§5.日本の進路その1.政治と経済の混迷③
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
以下は多くの部分が過去の投稿(「政治と経済の低迷①、②」を中心に他の投稿も含む)と完全に重なりますが、今回の総選挙(2024.10.27)での与党の歴史的敗北という結果を受け、与党過半数割れの原因や今後の日本政治のあり方を授業で議論する際に役立つであろう内容に絞って敢えて再掲載することにしました。以前の投稿の内容も含めて改めて「政治と経済の低迷③」と題し、かなり重複することを承知の上で今回は投稿しております。
過去の投稿の再掲載の件、以上の趣旨をご理解の上、ご了承ください。
・若者の政治離れ、それとも政治の若者離れ?
参考動画
〇旧日本軍731部隊の公文書について 日本共産党 2025/03/21 21:43
かつてその存在すら日本政府が否定してきた731部隊の人体実験、細菌兵器の開発等の犯罪行為は、敗戦時の証拠隠滅のためその多くが散逸し、焼却されてしまったと思われる。しかし部隊長の石井史郎らと接触したアメリカ側は敗戦後、すぐに石井から多くの資料を入手しているとも言われた。つまり、資料の多くはアメリカ側に保管されている可能性が高いと思われる。
731部隊に関しては、本来ならば東京裁判で裁かれるべき戦争犯罪がアメリカと石井との取引によって歴史の闇に葬られてしまった、とも言われてきた。確たる資料の不在を盾にそ知らぬふりをして卑怯にも日本は平和国家を気取ってきたのではあるまいか。だとすればこのこと自体、世界や自国国民をも欺く国家的隠蔽そのものであり、隣国からの根深い不信を買う大きな歴史的汚点であろう。
この際、日本政府はアメリカが保管している資料の公開をアメリカ大統領に強く要求し、それらの資料を通じて731部隊の戦争犯罪の有無をしっかりと検証していくべきではあるまいか。山添氏は国会内でわずかしか存在しない国内の資料解釈に拘るよりも、資料開示に向けてアメリカへの強力な働きかけを行うよう、石破首相に要求すべきだと思うが、いかがか。戦後80年経ってしまった。政府はいい加減、過去から目を背けずに自国の犯罪行為を直視すべきであろう。
アメリカでは遺族の意向すら確認せず、トランプ大統領の一存で故J.F.ケネディ大統領の資料開示を強行している。今こそ戦後日本の最大の闇を暴く千載一遇のチャンスであり、この機運を利用しない手はあるまい。一刻も早く、731部隊の資料、併せてなぜか無罪放免された元A級戦犯容疑者らの資料をしっかりと開示してもらい、自国民および他国民からの不信を一気に解消していただきたい。
◎【都議選前に知るべき】石丸伸二が元都議に聞いた“知られざる都議会議員の実
態”【暴露】 ミライにっぽん研究所 2025/05/06 23:41
都議会議員の活動と収支の実態はこれまで公にされてこなかった部分が大きいと思われ、非常に貴重な動画となっている。政治の透明化と政治参加の意欲を高めていく上でこのような情報を公開することには大きな意義があるだろう。
石丸氏は再生の道を創設して都議選の立候補者選びから動画を公開し、政治の透明化を図っているが、そうした試みをこれからは政治の世界にとどめず、多方面で行っていく必要があると思うが、いかがか。
授業では特に前半部分の都議が割いている活動の内訳を紹介したい。選挙区の新年会に100回近く顔を出し、その都度、一万円を渡す…これはどう見ても禁止すべき風習であり、政治改革の先頭に位置づけても良いほどの悪習であろう。その結果、本来、政治家として力を入れるべき広聴・広報や政務調査などの時間が制約されてしまう事が、どれほど地方政治にとって非生産的、非効率的なのか、考えたい。
◎【再生の道 最終選考】「ケチってる自治体が...w」補助金と教育の闇に石丸伸二が
激しく同意!深く頷く...【東京都墨田区/坪田幸典/東京都議会選挙】
石丸伸二と日本を動かそう 2025/03/29 27:15
石丸氏が2025年1月15日に立ち上げた「再生の道」がいよいよ6月の都議選にむけて動き出した。党議、党則を持たない、都議としての任期は2期までとする、他の政党に所属することも可等、異色の地域政党であり、今後の動きが注目される。この動画は石丸氏公認の切り抜きであり、授業でも視聴しやすく編集されている。とはいえ、視聴時間はかなり長い。さらにポイントを絞って部分的に視聴させたい。
都議選立候補者の絞り込みを三次選考まで行っている。本動画は候補者がかつて教員志望者であった点、教育政策への関心が高い点など、高校生が親近感を抱きやすい人物であり、授業で取り上げるには最適かと思う。ただし残念ながら公募した面接官(16~24歳)が不在である。
選挙のエンタメ化を図りつつ、若い人の政治への興味関心を高め、かつ有為な人材を発掘して地方議会に送ることで、地方から新しい政治の動きを広げていく…こうした石丸氏の戦略が今のところ、多くの人を捉えているようだ。
重要なポイントとして面接官に敢えて若い人を公募し、ヒリヒリするような選考の場に招いて政治に関わる貴重な体験を積ませたこと。さらにこれまでの選挙のあり方では決して立候補しなかっただろう優秀で即戦力となりそうな人材を広く公募し、何と1000人以上が一次選考に応募した事、三次選考では石丸氏との面接場面を生配信して候補者の人となりを直接的に視聴者へ伝えるとともに、候補者選考の過程を広く開示し、出来る限り透明化した事…などであろうか。
各生配信の視聴回数が10万回越えしており、今からでも6月の都議選が待ち遠しくなる動画内容となっている。立候補者の事をあまり知らないまま、ただ所属政党だけで選ぶ、地元の有名な議員へ機械的に投票する…高齢者にありがちな投票行動の繰り返しとは一線を画し、立候補者を絞る段階からスリリングな選考が始まる展開に心躍らされる。
「再生の道」が若者の政治参加を促し、若者の投票率を実際に上げていけるのかどうか…6月の選挙結果を待ちたい。
