§4.差別問題その4.天皇制と人権問題
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
参考記事
◎なぜ天皇は「自らの人生」を決められないのか…島田裕巳「皇位継承問題に欠けている
最も肝心なこと」 プレジデントオンライン 島田 裕巳 2025.8.9 個人的には民主主義を確立する上で天皇制を無くすべきだと考えるので、島田氏の考えに全面的には賛成できない。しかし天皇制存続の是非を問わない前提であるならば、島田氏の考えに全面的支持をしたい。
かつて昭和天皇が人間宣言をしたことを否定しない、とすれば天皇を含む皇族全員に基本的人権を保障すべきだろう。国籍条項の問題はあるが、原則として国民であるか、否かを問わず、皇族が人間であるならば、逮捕拘留等の特別な条件が無い限り、基本的人権は保障されなければなるまい。皇族が置かれている現状の不自然さ、非人間的扱いに対しては一刻も早く、改善すべきである。
参考動画
◎【皇室】分断を埋める存在?若い世代は違和感も?皇室は持続可能?イギリスでは
君主制廃止論も?|アベプラ
ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/05/10 16:49
人権が十分に保障されていない皇室が存在し続けている事の希少性こそが皇室の存在価値である、とする大空氏の意見には強い違和感しか覚えない。それは現在の天皇や皇室の在り方がまさに「人権後進国」日本の象徴でしかないことを支持するような発言に聞こえてしまうからだ。
確かに外からはうかがい知れぬ、神秘のベールに包まれた皇族の人たちの、自由を奪われ、苦悩に満ちた声は直接、国民の耳に聞こえてくるわけではない。しかし民間から天皇家に嫁がれた皇太后、皇后の二代にわたるあまりにも長い精神的な失調を考えたとき、さらには秋篠宮家を巡る報道の異常ぶりを知るとき、天皇制がこのままで良いとは到底、思えないはずである。
ひたすら近代国家日本の政治的道具として犠牲になり、翻弄されてきた天皇家の過酷な歴史を私たちはもっと直視すべきではあるまいか。
〇【ひろゆき】いまさら聞けない天皇制の意義とは?【切り抜き】
ひろゆきの気になる動画【公認】 2021/01/15 1:16
岡田斗司夫氏とほぼ同じ意見。外交上、必要とされる「偉い人」が日本の場合、天
皇であることで極めてコスパが良くなっている…という両者の意見に対しては強い違和感を覚えてしまうが、いかがだろう。天皇を政治上、使い勝手の良い小道具と解するのは一見、合理的に見えて、実際には極めて不可解で大きな危険をともなう考えではないのか。このテーマはもっとしっかりと向き合うべき問題であり、議論すべき論点は他にもいっぱいあるはず。
〇【天皇】とは?なぜ偉い?日本に必要なのか?2600年前の誕生秘話から現在の仕事
まで分かりやすく解説 大人の教養TV 2021/02/11 25:03
偉い人による被災地の訪問や章典の授与自体、そもそも必要なのか、そもそも今の日本に「偉い人」は必要なのか、についてもしっかりと考察するべきだろう。また天
皇の仕事が激務であることが必ずしも天皇の存在を肯定する理由に直結するわけではあるまい。
ただ、天皇制を歴史的に概観する上ではそこそこ便利な動画ではある。しかしこの動画の物足りないポイントは昭和天皇の戦争責任と戦後の立ち位置、言動の是非に関する考察の欠如であろう。特にアメリカの占領政策への言及はこの動画のテーマからして必要不可欠ではあるまいか。
個人的には世間の風潮に忖度しすぎていて肝心な論点から目を背け、かなりごまかしている部分が大きいと感じる内容だと思うが、いかがだろう。
〇10分でわかる天皇:象徴天皇制と国民主権~前編~ /闇弁タケシ
岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】 2019/10/17 14:11
〇10分でわかる天皇:象徴天皇制の国事行為と恩赦~後編~ /闇弁タケシ
岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】 2019/10/18 10:29
弁護士である岡野氏の説明は当然、法的な解釈を軸とする。しかし恩赦の説明以外は突っ込みが甘く、物足りない印象は否めない。それがかえって天皇制を論じること自体をタブー視する日本の言論界の不自由さを際立たせている。
国家主権にかかわる重大問題を論じることがほぼ出来なくなっている日本社会の現状の異様さに私たちはもっと気付く必要があるだろう。
〇全日本人に見てほしい!天皇とは何か?|竹田恒泰×小名木善行
むすび大学チャンネル 2022/05/26 21:41
〇【日本の象徴】天皇とは何者か? 皇室に苗字がない理由とは!?
