㉒ユーチューバーの告発

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・口コミサイト「みんなの高校情報:尼崎市立尼崎双星高等学校の口コミ

 昨年、話題になったユーチューバー「天才むかたん」の高校への突撃取材。多くの高校生も知っているはずのこの件で学校側がとった不自然で異様に見える対応は学校の部外者からすれば理解に苦しむものかもしれない。本来、不登校生徒やイジメ問題の直接的対応をすべきクラス担任や学年主任の顔や動きがまったく見えてこない点にもこの異様さは感じられるだろう。撮影当日、対応したのは直接の当事者を排除し、二人の教頭となった。

 管理職が表に出て対応するケースとは大抵、教師、学校側の不祥事が発覚し、マスコミからの取材が予想されるケースが多い。つまり何らかの厳しい情報統制を行って学校が「悪目立ち」しないよう、慎重な対応を行おうとしているケースである。この場合、背後で教育委員会の意向や校長の判断が働いているものと考えてほぼ間違いは無い。

 とは言え不登校の生徒が最も切実に求めているのはどうやら当事者同士の話し合いであった。このためカメラの前での不用意、不穏当な当事者達の発言を極端に恐れる管理職との話し合いは平行線を辿るしかなかった。管理する側の本音からすれば、必ずしも信用できず、統制も難しい当事者(平教師や生徒、保護者)同士の話し合いは感情的な言動の応酬に発展するかもしれず、不測の事態を招きかねない。特にその結果として学校や管理職の評判、評価が悪化する事を彼らは最も恐れているからである。確かに校長が臨席する場でそのような事態に発展した場合には校長の地位、身分をも揺るがすことになるかもしれない。

 従って「教師や生徒達を世間の好奇の目から守る」、「イジメを行う者も含めた自校の生徒達や保護者、あるいは部下である教師を無責任なマスコミ取材から庇う」という口実のもとに、多くの管理職はなるべく本当の当事者を表に出そうとはしない。良く言えば教職員のみならず、イジメを行った側の当事者をも世間による猛烈なバッシングから「匿っている」のである。

 当然、石田氏の指摘した通り、それらの対応は教師や管理職の自己保身に基づく学校の隠蔽工作に過ぎないと見えるだろう。しかしこうした対応はほぼ間違いなく教育委員会のマニュアル通りなのであり、学校独自の判断によるものとは限らない。この件に関して、教頭への個人攻撃はおそらく的外れであろう。

 むしろ驚くのは校内では最も激務で知られる教頭が毎週、不登校生徒宅を訪問して授業課題を渡していたこと。これは学校の実態からすると、極めて仕事熱心で誠実な対応に見える。学校現場のブラックさを知る者からすればむしろ驚愕の行為である。私は教頭Aが過労死してしまうのではと案じてしまった。

 しかし残念ながら(と言うか、当然ながら)その教頭や背後にいる校長の思いと不登校生徒やその保護者との思いとは完全にずれている。但し完全にずれているのは教頭達よりも表に出てこない校長の方ではないか…と勘ぐりたくなるケースではある。

 そのズレが一体どこから生じているのか、なぜ双方の溝が埋まらないのか、学校側は気付くことができない、ないしは気付いていても気付かない振りを余儀なくされている。この動画は学校を管理する側の論理と世間の価値観との大きなズレを非常に分かりやすく可視化している点で極めて貴重なものと思う。

 なお石田氏の願いも虚しく・・・と言うか、当然の結末として尼崎双星高校の口コミは現在、最悪の状況となっている。SNSの怖さを管理職はこの際、思い知るべきであろう。特に石田氏の取材時、表に出るべきだった校長とクラス担任が最後まで登場しなかった。この事の重大さを学校側は是非、問い直していただきたい。