◎【速報4/6】記者「社会的成功者ばかりで大丈夫?」石丸氏「ダメな理由とは?」 【石丸伸二 切り抜き】 炎の石丸伸二 2025/04/07 30:15
政治の行き詰まりをどう打開していくのか、石丸氏の戦略は徹底して考え抜かれたものであることが分かるだろう。「再生の道」に期待するところ大である。
◎【速報4/13】全面接が終了、記者と共に20分の延長戦が始まる【石丸伸二 切り抜
き】炎の石丸伸二 2025/04/14 22:58
マスコミと政治との新しい関係性を創出しようとする石丸氏の試みの意義がよく分かる動画となっている点で極めて貴重な動画であろう。この場にいるマスコミ関係者がわずか3人に過ぎない点に、あらためてマスコミの問題点が露わになっている側面と石丸氏の試みの、容易には理解されないほどの斬新さが明瞭に見えてきているように思えるが、いかがか。
日本の政治とマスコミに対してこれまでひたすらフラストレーションを溜めてきた人々が挙句の上に日本社会の変革を諦めつつある流れを、ようやくにして変えられるタイミングが来ているのかもしれない。国民の胸の内に長年わだかまり続けていたモヤモヤが再生の道を通じて少しずつ晴れていく感覚を覚えている人は少なくあるまい。どういう戦略が「政治屋の一掃」につながるのか、道筋はわずかでも見えてきていると個人的には感じている。再生の道の今後に注目していきたい。
◎これぞ政治家の鑑!全てがド正論!さいたま市議会議員吉田一郎の討論 #吉田一郎
政界ツッコミ道場 2025/06/01
3:58~5:34の箇所だけ視聴すればよいだろう。短時間で済むので中学校の授業でもぜひ視聴させたい動画。さいたま市議会の様子であるが吉田議員の指摘が秀逸。
「エッフェル姉さん」と揶揄された女性国会議員のフランス研修の実態が極めて怪しく、ほぼほぼただの観光旅行をかなりの割合で政務活動費、すなわち公費で行っている事への疑念が噴出したことは記憶に新しい。こうした「海外研修」と称する怪しげな議員たちの海外視察、旅行が国会だけではなく、頻繁に地方議会でも税金で賄われているのは周知の事実である。
他方で、姉妹都市との交流のためにニュージーランドまで出かけた中学生は半額以上を自己負担させられている。もちろん中学生らは現地でそれなりに楽しい思いをしたであろうし、「視察、研修」ばかりではなかっただろう。しかし、その点では議員たちも大差あるまい。加えて議員、中学生どちらも「姉妹都市との交流」という公の目的を帯びている点で大差は無い。
議員たちの海外旅行が公費で賄われ、なぜか中学生たちは過半を自己負担とさせられている…この理由についてぜひ生徒たちに考えさせたい。
参考記事
◎「仕事は多くて年間60日」「仕事しないが議員報酬アップ」「頑なに情報発信しな
い」SNSの”自虐投稿”が大反響…埼玉県加須市議が明かす《地方議員のヤバすぎる
実態》現代ビジネス 週刊現代 2025.3.15
地方議員の成り手がいない、との情報もある中でこの「自虐投稿」は実に衝撃的である。加須市だけがこうなのだ、とは到底思えない。議会の閉会時、年間300日以上をどのように過ごすのかは議員次第。中には副業感覚で議員としての広報活動すらしていない人が多いという。それでも再選されてしまう住民たちの政治意識の低さは一体どこから来るのだろう。
おそらくそれは学校教育に多く由来するに違いない。生の地方政治の課題を討議させるといった欧米型の授業が、日本では一貫して禁止されてきた。実際、国政に文句のある高齢者は少なくないだろうが、地方となると恐ろしく無関心…そうした有権者は極めて多いに違いない。日本の学校教育が長い時間をかけて育んできた地方政治への徹底的とも見える無関心…安芸高田市で石丸氏が本当は何と闘ってきたのかが偲ばれる。改めて抜本的な教育改革の必要性を感じるが、いかがだろう。
◎日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ 石破政権が今本当にやるべきこと
とは何なのか 東洋経済オンライン 小幡 績 2024.11.1
国立大学への偏重策は文科省の体質が変わらない限り、教育の国家統制を強める可能性が強くなる恐れがあり、どうなのかな、と思う部分がある。しかし中長期的には経済政策よりも教育政策を重視せよ、という主張には概ね賛成である。
教育は「国家百年の大計」であり、人材の優秀さを最大の武器として今まで発展してきた日本が今、直面している学校教育の危機(教員不足、イジメ、不登校の増加…)は、日本の将来をいよいよ暗いものにしてしまうだろう。ただでさえ、猛烈なスピードで進んでいる少子高齢化が招くであろう深刻な事態を、現今の教育危機が深まることで絶望的なレベルにまで悪化させてしまうのではあるまいか。
現政権が急ぐべきは学校教育の抜本的な改革であり、税金のバラマキ策による景気対策は急場しのぎとしては当面、仕方ない側面があるものの、事態の本質的な改善にはつながるまい。
若者の絶望感が深まり、闇バイト事件が頻発する中で「無敵の人」が急増しつつある現在、若者対策の一環としての教育改革は後回しにして良いはずがなく、むしろ一刻を争う課題であろう。そして教育改革を断行するには現政権の顔ぶれでは完全に不可能であり、その場しのぎのバラマキ策が終われば直ちに総辞職に追い込んで政権の交代をはかる…とりあえず、これくらいしか今の日本の危機を打開する手はどこにも見当たらないように思えるのだが、いかがか。
〇衆議院選挙の18・19歳の投票率43・06%…全体を10・79ポイント下回
る 読売新聞 によるストーリー 2024.10.31
18歳の投票率が19歳よりも高い理由として高校などでの主権者教育の成果が出ているという読売の評価はいかがなものだろう。仮にそうだとして、主権者教育の影響がわずか1年で急校下してしまうということは、むしろ主権者教育が若者の意識を十分には捉えてはいなかった証拠なのではあるまいか。この点は生徒たちにアンケートをとって授業で確認してみても良いだろう。