ガクの本棚 2022/06/20 9:04
「君が代」の解釈と同様、象徴天皇制に対してもこれまたきわめて珍妙な解釈が施されている。「むすび大学チャンネル」での竹田氏の説明がおおもとにあり、これに沿った解釈がおそらく最近のネトウヨ界隈における典型的な考え方の一つとなっているようだ。
視聴させるにはちょうど良い長さであり、ぜひ、現在の天皇制の役割について討論のテーマに据えてみたい。もちろん、できるだけ多様な意見が出ることが望ましい。
「現人神」としての天皇は戦後、否定され、「人間天皇」として、また日本国の象徴として新たに位置づけられた。しかし、確かにこの動画が指摘するように「象徴」がはたして何を意味するのかは極めて曖昧である。まずはこの「象徴」という言葉が何を示しているのか、議論させたい。その際、戦前の「国体観念」との関連性を考えておくことは必要不可欠。
また「古事記」などの神話に依拠した論説をどう評価するのかも問われるだろう。そのためにはどうしても戦前の天皇が果たした役割と日本国憲法の詳細な制定過程、昭和天皇の戦争責任論、退位論などを避けては通れまい。
当然、一定の結論に導くことは避けるべきであり、ここで大切なのは多様な考えがそれなりの説得力を持って存在することに気付く点にある。
◎“夫婦同姓”民法改正すべき 国連委員会が4度目の勧告
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/10/30 0:53
生徒たちには4回目の勧告を日本政府はどう受け止めるのか、予想させたい。また皇室典範のどの部分がジェンダー平等の原則に違反するのか、違反するとして国連の勧告に日本はどう対応すべきなのか、意見を募りたい。
なお今回のテーマは「君が代」問題と強く関連しておりり、「§3.学校教育編その3.君が代問題と検定教科書」と併せて授業を展開すると深堀できるだろう。
参考記事
◎【速報】靖国神社に「Toilet」と落書き 中国籍の男(29)に懲役8か月の実刑判決
東京地裁 日テレNEWS NNN 2024.12.25
たとえば落書きされた神社が地元の小さな神社でも同様の判決が出るのだろうか、ぜひ、生徒たちに予想させてみたい。仮に靖国神社だから罪が重く、それ以外の神社ならば罰金刑レベル…だとしたら東京地裁の判決は明らかに差別的であり、不当判決だろう。
懲役8か月の実刑判決の重みには、何か日本国民をも威嚇する、いやらしい国家主義的発想を感じてしまうのだが、いかがだろう。日本の刑法にも中国や北朝鮮の様に国家侮辱罪的な規定があるのならともかく、今更、旧刑法の不敬罪のような発想で神社への落書きを重く罰するのはいかがだろう。
老婆心ながらついでに言わせてもらうと、こんな判決が出るのならば、道路沿いの壁にスプレーで落書きした不届きな連中にも重い罪を課したくなる…そんな底意地の悪い不寛容な気分が国民の間に充満してしまわないだろうか。
◎日本の皇位継承が国連勧告を受けるという恥をかかせた元凶…明治時代「男系男子限
定」に誘導した人物の名前 プレジデントオンライン 高森 明勅 2024.11.22
天皇制自体の是非はさておき、現在の皇位継承のあり方が男尊女卑に基づくものであることは言を俟たないだろう。高森氏の論説は極めて明快であり、国民や衆議院議員へのアンケート結果を用いて冷静に現状を批判している。皇位継承をめぐる各種の議論の中では最も説得力を感じる。
議論の前半では生徒たちにこの記事を紹介しないでおきたい。討論の終わりの方、議論を整理するタイミングで取り上げるべきだろう。
◎巡業の土俵でくも膜下出血!市長を救命した女性看護師に「下りろ!」/スポーツ
界を揺るがせた「あの大問題発言」アサ芸プラス によるストーリー 2024.11.5
