㉞2年生の学級担任

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

イ.2年生の学級運営

 2年生になると生徒達は学校生活にも慣れてきてある程度まで自主的に動けるようになってきている。1年生の時と違って手取り足取りの指導は不要となってくるだろう。しかし多くの学校は2年の秋に体育祭(球技大会)、修学旅行が連続する。さらに部活動の大会(新人戦)も重なってくるので担任にとっても過密なスケジュールになることを見越した、早めの計画性が必要とされる。2年生もまた文化祭の準備は4月早々から始めた方が良い。

 

 大抵は2学年の前半に楽しい行事が続くのでクラスの雰囲気が暗くなる心配はほとんど不要。1年生の時の経験が活かされれば大抵の行事は大きな失敗をしない。だからこそ1年生での文化祭の体験は貴重であり、1年での担任の役割も大きい。

 逆に1年生の時に文化祭などがイマイチの結果に終わり、ギクシャクしてしまったクラスの生徒が多くいる場合、担任は1年生の時と大差ない、丁寧な働きかけをする必要が出てくる。

 

 3年間の文化祭の成否は1年生での体験にかかっていると言っても過言ではない。学校生活の一番の楽しい思い出として生徒達が挙げるのは何と言っても修学旅行や文化祭、体育祭、そして部活動である。その中でクラスの雰囲気を決定的に左右するのはクラス単位で行われる学校行事。クラスを協力的でイジメの少ない、明朗快活な雰囲気にしていく上で文化祭などの学校行事が果たす役割は極めて大きい。

 

 問題は修学旅行を終えた後半戦。楽しい行事が続いたのでクラスの雰囲気は明るいだろうが、そろそろ進路という厄介で大切な課題に目を向けさせる必要が出てくる。

 2年の11月に就職指導を始める学校があるくらい、この時期はあらゆる面で大きなターニングポイントになる。

 

 特に就職する生徒はあと一年半ほどでそれまで長かった学校生活に別れを告げて社会に出て働く・・・経済的自立という人生上の大きな飛躍が課されるのだから、気持ちの面でひるんでしまう生徒は多い。しかし学校生活と労働社会とは連結する要素が沢山あったことにまずは気付かせたい。遅刻せずに通学する、部活で心身を鍛える、多少退屈であっても授業などでの学習を地道に重ねる、学校行事でチームワークを作る・・・これらの経験はすべて社会に出て働いていく上でも役立つ事である。

 

 まずは2度経験してきた文化祭での共同作業を出来るだけアリアリと思い出させてみよう。それぞれの個性を活かした役割分担、作業の手順、共同作業の難しさ、必要とされるコミュニケーション能力、装飾やプレゼンの工夫、接客や会計の煩雑さetc・・・「働く」ということを文化祭での体験を通じて出来るだけ具体的にイメージさせ、箇条書きでまとめさせたい。

 この課題は就職希望者に限らず3年生でのAO入試や推薦入試での面接対策にもつながる。もちろん就職試験での作文や面接に向けての準備にもなる。

 できれば成功体験だけではなく、失敗した、苦労した、反省したこともしっかり思い出し、その時にどのようにして困難を乗り越えようとしたのか、時間をかけて考えておくことは極めて重要である。

 

 進路を考えるための材料はまず身近な事柄、自分の経験から探し出すことが肝要。これが十分に出来ていないと後々、面接試験の際に具体的で説得力のある話が出来ずに困るだろう。

※面接試験では抽象的なきれい事を暗記してスラスラ話せる生徒が必ずしも高い評価を得られるわけで

 はない。自分の体験に根ざした、具体的で説得力のある話が生き生きと語れるかどうかが合否の分か

 れ目になることも多いと考える。

 

 学校行事への取り組みは高校生活の前半を振り返り、良かったこと悪かったことを整理して他人に説明するための重要な土台となる。面接試験で頻出の「あなたが高校時代に最も力を入れて取り組んだことは何ですか?」、「あなたの高校生活で最も印象に残ったことは何ですか?」、「あなたの長所と短所を教えてください」といった質問への具体的で個性的な答えを用意することにもつながる。

 

 進路を決めるという人生の重大な岐路に差し掛かる生徒達にとって高校生活の意義を2年生の後半でしっかりと見直しをさせることは残り一年余りとなった高校生活をより一層有意義なものにしたいという意欲をもかきたてる事につながるだろう。

 

 よく言われる「中だるみの2年生」と形容されるような状況が年度末まで続くようでは自他共に納得できる進路決定は難しくなる。

 2年の後半は冬休み、LHR、総合学習の時間等をフルに使い、じっくり時間をかけて真剣に自分の進路を考えさせておきたい。