私としては教育や「政治の若者離れ」がとうとう「若者の政治離れ」、教育離れを引き起こしてしまったのではないか、と思うのだが、いかがだろう。
…選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられてから初めて行われた16年参院選以降、6度目の国政選挙だった。制度導入以降、18、19歳の投票率は全体の投票率を大幅に下回り、30~40%台と低水準が続く。最も高かったのは16年参院選の46・78%で、最低は19年参院選の32・28%。今回の衆院選では、全体投票率との差が、16年参院選に次いで小さかった…とのこと。
これらのデータは高校などでの主権者教育が相変わらず不十分のまま、格好だけつけて選挙権年齢の引き下げを行ったに過ぎない、という、日本の学校教育と政治の、ゴマカシだらけで古色蒼然たる惨めな状況を示していると捉えるべきであろう。
◎杉村太蔵氏「1票で日本は変わらない」発言 元放送作家が批判「この失言の罪は重
い」 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.10.29
杉村氏の刺激的な発言は若者の政治離れ、政治の若者離れ現象を理解し、今後の民主主義のあり方を考える上で極めて重宝する内容だろう。ぜひ、授業で取り上げて賛否を問いたい。まず前半の「1票で日本は変わらない」という発言と後半の「日本は良い国なので何も変える必要は無い」という趣旨の発言とに分けて、それぞれ生徒たちから意見を募りたい。
◎世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生は「人生観」を学んでいる。セレ
ンディピティの概念や不公平への視点…人生を切り拓く教育とは
婦人公論.jp 岩竹美加子 によるストーリー 2024.11.2
…調査によると「私個人の力では、政府の決定に影響を与えられない」という考えについて、日本の高校生の83%が「全くそう思う」、または「まあそう思う」と答えたという。それは米国76.2%、韓国64.4%、中国59.4%の回答と比べて高い。フィンランドの教育は社会や政治に影響を与えることを非常に強調するが、日本でそうした教育はされていない。自分の力で政府の決定に影響を与えられるという感覚が低いのは、当然の結果であり不思議はないだろう。…
日本の若者が投票に行かず、政治への関心や知識が不足し、自己有効感、当事者意識、主権者意識などに欠けてしまいがちなのも、抑圧的で管理主義的、画一的な日本の学校教育が生み出す弊害と考えられる。
また心理学の有益なポイントを高校生の時から学習しているフィンランドに対してほとんど教えていない日本ではストレスなどへの対処法に習熟していない生徒が多い傾向が見られるようだ。加えて日本の学校では子どもから自己肯定感を奪うような規律順守の指導が目立つ。こうした事などから日本では過去2年間連続で小中高の年間自殺者数が500人を超えている。時に児童生徒を委縮させかねない日本の道徳の授業よりも科学的な見地から生き方を学び取るフィンランドの授業の方が子供たちの幸福感を高める効果があるのだろう。
〇杉村太蔵“あなたの一票で日本は変わらない”と発言したのはなぜ?2500字の長文
で説明 スポーツニッポン新聞社 の意見 2024.10.29
◎31歳俳優が政治への無関心で私見「見てても見てなくても…他のことやった方が」
日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.10.6
今時の若者らしさが伺える率直な発言で、非常に興味深い。発言したのは31歳の俳優であり、既にそれなりの人生経験を積んできているはずの人物が、政治に対する無知と無関心ぶりをこれほどまで物おじせず、あからさまにさらけだした勇気に対し、私たちはむしろ感謝すべきなのかもしれない。
もっとも彼は俳優であり、本当に彼が政治に対して無知であり、無関心ではあるのかは不明としておくべきだろう。ただし敢えて炎上覚悟で語った彼の真意が一体どこにあったのかは十分に斟酌すべきだと考える。
彼の発言を通じて日本の若者の政治に対する無関心の裏側にある政治に対する深い諦め、絶望感を私たちは明確に感じとることができるはず。同時にいよいよ日本の将来が極めて危機的であることを私たちは予感せざるをえないのではあるまいか。
彼の発言はその表層だけを捉えると多くの大人たちにとって呆れるほど無知で脆弱なものに響くかもしれない。しかし彼の発言の底に漂う尋常ならぬ絶望感は今の若者を理解し、今後の日本社会を考える上で指導的立場にある大人たちこそしっかりと共有すべき感覚なのではあるまいか。
実際、今回の石破内閣のメンバーがヒナ壇に並んで写った写真を見たならば直ちに絶望しない人々の感覚の方こそ完全におかしいのかもしれない。そういえば私たちはこれまでの長い間、こうしたヒナ壇上の閣僚たちの、酷く加齢臭漂う男ばかりの集合写真を嫌になるほど繰り返し見させられ、すっかりならされてきてしまった。しかしそれは大抵の場合、年功序列、男尊女卑の、日本の差別的構造の、おぞましいばかりの残存ぶりを象徴したかのような写真たちではなかったのか。
石破内閣の最前列に並んだ、良く言えばいかにも恰幅の良い、何だかふんぞりかえって妙に偉そうな、ズボンがたるんでだらしなく腹の出たおじいちゃんたちの一群。その後方のおじいちゃんとおじさんたちの大群の中にいかにも目立つように配置された、しかしたった二人の女性閣僚…
これが日本国の「顔」役としてしばらくの間、国内外に流通してしまう、そのことの猛烈な恥ずかしさと虚しさ、恐ろしさ…一体、どこのどいつがこの顔ぶれで「裏金問題」で揺れた政局を無難に乗り切れる、と言語道断にも自分勝手に判断してしまったのだろう?…たった一枚のひな壇写真で現内閣が日本の若者や女性たちの不満、政治不信に何一つ興味、関心が無いことだけは、恥ずかしげもなく、一切隠すことすらせず、ハッキリと内外に大声で叫んでしまった!