非常に刺激的な話題であり、議論が活性化しやすい事件であるので、とりあえず当時の相撲協会の対応に対する意見を生徒たちから募ってみたい。
この記事のポイントは相撲界が当初から純粋に女性差別的な姿勢を取っていたわけではなく、明治になってから神道などの影響を受けて急激に女人禁制的な姿勢を取り出した、という点であろう。
天皇制もまた古来、数は多くないが女性天皇はいた。日本が男性天皇に強くこだわり始めたのも、やはり明治になってからであった。あたかも男性天皇が不変の護持すべき伝統であるかのような物言いは極端な主張と言って良いだろう。
同様に大相撲で女性が土俵に上がることを禁止する現在のルールは全面的に古来の伝統にのっとったものとはいえず、あくまで旧民法の男尊女卑の規定に基づいた、近代の産物にのっかっているだけである。当然、見直す余地は十分にあるだろう。
◎国連女性差別撤廃委、日本に夫婦別姓の導入を勧告 皇室典範の改正も
朝日新聞社 によるストーリー 2024.10.29
日本の女性差別は国連から過去、再三にわたって批判されてきたが、ついに皇室典範が定める男系天皇制にも批判が向けられた。
また日本の内部通報制度の不備も指摘されている。「勧告では人権侵害された個人が国内で救済されない場合に国際機関に訴えられる個人通報制度を定める「選択議定書」の批准も求めた。条約の実効性を高める狙いがあり、条約の締約国189カ国のうち115カ国が批准している。」という指摘は兵庫県などでの事件を考える上で極めて重要なポイントであろう。
総じて「人権後進国」日本の現状は世界から見れば「日本が近代国家、経済大国であることを考えると驚くべきこと」なのである。この事実をまずは日本政府が正面から謙虚に受け入れるべきであると考えるがいかがか。
〇葛城奈海氏「国家の基本崩すな。毅然とスルーを」 国連女性差別撤廃委の皇室典範
改正勧告 産経新聞 2024.10.30
「国家の基本」とは一体、どこにあるのだろうか。憲法で「国民主権」とされている原則こそ、国家のあり方の基本ではないのか。ぜひ葛城氏らの主張に対して生徒たちの意見を募りたい。もちろん、国連の勧告だからと言ってそれに盲従する必要はまったくないのだが、日本国憲法の基本原則までをも無視することはいかがか。
◎官房長官、皇位継承巡る国連委勧告に抗議 「国家の基本に関わる」
毎日新聞 によるストーリー 2024.10.30
女性差別的な皇位継承のルールを日本自ら見直す努力すらせず、国連からその是正を勧告されると直ちに「内政干渉だ!」とばかりに反発する日本政治の貧弱さには呆れるほかあるまい。政治家として国外からの内政干渉を云々したいのならば、真っ先にアメリカによる内政干渉をこそ話題にすべきだろう。
皇位継承における女性差別のルールが実は「国家の基本に関わる」という理屈らしいが、それはあたかも女性差別こそ、日本という国家の基本原理である、と開き直っているに等しい。国連側からすればまったく理解不能で耳を傾ける価値などどこにも見出せない、屁理屈だろう。
女性議員の圧倒的少なさ、女性の平均賃金の低さ、夫婦別姓の選択すら許されず、世界的に見れば異常に高い日本女性の自殺率と貧困…先進国内で男女平等度が最も低い日本という国の元凶の一つは、まさに「国家の象徴」たる皇室でのあからさまな女性差別の残存にあるのではあるまいか。敢えて言えば、女性を徹底的に排除する現在の皇位継承制度こそ女性差別国家日本の象徴たるにふさわしい制度、ではあろう。
