日銀異次元緩和で大盛り上がりとなりましたが、その当時、日本経済の回復はまだ見通せておらず、それでもお上に逆らわずに市場はポジティブに反応しました。

 今回、バイデン政権の追加対策はまだ遡上。議会通過は先の話ですので、期待感はまだ続きます。

 現状のPERは天井域にいますが、PBRは2012~13年当時の1.5倍に対して1.3倍程度とまだ株価の上昇余地がありそうです。

 "Sell in May"までは行けるのか・・・