初入閣が13人もいるはずなのに、写真では若さの欠片も見えてこない。それもそのはず、40代以下はゼロの閣僚たちであり、最年少が51歳、平均年齢は63.55歳…しかも最前列のどんよりとした顔つきと右端の一人の視線があらぬ方向に彷徨うありさまを見ると若者が日本の政治に絶望したくなるのも無理はあるまい。おそらくプロの演出家がサポートしていれば、この写真は間違いなく日の目を見ずにお蔵入りになっていたはずだ。こんな写真を惜しげもなく国内外に発表してしまう石破内閣の、突拍子もない、あまりにも図太すぎる鈍感さに通常の人ならば恐怖すら覚えるだろう。
今回もヒナ壇にのぼったのは日本の少子高齢化と年功序列の男性中心社会をものの見事に象徴したかのような、すっかり見飽きた、いつも通りの構成メンバーであり、このメンツで急変する時代の荒波を日本が無事乗り切れると信じられる方こそ、完全にピントがずれている…
ひるがえってみれば、児童生徒の自主性を軽んじ、暗記中心の詰め込み教育を延命させて児童生徒たちの多くをひたすら受け身の忖度マシーンに作り替え、少なからぬ児童生徒たちを絶望させてきた日本の学校教育の、とどのつまり、日本社会にもたらした害毒がついには彼の発言と石破内閣の顔ぶれに臆面もなく表れてしまっている…そのように思えるのは私だけであろうか。
授業ではまずアンケートを用いてこの記事と石破内閣のヒナ壇写真に対する生徒たちの素直な感想を様々な角度から引き出してみたい。次にその結果を踏まえて議論を展開してみると面白いのでは?良かれ悪しかれインパクトのある記事と写真であり、上手に使えば生徒の発言はそうとう活発になることが期待できるはず。また歴代内閣の集合写真や北欧の政府閣僚の写真も確認させてみるとより理解が深まるだろう。
〇柴田淳「どれほど恥知らずなんだろう」政治に全く“無関心”の人気俳優に大あきれ
スポーツニッポン新聞社 によるストーリー 2024.10.7
柴田氏の発言は最もよくありがちな大人たちの反応であろうが、石破内閣のヒナ壇写真の方こそ国民の政治に対する、まさに「恥知らず」なレベルでの無関心さを強烈に感じてしまうのだが…いかがだろう。女性蔑視の男性高齢者による政治があれほど「老害政治」とさんざん揶揄されてきた「人権後進国」日本であるにもかかわらず、石破内閣の顔ぶれは相も変わらぬ旧態依然の政治が延々と続くことを国内外に強烈にアピールしてしまった…と思う方が常識的な解釈ではあるまいか。まずは高校生らにヒナ壇の写真をじっくりと見ていただき、その素直な感想を聞いてみたい。
一応、これでも日本は民主主義国家である。彼らを選んでしまった国民の方こそ、本来ならば一番の責任を問われるべきだろう。国民主権の国家であるはずだし、代議制民主政治の国なのだから、石破内閣の、明らかに特定の方向に偏った異様な顔ぶれは主権を持つ日本国民の総意を代表していると諸外国から捉えられてしまったとしても致し方ないはずだ。現状の政治を主権者として他人事ではなく自分事として捉えようとするならば、石破内閣の顔ぶれこそが現状としての日本国民の政治意識の忠実な写し鏡、象徴なのであり、それ以外の何ものでもないはずである。
笠松氏の発言は不器用で不用意なものにも聞こえるが、むしろ若者たちの思いを正直に代弁しているのであり、私たちが嘆くべきは笠松氏個人に対してではなく、国家の主権を握っているはずの日本国民がどれほど酷く政治に対する意欲と関心を心底まで喪失してしまったのか、そして日本の政治がいかにして若者たちの意思を延々と無視し続けてきたのか…というこれまでの日本社会の歩みの方ではあるまいか。
すなわち官僚と組んだ歴代政府が長年にわたって国民の知る権利を踏みにじり、マスコミと学校教育をただの洗脳道具として政治利用しようと企んできた結果がこの惨状を生み出してきた…そうした側面が実際にはあるのではないか。
おそらく真剣に問われるべきは現在の日本国民の主権者としての自覚の、深刻なレベルでの形骸化と喪失、そしてその現象が一体何に由来しているのか、何が国民の政治的関心と意欲をこれほどまでに奪い去ってきたのか…といったような事であろう。
主権者である国民は一旦、冷静になるためにもまさに自分たちの現状、ありのままの自画像として、目をそむけたくなるのを我慢してでも石破内閣の顔ぶれを何度でも何度でも自問自答しつつ、十分な時間をかけて繰り返し凝視すべきだろう。本当に日本の顔はこのメンツで良いのだろうか、と…
そう考えてみると柴田氏の発言を単純に鵜呑みにするわけにはいくまい。彼の発言は余りにも表層的できれいごと過ぎるのではあるまいか。「けしからん」とばかりに批判されるべきは笠松氏ではなく、またもや絶望的な顔ぶれとなった石破内閣とそうした顔ぶれを性懲りもなく選び続けてきた主権者である日本国民の方であろう。
だとすれば日本を民主主義の国家として捉える限りは、「けしからん」とばかりに笠松氏を批判するのはまさに天にむかって唾を吐く行為そのものとなる。結果としてその発言は「主権者」たる日本国民への面汚しになってしまうのではあるまいか。
ただし以下の疑問を持つとき、この問題は笠松氏、柴田氏のどちらに与すべきなのか、といった二者択一の単純な話ではなくなってくるだろう。
本当に日本は民主主義国家なのか、日本国民にまともな主権はあるのか、日本国憲法は本当に民主主義的なのか、日本国憲法は校訓と同じただの謳い文句に過ぎないのではないか、日本政治が悪いのは本当に国民の政治意識が低いからなのか…
笠松氏の破壊的とも感じられる真っ正直な発言は深堀していくと日本の現状を根底から問い直すベクトルをも内包しているかもしれない。
授業ではこの記事も紹介しておくと議論がかなりヒートアップすること、間違いなしだろう。
〇女性の当選、立民が最多30人…次いで自民19人・国民6人
読売新聞 によるストーリー 2024.10.28
女性の当選者が「73人に上り、2009年衆院選の54人を上回って過去最多となった。21年の前回選(45人)から28人増えた。全当選者に占める女性の割合も15・7%と過去最高で、前回選の9・7%から6ポイント増えた」という。この結果に民意が反映しているはずである。
ただし自民党も女性候補者を数多く擁立したが、「自民は政治資金問題で比例選との重複立候補を認めなかった候補の代わりに女性を積極的に擁立したが、比例名簿の順位が低く、当選に届かない候補が多かった。」とのこと。「裏金問題」への対応の悪さに加えて、石破政権の隠しようもない女性蔑視の姿勢が総選挙の大敗を招いた一因ではないだろうか。
しかも過去、自民党の女性議員たちが引き起こしたフランス研修旅行騒動と杉田議員による再三の差別的言動、さらには彼女たちの多くが実は裏金議員だった点も相まって、自民党の女性候補者への信用が失墜していた可能性も考えられなくはない。
「女性の当選者が最も多かったのは立憲民主党の30人で、自民党の19人、国民民主党の6人が続いた。」という。立憲民主党の躍進を支えたのは新鮮な女性候補者の数の多さでもあったと考えられるが、いかがか。
参考動画
〇【NNN世論調査】衆院選の結果 「よかった」58% 「よくなかった」25%
日テレNEWS 2024/10/29 1:53
石破政権がいかに民意を読み違え、独りよがりの方向に突っ走っていこうとしていたかがわかる調査結果だろう。
〇【菅義偉】衝撃の変わり果てた姿6連発!
