㊽兵庫県知事パワハラ問題がはらむ闇
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
参考記事
〇斎藤知事『辞任か続投か』県民100人調査で「辞任63人・続投37人」2カ月前の調査
と“正反対”の結果 橋下徹氏は「知事失格。最悪の権力行使」
FNNプライムオンライン 2025.5.29
これほど毀誉褒貶の激しい知事も滅多にいないだろう。改めてネット社会の怖さを思い知る。この段階に至っても、斎藤知事の続投を支持する県民がそれなりに存在することに民主主義の機能不全を痛感する人は少なくあるまい。立花氏による情報のかく乱が生み出した洗脳現象は知事の再選を実現させただけではなく、今も斎藤支持の姿勢を県民の一部に後遺症として残しているのだ。
ネット社会における民主主義のあり方を考える上で、今回の件は大きな教訓を残しているに違いない。ぜひ、授業で扱いたいテーマである。
〇斎藤知事側近の元総務部長を懲戒処分へ 告発者私的情報の漏洩を認定 停職3カ月案
も 産経WEST 2025.5.24
〇兵庫漏えい問題 告発者の人格を貶める卑劣さ 読売新聞 2025.5.29
ようやくこの事件の核心に触れる問題の一端が明るみに出ようとしている。これまでマスコミの興味本位による週刊誌的煽り報道や根拠に乏しい立花氏による扇動が続くことによって、斎藤知事によるパワハラやおねだり、あるいは反斎藤派による「斎藤潰し」といった陰謀論などに世間の注目が集まってしまった。
結果的に多くの人々、とりわけ兵庫県民は内部通報者への知事側による一方的処断という、内部通報制度の根幹を揺るがしかねない深刻な問題から関心を大きく逸らされてしまいがちとなっていたと思うのだが、いかがだろう。
日本では企業、お役所、学校や警察などの組織内部でたとえ人権を大きく侵害するような重大な不祥事が見聞されたとしても、これまでは「守秘義務」を口実に口封じされてしまう、あるいは肝心の当事者が自ら口をつぐんでしまうケースが過半であったと思われる。20年ほど前に騒がれた、「食の安全」を脅かす数々の事件が表面化した背景には日本の組織の伝統的な宿痾と言うべき隠蔽体質が根強く、かつ広範に存在していたことが背景にあったに違いない。また学校でのイジメ事件がこれまでもっぱら被害者の泣き寝入りに終わってきたのも、事件の真相究明を妨げつつ組織の存続を最優先する一方で、個人の人権を軽視しがちな日本社会の強固な組織風土に根ざす側面があったのではあるまいか。
長く「人権後進国」と揶揄されてきた日本社会の暗部がどうやらこの問題にも凝縮されてい るように私は思う。これまで旭川女子中学生凍死事件やこの事件にしつこく注目してきたのも、そうした日本社会にありがちな組織的病理がこれらの事件に見え隠れしているように感じたからである。個人的には今後もこの事件の行方を注視していきたい。
※参考記事
〇旭川いじめで初弁論 市側は争う姿勢も、争点は「係争中で話せない」
朝日新聞社 2025.6.6
〇旭川いじめ 黒塗りない「報告書」流出、市教委が刑事訴追に向け調整
朝日新聞(奈良山雅俊) 2024年7月3日
〇【速報】和歌山市職員が職場の不正“公益通報” 復職後に自死…遺族が約8800万円の賠償求め市を
提訴 読売テレビ 2025.6.11
参考動画
〇元県民局長の情報流出疑惑 第三者委「県職員の関与の可能性は極めて高い」
サンテレビニュース 2025/05/13 2:35
確かに県職員による守秘義務違反がまず疑われるだろうが、加えて元県民局長及びパソコン内の記録に登場する県職員のプライバシーへの大きな侵害が生じており、侵害された被害者の救済も図られるべきだと思うが、いかがか。
〇「選挙って儲かるんですよ」の裏側 ポスター代を水増し請求“選挙ハック”の実態
【報道特集】TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/05/10 17:41
◎「真実かどうかよりも、極端なコンテンツほどたくさん見られる」選挙期間中に拡
散される誹謗中傷や虚偽を含む動画 作成に報酬も…背景を取材【報道特集】
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/04/05 23:23
アルバイト感覚で誹謗中傷の切り抜き動画がネット上を横行するシステムの存在がよく分かる。立花氏がこれまでとり続けてきた法の未整備をついての誹謗中傷の連鎖をどう断ち切るのかが、今、問われているのだろう。勇気をもってこの問題に立ち向かっているTBSの報道姿勢に敬意を表したい。
◎「お前もとっとと自殺しろ」兵庫県議らに大量の脅迫メール 激化する“言論への攻
撃”の実態「フラグを立てられたら終わり」【報道特集】
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/04/05 22:32
斎藤氏再選の背後でどんなことが起きていたのか、よく分かる。そしてなぜ兵庫県警は何一つ動こうとしないのか、兵庫県民はなぜ声を上げようとしないのか、大きな疑問が湧いてくる。事務所や自宅に押し掛けて大声で喚き散らす人物を警察や周辺の住民が放置,、静観し、結果的に一方的な誹謗中傷が堂々とまかり通る…兵庫県の選挙には民主主義や正義の欠片も存在しないかのようだ。
再三にわたって極めて悪質なイジメ事件を隠蔽し、教員間のイジメを放置して徹底的にこじらせてしまってきた兵庫県、特に神戸市の教育界の体質と兵庫県知事を巡る騒動とは、やはり地続きのものに見えてしまうのだが、いかがだろう。
◎【ヨコスカ解説】「パワハラ」「公益通報保護法違反」認定 第三者委員会が調査
報告で重視した視点、社会に投げかけるモノ 斎藤知事の疑惑
読売テレビニュース 2025/03/20 15:37
よくまとめられていて分かりやすい。授業で視聴させても良いが、教師としては必ず視聴しておきたい動画。
〇斎藤知事の複数の“パワハラ”を認定 県の対応は一部「公益通報者保護法違反」と
指摘 第三者委員会 読売テレビニュース 2025/03/19 5:06
弁護士たちからなる第三者委員会の報告書でも知事の違法性が指摘された。結局は当初の報道によって醸成された世論と大差ない結論に達している。もちろん知事の「おねだり」などを盛った、マスコミの過剰な報道ぶりにかなり問題はあっただろうが、本質的な問題であったパワハラと公益通報者保護法違反は認定されている。とすると昨年9月の知事に対する兵庫県議会の不信任決議自体は間違っていなかったと言えるだろう。