皇位継承について「国家の基本に関わる事項であり、皇位に就く資格は基本的人権に含まれていない」と林官房長官は説明したという。ここに、皇族の基本的人権といえども、そもそも「国家の基本」という観点からは厳しく制約を受けるものに過ぎない、という政府の高圧的考え方が露呈している。何よりも優先的に尊重されるべき基本的人権すらも、この考え方からは「国家の基本」という曖昧な観念によって皇族のみならず、日本国民の人権までが国家によって一方的に蹂躙されてしまう危険性をも感じてしまうのだが、いかがだろう。
現に民間人の女性が皇族に嫁いだ瞬間、彼女の名字は有無を言わさずに剥奪され、国民もまた結婚後の名字を女性側が単独で選ぶ権利すら認められていない。何やら名字に関しては、古代、天皇が臣民に賜与していた氏姓制度の時代の発想がいまだに生き残っているように感じられてしまう。そもそも民主主義の現代社会において名字とは、主権者たる国民が主体的に名乗るべき筋合いのものではないのか。
日本が本気で男女平等を前進させたいのならば、率先垂範、日本国の象徴たる天皇家において、まず国民にも、国連にも分かりやすいレベルでの男女平等を推進すべきであると私は考える。
◎天皇制や原発問題もテーマに 朝ナマ、タブーに挑戦もスタッフが口ごもってしま
い… 話の肖像画 ジャーナリスト・田原総一朗<23> 産経新聞 2024.10.24
かの「朝生」ですら取り上げることにかなりの勇気を必要としたのが原発と天皇制の話題だという。この二つのテーマがテレビ局の運営自体にまで破壊的な影響を及ぼしかねない…という日本の現状の闇深さをぜひとも生徒たちには知っておいてもらいたい。授業ではなぜ、この二つがマスコミにおいてこれまで長くタブー視されてきたのか、議論させよう。いずれも日本国民の生命財産を脅かし、主権を危うくさせる大きな危険性をはらむテーマであり、見て見ぬふりはできないテーマである。
とりあえず議論の行く末は、民主主義が成立するための条件として必須の国民の知る権利の保障がはたして十分なレベルで実現しているのか、否か…に関する検証に強くつながってくることが予想される。
すなわち日本という国家が学校教育やマスコミ報道などを通じて実際に国民の知る権利を十分に保障してきたのか、否か、この点こそが今、厳しく問われなければなるまい。したがってこの二点のテーマを扱う際には過去、再三、繰り返されてきた東電や動燃などによる原発の事故隠しをどうとらえるのか、「君が代」を含め、国民は天皇制の実態とあり方について学校教育やマスコミ報道を通じてどこまで知っており、またどこまで自由に議論できていたのか…といったような具体的で綿密な歴史的検証が必要とされてくるだろう。
当然、原発導入時の経緯、天皇制存続の理由、二つのテーマに対する歴代内閣のスタンスも問われる。特にこれらのテーマに対するアメリカ側の関与の内容と関与の度合いは主権国家日本の内実をも問われかねない、最も闇深いテーマに太く、深くつながってくるに違いない。
二つのテーマの検証を通じて私たちはあらためて日本という国家が本当に主権国家たりえているのか、本質的な意味において日本国民には十分な主権がある、といえるのか、についての疑問を持たざるを得なくなるはずである。しかし、これらのテーマに関してはとりわけ戦後史の闇が濃く、深く立ち込めている。
ということは逆に言えば、少なくとも現在にいたるまで日本国民の知る権利は肝心な部分で大きく制限されており、結果的に日本国民の主権も大きく制約を受けてきている…という結論に落ち着いてくるのではあるまいか。
※参考記事
〇あの日、黒い津波は女川原発まで80センチに迫った 「ぎりぎり。あと少しで福島と同じに…」
東京新聞 2024.10.30
福島原発の事故は映画にもなって多くの人が知るところとなったが、女川原発があと80セン
チメートルほどまで津波が迫るなどといった福島と大差ない状況に近づいていたことは余り知ら
れてこなかったのではあるまいか。「…2号機では、海とつながった潮位計の設備を通じて海水が
