§4.差別問題その4.天皇制と人権問題
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
参考動画
◎【皇室】分断を埋める存在?若い世代は違和感も?皇室は持続可能?イギリスでは
君主制廃止論も?|アベプラ
ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/05/10 16:49
人権が十分に保障されていない皇室が存在し続けている事の希少性こそが皇室の存在価値である、とする大空氏の意見には強い違和感しかない。それは現在の天皇や皇室の在り方がまさに「人権後進国」日本の象徴でしかないことを支持するような発言に聞こえてしまうからだ。
確かに外からはうかがい知れぬ、神秘のベールに包まれた皇族の人たちの、自由を奪われ、苦悩に満ちた声は直接、国民の耳に聞こえてくるわけではない。しかし民間から天皇家に嫁がれた皇后、皇太子妃の二代にわたるあまりにも長い精神的な失調を考えたとき、さらには秋篠宮家を巡る報道の異常ぶりを知るとき、天皇制がこのままで良いとは到底、思えないはずである。
ひたすら近代国家日本の政治的道具として犠牲になり、翻弄されてきた天皇家の過酷な歴史を私たちはもっと直視すべきではあるまいか。
〇【ひろゆき】いまさら聞けない天皇制の意義とは?【切り抜き】
ひろゆきの気になる動画【公認】 2021/01/15 1:16
岡田斗司夫氏とほぼ同じ意見。外交上、必要とされる「偉い人」が日本の場合、天
皇であることで極めてコスパが良くなっている…という両者の意見に対しては強い違和感を覚えてしまうが、いかがだろう。天皇を政治上、使い勝手の良い小道具と解するのは一見、合理的に見えて、実際には極めて不可解で大きな危険をともなう考えではないのか。このテーマはもっとしっかりと向き合うべき問題であり、議論すべき論点は他にもいっぱいあるはず。
〇【天皇】とは?なぜ偉い?日本に必要なのか?2600年前の誕生秘話から現在の仕事
まで分かりやすく解説 大人の教養TV 2021/02/11 25:03
偉い人による被災地の訪問や章典の授与自体、そもそも必要なのか、そもそも今の日本に「偉い人」は必要なのか、についてもしっかりと考察するべきだろう。また天
皇の仕事が激務であることが必ずしも天皇の存在を肯定する理由に直結するわけではあるまい。
ただ、天皇制を歴史的に概観する上ではそこそこ便利な動画ではある。しかしこの動画の物足りないポイントは昭和天皇の戦争責任と戦後の立ち位置、言動の是非に関する考察の欠如であろう。特にアメリカの占領政策への言及はこの動画のテーマからして必要不可欠ではあるまいか。
個人的には世間の風潮に忖度しすぎていて肝心な論点から目を背け、かなりごまかしている部分が大きいと感じる内容だと思うが、いかがだろう。
〇10分でわかる天皇:象徴天皇制と国民主権~前編~ /闇弁タケシ
岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】 2019/10/17 14:11
〇10分でわかる天皇:象徴天皇制の国事行為と恩赦~後編~ /闇弁タケシ
岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】 2019/10/18 10:29
弁護士である岡野氏の説明は当然、法的な解釈を軸とする。しかし恩赦の説明以外は突っ込みが甘く、物足りない印象は否めない。それがかえって天皇制を論じること自体をタブー視する日本の言論界の不自由さを際立たせている。
国家主権にかかわる重大問題を論じることがほぼ出来なくなっている日本社会の現状の異様さに私たちはもっと気付く必要があるだろう。
〇全日本人に見てほしい!天皇とは何か?|竹田恒泰×小名木善行
むすび大学チャンネル 2022/05/26 21:41
〇【日本の象徴】天皇とは何者か? 皇室に苗字がない理由とは!?