N国党の立花氏による不確かな根拠による故人への誹謗中傷と百条委員会への批判もまた、法に触れる可能性が出てくる。知事の再選がもっぱら立花氏の策謀によって実現できたとすれば、斎藤知事の立場は非常に危ういものとなるに違いない。立花氏に煽られ、騙されて齊藤氏の再選を実現させた兵庫県民の責任も、決して小さくはあるまい。
◎「首吊れ!」誹謗中傷被害者が語る現実 兵庫県にはデマが渦巻く… 誹謗中傷す
る人の正体とは?【かんさい情報ネットten.ゲキ追X】
読売テレビニュース 2025/03/21 15:29
SNSの悪しき側面を理解したい。ただし授業で視聴する際は竹内県議の件を少しぼかす必要があるだろう。
◎ヤバいやつチェックリスト。第二、第三の立花孝志を出さないために
せやろがいおじさんチャンネル 2025.3.15 20:07
兵庫県知事選の教訓としても非常に役立つ、示唆に満ちている動画。ネットを利用した授業を展開する教師としては必ず視聴しておくべき動画の一つではないかと思うが、いかがだろう。ネット社会で飛び交う情報のファクトチェックは極めて難しく、誰であれそれなりに煽られてしまうことは少なくいあるまい。発信する側と情報の受け手が双方、心がけるべきポイントが良く整理されていて分かりやすい。
◎ネットとデマに振り回される社会をどないするか、考えてみよ〜
せやろがいおじさんチャンネル 2024/12/04 22:58
なかなか兵庫県知事選をめぐる問題が良く整理されていて、分かりやすい。特にN国党の立花氏によるデマ、根拠無き誹謗中傷が生み出す問題、立花氏の言動によって浮き彫りにされた兵庫県民の政治意識に潜む問題が見えてくるだろう。
授業での視聴は「5:45」までで十分。その後の解説は教師が視聴しておき、動画の解説に役立てれば良い。
◎斎藤知事の罪「公益通報者保護制度」について深堀り!一部疑惑を認める
マスコミの責任も 長谷川良品「テレビ悲報ch」 2024/07/19 19:47
斎藤知事が3月に「嘘八百」「公務員として失格」などと証拠を提示することなく一方的に批判すること自体が公益通報者保護制度に違反する行為であり、まして停職三か月の処分を下したことは重大な問題、さらに通報者を特定するに至った知事側の動きもまた違反行為であるとの指摘は非常に大きな意味を持つだろう。
◎【解説人語】匿名告発者を捜して処分 兵庫県の対応に違法性は 知事自身が調査
を指示 3つの問題点を解説 朝日新聞デジタル 2024/08/08 6:05
斎藤知事らにどんな公益通報者保護制度への違反が疑われているのか、3点に要約されていて理解しやすい。
◎4つの選択肢 兵庫県知事の決断は? 解散なら“県政史上初”
FNNプライムオンライン 2024/09/19 8:43
これは民主主義とは何なのかを考える上で格好の動画であろう。ぜひ、授業で視聴させて討論に持ち込みたい。まず兵庫県知事らの不祥事は知事らを辞職させ、新しい知事を選ぶだけで本当に済む話なのだろうか、さらに知事選プラス県議選は費用がかかるので県議選を不要だとするような白鳥教授の意見にも賛否を問うてみよう。
また兵庫県民の中にはこの状況を「恥ずかしい」と捉えて知事の辞任を要求する意見が多数あるようだが、はたして兵庫県民に恥ずかしい思いをさせてしまったのは本当に知事たちだけなのだろうか?こちらも問うてみたい。
仮に主権が国民にあるとするならば、政治の腐敗や失敗は不適切な政治家を選んだ国民にも少なからぬ責任が及ぶはず。この知事を選挙で選んでしまった兵庫県民の責任と、この知事を推薦した自民党及びこの知事を担いだ維新の会の責任はいずれも極めて重いはずである。したがって今後、知事選を行うだけではなく、知事を担いだ自民党及び維新の会、さらには県民の責任を問うべく、直ちに県議選を行って県民の反省を促すとともに県政、県議会の一新を図るのはむしろ兵庫県としてマストの対応ではあるまいか。
民主主義の基本が国民主権であることは言を俟たない。日本が国民主権の民主国家であるならば国政失敗の責任はまず不適切にも不出来な与党を選んでしまった点で、一義的に国民が負うべきである。また知事の不始末を県民が尻拭いするのは民主主義の原則に沿う、県民としての当然の報いであろう。したがって知事選、県議選併せて30億円余り要するとしても、それは民主主義的観点からは不可避の支出であり、その結果、県民の負担が増えてしまうのはむしろ当然の報いとすら言えるだろう。
いや、斎藤氏がこんなことをするとは知事選の時には思いもよらなかった…という県民の言い訳は今更通用するわけがない。安芸高田市を見ればこの理屈はよく分かるだろう。石丸氏の後を受けて新市長に当選したのは石丸氏が激しく批判してきた清志会のメンバーであった。当然の成り行きながら清志会の新市長はそれまでの石丸市政を次々と否定し、再び、市の財政が悪化するような市政の改悪に続々と着手しているようだ。その結果、先々北海道夕張市のように財政破綻し、安芸高田市が一気に荒廃してしまっても、その責任は現市長を選んでしまった市民にいずれはのしかかる。これも当然の報いであろう。
知事選、県議選の二つの選挙を行って兵庫県の財政が傾いたとしても、それは兵庫県民が県政の当事者意識、主権者としての自覚を欠いてしまっていたせいであろう。知事へのリコール運動を起こす素振りすら県民が見せてこなかったツケが県民に回ってきたに過ぎない…国民主権が本当に成立している国ならば、それ相応の結果責任を選挙民たる国民が負うのは原則として避けられないはずである。
では生徒たちに究極の質問を投げかけたい。はたして日本国民には本当に主権があるのだろうか?もしも日本の国民には主権が実質的かつ十全に保障されていない…ということであれば、以上の主張の論拠はほとんど崩れてしまうだろう。
まずは日本国民が主権を持つと規定されているはずの日本国憲法第一条をもう一度確認してみよう。この条文の規定に不自然な部分はないのだろうか?また国民が持つとされる主権が実質的に機能するためにはどのような条件(知る権利の保障等)を満たしていなければならないのだろうか?日本国は現在、その条件を十分に満たしていると言える状況にあるのだろうか?
以上の検討をしてみた結果、仮に日本国民には十分な主権が保障されていないとすれば、日本国の場合、主権の有無や主権の所在自体も問われなければなるまい。実際に日本の主権が国民には十全に認められていないとすれば、日本の主権は一体どこに分散されて存在するのだろうか?核兵器の持ち込みや米軍基地問題に見られるように実はアメリカ側にも日本の主権の重要な一部が委ねられてはいないのだろうか?
