㊿麹町中ヒップホップダンス禁止騒動について

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

麹町中「ヒップホップ禁止令」報道も…指導方針を決定するキーパーソンとは?教

 育改革が継続できない裏側について議論 【工藤勇一・合田哲雄/加藤浩次】 

 NewsPicks /ニューズピックス 2024.8.14 13:36

 かなり議論が広範に及んでいたようで必ずしも「ヒップホップ禁止令」に限定されておらず、しかも内容的に散漫な印象は避けられない。とはいえ今の日本の学校の課題がどこにあるのか、把握する上でそれなりに役立つ動画であろう。ただし議論の焦点が分散しがちであり、解説する教師側の予備知識、理解の程度で授業の展開がかなり左右されてしまうことは覚悟すべきだろう。

「学校教育が主体性を奪ってる」学校で民主主義をどう実践する⁉︎【工藤勇一さ

   ん】 たかまつななのSocial Action!  2024/12/07  30:11

   麹町中学校での取り組みがどのような思想、理念に基づいて組み立てられてきたのか、比較的、短時間で理解できるだろう。教師たちにとって必ず視聴しておきたいイチオシの動画である。教師が変わらなければ社会は変わらない、とする工藤氏の貴重な指摘をぜひ、正面から受け止めていきたい。

 麹町中学校の悲しい現状の一端が今回の騒動として表面化しており、工藤氏の取り組みを全面的に否定しようとする管理主義的発想が今、東京都の教育界に広がってきているように見えるが、いかがか。

「受験が悪」高偏差値を求める日本の弊害。"夢がない・意見言わない"大人を作る

   教育の課題を徹底議論【工藤勇一・合田哲雄/加藤浩次】2Sides

   NewsPicks /ニューズピック  2024/08/19  13:28

   学力問題だけではなく日本の児童生徒たちの抱えている心の問題にも注目したい。一番の問題は彼らの幸福度と自己肯定感の低さだろう。目の前の変化にほとんど適応できなくなった学校と教師たちの振る舞いを通じて大人社会への絶望に近い諦めが児童生徒たちに早くから植え付けられてしまった…そうした経験の積み重ねが今の若者たちの早過ぎる諦念の背景にあるのは間違いあるまい。子どもたちの自己決定機会の少なさが現実に関与する姿勢を喪失させているとの指摘も重要だろう。

参考記事

麴町中ヒップホップ問題 学校説明に保護者から異論「実態と異なる」

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.9

「改革」で知られた中学校は今…服装ルール強化、ダンス部でヒップホップ縮小

 「中体連の大会目指す」東京新聞 2024.6.25

改革で知られた東京・麴町中学校が方針転換 「規制強化」の声も

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.11

   工藤氏の改革で知られた麹町中学校が現校長のもとでたちまちありきたりな管理主義的学校へと戻ろうとしているらしい。10年近く前に始まった宿題無し、定期テスト無し、制服無し、担任無し…などの改革は10年後に完全な見直しが行われつつある。

 現校長によると見直しの理由は改革に伴う弊害の発生、らしい。旧来の学校経営による弊害の払しょくを試みた工藤氏への当てつけとしか思えない屁理屈であろう。改革にはメリットだけでなく多少のデメリットも伴うのは当たり前の事であり、それらを総合的に判断したうえでの、今回の見直しならば少しは納得がいくだろうが、イマイチ見直しの理由は明確ではないようだ。

 10年もたてば当時を知る教師が一人もいなくなっているだろうから、今の麹町中学校は普通の学校から転勤してきた教員ばかりで占められているに違いない。とすれば管理職を含めて改革の理念すら理解しようと思わない反動的な管理職が、教師としての本質的な力量を問われる、慣れない特殊な取り組みに苦戦するよりも、従来のありきたりの学校運営に切り替えた方が自分を含めて多くの教師たちは楽になる…おそらく現校長の思惑はそんな程度のことだろう。