ガクの本棚 2022/06/20 9:04
「君が代」の解釈と同様、象徴天皇制に対してもこれまたきわめて珍妙な解釈が施されている。「むすび大学チャンネル」での竹田氏の説明がおおもとにあり、これに沿った解釈がおそらく最近のネトウヨ界隈における典型的な考え方の一つとなっているようだ。
視聴させるにはちょうど良い長さであり、ぜひ、現在の天皇制の役割について討論のテーマに据えてみたい。もちろん、できるだけ多様な意見が出ることが望ましい。
「現人神」としての天皇は戦後、否定され、「人間天皇」として、また日本国の象徴として新たに位置づけられた。しかし、確かにこの動画が指摘するように「象徴」がはたして何を意味するのかは極めて曖昧である。まずはこの「象徴」という言葉が何を示しているのか、議論させたい。その際、戦前の「国体観念」との関連性を考えておくことは必要不可欠。
また「古事記」などの神話に依拠した論説をどう評価するのかも問われるだろう。そのためにはどうしても戦前の天皇が果たした役割と日本国憲法の詳細な制定過程、昭和天皇の戦争責任論、退位論などを避けては通れまい。
当然、一定の結論に導くことは避けるべきであり、ここで大切なのは多様な考えがそれなりの説得力を持って存在することに気付く点にある。
なお今回のテーマは「君が代」問題と強く関連しておりり、「§3.学校教育編その3.君が代問題と検定教科書」と併せて授業を展開すると深堀できるだろう。
参考記事
◎皇位継承に「危機感」72% 女性天皇容認は90%
共同通信 によるストーリー 2024.4.28
女性天皇容認論は古くから存在してきた。賛否が分かれ、難しい議論となるのは女性天皇よりも女系天皇の方だろう。また、そもそも天皇制存続の是非自体、まずは問うべきだろう。批判を恐れてそうした根本的問いを発しないマスコミにもはや存在意義は無いのではあるまいか。
まずは天皇制存続の是非を問う質問を含めた皇位継承問題に対するアンケートを実施して、その結果に基づく議論を展開したいが、議論をする上であらかじめ知っておくべきことは多い。しかし、授業展開としては予備知識の講義を入れてしまうとあまりにも回りくどくなり、興味も半減するだろうから、いきなり予備知識なしでアンケートをとった方が生徒たちの関心を惹きやすいと考える。
予備知識は議論を深める上で必要なタイミングの時にその都度、教師が簡潔に解説した方がより適度なスピード感を保てるだろう。
◎コロナ禍で「自粛警察」をあそこまで突き動かした動機はなんだったのか?『ドラ
えもん』のエピソードを例に不平等の是正を求める人の心の真理を考察する
集英社オンライン 2024.4.21
◎社会的に優位な位置にいるはずのマジョリティが、自分より不利な位置にいるマイ
ノリティの成功を妬むのはなぜか? 集英社オンライン 2024.4.22
「嫉妬」の観点は差別や格差問題を考える際に不可欠となるだろう。天皇制を論ずる際にも欠かせない視点の一つと思われる。議論を深める上でもまずは「嫉妬」と社会正義との間に横たわる妙にモヤモヤする関係性に目を凝らしておきたい。
「ドラえもん」のエピソードはこうした問題を考えるきっかけとして確かにうってつけ。同時に白人による黒人への差別問題の根深さには白人側のどんな心理が潜んでいるのか、考える必要もあるだろう。
◎「雅子さまはずっと戦い続けてこられた」宮内庁幹部が告白する皇族たちの鬱的な
状況” 文春オンライン
「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.2.24
◎《「爺」「皿婆」…》上皇・上皇后へのネット誹謗中傷の深刻な実態 名古屋大・
河西秀哉氏が指摘――2023年読まれた記事
文春オンライン「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.1.9
討論の題材に使えるだろう。象徴天皇制の下では公人と私人としての皇族、それぞれの在り方はどうあるべきなのか、ぜひ問いかけてみたい。かなり刺激的な内容ではあるが、天皇制を深く考えていくための切り口として利用できそうな記事である。
◎《宮内庁幹部が告白》「雅子さまは人権侵害を受けてきた」適応障害を発症された
本当の理由――2023年読まれた記事
文春オンライン「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.1.8
◎佳子さま「皇室脱出計画」とその反動を占う…狙っているのは結婚ではなく
“正面突破”か(元木昌彦) 日刊ゲンダイDIGITAL 2023.8.20