世間を賑わすニュースあれこれ 2024/10/28 8:08
菅氏の近影をまとめたもので、菅氏の病状が懸念されるとの指摘にはやはり同意せざるを得ないだろう。下の動画とともに視聴させたい。
〇首相経験者Sさんは認知症〜認知症専門医・長谷川嘉哉〜「ボケ日和 転ばぬ先の知
恵」チャンネル 2024/10/16 8:29
石破政権樹立をサポートした元首相菅氏のうつろな表情には確かに多少の違和感があったものの、実はこれまであまり気にしていなかった。しかし専門家に指摘されて改めて動画を確認(上の動画)してみると実際、症状が相当程度、進行しているように見受けられたが、いかがだろう。既にここまで症状があからさまになっていたとすれば、菅氏の周囲にいる人たちは彼ら自身の認知的な問題が無い限り、とっくの昔から症状の進行に気付いていたはずである。
にもかかわらず認知的な問題を抱えている人物に後押しされて辛うじて成立してしまった石破政権の現状における、当然の報いとしての危うさ…やはり石破氏とその周りにいる政治家たちの政治的言動に対しては、菅氏の症状よりもはるかに重大な認知的深刻さを覚えてしまうのだが、いかがか。
アメリカ大統領のブッシュ氏も早くから認知症の症状が顕著であった。にもかかわらず民主党はブッシュ氏に引導を渡すことなく、ズルズルと同氏に政権運営を委ねてしまった。その責任は極めて重大であろう。現在、大統領選でハリス候補がトランプ氏に苦戦を強いられている背景にはいつまでもブッシュ氏を担いできた民主党に対するアメリカ国民の強い不信感がくすぶっているのかもしれない。
もちろん、誰かが認知症だからと言ってそうした人物が直ちに仕事を辞めるべきだ、ということではない。ただキングメーカーあるいは一国の宰相としてはいかがなものか、という疑念を持つとともに、そうした人物の後押しを受けて総裁選に臨んだ石破氏の見識を問うているだけである。どう見ても石破氏およびその周囲の政治家たちに、かなりの程度で「転ばぬ先の知恵」が足りていなかったのではあるまいか。
参考記事
◎「政治的活動なので、ポスターをはがすように」高校時代の経験から… 20歳が見た
総裁選の「内輪感」 withnews2 2024.9.24
若者の政治離れの原因は他にも数多く挙げられよう。しかし日本の政治システムが若者の意見をほとんど反映させない装置として機能していることに絶望し始めた点こそが若者の政治離れの要因として極めて大きいと思われるが、いかがだろう。
若者の政治への絶望感は「少子高齢化」の進展による若者の一票の重さが悲惨なレベルまで軽くなってしまっていることだけに由来しているのではあるまい。成田氏が指摘しているように現代では急速に学問の高度化と専門分化が進み、科学技術が急ピッチで進化し続けている。こうした現状に対して従来の代議制が不適応を起こし始めている可能性は決して低くあるまい。
成田氏の指摘する通り、高度に複雑化し、多様化する現代社会においては政治全般に対する議員一人一人の知識、理解、政策立案能力には大きな限界があり、すべての議題、政策、法律に通じている者などもはや一人もいない。にもかかわらず、有権者が一人の立候補者にだけ投票してすべての政策、立法をたった一人の代議士に委ねてしまうシステムは既に時代遅れなのかもしれないのだ。
まずは参政権を付与する年齢の上限を決めて若者の不利な状況を少しでも解消していくことが急がれよう。さらには成田氏が提案しているように、議題によっては政策ごとにその賛否等をネットで投票して方向性を決定するような、現状の代議制に代わる新しいシステムの導入が検討されてしかるべきだと思う。
具体例を考えてみよう。これまでの教育政策は実際には学校現場にほとんど無知な政治家と官僚が大き過ぎるほどの政策決定力を行使してきた。その害悪は今や計り知れないほど大きなものになりつつある。しかし、今後は新しい教育政策の導入や旧来の政策の見直しなどにおいては学校関係者(高校生以上の生徒・学生と教師)にネットを通じての投票を義務化して現場の意見を重視させる路線を打ち出す一方で、他の有権者にも同等の投票権を与えて政策の是非を決定していく。ただし政策の立案や細則などの専門性を要する部分は、国会や内閣、文科省などの配下に置かれた審議会ではなく、開かれた公正な選挙で選ばれた高い専門性と経験値の高いメンバーからなる新設の教育審議会に委ねる。
以上のようなことが実現すれば教育政策において教師だけでなく高校生にも主権者としての当事者意識が多少は湧いてくるだろうし、政治家や財界からの時代錯誤な介入、下手な横やり、改革への妨害を少しは防止できるかもしれない。
・老害発言は年齢差別?