ここまで問いを重ねてくると、私たちが一方的に兵庫県民の責任を問うこと自体、妥当なことなのかどうか…かなり迷いが生じてくるはずである。
※参考記事
〇財務省が「欠落」としていた森友文書74点、一部見つかった 赤木雅子さんの開示請求への説明と
食い違い 東京新聞 2025.5.23
◎【兵庫県の斎藤知事】高校生からの手紙"応援メッセージ"紹介 心理状況に専門家
「自分に都合のいい情報を取り入れる確証バイアス」【出直し選挙決断で会見】|
アベヒル ABEMAニュース【公式】 2024/09/27 12:09
確かに斎藤氏の会見から、心理学の専門家ならば彼の心理的状況をある程度まで読み取ることはできそうだが、この件において本質的な問題はそこには無いだろう。確かに「確証バイアス」という認知の歪みを知ることは有益だが、ここでは肝心な問題から市民の目を逸らせてしまう危険性があるので触れない方が良い。
大切なのは番組の後半に出てきた中室氏の指摘の方であろう。まずはマスコミが斎藤氏の「おねだり」に対して世論を煽るような報道を繰り返している点を批判し、パワハラや公益通報制度への違反行為に焦点を当てて報道すべきであるとの指摘は極めて的確であると思うがいかがか。
また中室氏が紹介したメキシコでの研究成果は非常に示唆に富み、大いに参考となるものだろう。地方政治家の不祥事、スキャンダルの報道が長引くことで高校生の万引きやカンニングがどうやら有意に増えたとのことである。すなわち政治家のスキャンダル報道は結果的に「社会的に成功するためには多少の不正も許される」というヤバイ認識を若者に植え付けてしまうらしい。
日本の若者の政治離れの背景にも、政治家たちの不正、スキャンダルが続々と発覚する日本の現状があるのではないか。特に兵庫県ではかの「号泣議員」や差別発言を繰り返す裏金議員…といった政治家のスキャンダルや今回の知事の問題だけではなく、神戸市を中心にかなり以前から学校教育の極めて深刻な問題が相次いで報道されてきた。
現在、神戸市から明石市などへの若い世帯の人口流出が話題にのぼってきたことをも考えあわせると、兵庫県での児童生徒、若者の心がこうした報道によってどれほど蝕まれてしまうのか、大変気になるところである。加えて齊藤氏は失職して「出直し選挙」に臨むことになった。齊藤氏のこの厚顔無恥さ、傲慢さが今後さらに若者を政治から遠ざけ、児童生徒の精神的な「荒れ」が増大してしまう危険性を個人的には強く感じるのだが、いかがか。
古くから言われる通り、子どもや若者は大人たちの背中を見て育つ…であるならばタイミングとして既に遅きに失している感は否めないものの、兵庫県民、神戸市民の大人たちが主権者としての何らかの社会的動きを起こさないと、神戸市のみならず、兵庫県全体の人口流失が早晩、若者を中心にして一気に加速するかもしれない。
◎【選挙報道】“オールドメディアvsネット”なぜ?西田亮介「甘んじていたツケ。報
道の表現の技法を試行錯誤すべき」兵庫県知事選を分析|アベヒル
ABEMAニュース【公式】 2024/11/22 15:44
フォロワー数、登録者数、視聴回数、「いいね」数などの調査を通じて、SNS、特にXやYoutube動画の若者への影響力がいかに甚大なものであったかが推測できるだろう。データとして非常に貴重なものがあり、授業ではぜひ参考資料としてこの動画での統計データを紹介したい。ただし授業で視聴するにはやや難易度が高く、多くの高校では無理があるので、プリント等で統計データと分析を分かりやすく紹介しておきたい。
◎【橋下徹氏が斬る】「SNSからの疑問にTVは答えなかった。それは信用力がない」
選挙報道めぐる“既存メディア”の対応どう見る?【兵庫県知事選挙】
(2024年11月18日)MBS NEWS 2024/11/19 35:32
テレビや新聞といった大手メディア、オールドメディア側と新興勢力のSNSとの間にしっかりとしたキャッチボールが見られない点が大きな課題、とする橋本氏の見解に同感。特にテレビ各局はそれぞれの立場を鮮明にして固有の意見を表明しつつ、対立する意見同士での建設的な議論を我慢強く続けていく姿勢を最後まで保つべきだろう。そしてSNSで横行している事実誤認を正し、SNSによる誹謗・中傷・デマの拡散を批判する役割をこれからのテレビは積極的に担っていくべきだとの指摘にも同意する。
別の動画で宇野常寛氏が指摘していたように、きちんとしたファクトチェック、事実確認を欠いたまま、ひたすらSNS上での空中戦が続くようでは、議論が永遠にかみ合うことなく、不毛な対立を煽るだけとなり、無駄な時間ばかりが過ぎ去るであろう。こうしたSNSが陥りがちな欠点を是正できるのは、それなりの取材力、検証力のある大手メディアだけではあるまいか。
◎「法の抜け穴を悪用する政治家たちと公職選挙法の課題」【中島岳志】2024年11
月26日(火)小島慶子 武田砂鉄 砂山圭大郎 中島岳志【大竹紳士交遊録】
【公式】大竹まこと ゴールデンラジオ!2024/11/26 11:41
立花氏の選挙への関与についての法的問題点が分かりやすく解説されている。授業で視聴させるのは中島氏の解説部分だけで良いだろう。
〇「YouTubeの拡散指示が…」“支持者LINEグループ”の登録者に聞く 斎藤元彦氏
再選の舞台裏【報道特集】|
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/11/30 21:59
これまでの経緯を動画で復習する上で便利。何はともあれ元県民局長に対するプライバシーの保護を含めた公益通報者保護の観点こそ、この問題の核心であることを改めて確認したい。
参考記事
◎SNS中傷で住所晒しも…自死した男性に何が?取材に応じた当事者「報道のつもり
でやってますので」【報道特集】
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/04/19 22:48
齊藤知事の支持派や立花氏の取り巻きらはSNSなどを使い、対立する人のプライバシーを酷く侵害した挙句、誹謗中傷を組織的かつ執拗に繰り返してきた。これによってついに自殺まで追い込んでしまったケースが、元県民局長を含めると3件も発生していることになる。
今までも立花氏は数多くの裁判沙汰を引き起こし、反斎藤派や反立花派へ圧力をかけて追い込んできた。しかも立花氏側は二つの案件で自ら訴訟を取り下げている。
つまり立花氏は勝敗の見通しとは無関係に訴訟を起こす事で、相手を被告の立場に置き、精神的、経済的、時間的ダメージを与え、他方で自らを精神的に優位な立場とすることを主たる狙いとしているようだ。したがって立花氏自体は裁判に勝つことをほとんど目的とせず、裁判結果などは最初から眼中に無いと見える。
加えて立花氏側は攻撃対象の住所をネット上に晒すことで彼らの家族にも危害が及びかねない状況を意図的に創り出しているようだ。これは明らかな違法行為であるが、これまで警察側が動いた形跡を私は一件も知らない。すなわち立花氏側は繰り返し相手のプライバシーを侵害して誹謗中傷を集団的に行っているにもかかわらず、一度も警察沙汰とされないまま、とうとう犠牲者が3人も出てしまった、という事なのだ。はたしてこれで日本は法治国家と言えるのだろうか。
旭川女子中学生凍死事件においては被害者側の重要なプライバシーが二度も第三者委員会の外部に漏洩したにもかかわらず、その犯人は特定されないまま今日に至っている。遺族が今も悲嘆に暮れている一方で、プライバシーを流出させた犯人は、おそらくまったく反省することなく今も平然と過ごしているに違いない。この時も法律違反者はお咎めなしの野放し状態であったのだ。
