100.笠森観音の概要

~坂東三十三観音札所の第三十一番~

 

   千葉県長生郡長南町笠森にある寺院、天台宗別格大本山、坂東三十三箇所の第三十一番札所、山号は大悲山。寺伝によれば784年(延暦3年)に最澄(伝教大師)が楠の霊木で十一面観音菩薩を刻み安置し開基されたとされる古刹大岩の上にそびえる観音堂は四方懸造と呼ばれる構造で国指定重要文化財である。現在の建物は墨書銘から1579年(天正7年)から1597年(慶長2年)の間の再建とされている。他にも国指定重要文化財の鋳銅唐草文釣燈籠(室町時代)など多くの文化財も残されている。

 一説には観音菩薩は険しい山上、崖の上に姿を現すとされてきた。確かに県内の観音霊場も笠森の他、崖観音、三石観音など、多くが風光明媚な霊山にある。なお、笠森寺周辺の森林は古くから大切に保存されてきており、「笠森寺自然林」として国の天然記念物に指定されている。

 

 

子授けの楠

二天門(山門)

 

風神・雷神(二天門=山門に祀られている)

 

銅製宝篋印塔:延享元年=1744

 ただしこれは形態的には典型的な宝篋印塔とは若干異なり、やや塔身が寸詰まりのタイプに見える。下の石堂寺にある典型的な角柱宝塔型の銅製宝篋印塔と比べてみれば違いは歴然。もちろん、塔の形態に関わりなく宝篋印陀羅尼経を奉納したものならば「宝篋印塔」と呼ぶべきかもしれない。実際、市原市池和田の光明寺には宝筐印陀羅尼経を納めた笠付き角柱塔がある。

 

石堂寺宝篋印塔

 

手水鉢:宝永4年=1707

 

石灯籠:文政13年=1830

 

観音堂:安土桃山時代

 

 

 

 

 

 

 

経蔵

 

鐘楼

 

 

弁天池