◎「もう出馬してほしくない」高齢議員ランキング…3位小沢一郎、2位麻生太郎を抑
えた1位は? 女性自身 によるストーリー 2023.10.25
高齢の政治家が年功序列によって指導層にいつまでも居座る日本の政界こそが、時代の流れに取り残されがちな、停滞し、低迷する日本の現状を引き起こしている元凶の最たるものであろう。財界もしかり。成田氏が指摘するような「集団切腹」ならぬ潔い「勇退」制度、年齢制限が求められているだろう。少子高齢化の中で不利な立場に置かれている若者への優遇措置も同時に必要となっている。
参考動画
◎「松本人志を本当に超えたい?」成田悠輔が”世代交代できない芸能界”を斬る【中
田敦彦】 NewsPicks /ニューズピックス 2023/08/18 14:02
「老害問題」と若者との関係をどう捉えるか、過激な発言で知られる二人の対談は非常に興味深い。キーワードは「世代交代」のあり方であろう。高齢化する日本社会の世代交代のあり方についてぜひ討論させてみたい。
◎若者よ、選挙に行くな 2019/07/12 たかまつななチャンネル 1:27
辛口ではあるが、討論に使えるだろう。シルバー政治に対抗する手立てはあるのだろうか?日本の年齢別人口ピラミッドや世代別投票率のデータを示しつつ、ぜひ時間をかけて討論させたい。
◎「若者の政治離れ」と言ってる人に一言 2019/07/04 ワラしがみ 4:58
「政治の若者離れ」という表現はお見事。
◎今後のことで画期的なアドバイスがあるから聞いてほしい
2022/05/21 ワラしがみ 3:29
税金の使途についてもう少し厳しい監視の目が必要だろう。
◎文通費問題の全部を丸く収める超絶アイデアを思いついた
2021/12/18 ワラしがみ 5:00
文通費の「クーポン券」配布はかなり有効なアイデアに思える。
◎【ひろゆき】爆笑問題太田が大炎上。これ理解できないバカが日本を滅ぼします。
爆笑問題太田光の二階幹事長への炎上発言についてサンジャポファミリー
ひろゆき【切り抜き】2021/12/11 3:05
◎【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化よ
り無人化の方がマシ」少子化&人口減少前提で考える日本の未来|#アベプラ《ア
ベマで放送中》 2021/12/19 20:28
過激だが説得力のある提案。
〇【名作】ネットで話題騒然となった問題発言の発端!!今の日本の現状を痛烈に批
判!!居座り続ける老人達に成田悠輔が警告を放つ!!
成田悠輔の動画 2023/08/06 7:14
【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化よ
り無人化の方がマシ」ABEMA Prime (2021/12/19)において「高齢者の集団切腹」といった過激な表現だけが切り取られ、高齢者差別を煽る暴言と決めつけられて一時、大炎上した成田発言だが、実際には物理的切腹という意味ではなく社会的切腹(過去の功績をもって上のポジションに居座り続ける高齢者に潔く引退を促す、というほどの意味)であるとの発言であったことが分かる。この炎上騒ぎが成田氏に悪意を持つ勢力の扇動である可能性は高いだろう。成田氏が社会的切腹をイメージしたのはおそらく二階元幹事長や森元首相の発言をめぐる一連の騒動であったと思われる。
○女性めぐる発言「深く反省」森喜朗会長が発言撤回 辞任は否定
2021/02/04 FNNプライムオンライン 4:35
○森喜朗を救いたい 2021/02/06 ワラしがみ 12:51
○【成田悠輔】誰もが興味を持つ話題にぶっ飛び発言!政治家になる可能性は?ひろ
ゆきと成田悠輔に聞く【成田悠輔切り抜き/成田祐輔/ひろゆき/日経テレ東大学/リ
ハック/Yusuke Narita】2022/01/01 3:04
◎「僕らは武器を与えられず大人になっている」20代の若者が日本経済への心情を吐
露 2022/08/15 NewsPicks /ニューズピックス 14:30
○【衝撃結末】収録直後…天才がまさかの告白【選挙ってなんだSP】
2022/06/21 日経テレ東大学 40:32
ランク付けの投票は検討に値する投票プランの一つと思われる。
◎【22世紀の民主主義①】成田悠輔が提唱する「政治家不要論」…アルゴリズムが政
策を決めていく時代 2022/07/26 中田敦彦のYouTube大学 – 40:40
◎22世紀の民主主義②】日本の停滞感を根本から変える「成田悠輔の新構想」とは?
2022/07/27 中田敦彦のYouTube大学 42:00
SNSの普及がポピュリズムをはびこらせ、民主主義の停滞を招いたとする成田氏の指摘は参考になるだろう。SNSの普及は他方で民主主義を再生するには「選挙」という古臭い、雑なシステムから離脱し、政治家を不要とする新しい社会を招く可能性を有している、という指摘も刺激的だが非常に面白い。本当の民意を反映させる方法としてAIを用いた政治を構想することも必要。「選挙に頼らない民主主義」という意表を突いた発想に注目したい。
○【激論】成田悠輔×西田亮介 ニッポンの民主主義は限界?改良の余地は【参議院選
挙】2022/06/24 ABEMAニュース【公式】 31:27
二次投票のアイディアも現実的改善策としては検討に価するだろう。
参考記事
◎日本の「重症の民主主義」を再生させる3つの手段 「#投票に行こう」では変わらない
現実を変える 成田 悠輔 2022/08/04 15:00 東洋経済オンライン
○「若者の非婚化」を後押しする日本の絶望未来 実は「晩婚化」なんて起きていないとい
う衝撃 荒川 和久 2022/08/14 07:30 東洋経済オンライン
○成田悠輔氏の広報起用批判受け 内閣広報室、各省庁に「人選慎重に」
毎日新聞 によるストーリー 2024.3.22
まさしくこうした動きの背後に老害政治家たちの狡猾な動きが潜んでいるように見える。
◎キリン「氷結無糖」の“成田悠輔氏”広告取り下げが起こった本当の理由
日刊SPA! の意見 2024.4.6
上の記事とあわせて利用するとこの問題への理解が深まるだろう。
参考動画
◎【貧困大国ニッポン①】円安・賃金の停滞・国際競争力の低下…日本はなぜ貧困に
なってしまったのか?その原因を徹底解明します
中田敦彦のYouTube大学 2023/11/11 38:27
◎【貧困大国ニッポン②】官邸一強によって生まれた忖度…「内閣人事局」の功罪と
は? 中田敦彦のYouTube大学 2023/11/12 34:48
「失われた30年」がどのようなメカニズムで生じたのか、非常に明快な論理で解き明かした傑作動画。特に安部政治の負の側面を抉り出し、処断する論説が展開されている。確かに中田氏が強調するように、2012年に一人当たりのGDPが13位だった日本が、10年後の2022年に27位に転落した責任の過半は安部政治にあるだろう。
失われた30年は小選挙区比例代表制と政党助成金が導入された細川護熙内閣から始まるという指摘は面白い。本来は金権政治への批判から導入された政治改革のための制度が政治の意思決定の面で族議員や大企業の力を弱め、相対的に首相官邸の指導力が高まる流れを創り出した点は確かに否めないだろう。加えて1996年に官庁が再編され、省庁の数がほぼ半減されたことで官僚の力も一気に後退し、これまた相対的に首相、及び官邸の力が伸長することにつながる。
そしてこの流れが決定的になったのが安倍内閣による内閣人事局の設置(2014年)であったという。これによって政府は各省庁の幹部クラスの人事権を握るのみならず、日銀やNHKのトップを決める人事権まで握ってしまった。この人事は首相とそのお気に入り官僚(通産省出身者が多いらしい)とでほぼ決められてしまい、左遷、降格人事を恐れる官僚たちの過剰なまでの政権への忖度を生み出した。もちろんNHKや日銀も同様となる。安倍首相は検事総長の人事にも介入し、モリカケ問題や桜を見る会の隠蔽に走った。つまり首相のやりたい放題の政治が官邸主導で実現されてしまったことになる。総務省を通じてマスコミの統制にも成功した政府はついには政権に批判的なテレビキャスターを引きずり下ろす蛮行まで行うようになってしまった。