今回の犯人は兵庫県議会議員の3人と立花氏、元総務部長、元副知事らであろうが、彼らもまた依然として逮捕されていないし、罰金すら科されていない。他方で被害者の遺族は今も住所などが晒されたまま、彼らから一方的に悪者扱い、犯罪者扱いをされ続けている。日本は今、実に不公正な無法社会となっているのだ。
〇【公益通報】職場の悪事、見て見ぬ振りしたら起きること。兵庫県の斎藤元彦知事
めぐる内部告発と保護法改正の行方 ハフポスト日本版 2025.4.3
旭川女子中学生凍死事件におけるイジメ隠蔽の件も、故人や遺族のプライベート情報を漏洩させることで事件の解明を妨害し、調査に関わる関係者を極度に委縮させて当該中学校の元校長、元教頭らへの責任追及をかわそうとするかのごとき極めて卑劣な動きが、新旧の第三者委員会の周辺で二度も生じていた。この件では最初の第三者委員でしか知りえない情報がネット上や旭川市議にリークされたにもかかわらず、結局はリークした人物が特定されないまま、ウヤムヤの内に調査が終了してしまった。
今、問われているのは内部告発制度の根幹にかかわる兵庫県知事周辺での事件であり、是が非でも元総務部長や元維新県議らの動きに対して旭川のような曖昧さで事件を収束させるわけにはいくまい。日本社会の自浄機能を維持、回復させる上でもしっかりとした司法、警察の捜査が入るべき案件だろう。
〇【独自】第三者委の報告書に対して片山元副知事がコメント 元県民局長の告発「不
正目的ではない」に疑問 斎藤知事には「誹謗中傷の対象となった職員らを守る責務
がある」 FNNプライムオンライン 2025.3.28
片山氏は元県民局長が徒に斎藤知事らを「誹謗中傷」した、との確たる根拠を十分に示してきたのだろうか。これは傍から見ればただの空中戦に見えてくる。
懲戒処分にいたった事案であるのならば、告発文が「嘘八百」であったと判断した証拠を知事側は当初からきちんと公開しなければならなかったはずだ。仮にそれがプライバシーの侵害や公務員としての守秘義務に違反する恐れあり、と考えたのならば、知事側は明確な根拠を公的に示せないがゆえに、その段階で「変な勘繰り」を避ける上でも内部告発者への保護をむしろ最大限に優先すべきであり、「誹謗中傷」の事実認定と判定を第三者に委ねるべきだろう。
すなわち告発文書発表当初の段階から、第三者委員会などに調査と判断を委ねる他、知事側には元県民局長の告発に対応する手段が無かったはずである。それを知事側はいつまでたってもしっかりと事の真偽を公の場で明らかにしないまま、元県民局長を目の敵にして上から力ずくで葬り去ろうとしたのではなかったか。そして県政の混乱と停滞を自ら招いてしまったのではないのか。
だとすれば知事側が自ら招いたであろう県政の停滞を理由にして元県民局長の告発をクーデターだと決めつけ、告発文書問題を早期に解決しようとするのはあまりにも無理筋だと思うが、いかがか。
元県民局長側にプライバシー上の重大な問題があったと仄めかして、元県民局長が自分たちを一方的に「誹謗中傷」した、といったような被害者気取りを知事側がしているのはやはりまったく解せない。それは県政を主導する立場の人間として許容される言動ではあるまい。そもそも事の真相がある程度まで明らかにできない内は、元県民局長のプライバシー上の問題と内部告発者保護の問題とをとりあえず切り離して対処するほか術が無かったはず。プライバシーの問題があるからといって元県民局長の告発をすべて「嘘八百」と決めつける事は、傍からすれば「憶測」に基づく一方的な断罪であり、知事側のパワハラだ、とのそしりを免れないはずである。
本当に「誹謗中傷」されたのは一体全体どちらなのか…斎藤擁護派、反斎藤派のどちらにせよ、強固な信者を除けば兵庫県民の多くは判断材料の不足から、いまだにしっくりとくるほどの納得感を得られていないのではあるまいか。
もしかすると元県民局長に対して常日頃から敵愾心を燃やしていた知事側が、この告発を機に反斎藤派を一掃しようと一種のカウンタークーデターを試みたのだ…という勘繰りだってできないわけではあるまい。
最大のポイントはそれがどんなものであれ、元県民局長のプライバシー問題には無いだろう。それよりも第三者によって真相究明が十分になされていない段階で時期尚早にも知事側が一方的に元県民局長を懲戒処分とした事の妥当性にあるはずだ。
プライバシーの問題や各種のパワハラ問題はその裾野に広がる、イマイチ説得力に欠ける傍証、エピソードの類に過ぎないと感じる。今後、裾野の問題にばかり目を奪われてしまうと議論百出し、収拾がつかなくなるかもしれない。少なくとも県政の分断と停滞は当分続くように見えるが、いかがか。
◎「斎藤知事は続投か辞任か」緊急調査 兵庫県民100人のうち68人が『続投すべ
き』兵庫県立大の学生は「若者支援が充実。授業料の無償化大きかった」と続投支
持 関西テレビ 2025年3月27日 木曜 午後6:5
マスコミが「マスゴミ」と揶揄される所以はこのような報道のあり方にも顕著に表れていると感じる。わずか100人のインタビューで「兵庫県民100人の内…」といった乱暴極まる表現をしてしまう事自体、明らかに公平さ、妥当性を欠く、ただの煽り報道だろう。この程度の小さな規模のインタビューであたかも兵庫県民の総意を掬い上げたかのような表現をするのはいかがなものか。
授業料無償化の恩恵を受けた兵庫県立大学の学生による「若者支援が充実」との言葉を受け、あたかも斎藤県政が若者全体を支援してきたかのように印象付けているのも解せない。他大学の学生ならば違う言葉が返ってくるかもしれないではないか。
数字を用いるといかにも客観的で公正なイメージを我々に与えるが、少しでも統計を知る者ならば、この報道はただの「煽り記事」にしか見えてこない。齊藤支持派と反斎藤派との間に深まった亀裂、兵庫県政の分断はまさにこのような報道のあり方からも生じていると考えるが、いかがか。実に罪深い報道であると個人的には思う。これでは誹謗中傷を用いて斎藤擁護を煽ったと考えられる立花氏を、マスコミとして公正な立場から批判することはできない…いかがだろう。
〇兵庫維新3人の県議、無制限会見のてんまつ 5時間半にわたって語り続けた「正当
性」 産経新聞 2025.2.24
もちろんパワハラやおねだりなど、さしたる確証があるとは限らない案件を持って斎藤氏批判を煽ったマスコミの責任は軽くあるまい。それらの報道はむしろ元県民局長の公益通報者としての立場や彼のプライバシーの保護をめぐる本筋の議論から県民の目を逸らすことで斎藤氏に利する結果となった感もある。
とはいえこの三人がしっかりとした検証をすることなく安易に立花氏を信頼してしまった責任も決して軽くはあるまい。これまでの立花氏の言動に怪しげな側面があることぐらい、誰でも分かっていた事である。実際、竹内氏や奥谷氏を、マスコミによる斎藤批判に悪乗りした悪人と見なして糾弾した立花氏の論拠は、後日、本人が認めて謝罪した通り、憶測に満ちた謬見に基づく側面があった。
にもかかわらず、彼らが現在も「立花氏はデマを流していない」と強弁するのはいかがなものか。彼らは立花氏のいい加減な情報や、プライバシーの侵害によって成り立っていた不当な個人攻撃を、無理くり正当化することで結局は自己保身を図っているだけであろう。
つまり、彼らは今後もこの件に関して一切、反省する気持ちも謝罪する気持ちも持ち合わせてはおらず、維新の会に迷惑をかけたことくらいしか反省していない。このため、いずれ隙あらば県民を再び怪しげな情報発信で煽り立てて、立花氏の政党に鞍替えし、ついには国政に進出するやもしれない。
あらためて兵庫県民の良識に期待したい。
・"黒幕文書"を立花孝志氏へ提供疑惑「渡したのが誰か...記憶おぼろげ」渦中の維
新・岸口実県議が釈明 文書渡しは公選法違反や百条委の規則違反なのか...