皇室の人権をめぐる論議に一石を投じる記事。下の「AERA」の記事と比較して議論させたい。皇族の人権はどこまで尊重されるべきなのかをスタート地点にして、今の天皇制に改善点があるとすればどういう点なのか、今の日本に天皇制は必要なのか、その是非まで含めて根本から考えさせたい。
◎秋篠宮家はなぜ学習院を避けるのか 「道徳観が見えない」OGが抱き続ける世間と
のずれ AERA dot. 2023.8.12
◎宮家なのに“世俗的な上昇志向”に見えた 国民が皇室に求める「無垢」と「高潔」と
は AERA dot. 2023.6.11
現在の天皇制と皇族の人々を今まで以上に基本的人権の観点から見直す必要が強まってきているのだろう。はたして現在の皇族には皇室離脱の自由を含め、どれほどの基本的人権が認められているのだろうか、日本国憲法の規定と皇室典範には大きな齟齬が見られないのだろうか、「日本国の象徴」という抽象性の持つ残酷さに目を向けてみると、この国の極めて曖昧で異様な「民主主義」の在り方が浮き彫りになってくる…そんな気がするのだが、いかがだろう。
長女の結婚を巡る騒動をはじめとする秋篠宮家へのバッシングが生じてきた背景には一体、何があるのか、女系天皇制やら皇位継承問題が取りざたされる現在、しっかりと考えてみる絶好の機会が訪れている。「逆差別」という観点からも、日本の民主主義を根底からとらえ直す上でも、このバッシングは格好の素材であり、ぜひ討論の俎上にあげるべきテーマであるのは間違いない。
しかし議論を始めようとしてすぐに直面するのが、私たちの天皇制に対する知識の驚くほどの乏しさ、理解の浅さではあるまいか。たとえば天皇家の人々の名字をこれまで1000人以上、尋ねてきたが、実はこんな初歩的問題に対してすら、誰一人、答えられた生徒はいなかった。国歌とされる「君が代」の歌詞もまた誰一人、正確に書けた生徒はいなかった。もちろん「建国記念の日」はなぜ2月11日なのか、まともに答えられる生徒はやはり皆無。すなわち日本人の多くは最早、紀元節が日本国の誕生日とされていたことすらまともに理解できていない。
国民のほとんどが国家誕生の由来どころか国王の名前や国歌すら真面目に知ろうとしない…そんな異様な国は世界広しと言えども日本だけであることをまずは知るべきである。
ではなぜ私たちは天皇制に対してその本質的側面まで知ろうとしてこなかったのか、なぜ今まで理解を深めようとしてこなかったのか…学校教育を含め、問うべき点は多い。江戸幕府の「知らしめず、依らしむべし」のいわゆる愚民化政策、国家規模の隠蔽体質こそ、明治以降も手を変え品を変えて巧妙に受け継がれ、今や民主主義の空洞化、機能不全を招き、恐ろしいほどに腐敗させる元凶となっている…
情報公開や公文書管理が悲惨なレベルまでの杜撰さ、遅れを見せつけている一方で国家機密の保護だけは熱心に取り組んできたこの国の行く末は極めて危うい…秋篠宮家バッシングの一件を少しばかり考察するだけでもそう思えてこないだろうか。
AERAの記事は天皇家の基本的人権を一方的に蹂躙する、世に阿るだけの醜悪な記述に満ちていると思うが、いかがだろう。
◎佳子さま、「ジェンダー平等」スピーチの波紋 相容れない皇室制度との溝 宮内庁の
みならず秋篠宮さまも頭抱える
NEWSポストセブン によるストーリー 2023.11.5
参考文献
「DJヒロヒト」高橋源一郎 新潮社 2024
昭和天皇の肉声を聞きたい…公に書き記された史料では語られることのない歴史の実相に迫るには、歴史解明のカギを握る、今は亡き人々の肉声の断片を丁寧に拾い集め続けることしかないのかもしれない。しかしそれはどこまで可能なのだろうか。そしてそれが可能だったとして、歴史の深層にどれほど迫れるのだろう。
無論、アジア太平洋戦争解明のカギを握る昭和天皇及び同時代を生きた人々の、生の声に耳を傾けたいという切なる願いは決して叶えられるものではない。しかしながら決して叶えられない願いをすこしでも形に表そうとしたならば、それはフィクションとして、小説として記されるより他あるまい。
ほぼ同じ文章を繰り返したプロローグとエピローグとに挟まれた600ページを超えるこの長編から、作者の並々ならぬ意欲、決意の強さを感じ取ることができる。昭和天皇の肉声を聞きたい、いやそれ以上に昭和天皇が忖度なしに国民へ語り掛けたかったであろう思いに寄り添いたい…昭和天皇が敗戦後、国民に向けて本当に話したかったこととは一体、何だったのか…ラジオ全盛の時代を若者として生きた作家のはげしい思いが、あろうことか、DJとしての昭和天皇、という実に珍妙にして愉快かつ悲痛な虚構を生み出した。
天皇制が孕む非人間性と、それが生み出してしまった戦争…宮崎駿の世界と南方熊楠の世界…