他方で日本経済の立て直しはもっぱら日銀による異次元の金融緩和、すなわち莫大な通貨の市場への放出を行ったのみで、その効果は極めて一時的なものであったにもかかわらず、政策の検証を行わないままとうとう10年が経ってしまった。むしろ景気が後退する中でひたすら円安が進み、輸入価格の高騰に伴う物価上昇に対して賃金の上昇が間に合わないという、悲劇的な状況が日本の現状を覆っている。
中田氏はこの「失われた30年」を取り戻し、「貧困大国」と揶揄される政治と経済の停滞から脱出するには「情報の透明化」が最大のポイントとなると指摘している。確かに過去30年間のしっかりとした検証抜きではいつまでたっても真剣な反省ができないまま停滞の沼につかっていく一方となるかもしれない。この状態はおそらくカッパが再三指摘してきた教育行政の停滞だけに限らない、極めて広範で根深い現象なのだろう。とりわけ「情報の透明化」は学校の強固な隠蔽体質の改善にもつながる、重要なキーワードであると感じた。
◎【成田悠輔 下村博文】そもそもの制度、構造の問題を指摘し続ける成田博士の視点
は必要だと思う。
天才博士の見る世界【成田悠輔 切り抜き】 2022/02/25 5:49
成田氏の高齢政治家に対する一貫した主張が理解できる、貴重な切り抜き動画。ぜひ、この動画から「老害政治家」の問題や若者の閉塞感を明らかにしていきたい。
参考記事
◎ Z世代の約7割が日本社会の未来に「希望を感じていない」…理由2位「少子高齢
化」を超えた1位は? まいどなニュース の意見 2023.10.6
やや調査対象の人数が少ないと思われるが、この分野の最初で使いたいデータである。なぜ、日本社会の未来に希望を感じられない若者が多いのか、その理由を出来るだけ多く考えさせたい。同時にどうしたら未来に希望を持てるようになるのか、その条件もできるだけ多く挙げさせたい。
○二階元幹事長「不出馬」で考える スウェーデン82%、日本36.5% これが日の“お
じさん政治”を生む【報道1930】
TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.3.26
老害政治家が跋扈するする日本では若者の政治に対する無関心と諦めが蔓延している。とりあえず政治家の定年制と被選挙年齢の引き下げが同時に実現しないと若者の政治参加は進まないだろう。と同時に学校での政治的話題に関する議論形式の授業が小学校を含めて広く行われなければなるまい。日本の学校教育がいかに若者を政治的無関心に陥れているのか、特に社会科教師は深く自省すべきであろう。
◎「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選
挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25
◎岸田首相「責任は国民判断」波紋=自民反発、野党は解散要求
時事通信 2024.4.5
○二階元幹事長に新疑惑 3年間で3400万円以上の“書籍代” 裏金で出版か…さらに
「本もらった」と話す住民たち 禁止される“寄付”にあたる可能性
FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.5
パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、ついには安倍派などによるこれまでの派閥政治への批判、安部派を中心とする自民党幹部の辞任に発展している。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が高まる中で、一見、安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。
大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考えられるだろう。こうした事案に対して国民には選挙で政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙を通じて国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。
ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制だったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズムを生み出す母胎の一部ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せた過去があったとすれば、多数派の発言力、優位性はある程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に判断することは避けるべきだろう。
選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、出来る限り厳密に問うべきだろう。
しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題、すべてこれまで証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分というあいまいさを払しょくできずに不透明なまま過ぎてきている。どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに広く浸透してしまっているのではあるまいか。
つまり国民は民主主義が健全に機能する上で不可欠なはずの知る権利が常に侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持っていないのが実情だと私は考えている。
このような状況で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りである。しかも比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが出来ないシステムである点も、選挙制度の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない一つの原因となっている。
さらに日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が極めて限定的にしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているに違いない。
要するに大西議員や岸田首相の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及ばない、いかにも今、ありがちな、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない、と判断するが、いかがだろう。
・2024年の都知事選を考える
参考記事
○【2024“荒れた都知事選”】「恥ずかしい」「これが民主主義」 ポスター掲示板、
有権者はどう見た?日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.7.10
