⑰オリンピックと万博の裏側

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・阿部詩選手号泣の件

参考記事

「もはや日本の柔道精神はない!」柔道混合団体、畳に“唾吐いた”ブラジル選手に

   ネット騒然「子供たちが見たらどう思うだろう」【パリ五輪】

   THE DIGEST によるストーリー 2024.8.4

 この件は生徒たちにとって議論しやすいテーマであり、授業に取り上げてみても良いだろう。この記事の内容への賛否を問うてみたい。

   畳の上は「神聖」だから唾を吐いてはいけない、という日本特有の宗教じみた論理が世界にすんなりと通用するとは思えない。単純に衛生面や競技上の観点から「唾吐き」を禁止すれば良いだけだろう。

   大リーグではマウンドの上で唾を吐く投手はザラにいる。マウンド上に選手が顔をつけるような事態はプレーとしてほとんど生じないので、アメリカではその行為が必ずしも不衛生とは感じられないのだろう。しかし柔道という種目では寝技などがあるため、畳に顔などがつく場面は決して少なくない。その際、畳に誰かの唾が着いていたとしたら、さすがに欧米の選手でも抵抗感を覚え、汚いと感じるだろう。もちろん唾で畳が濡れていたことで足が滑りやすくなってしまうことも考えられる。やはり柔道での「唾吐き」は汚いだけでなく、危険かつ競技の妨げにもなりかねない。だからこそ柔道では畳に唾を吐く行為を固く禁止すべきではある。

 日本の場合、柔道や剣道では道場に神棚が祀られている事が多く、道場内自体が神社の境内と同様の聖域とされてきた。しかしオリンピックの会場に神棚を持ち込んで選手全員を神道のルールに従わせることなぞ、選手たちの信教の自由を否定することにつながるので絶対的に不可能である。つまり畳の上は神聖である、という日本人の観念を選手全員に押し付けることは出来ない。

 柔道がオリンピックの種目である限り、柔道場は他の種目と同様にただのスポーツ会場でしかなく、日本のような意味での聖域では決してないのだ。

【柔道】斉藤立を破った韓国・金民宗の〝煽りパフォーマンス〟が物議「武道家で

   はない」 東スポWEB によるストーリー 2024.8.3

   これも阿部詩選手の件と同様に柔道を武道として捉える立場からの批判である。試合に勝った選手が礼をする前に派手なガッツポーズをしたことは相手選手への礼を欠く行為として好ましくないという。そういえばかつて甲子園でもヒットを打った、あるいは三振を奪った選手が派手なガッツポーズをすることが相手チームへの敬意を欠く行為として教育的見地から批判されたことがあった。

 確かに勝って兜の緒を締めよ、というようにかねてから日本では勝者の慎ましい振る舞いが称賛される一方で、相手がいる前で自らの勝利を大袈裟に喜ぶのは恥ずべき行為とされてきた。もちろんここで競技相手がいる場面では勝った喜びを押し殺し、負けた悔しさを面に出さないことを武道家として守るべき礼儀としてきた日本の武道の伝統を一方的に否定するわけではない。むしろ日本の誇るべき美風の一つとして大切にしていくべき心構えとすら言えるだろう。ただし「武道」としてではなくもっぱら「スポーツ」の一種目としての理解から柔道が1964年の東京オリンピックに採用された経緯を踏まえれば単純には判断を下せまい。

 日本では柔道の10倍もの競技人口を誇る剣道だが、オリンピックの種目として採用されたことは一度もない。柔道が一足先に解禁された際も、剣道は学校の体育で教えることをしばらくの間、禁止されてきた。その背景に剣道界が柔道以上に武道としての伝統に拘ってきた経緯があるからではあるまいか。

 ここではとりあえず武道の伝統の是非を論じる必要はあるまい。大切なポイントは現在、世界の柔道家がどこまで武道としての柔道とスポーツとしての柔道との差異をきちんと区別できているのか、であろう。また紛らわしいのが武道と武士道との関係であるが、この二つは明確に区別されるべきものであり、封建的主従関係を前提とする武士道と近代オリンピックの精神とはまったく相いれないものがある。こうしたことに対する共通理解が日本を含めて世界的に成立しており、しっかりと柔道関係者に共有されているのならば、今回の騒動の是非は疑う余地が無いほど明確になる。