専門家の見解 MBSニュース 毎日放送 2025.2.19
専門家と称する白鳥氏の見解にはガッカリさせられる。増山氏と同様、岸口氏の行為は「軽率」などとの言い訳で済むような話なのだろうか。本当にただの「イメージやモラル」の問題に過ぎないのであろうか。仮にそうだとすれば、旭川女子中学生凍死事件やこの事件の様に、関係者を極限まで追い詰めてしまうようなプライバシーの深刻な侵害がこれからも日本各地で続発してしまうだろう。
いずれも事件の真相究明にあたる、公平で客観的な立場であるべき機関から、いまだ調査中の真偽不明な情報が漏洩してしまっている。それも極めて際どい内容のプライバシー情報である。漏洩のタイミングを考えれば、明らかに世論の流れを都合よく変えようとする、特定の目的を持って組織的に行われた「リーク」そのものではあるまいか…と疑われても仕方あるまい。
「記憶おぼろげ…」とする岸口氏の言い訳には、過去、「記憶にございません」とシラを切り続けてきた日本の政治家たちの、往生際の悪いふてぶてしさ、不誠実さがにじみ出ている。そしてこうした人物が百条委の副委員長であった事自体にも、一定の組織的意図を感じてしまうのだが、いかがだろう。
◎「内部告発なんてしなければよかった」公益通報後に解雇や異動 障がい者施設で勤
務の3人"不当な処分を受けた"と訴える 施設側は「報復の可能性はない」と主張
MBSニュース 毎日放送 2025.2.21
組織内の和を重んじるあまりに上司や組織への批判を封じ込め、過度に協調と忖度を強いる社会は自己チェック機能、自浄機能を失いがちになるであろう。せっかくの内部告発が組織の改善に生かされることなく、むしろ告発者への報復が横行してしまう日本社会…授業ではひたすら「黙働」を強いられる組織における閉塞感を戦時中の少国民教育を例にしてリアルに想像してみたい。
◎デマや誹謗中傷でついに死者が 「流言」を言いっぱなしにする立花孝志氏と「真実
を知り全てがつながりました」と言っていた有権者は...
文春オンライン プチ鹿島 2025.1.28
SNSとマスメディアとの関係はどうあるべきか、今回の兵庫県知事選をめぐる混乱をどう整理するか、考える上で非常に役立つ記事。
〇兵庫・斎藤知事 立花孝志氏公開の元県民局長公用PC内の私的情報「見てないです」
「第三者委員会でしっかり調査」 よろず~ニュース 2025.1.9
立花氏が公開したPCの私的情報を見ていないとすれば、元県民局長の公益通報に対して斎藤氏がただの誹謗中傷に過ぎないとした根拠は一体、何だったのか、がまずは問われるだろう。そもそも齊藤氏は押収したPCの内容をどこまで把握していたのか、もう一度、明確に示すべきである。そして立花氏が公開した情報と斎藤氏自ら把握した情報との付き合わせを、誰よりも先頭を切って行うべきなのは第三者委員会よりも斎藤氏自体であると考えるが、いかがか。
第三者委員会側は斎藤氏の意図とは独立して同じことをじっくりと調査すればよい。知事として今なすべきは、県政の停滞を防ぐためにその辺りの不信感を一刻も早くぬぐい落す努力の方なのではあるまいか。第三者委員会の報告を待つ、という、当事者としてあまりにも悠長で、時間稼ぎが疑われるような姿勢はかえって斎藤県政への不信感を強めるだけであろう。
立花氏のSNS上の活動や知事選参入を抜きにして斎藤氏の再選はありえなかったはずである。民意の形成に大きな影響を与えたであろう立花氏の公開した情報に、仮に誇張や憶測、一方的な中傷誹謗が含まれていたとすれば、斎藤氏の再選自体が胸を張って正当化できるものではなくなるだろう。そしてこうした疑念がくすぶり続けている内は、県政の健全化には程遠く、兵庫県民は相変わらず県政の「蚊帳の外」に置かれたままであろう。
〇緊急対談・西田亮介×安野貴博 なぜ「マスゴミ」は石丸・玉木・齋藤現象を予測で
きなかったのか…! 現代ビジネス 週刊現代 2024.12.9
マスコミ側の問題点としてここで指摘されている点は参考になるだろう。
〇斎藤元彦兵庫県知事を再選に導いた立花孝志氏の3つの”ウソ”と『オールドメディ
ア』の犯した過ち FRIDAYデジタル 2024.12.3
〇NHK党立花氏公開の「プライバシー情報」 斎藤兵庫知事「本物かどうかわからな
い」 産経新聞 2024.12.2
これまた凄い展開。そもそも元県民局長が不倫等の問題を抱えていた事こそ、斎藤氏が告発文書をただの中傷と決めつけた最大の要因ではなかったのか。それなのに立花氏の公開した元県民局長のプライバシー情報を今更「本物かどうかわかならい」として、第三者委員会の設置を知事側が検討するとは一体どういうことなのだろう。
本来、非公開であるはずのプライバシー情報をウソを交えて公開してしまった立花氏の行為は明らかに法に触れる可能性がある。しかし非公開のプライバシー情報に基づいて元県民局長を内部通報者保護法の対象外とみなし、拙速にも処断した斎藤氏側も十二分に違法性があるだろう。齊藤氏の違法と思しき行為は見過ごされ、元県民局長だけが一方的に悪者と見なされている異様な現状が続いている。不可思議というほかあるまい。
多くの兵庫県民はまたしても県政の「カヤの外」に置かれてしまっている。有権者へはついに最後まで信頼できる情報が十分に与えられないまま、知事選が行われ、立花氏の真偽不明な「プライバシー情報」の公開が功を奏したことも手伝って斎藤氏は大差で再選を果たしている。つまり、いまだに元県民局長をめぐる事件は「藪の中」にあるまま、二期目の斎藤県政は既にスタートを切ってしまっているのだ。この不明朗過ぎる事態の進行ぶりに何やら釈然とせぬ思いを抱くのは私だけではあるまい。
最近の斎藤氏にかけられた公職選挙法違反の嫌疑といい、今回の件といい、副知事の人選を巡る混乱ぶりといい、すべてが真相不明のまま繰り返される騒々しいほどのマスコミ報道…相変わらず私たちは「兵庫県政の闇は深い」とぼやくほか術がない。
〇兵庫県知事選に見た選挙の根本的な問題 「自由競争ができる選挙にはなってない」
ライター・畠山理仁氏 AERA dot. 太田サトル 2024.11.30
ほぼほぼ同感である。現時点での妥当な落としどころではないだろうか。
〇兵庫知事選、稲村氏陣営のXアカウント凍結で刑事告訴へ 組織的に一斉通報か
神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2024.11.21
SNSの利用はもはや政治家にとっても必要不可欠であり、いかにして効果のある利用が出来るかで当落が決定しかねないのが、今日の選挙であろう。そんな時に立候補者側のXアカウントが二度も凍結されたという。どうやら稲村氏に対して組織的な選挙妨害が行われたと考えられる。これもまた兵庫県政の闇の深さを感じられる出来事だろう。裁判の行方を見守りたい。
〇立花孝志氏を刑事告訴、百条委の奥谷謙一委員長「虚偽のSNSで名誉毀損」…
出てこい奥谷」演説でも被害届 読売新聞 2024.11.23
現在、法廷で係争中ではあるが、都知事選でも某政党による凄まじい選挙妨害が見られた。立候補者ならば選挙期間中、何をしても構わない…のだろうか。会期中の議員不逮捕特権と同様、立候補者にも選挙期間中、何らかの正当性を欠くレベルでの特権があるように思えてくる。