討論型授業に使うのならこの記事が良いかもしれない。ポスターを巡る意見の多様性に気付けるだろう。この問題をどう捉えるのか、議論百出してまとめるのは難しいのでここでは無理やりまとめるよりも、出来るだけ多様な意見を引き出してみることを最優先したい。考え方の多様性に気付くことの重要性について考えを深めるチャンスとなれれば結論が出なくとも議論する価値は決して小さくあるまい。
〇橋下徹氏 都知事選のポスター掲示板問題は「ある意味、今の都民の民主主義のレベ
ル…僕は事前規制に反対」 スポーツニッポン新聞社 の意見 2024.6.24
「都民の民主主義のレベル」が低い、とのことだが、民主主義のレベルがとりわけ東京都に限って低いとは思えない。今や安芸高田市などを筆頭に地方議員のレベルの低さはあまねく知れ渡っている。今後、取り組むべきは国民の政治意識の低さがどの程度なのか、国際比較等を通じて明らかにし、日本での意識の低さがどのようにして生み出されてきたのかをまず明らかにすること。次に国民の政治意識を高めるには今後どうすべきか、その方策を練ることだろう。
〇車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元
が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21
〇ひろゆき氏 都知事選わいせつポスターに「本人以外の写真載せた人みんな…」番
組で持論述べる スポニチ 2024/6/22 10:36
ポスターへの対応という目先の観点では妥当な意見であるが、本質的に問うべき点はなぜこのようなことが今の日本で生じているのか、であろう。ぜひ生徒たちには事の本質、事件の背景を推理させたい。
◎有権者「ばかにしている」 都知事選の掲示板に大量の同じポスター
毎日新聞 によるストーリー 2024.6.21
今、最高に刺激的なニュースであり、授業で取り上げないわけにはいくまい。生徒たちの意見、感想をまずアンケートで募りたい。ある程度、対立的な意見にまとまりそうならば、討論に持ち込めるだろう。相当、ホットな議論が展開できそうな内容だが、特にNHK党の立花氏の見解が興味深い。この意見をどう評価するのか、多角的に考えることで日本政治の現状についてかなり深掘り出来そうである。またアンケートでは誰が当選するのか、予想させるとさらに面白くなるだろう。予想の根拠、理由もぜひ書かせたい。
※参考記事
〇「YouTubeでバズってる」オリラジ中田 明かした都知事選で“注目する候補者”コメント欄では
対談求める声が 女性自身 2024.6.21
〇小倉智昭「言語道断だよ」都知事選のポスター問題&大量擁立「何か手を打った方
が将来のため」日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.24
〇73歳大物タレントが苦言「いまの日本には一般常識が存在しないのか?」都知事選
ポスター騒動に 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.22
高齢者による苦言には真剣に耳を傾けなくとも良いケースが少なくないだろう。いかにも「昔は良かった…」的な、高齢者のあやふやな記憶に基づく発言ほど「老害」臭が漂うものはない。堀江氏が指摘するように、昔から日本の選挙と政治は腐敗しており、残念な部分や滑稽な要素をいっぱい抱えてきたはず。それを今回の、児戯に等しいポスター騒ぎをもってして「今の日本には一般常識が存在しないのか」と大仰に嘆く方が滑稽だろう。何を今さら仰いますやら…なのである。
昔から日本の選挙と政治は酷くねじ曲がっており、腐敗していた側面を持っていた残念な歴史がある。それを自覚できないでここまで来てしまったのか、それとも高齢者特有の記憶の揺らぎが生じてしまっているのか…現状を変える力を持たない、無意味なボヤキを発する前に、かつての日本の政治の闇と今の政治の闇との間に横たわり続けているどす黒い「何か」にしっかりと目を凝らし、向き合う方がはるかに有意義ではないのか。
もちろん選挙のあり方について「何か手を打った」方が良いのは当然であり、むしろ言わずもがな、である。当たり前すぎて耳を貸したくもないし、問題の核心は選挙のあり方には存在しないだろう。
どんな選挙に変えたとしても、おそらく別の弊害を生み出すやもしれず、どんな法にも抜け道はあるに違いない。つまり選挙どうのこうのは日本の政治を変える上ではあくまで対症療法に過ぎず、根本的な解決にはまったくつながりそうもないと思うがいかがか。
そもそも地方政治から国政まで様々な問題が噴出している現状を許容してきたのは国民そのものであろう。議員や首長を選んだのは国民であり、国民が変わらなければ政治が変わらないのは民主主義の鉄則ですらある。今、問われるべきは民意の方なのだ。したがって都知事選のポスター問題は主権者たるべき国民が生み出している側面があると考えるべきであろう。
では現状の無様な騒動を生み出す基盤たる国民の政治意識がどのように形成されてきたのか…問題の核心はそこにあると考えるが、いかがだろう。そして民意形成の要となっているのは学校教育とマスコミのふたつであることはほぼ議論の余地があるまい。すなわち私たちはこの騒動を機に、この騒動の主犯格たる戦後の学校教育とマスコミの歩み、学校とマスコミが高々と掲げてきた理念の裏側で実際にはたしてきた社会的機能の方をこそ、しっかりと振り返ってみるべきではないのか。
参考動画
◎【成田悠輔】評価と仕事と学校教育|好き勝手なことをやる意志|他人の評価、分
類、肩書きに捉われない生き方|無感覚観
日本経営合理化協会 2022/08/20 8:23
少子高齢化の下で若者がどのような心構えで生きていくべきなのか…重要なヒントが潜んでいるだろう。他者による評価、自己承認欲求に足を掬われない事が最も重視されるという指摘は成田氏以外でも多くの識者が行っている。
◎成田悠輔&石丸伸二&ひろゆき※絶望的なデータが明らかに‼「石丸さんへの支持
は希望というより絶望。政治家には死んでもなりたくない」
成田悠輔の部屋【yusuke narita】 2024/07/12 11:22
議員候補者に投票して政治を委ねる代議制度全体がそもそも時代的に見て限界にきており、少子高齢化は制度の機能不全を招いている要因の小さな一つに過ぎない…とする成田氏の指摘は鋭い。都知事選を巡る動きの背後で急激に進行する日本政治の危機は「若者の政治離れ」といった限られた世代の問題ではなく、もっと本質的で大規模な領域に及んできている…とするならば、一体、私たちは今何ができるのか、政治システムの根本から真剣に問い直すべきだろう。
とりあえず教師としては地道に自分の授業のあり方を見直すことから始める他に手立ては無さそうだが…
〇車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元
が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21 7:39
〇【石丸伸二最新】※衝撃の支持率が発表され驚きを隠せない…当選確率の高さに腰
を抜かしました ホリエモンのお前が終わってんだよ!【堀江貴文 切り抜き】
2024/06/22 10:29
◎【石丸伸二】オールドメディアに厳しい石丸氏が入党を打診?新党『再生の道』の
結党会見で石丸氏が記者をベタ褒め!?
政治のミカタ 2025/01/15 19:42
安芸高田市で高めた政治家としての経験値を、いよいよ全国的に生かしていく方途をかなり分かりやすく提示してくれる動画。今後の政治の行方を左右する重要な一人となるだろう石丸氏の動向に今後も注目していきたい。
◎日本の若者、自国の将来「良くなる」15% 米英中など6カ国中最低
毎日新聞 によるストーリー 2024.4.9
議論の材料としてうまく利用できれば面白いだろう。同じようなアンケートを事前に生徒に行ってから、結果を比較させて議論に持ち込みたい。