 今、日本の学校教育に何が最も求められているのか、まともに考えないような集団が未来の日本を担う人材育成の最前線に立っていることの恐ろしさを感じてしまう。

呂布カルマもモノ申す!「日比谷高校経由、東大行き」エリート養成の麹町中学

   「ヒップホップ禁止騒動」の深すぎる闇

   アサ芸プラス によるストーリー 2024.6.18

   騒動のポイントは工藤元校長の改革をどう評価するかであろう。「ヒップホップ禁止」はあくまで改革否定派による一連の動きの中の一断面に過ぎない。ヒップホップ自体への論評はやや的外れであろう。それよりも今の動きが表面化する以前の麹町中学校の状況が本当はどうだったのか、その実態の解明がなされなければなるまい。仮にこの記事が指摘するような、モンスター化した生徒や保護者による無政府状態が麹町中学校にはびこっていたとするならば、工藤氏による改革は完全に間違っていたと評価されても当然である。しかしそれは果たして本当なのだろうか。那須氏の指摘は一体どこまで信用できるのだろうか。

 「かつては官僚を目指す優秀な生徒を日比谷高校⇒東京大学法学部へと送り出していた名門、東京都千代田区立麹町中学校」という書き出しからしていきなり記事の怪しさがプンプン臭ってくると感じてしまうのだが、いかがか。日比谷高校が名門と言われていた時代は1960年代を中心とする。しかし東京都による学校群制度の導入によって日比谷を含めた名門都立高校の進学実績は1970年代後半に入ると急落している。すなわち半世紀前の出来事を記事の読者には明記しないでボカしつつ、ここ10年近くのマズイ改革によって名門麹町中学校が一気にダメにされてしまったかのような印象操作を記事の冒頭から平気で行っている事が分かる。

 つまりこの記事は煽り記事特有の、主観的記述で満ちているのではあるまいか。記事の題にある「…深すぎる闇」との煽り文句はこの記事自体の方こそよく当てはまるものだろう。

 麹町中学校が工藤氏の間違った改革によってすっかり荒れてしまったと那須氏が指摘したいのならば、その証拠を主観的な印象論や信用性の極めて薄い元同僚の証言などではなく、説得力のある客観的なデータおよび信用するに足る複数の証言で示すべきだろう。麹町中学校の内申点が二極分化していた、と指摘したいのならば実際に当時の同校の内申点分布をデータとしてしっかりと示す必要がある。授業が成立しがたいほど荒れてしまっていたのならば、最低限でも当時の授業評価アンケートの詳細な結果を示す必要がある。進学指導に問題がある、とするならば当時の高校進学状況を改革時の前後を含めたデータできちんと示す必要がある。仮にそうしたデータが入手困難なのであるならば、せめてその点を予め断っておきつつ、「以下は憶測の域を出ないが…」などとの文言を入れるなど、少し節度ある論評をすべきであろう。これらは記事として公表する上で最低限のルールであり、マナーでもあるはずだ。

 しかし、この記事では情報の源が何と間抜けなことにもっぱら匿名の元同僚による証言に過ぎない。当然、この実在するのかどうかすら疑わしい人物の「証言」こそが記事の主要な部分を構成しているのだから驚きだ。中学校が荒れているとする客観的なデータ、数字で示せるはずの証拠は何一つ、提示されていない。こうした欠陥を糊塗すべく、卑怯にも有名人たる呂布カルマ氏の発言を引用してヒップホップ禁止、麹町中学校の「正常化」を正当化しようとしている闇深い狙いが見え隠れしている。このような軽薄な記事に「中学校の部活動に首を突っ込む親も親なら、それを書き立てる大新聞社も大新聞社だ」と大上段に批判する資格などあるわけがない。

 授業では近年、マスゴミのネット記事に目立ってきた、こうした根拠レスな主張、煽り記事の危うさに生徒たちの注意を大いに喚起すべく、議論のたたき台として提示したい。教師が誘導せずとも生徒たちからこの記事に対する真っ当な批判が出てくるようであれば、対話型討論を軸とするこれまでの取り組み、授業の成果が挙がりつつある、と見て良いだろう。