流入し、非常用ディーゼル発電機2台が使えなくなった。1号機は電源関連の設備が壊れて火災が
発生。外部電源を喪失し、非常用発電機に頼った。」というのだから恐ろしい限りだ。
なぜ、女川原発の、これだけの危機が報道を通じて周知されないまま、当時、同所が364人も
の住民の避難先であり続けたのか…本来ならば厳しく東北電力の責任を厳しく問うべきだったは
ずである。そしてこれらの事が判明してきた中で女川原発が再稼働することの是非は、はたして
東北電力から周辺住民に対して隠し事なく詳しい説明がしっかりとなされてから、十分な時間と
丁寧な協議を重ねて繰り返し検討されていたのだろうか…どうも怪しい限りである。
◎政府「適当でない」女性差別撤廃目指す国連委員会が皇室典範も議題に
テレ朝news によるストーリー 202.10.19
男系優先の皇位継承を定めた皇室典範は男女の本質的平等を謳った憲法の精神からかなり逸脱する側面があるのは否定できないだろう。
とは言え、皮肉っぽく考えると、天皇が日本国、日本国民統合の象徴であるという憲法の条文を踏まえれば、現在の皇室典範こそある意味で人権後進国、男女格差トップレベルの国家日本の最も象徴的な存在と捉えられるかもしれない。
しかしながら過去、人権問題で再三、国連から批判されてきた日本である。既に遅すぎた感は否めぬものの、日本という国家が大きく変わるべき時、国家の象徴としての天皇や皇族のあり方もまた世界の大勢に合わせて変えていくべきである。
これまで頑なに人権問題に対して消極姿勢を取り続けてきた日本政府の劣弱な立場からすれば、いまさら国連に対して内政干渉とばかりに感情的な反発をしている場合ではあるまい。恥知らずにもほどがあろう。
いや、この反応もまた見事に「超高齢化国家」日本を象徴する「老害政治家」の面目躍如といったところか。
◎皇位継承に「危機感」72% 女性天皇容認は90%
共同通信 によるストーリー 2024.4.28
女性天皇容認論は古くから存在してきた。賛否が分かれ、難しい議論となるのは女性天皇よりも女系天皇の方だろう。また、そもそも天皇制存続の是非自体、まずは問うべきだろう。批判を恐れてそうした根本的問いを発しないマスコミにもはや存在意義は無いのではあるまいか。
まずは天皇制存続の是非を問う質問を含めた皇位継承問題に対するアンケートを実施して、その結果に基づく議論を展開したいが、議論をする上であらかじめ知っておくべきことは多い。しかし、授業展開としては予備知識の講義を入れてしまうとあまりにも回りくどくなり、興味も半減するだろうから、いきなり予備知識なしでアンケートをとった方が生徒たちの関心を惹きやすいと考える。
予備知識は議論を深める上で必要なタイミングの時にその都度、教師が簡潔に解説した方がより適度なスピード感を保てるだろう。
◎コロナ禍で「自粛警察」をあそこまで突き動かした動機はなんだったのか?『ドラ
えもん』のエピソードを例に不平等の是正を求める人の心の真理を考察する
集英社オンライン 2024.4.21
◎社会的に優位な位置にいるはずのマジョリティが、自分より不利な位置にいるマイ
ノリティの成功を妬むのはなぜか? 集英社オンライン 2024.4.22
「嫉妬」の観点は差別や格差問題を考える際に不可欠となるだろう。天皇制を論ずる際にも欠かせない視点の一つと思われる。議論を深める上でもまずは「嫉妬」と社会正義との間に横たわる妙にモヤモヤする関係性に目を凝らしておきたい。
「ドラえもん」のエピソードはこうした問題を考えるきっかけとして確かにうってつけ。同時に白人による黒人への差別問題の根深さには白人側のどんな心理が潜んでいるのか、考える必要もあるだろう。