 IOCや国際柔道連盟がこの件に関する明確な統一見解を世界に向けて公表しなければ、今後も特定の柔道選手に対する的外れな中傷誹謗を徒に招くだけではあるまいか。SNSの発達は一旦、炎上すると恐ろしいほどの速さで選手たちの精神的健康を蝕んでしまう。悲劇的な事態を防止する上でも柔道の位置づけを一刻も早く明確にさせ、その共有をはかりたいものである。

パリ五輪日本選手団が緊急声明 相次ぐSNS誹謗中傷に「法的措置も検討」 大会中

 に異例の警告「不安や恐怖を感じる」自制求める

 デイリースポーツ によるストーリー 2024.8.2

「何がいけない?」柔道・永瀬の”表彰台事件”に対する韓国人記者の反論と浮かび

   上がる「文化の違い」 FRIDAYデジタル によるストーリー 2024.8.3

   こちらも阿部詩選手の件や金民宗選手の件と同じで柔道を武道として捉える日本の立場からの考察である。日本と外国との間に柔道という種目への捉え方の違いが原因でこれだけ数多くの軋轢を生んでしまうのならば、IOCないしは国際柔道連盟による何らかの統一的対応が現時点で必要となっているのではあるまいか。

 スポーツにおける過度な勝利至上主義への批判がこうした軋轢を生む大きな原因となっている、と考えるのであるならば、いっそのこと日本の武道精神に基づく礼節を弁えた振る舞いをすべての競技における模範的振る舞いとして世界に喧伝するのも決して悪くは無かろう。本当にオリンピックが「平和の祭典」としての役割を国際社会で果たそうとするのならば、国家間での熾烈な金メダル争いはかえって無用な軋轢と誹謗中傷を国家間、競技者間に生み出しかねまい。

 勝者も敗者も礼節ある言動を心がけることは、おそらく過熱しがちな競争主義をクールダウンし、無用な軋轢を避ける上で大いに役立つに違いない。もちろん、そうした効用は武道に限らず、ラグビーのノーサイド精神でも同様の機能を期待できるだろうが…(なお15人制のラグビーは種々の理由から未だにオリンピックの種目に採用されていない現状がある。また世界のラグビー界において「ノーサイド」という言葉はどうやら日本にのみ生き残った表現らしく、本場のイギリスですらまったく理解されなくなっているようだ。それほど長く「ノーサイド」の言葉に日本人が惹きつけられてきた背景に、節度、礼節を常に重んじる日本の武道精神がラグビーのノーサイドの精神と強く共鳴してきた可能性は十分にあるだろう。こうしたことをも考えると、JOCはIOCに対して柔道に限らず、すべての種目において選手、観客のマナー改善を強く訴えても良い立場にあるのかもしれない。少なくともこうした騒動を機に、現代のオリンピックが本当に「平和の祭典」にふさわしい状態にあるのか、問い直してみるべきだと思うがいかがだろう

「一種のいじめ」「何回言うの」 東国原英夫氏、阿部詩号泣に「周辺に配慮欠く」

 と再度苦言...コメント欄では共感得られず

 J-CASTニュース によるストーリー 2024.8.1

 おそらく高校野球の場合、甲子園での敗戦で号泣する高校球児への批判はこれまであまり無かったように思うが、いかがだろう。今回の東国原氏による柔道家に対する批判は極めて執拗なものであり、オリンピック連覇という重圧と長く戦ってきた敗者に対して何やら陰湿で容赦ない「上から目線」の怖さまで感じる。

 おそらく号泣しながら甲子園の土を持ち帰る高校球児たちの涙は美しく、感動的ですらあると多くの人は感じるだろう。しかしオリンピック会場で号泣する柔道家の姿は幼稚であり、非礼極まりないものである…と捉える東国原氏の感性は、一体、どんな価値観に由来するのだろうか。ぜひ、生徒たちに考えさせたい。

 いくつかの観点から考察できるだろう。一つは武道とスポーツとの違い、スポーツマンシップと武道家精神との違い。もう一つは国家を代表するとされるオリンピック選手と郷土を代表する甲子園球児との違い。やはり国威発揚を狙いとするようなオリンピックにおいて選手たちに求められるパフォーマンスと、甲子園球場で高校球児たちに求められるパフォーマンンスとはそれなりの違いがあるはずだ。