中学部活動「ヒップホップ禁止令」生徒ら泣いて抗議 専門家も疑問

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.17

【東京】麹町中学校で『ヒップホップダンス』を校長が禁止 理不尽な理由が話題に

  保護者からは「合理的な理由になってない」「理屈がわからん」
 シュフーズ の意見 2024.6.13

 この分野の授業の導入にはうってつけの記事であろう。

 突如として始まった麹町中学校での動きは、10年ほど前の工藤勇一元校長が中心となって一躍注目された斬新な取り組みを何が何でも完全否定しようとする方向であることがこの一件でより明確になったと言えよう。高校の授業では工藤氏が麹町中学校で目指した主な改革の内容と理念をまず紹介したい。そして現校長がヒップホップダンスを禁止した件についてぜひ生徒たちの意見を募りたい。ヒップホップダンス自体の解説も必要だが、こちらは生徒たちの調べ学習として各自ネットで検索させても良いだろう。
 元来が非行少年たちの生み出した文化であり、学校で公認される筋合いのものではないとする呂布カルマ氏の主張は十分傾聴に値する。しかし、だからといって現校長の一方的な管理主義の動きは決して肯定されるものではあるまい。ラップやヒップホップダンスの起源は確かにアメリカの非行少年らに由来するものであり、大人社会への反抗的気分をそのパフォーマンスの中に濃厚に漂わせてはいる。が、かつて発達心理学などで言われてきたように大人への反抗的気分そのものは第二次反抗期の若者にひろく見られる現象であり、大人として自立していくための、若者たちがくぐるべき成長過程の一つと見なせないわけでもない。むしろその反抗的側面の成熟における積極的意義にこそ大人は着目すべきであり、文化としての反抗性だけをもってして学校側が一方的に否定すべきではあるまい。
 またヒップホップがそれなりの世界的広がりを見せている現在、ヒップホップダンスのありかた自体はいつまでも原点や伝統にがんじがらめに縛られている必要はないだろう。新たな要素を次々と取り込んでヒップホップの世界のすそ野をぐんぐん広げてきたこれまでの経緯もまた尊重されるべきではないか。
 日本の格式ある伝統文化の中にも、原点はいわゆる「不良」「非行」の文化に求められる歌舞伎のような芸能が存在している。派手で異様に目立つさまを示す「傾(かぶ)く」という当時の言葉に由来するとも言われる歌舞伎は今でこそ日本の伝統芸能として世界から脚光を浴びているが、江戸時代は風紀を乱すものとして度々、幕府により弾圧されてきた経緯がある。ラップやヒップホップもまた現代の「かぶき」なのかもしれず、いずれは古典芸能の一つに位置づけられる日がくる可能性は決して無きにしもあらず。
 授業ではヒップホップダンス部を一方的に潰そうとする現校長のふるまいの背後にある「何か」を生徒たちに想像させたい。なぜ、数多くある麹町中学校の部活動でこの部が狙い撃ちされたのか…区の教育委員会も含めて学校を管理する立場の人々の思惑を推理し、汲み上げてみよう。すなわち学校の管理職が通常心がける事、管理する側が陥りやすい心理、さらにはその背景まで深く推理させると現代日本の学校教育の病巣がより一層分かりやすく見えてくるかもしれない。

中学部活の“ヒップホップ禁止令”が呼んだ波紋。「些細な問題すら当事者間で解決

 できない」社会が示すもの 日刊SPA! の意見 2024.6.14

 この論評を生徒たちがどのようにうけとるのか、興味深い。ぜひ、アンケートを用い、時間をかけて生徒たちの意見を引き出しておきたい記事である。

 一見、第三者の立場から公平に、客観的に論じているように見える石黒氏の意見だが、残念なほどに今の学校現場が置かれている状況への理解を欠いているため、ひどくトンチンカンな印象はぬぐえない。工藤勇一元校長が試みた改革の理念と背景をまったく理解されていないようで、この事態をたかがヒップホップダンスレベルのことで国会議員までしゃしゃり出る滑稽な事態となった…とあしざまに捉え、嘆かわしい出来事として矮小化させてしまっている。ただ単に校長側の説明不足や保護者側の対応のお粗末さが事態をこじらせた原因であると見なす石黒氏の視野の浅さ、狭さには呆れるほかあるまい。