◎「雅子さまはずっと戦い続けてこられた」宮内庁幹部が告白する皇族たちの鬱的な
状況” 文春オンライン
「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.2.24
◎《「爺」「皿婆」…》上皇・上皇后へのネット誹謗中傷の深刻な実態 名古屋大・
河西秀哉氏が指摘――2023年読まれた記事
文春オンライン「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.1.9
討論の題材に使えるだろう。象徴天皇制の下では公人と私人としての皇族、それぞれの在り方はどうあるべきなのか、ぜひ問いかけてみたい。かなり刺激的な内容ではあるが、天皇制を深く考えていくための切り口として利用できそうな記事である。
◎《宮内庁幹部が告白》「雅子さまは人権侵害を受けてきた」適応障害を発症された
本当の理由――2023年読まれた記事
文春オンライン「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.1.8
◎佳子さま「皇室脱出計画」とその反動を占う…狙っているのは結婚ではなく
“正面突破”か(元木昌彦) 日刊ゲンダイDIGITAL 2023.8.20
皇室の人権をめぐる論議に一石を投じる記事。下の「AERA」の記事と比較して議論させたい。皇族の人権はどこまで尊重されるべきなのかをスタート地点にして、今の天皇制に改善点があるとすればどういう点なのか、今の日本に天皇制は必要なのか、その是非まで含めて根本から考えさせたい。
◎秋篠宮家はなぜ学習院を避けるのか 「道徳観が見えない」OGが抱き続ける世間と
のずれ AERA dot. 2023.8.12
◎宮家なのに“世俗的な上昇志向”に見えた 国民が皇室に求める「無垢」と「高潔」と
は AERA dot. 2023.6.11
現在の天皇制と皇族の人々を今まで以上に基本的人権の観点から見直す必要が強まってきているのだろう。はたして現在の皇族には皇室離脱の自由を含め、どれほどの基本的人権が認められているのだろうか、日本国憲法の規定と皇室典範には大きな齟齬が見られないのだろうか、「日本国の象徴」という抽象性の持つ残酷さに目を向けてみると、この国の極めて曖昧で異様な「民主主義」の在り方が浮き彫りになってくる…そんな気がするのだが、いかがだろう。
長女の結婚を巡る騒動をはじめとする秋篠宮家へのバッシングが生じてきた背景には一体、何があるのか、女系天皇制やら皇位継承問題が取りざたされる現在、しっかりと考えてみる絶好の機会が訪れている。「逆差別」という観点からも、日本の民主主義を根底からとらえ直す上でも、このバッシングは格好の素材であり、ぜひ討論の俎上にあげるべきテーマであるのは間違いない。
しかし議論を始めようとしてすぐに直面するのが、私たちの天皇制に対する知識の驚くほどの乏しさ、理解の浅さではあるまいか。たとえば天皇家の人々の名字をこれまで1000人以上、尋ねてきたが、実はこんな初歩的問題に対してすら、誰一人、答えられた生徒はいなかった。国歌とされる「君が代」の歌詞もまた誰一人、正確に書けた生徒はいなかった。もちろん「建国記念の日」はなぜ2月11日なのか、まともに答えられる生徒はやはり皆無。すなわち日本人の多くは最早、紀元節が日本国の誕生日とされていたことすらまともに理解できていない。
国民のほとんどが国家誕生の由来どころか国王の名前や国歌すら真面目に知ろうとしない…そんな異様な国は世界広しと言えども日本だけであることをまずは知るべきである。