そもそも奥谷氏の自宅前で敢えて演説し、「出てこい」と煽ること自体、明らかな違法行為ではないか。この段階で直ちに警察沙汰になってもおかしくはあるまい。ネットで煽り、賛同者が一定程度の数に達すれば平気で常識外れの事をしてさらに煽り立て、世間の注目を浴びる…まさにトランプの手法である。
そういえば学校や教育委員会を舞台にお下劣な事件を頻発させ、差別発言を繰り返す、あるいはテレビカメラの前で幼稚なウソをつく議員たちを生み出した神戸市はすでにトランプの支持基盤と同様の体質を抱えているのかもしない。
「…のトランプ」が世界中に出現してくるのかと思うと、空恐ろしい。授業では、望ましい選挙のあり方と望ましくない選挙のあり方についてそれぞれ生徒たちに列挙させ、アメリカ大統領選や都知事選、兵庫県知事選を「他山の石」としてもう一度振り返ってもらう必要があるだろう。
〇斎藤知事告発の県民局長「PCデータ」がSNS拡散したのはなぜ 側近に浮上した漏
洩疑惑 産経新聞 2025.1.7
兵庫県知事選を巡る混乱は元県民局長のプライベート情報がSNS上に流出した問題に起因する側面が大きいだろう。もちろん、出発点となったのは斎藤氏側の公益通報者保護違反への嫌疑となるだろうが、これは今後の解明に待つほかあるまい。
旭川の女子中学生凍死事件においても秘匿すべき第三者委員会の資料が二度にわたって流出し、遺族を再三にわたって苦しめてしまったことは記憶に新しい。資料の作成、保管に携わったのはごく限られた人数であり、流出させた極悪の犯罪者を絞ることは極めて簡単なはずなのに、この件は今もお構いなしとなっている。極めて不可解であり、残念なことである。
そもそも当該女子生徒を死に追いやった大きな原因の一つとされているのが、加害者側による性的な画像の流出であっただけに、再三にわたる第三者委員会資料の流出には許しがたい憤りを覚えるのだが、いかがだろう。これほどプライバシー保護の精神が執拗に蹂躙され続けた悪質な事件を私は他に知らないのだ。
本来ならば厳格に秘匿すべきプライベート情報を敢えて流出させて、被害者遺族を繰り返し脅迫し、同時に事件の隠蔽、沈静化を図る卑劣極まる犯罪が今もなお野放しにされている…こうした点にも旭川市の闇深さはある。だが、実はこれとまったく同じ事が兵庫県でも起きてしまっているのではあるまいか。
元県民局長のPCが個人の所有ではなく、公的に貸与されたものだからといって、それだけで個人情報を公開して良い、という結論にはなるまい。確かに元局長が公的に貸与されたPCを私的に利用した点は咎められる。だからといってPCの情報公開が直ちに認められるわけではなく、それが公益上、やむを得ないと第三者が判断した時に限り(たとえば法廷の場などで)限定的な公開が認められる、と考えるべきではないのか。基本的人権の尊重を日本国憲法の基本原理と認めるならば、プライバシー保護に関してその程度の配慮は必要だろう。
すなわち立花氏が選挙期間中に行ったことは元局長に対する違法な私的制裁に等しく、遺族の人権を踏みにじる犯罪行為そのものと考えるが、いかがか。
※参考動画
◎【字幕付】正義と悪!政見放送 立花孝志【兵庫県知事選2024】我らがタイガースのサンテレビ
版★パワハラした知事はテレビ歓迎され、パワハラしてない知事はテレビに嫌われる謎!裏側
には何が? まかろに情報局 2024/11/10 6:11
この立花氏の主張にはどんな根拠があるのか、具体的に明示されてはいない。百条委員会での報
告に斎藤氏のパワハラが無かった、という証拠は見られない。「ネットは正義、テレビは悪」と決
めつける根拠などそもそもあるわけがない。まさにトランプ並みの暴言の数々である。ところが兵
庫県民にはこの主張がおおかた、受け入れられてしまった。
授業ではまず彼の政見放送に対する感想をアンケートで書かせ、対立する意見を取り上げてディ
ベート形式で議論させると盛り上がるかもしれない。ただし告発文書問題の経緯をあらかじめ示し
ておく必要はある。事件の細部の真偽については各自ネットで調べさせたい。その際、おそらくネ
ット情報自体に大きな偏り、真偽不明の情報がかなり見られるだろう。「ネットは正義!」と叫ぶ
根拠なき立花氏の煽りにあっけなく乗せられない程度の心構えは兵庫県民でなくとも必要である。
〇百条委が兵庫県幹部の尋問映像公開、片山前副知事の「告発者の私的情報発言」は
音声を消して対応 読売新聞 2024.11.23
百条委員会側は片山氏の発言が故人のプライバシー侵害にあたると判断して尋問映像の一部を音声カットしたらしいが、それを立花氏が曲解し、一方的に隠蔽と決めつけて奥谷氏への個人攻撃を行ったものと考えられる。兵庫県民の多くが立花氏の発信を受け入れて斎藤氏に投票したとすれば、事は重大。
〇兵庫県の百条委 核心は公益通報への対応だ 読売新聞 の意見 2024.11.24
もう一度、この問題の原点に戻って考えた方が良いだろう。元県民局長による告発が公益通報にあたるのか、それとも斎藤県政への根拠の無い誹謗中傷にあたるのか…そもそも4月段階で公益通報窓口に提出された告発文書の中身に公益通報に該当する可能性が少しでも認められるならば、それ以前のマスコミ宛ての告発を巡る議論はほとんど意味をなさないだろう。故人の不倫等の問題が仮にあったとしても、告発内容に多少とも事実が含まれている可能性があるならば、故人は当然、公益通報者として保護されるべき人物であったことになる。本件に関しては故人の性癖等は一切、問われるべきではあるまい。
一つここで問題視すべきなのは故人のパソコンから個人情報を抜き出して公にリークした行為の方であろう。これは明らかに故人および遺族への重大なプライバシー侵害であり、まず厳しくその責任を問うべきである。当事者が単に辞職して済まされる話ではない。
もちろん立花氏による選挙期間中の奥谷氏への行為は百条委員会への恫喝であり、奥谷氏への名誉棄損でもあるだろう。また稲村氏の件もこれに絡んでくるが、いずれも法廷の場で裁かれる予定となっている。これらに関しては今後の裁判の行方を見守るしかあるまい。
気になるのは斎藤氏が知事選での勝利を背景に、いかにも禊が済んだかのような言動を見せ始めた点である。SNSによってあっけなく簡単に左右されてしまうような現状の脆弱な民意にはたして政治家を権威づけるほどの意味や力があるのだろうか…これは選挙制度の根幹にかかわる疑問であり、兵庫県に限った話ではあるまい。
問われるべき問題の核心は、政治家を選ぶために欠かせない国民の知る権利を国家がこれまでどれほど保障してきたのか、という点だと思うがいかがか。今回の知事選でも、耳目に入ってくる情報の中で何が信用できるのか、最後まで分からずに迷っている人が多かったようだ。この点に関してはSNS、マスコミ、学校教育の責任が大きいだろう。授業でぜひ注目させたいポイントである。
〇兵庫県元総務部長 死亡した元県民局長の私的な情報を個人的に所持 百条委員会が証
人尋問の録画を公開 読売テレビ 2024.11.22