 この件がここまでこじれてしまった背景には現校長が麹町中学校で行われてきた改革の歩みを短期間で徹底的に否定する復古的動きを見せていたこととそれへの疑念や反発が一部の保護者側に生じていたことが一番に挙げられるはず。これは決して「些細な問題」ではなく、そう簡単に当事者同士で解決できるほど単純で底の浅い問題でもない。日本の学校教育をどういう方向でリニューアルしていくのか、根本的な理念が麹町中を舞台にして問われているのだ。

 したがって「社会の断絶」という、いかにもボンヤリとした曖昧な社会問題の中に論点を拡散させて溶かし込み、校長と保護者や生徒たちとの鋭い対立から目を逸らさせる効果しか感じられないようなお粗末な論評を堂々と掲載するマスコミのレベルの低さには絶望感しか覚えないのだが…

生徒の自由を剥奪する「ヤバい校則」が「最悪の思考停止」だと断言できる「シン

   プルな理由」 現代ビジネス 住吉 雅美 2024.12.20

   日本の近代における学校教育で特に重視されたのは実学中心の学習及び忠君愛国精神の涵養であった。すなわち「富国強兵」を急ぐために全国民を学校に行かせてこれらを繰り返し、叩き込む。男たちはさらに徴兵制によって心身ともに鍛えられ、皇軍兵士としての根性を叩き込まれる。そして封建的身分制度に縛られた庶民に対して末は博士か、大臣か、はたまた大将か、という勉学による立身出世の夢を煽り、その実、あくまでも国家や企業にとって有能な臣民育成を図ろうとしていたわけだ。

   やがて欧米の社会思想の流入もあって自由民権運動が盛り上がると、伊藤博文らは殖産興業のために理系の学問を重視する一方で、文系においては社会思想の学問を軽視しつつ、経済や法律を偏重する体制を創り出した。これは基本路線として昭和の戦後にまで引き継がれ、現在に至っている。実際、官僚や地方公務員になるには今も政治や法律を重点的に学習することが必要不可欠となっている。また学校での社会科学習も、大勢は思考力の育成を二の次にした、ただの知識詰込み型の授業がはびこってしまっている。

 こうした日本の近代以降の公教育の流れが、国民の多くを「思考停止」状態に追い込んでいる一因であると考えるが、いかがか。近代以降、政府にとって都合の良い国民とは、ただひたすら受け身のまま、国家の言いなりになる忠良な「臣民」であり、あくまでも国家にとって有益な人材に過ぎなかったのではあるまいか。

 思考力と対話力を重視する討論を軸とした授業が日本でなかなか広く定着してこなかった原因もまた、「知らしめず、依らしめる」日本の伝統的な公教育政策の方針に求められるように思える。

 だとするならば、住吉氏の指摘はやや一面的であり、変えるべきは「ブラック校則」だけに留まらず、教育目標及び授業方法の根本的見直しを伴うものでなければなるまい。さらには行き過ぎた教育に対する国家統制の緩和も必要不可欠だろう。

※参考記事
 
人気ラッパー、世間で話題の「ヒップホップ禁止令」に持論。「こっそりやれ」

    「基本的には非行です」AllAboutニュース 2024.06.12
  
これでは生徒たちの意思を一方的に無視する現校長の強引なやり方を許容してし

  まうことにつながりかねないだろう。ぜひ、この意見の是非について討論させた

  い。

※参考動画
 
Natsuki - HIPHOP Dance class/ NOA DANCE ACADEMY
  NOA CHANNEL  2023 0:43

  
とりあえずこの動画視聴を通じてヒップホップダンスとは具体的にどんなものな

  のか、簡単に理解しておきたい。