ではなぜ私たちは天皇制に対してその本質的側面まで知ろうとしてこなかったのか、なぜ今まで理解を深めようとしてこなかったのか…学校教育を含め、問うべき点は多い。江戸幕府の「知らしめず、依らしむべし」のいわゆる愚民化政策、国家規模の隠蔽体質こそ、明治以降も手を変え品を変えて巧妙に受け継がれ、今や民主主義の空洞化、機能不全を招き、恐ろしいほどに腐敗させる元凶となっている…
情報公開や公文書管理が悲惨なレベルまでの杜撰さ、遅れを見せつけている一方で国家機密の保護だけは熱心に取り組んできたこの国の行く末は極めて危うい…秋篠宮家バッシングの一件を少しばかり考察するだけでもそう思えてこないだろうか。
AERAの記事は天皇家の基本的人権を一方的に蹂躙する、世に阿るだけの醜悪な記述に満ちていると思うが、いかがだろう。
◎佳子さま、「ジェンダー平等」スピーチの波紋 相容れない皇室制度との溝 宮内庁の
みならず秋篠宮さまも頭抱える
NEWSポストセブン によるストーリー 2023.11.5
◎「国民は鉄砲玉として使われ紙くず同様になる」 阻まれ続ける空襲被害者の国家補
償 テレ朝news によるストーリー 2024.8.15
天皇や指導層の戦争責任を日本人自ら厳しく問わなかった結果として敗戦の責任はほぼアメリカの占領政策に沿った形で軍部や国民などに偏って押し付けられた。かたや児玉誉士夫のようにA級戦犯とされながら裁かれることもなく、戦後、その豊富な資金力と右翼、暴力団との深いつながりを利用して戦後最大のフィクサーとして日本社会に君臨したような人物が少なからず存在していた。
そうした無責任体制によって空襲被害者への謝罪と賠償すらまともに行ってこなかった歴代日本政府の姿勢は日本社会全体にも戦争への真摯な反省を欠く官民の言動の横行を許してきた。現在の天皇制がそうした無責任体制の中核となってきた側面は否めないだろう。
「国民は鉄砲玉として使われ紙くず同様になる」…そんな国家に民主主義が根付くはずはない。
参考文献
「DJヒロヒト」高橋源一郎 新潮社 2024
昭和天皇の肉声を聞きたい…公に書き記された史料では語られることのない歴史の実相に迫るには、歴史解明のカギを握る、今は亡き人々の肉声の断片を丁寧に拾い集め続けることしかないのかもしれない。しかしそれはどこまで可能なのだろうか。そしてそれが可能だったとして、歴史の深層にどれほど迫れるのだろう。
無論、アジア太平洋戦争解明のカギを握る昭和天皇及び同時代を生きた人々の、生の声に耳を傾けたいという切なる願いは決して叶えられるものではない。しかしながら決して叶えられない願いをすこしでも形に表そうとしたならば、それはフィクションとして、小説として記されるより他あるまい。
ほぼ同じ文章を繰り返したプロローグとエピローグとに挟まれた600ページを超えるこの長編から、作者の並々ならぬ意欲、決意の強さを感じ取ることができる。昭和天皇の肉声を聞きたい、いやそれ以上に昭和天皇が忖度なしに国民へ語り掛けたかったであろう様々な思いに寄り添いたい…昭和天皇が敗戦後、国民に向けて本当に話したかったこととは一体、何だったのか…ラジオ全盛の時代を若者として生きた作家のはげしい思いが、あろうことか、DJとしての昭和天皇、という実に珍妙にして愉快かつ悲痛な虚構を生み出した。
天皇制が孕む非人間性と、それが生み出してしまった戦争…宮崎駿の世界と南方熊楠の世界…結果的には天皇制の闇は深く、濃く視界を遮り続ける。高橋氏であっても昭和天皇に関しては踏み込めない世界がいかに巨大であったか、痛感せざるを得なかったに違いない。おそらく読者としても「隔靴掻痒」のじれったさは最後まで拭えないだろう。
学校、天皇制を含めた日本社会の隅々に巣くう隠蔽体質、公文書を代表とする歴史資料への扱いのぞんざいさ、ひたすら権力に阿るマスコミと公教育の存在こそが日本の市民の判断力を奪い、民主主義を台無しにしている諸悪の根源ではあるまいか。