凄い事実が明らかになりつつある。元総務部長は元県民局長のプライバシーを侵害し、押収したパソコンから引き出した情報を仲間と共有して故人を脅迫していた可能性まで出てきた。元県民局長の自殺は彼らが不倫などをネタにして故人を脅すことで斎藤氏のパワハラ問題などを口封じしようとしたことが主因なのかもしれない。仮にそうだとすれば、故人の不倫の真偽や是非とはまったく関係無く、斎藤氏側はただの犯罪者集団に過ぎないことになる
〇【速報】前知事の斎藤元彦氏が当選確実 期日前投票は過去最多、投票率50%超 不
信任・失職を経て出直し選挙で再選 兵庫県知事選
MBSニュース 毎日放送 によるストーリー 2024.11.17
さすが旧内務省出身者を選び続けた兵庫県民である。9月に県議会から総スカンを食らい、失職を余儀なくされた斎藤氏であるが、井戸県政への批判とNHK党立花氏の扇動を追い風に、政党の支援を受けられないという逆風をものともせず再選を果たしたようだ。再選の背景には乱立した対抗馬の不甲斐なさがあるだろうが、官僚出身者を偏愛してきた兵庫県民の体質もまた大きな要因と考えられる。
広島の安芸高田市は石丸氏が去った現在、かなり迷走を続けているようだ。対して兵庫県が今後、どうなっていくのか、極めて興味深い。とりあえずは斎藤氏への不信任を議決した兵庫県議会の解散と県会議員選挙が行われる次年度の動向を待ちたい。その結果次第では兵庫県政の行方が大きく左右されてくるだろう。
他方で、あろうことか、アメリカでトランプが再び大統領に当選し、大統領府の人事に大ナタを振るい始めている。齊藤氏が今後、どんな人事を行い、どんな県政を行っていくのが、県外から引き続き厳しい目で観察していきたい。
授業ではぜひ斎藤氏再選の要因について生徒たちに問うてみたい。特にSNSの影響力には注目すべきだろう。また、兵庫県政の行方についても議論させてみたい。
なお2023年度の都道府県別転出超過数の多いワースト3にかの広島県や兵庫県が入っているのは、これらの県の人口がそもそも多く、沢山の山間部を抱えているから、という答えももちろん考えられる。しかし本当にそれだけなのかは疑わしい。たとえば兵庫県のケースでは、神戸市から明石市への転出が多いことの理由まで考えあわせて検討した方が良いのではあるまいか。
○<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検
討 産経新聞 2024.8.29
内部告発者を自殺に追い込んだ、最大の原因となる卑劣な犯罪行為を斎藤知事らが行っていたことが分かりつつある。告発者のパソコンを押収し、個人情報を抜き取って漏洩させる…知事側のこうした動きが事実として確認できれば、知事側の動きが告発者を精神的に追い詰めたことは明らかだろう。しかしリコール運動の動きは今も表面化していない。もちろん、知事から引責辞任の声は聴かれないままである。
兵庫県の地方自治がいかに形骸化し、腐敗し切っているか、世間に広く知れ渡る残念な日々が続いている。実際、泉房穂氏が指摘するように兵庫県知事は60年以上にわたって天下り官僚が務めている。しかも戦争遂行に深く関わり、国民の人権抑圧に中心的役割を果たしてきた内務省、その解体後に発足した自治省、省庁改編後に登場した総務省の出身者ばかり(斎藤氏を含む5人)。これでは泉氏の言うように斎藤知事はもはや殿様気取りで執務に臨んでいるに違いあるまい。
しかし、こうした地方政治の堕落は安芸高田市や神戸市を先頭に今や全国的展開を見せている。画一的な管理主義を武器にして児童生徒の民主主義的精神を圧殺し、その芽を潰すことばかりに専念してきた日本の公教育が招いたこの惨状を変えることができるのは、やはり学校教育の根本的な改革でしかあるまい。
○【独自解説】“声を挙げた人”を保護する『公益通報者保護法』、死亡した元幹部職
員には適用されず…なぜ守れなかったのか?兵庫県・斎藤元彦知事が下した“不適切
な判断”を専門家が指摘 読売テレビ によるストーリー 2024.8.9
やや長い記事だが、 公益通報制度の概要がよく分かる。同時に斎藤知事のパワハラ的言動もよく分かる内容。
〇「県警に内部情報漏らした」 町が職員を懲戒処分 熊本・玉東
毎日新聞 2025.6.12
公益通報者保護への理解が不十分なため、公益通報を「裏切り」として断じてしまう風潮が兵庫県を皮切りに全国各地へ拡大していく恐れが出てきている。
○斎藤兵庫県知事のパワハラ告発の元局長死亡 「つるし上げる」と維新議員から糾弾
されていた AERA dot. 今西憲之 によるストーリー 2024.7.13
元局長自殺の一因となる動きが見えてきている。公務員としての守秘義務と内部告発、公益通報との難しい関係も察せられる。教師もまた公務上、生徒の個人情報に接する機会が多く、その情報を次年度の担任に伝える際、校務用のパソコンを使うべきなのか、私有のパソコンを使っても良いのか…おそらく多くの教師は校務用のパソコンを使用するだろう。守秘義務に関わる生徒のプライバシー情報を私有のパソコンに入力すること自体、避けるべきであるのは当然だからだ。
ならば今回のような問題が生じたとき、教師が使用した校務用のパソコンの情報を公の場で公開すべきだと言われたとしたら、それは誰もが拒否するに違いない。特にクラス担任が抱える生徒情報の一部は決して口外できない部類のものも少なからず含まれており、議場で公開して良いはずがない。…元局長の心中を察するに、胸が痛む教師たちは少なくないのでは…
○【パワハラ疑惑】兵庫・斎藤知事、証人尋問でパワハラ認めず「県民としてお引き
取り願う」県外からも「リコールしないの?」の声
SmartFLASH によるストーリー 2024.8.30
兵庫県議会は百条委員会を設けて知事のおねだり疑惑やパワハラ疑惑を追及するという、斎藤県政を改善するためのそれなりの努力と役割を果たそうとしている。しかし斎藤知事を選んだ責任はもっぱら兵庫県民にあるはず。したがって県政への当事者意識、主権者意識が普通にあればかなり早くから県民によるリコール運動が起きていたはずであり、民主主義の原則からすればリコール運動が起きない方が不健康だとすら考えられる。
もちろん、リコールを成立させるには沢山の署名を集める必要があり、かなりの時間、労力、費用を必要とするだろう。しかしこれほど酷い状態を招いた知事の言動をこれ以上、県民が看過するのはいかがだろう。国民主権を土台とする民主主義が兵庫県ではまったくの機能不全に陥っているとしか、考えようのない状況ではある。
泉房穂氏が指摘しているように、兵庫県知事は60年以上にわたり内務省、自治省、総務省官僚の天下り(斎藤氏を含む5人)が務めてきた。内務省は戦前、戦時中、国民の人権を抑圧して戦争遂行に協力した特高を擁する悪名高いお役所であり、そのためGHQによって戦後、解体されて自治省とされたが、実は特高のメンバーが戦後、警察学校の校長となるなど、その強権的体質にさほど大きな変化は無かったと見る立場もある。省庁改編で自治省の名前は総務省となったものの、結局は体質に大きな変化が見られなかったことは斎藤氏の強烈なパワハラ体質にうかがえるだろう。
そもそも60年以上も天下り官僚を何一つ疑うことなく知事として選び続けた兵庫県民の政治意識にも大きな問題を感じるのは私だけではあるまい。リコールの成否を問わず、斎藤県政に唯々諾々と従い続ける兵庫県民にはもはや不気味さ以外、何も感じるものは無い、とすら言いたくなるほどの県政の乱れぶりである。
過去、学校教育に関わる数々の異常な事件、不祥事を連発させてきた県都神戸市でも市民の動きは極めて不活発なものに見えていた。北海道の旭川市、札幌市でもしかり…どうやらこの状況は一部の地域に限られたものではなく、既に全国的なものなのかもしれない。だとすれば日本の民主主義は土台から崩壊しつつあるようだ。もしかすると日本の画一的で管理主義な学校教育がついには日本人の主権者意識、当事者意識を根こそぎ台無しにする負の効果を強烈に発揮し始めたのかもしれない。
〇「黙れ、一茂!」兵庫県知事問題で長嶋一茂が放った「県民批判」にブーイング殺
到 アサ芸biz によるストーリー 2024.9.30
長嶋氏の兵庫県民への批判的な見解は国民主権を土台とする民主主義の立場からすればむしろ極めて真っ当なものであり、これを問題視する報道側の方にも民主主義への理解不足があるような気がするのだが、いかがだろう。
ただし、日本では本当に国民主権、民主主義が十全な意味で機能しているのか、きちんと根本から問い直した時、誰もが兵庫県民ばかりを責めることは出来なくなるのではあるまいか。たとえば日本国民が憲法の定めるとおりに選挙権を有していたとしても、政治上の重要事項や候補者、政党に関する情報が十全なレベルで有権者へ伝えられていなければ、その選挙は民主主義的な選挙の条件を満たしているとは言えなくなるからである。また学校教育においてやはり何らかの原因で生徒たちの多くが政治の実態をしっかりと学んでこなかったとすれば、やはり民主主義は将来的にもその健全な機能を阻害されてしまうに違いない。
民主政治は多数の民意に基づいて行われるべきだ…などと世間では言われたりするが、マスコミや学校などが垂れ流す不十分な情報、偏った情報によって過半の民意が形成されてしまっているとすれば、民意はただの人気投票的な選挙の結果にのみ集約され、選挙結果がすべて、といわんばかりの洗脳による専制政治、ただのポピュリズムに直結してしまうのかもしれない。
この記事は現代の日本政治の危機的状況に迫る上で、ある意味、それなりに役立てることができるものであり、授業においては批判的な立場から扱うと面白いだろう。ぜひ、長嶋氏の意見とアサ芸の意見について賛否を問い、議論に持ち込みたい。
〇問われる兵庫県知事の公益通報“保護対象外”判断(大渕愛子弁護士)
労基旬報 によるストーリー 2024.10.6
公益通報制度自体の欠陥もあって元兵庫県知事のパワハラ等の問題は意外にも混迷を深めているようである。告発には真実相当性が無い、との元知事側の判断の正当性、根拠が、本来ならば法廷の場で様々な検証を経て厳密に問われるべきだろう。しかし遺族からの訴えが無い時点では当分の間、第三者委員会の調査結果を待つほかに真相究明の道筋は見えてこない。
リハック(2024.10.6)での元知事による発言で特に気になる点があった。自殺した元西播磨県民局長のコンピュータに記録されていた内容に「プライベートな内容でかつきわめて大きな倫理上の問題があった」ことが告発の真実相当性、公共性を十分に疑わせるものとした根拠の一つ、という点である。
元局長側には公に出来ないほどの倫理上の深刻な問題が潜んでいて元知事としてはその内容をここでつまびらかにする立場にはない、とのこと。口には出せないほど、元局長がいかに酷い、倫理的にもとる人間性の持ち主だったか、言外に匂わす、極めて政治的な発言であったように私は受け止めたのだが、いかがだろう。
ただし、それだけ重大な内容の報告があったにもかかわらず、部下がこれは知事の立場としては見ない方がよろしい、との進言に従い、元知事は直接、その内容を確認しなかったという。つまり、部下の報告に何ら疑いをさしはさむことなく、単純にも鵜呑みにしてしまった点に私は大きな疑念を持つ。しかも、その後も部下の報告を自らまともに確認することすらしないまま、分限に関わる重大な処分に踏み切る、という明らかな違法レベルの暴挙に打って出ている。
私たちはリハックでの元知事の発言を通じて元局長の極秘にすべき倫理的問題点がいかなるものだったのか、まったく分からないままに元局長の人間性への強い疑念を巧妙に植え付けられてしまい、反対にマスコミや県議会から袋叩きにあってしまった元知事への同情をいつの間にか刷り込まれてしまっているようである。
元局長の遺族にとっても決して公に出来ないような、個人の倫理的問題が本当にコンピュータの記録内にあったのか否か…現時点では部外者に不明のまま、明らかに故人への倫理面、人格面への深刻な中傷とも捉えられかねない発言が、大きな世論への影響力を持つリハックの中で元知事によってなされた、という事実が持つ意味は知事選を控えたこのタイミングの中で、計り知れない重みがあるのではあるまいか。
これはどうみても世論操作的発言であろう。公に出来ない事柄を根拠にして故人を批判する…元知事の立場としては決して許される言動ではなく、これ自体、故人及び遺族への強烈なパワハラである、といっても過言ではあるまい。常識的に見ても「死人に口無し」の状況では、公に出来ない、すなわち公に立証できない事で故人を批判し、中傷することは明白な禁じ手であり、卑劣極まりない行為である。
以上、とても知事という要職にあった者の言動とは思えない軽率さ,傲慢さを斎藤氏には感じる。リハックにおけるこの言動一つだけでも、斎藤氏の失職は不可避の出来事であるばかりか、刑事訴追の可能性をも考えてしかるべきレベルの卑劣な問題発言だろう。私としてはこの問題は法的権限に欠ける第三者委員会ではなく、司法の場で厳密に事実関係を明らかにしてから裁かれるべき案件だと思うが、いかがか。
〇「YouTubeに虚偽動画」 百条委委員の兵庫県議が削除請求
毎日新聞 によるストーリー 2024.12.9
ネット上では真偽不明、あるいは明らかに間違った情報に基づいて一方的に他人を誹謗中傷する事件が横行している。また個人のプライバシーを侵害するような情報を拡散させている、極めて悪質な事案もこの件では見られる。これら、ネット社会に特有の犯罪行為にどう対応すべきか、表現の自由、言論の自由との兼ね合いを考慮しつつ、真剣に考えていくべき段階だろう。
◎東京都は「黒塗り」、神戸市は「白塗り」…行政が秘匿し続ける公文書“のり弁”
問題の理不尽さ 集英社オンライン 2024.10.15
こうまでも国民の知る権利が蹂躙されていては選挙の際の判断材料が限定されてしまい、市民は行政の実態を十分に吟味できぬままに立候補者や政党のイメージばかりを手掛かりにして投票してしまいかねない。日本の民主主義を最も阻害しているのは神戸市や東京都で見られるような、行政側の「知らしめず、依らしむべし」の秘密主義、隠蔽主義であろう。
この秘密主義と隠蔽体質は学校教育にも貫徹しており、加えて利益、売り上げを最優先するマスコミの、行政に対する追及の甘さが事態をより深刻にさせているのではあるまいか。
いずれにせよ兵庫県と神戸市の闇は深い。