 なぜ私たちはスポーツに魅了され、スポーツ観戦に熱狂するのだろう。「礼に始まり、礼で終わる」武道において求められる冷静さと敗戦時に見せた阿部選手の号泣は果たして相いれないものなのか。体育の授業で武道が必修化された背景にどんな目的があったのか。オリンピックの意義とは一体何だろう。SNSによる選手たちへの誹謗中傷問題…考えるべきテーマは多い。

 以下に紹介する動画を視聴させて生徒たちの考えを広げ、深めていきたい。

参考動画

号泣に賛否【テレビの五輪報道の弊害】過剰な美談と武士道精神を考える

 長谷川良品「テレビ悲報ch」 2024/08/01  10:53

 オリンピックについて深く考えるきっかけとなるだろう最もタイムリーな話題がこれだと思うが、いかがだろう。敗北して泣きじゃくる阿部詩選手への否定的なコメントをどう評価するのかを、武道に由来する柔道というスポーツの特殊性から考察する長谷川氏におおいに共感する。

 確かに私も日本代表の野球チームを平然と「侍ジャパン」と名付け、女性サッカーチームを「なでしこジャパン」と名付ける日本のスポーツ界、マスコミ界の古色蒼然たる体質の古さに辟易する。

 ここを切り口にして日本のスポーツ界、マスコミ界、学校教育界が抱える体質の古さにも気付かせたい。

【阿部詩選手】号泣の賛否について ロザンの楽屋  2024/07/30  16:22

 武道とスポーツとの違いに注目する点は同じだが、武道をどのように捉えるのか、肯定的に捉えるのか否かでロザンの視点は上記の長谷川氏とかなりズレていると感じる。また柔道や剣道などを当初は格技として学校教育に取り入れ、ついには武道と改称、さらに必修として授業時数が増加している日本の教育の動きをどう捉えるのか…という問題にも触れる必要があるだろう。

【五輪反対論】開会式で波紋!メッセージが強まりがち?住民生活に影響も...開催

   する意義はある? ABEMA Prime 【公式】 2024/07/30  19:17

 オリンピックの意義をもう一度、根本から見直す必要はあるだろう。4年に一度の例外的なお祭り騒ぎに隠れてこの時とばかりに違法に利権を貪る一部の企業や政治家が存在するようなオリンピックの運営の仕方、あるいは国家間の対立を煽りかねず、少なくとも国威高揚に政治利用されがちな国家主義に偏るスポーツ界全体のあり方をみると、多くの人が「平和の祭典」という美名に酔うことに躊躇してしまうのは当然であろう。東京オリンピックの負の遺産は一体、どう清算されたのであろうか。

 サッカーの勝ち負けで戦争が起きかねなかった中南米の歴史もある。ラグビーのノーサイドの精神は他のスポーツには必ずしも十分に浸透していない。オリンピックの運営には莫大な資金が投入されるが、資金の流れは必ずしも透明ではない。表彰式で「君が代」が流れ、日の丸が掲揚されることの意義は本当はどこにあるのだろう。どうみてもしっかりと考え直すべきポイントはいっぱいあるようなのだが…

 生徒たちにはオリンピック開催の是非を、その歴史的経緯からさかのぼって明らかにしつつ、近年の課題をいくつかピックアップした上で議論させたい。

 

国家の“機密”とは…使途が明らかにならない官房機密費 【風をよむ】サンデーモー

   ニング TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2023.11.26

   国民の知る権利を尊重しない日本政治の在り方は政治の腐敗をはびこらせ、民主主

義の欠点を最大化してしまうだろう。

【五輪汚職安倍政治と検察①】東京五輪でなぜ汚職が相次いで起きてしまったの

 か?政権と検察の関係にも迫る!

 2022/09/24 中田敦彦のYouTube大学 -37:46

【五輪汚職安倍政治と検察②】戦後最長の安倍政権vs検察人事への介入

 2022/09/25 中田敦彦のYouTube大学 - 28:19

【五輪汚職】の授業を終えて中田が感じた事は?

 2022/09/26 中田敦彦のトーク - NAKATA ATSUHIKO TALKS 22:24

 

 中田氏が危険を冒してまで真情を吐露するに至った理由について討論させたい。これまでアマチュアスポーツ界における利害を超えた平和の祭典と美化されてきたオリンピックであるが、1984年のロサンゼルスオリンピック以来、プロスポーツ選手の参加が許され、運営上の巨額な経費を賄う上で企業の関与が一気に拡大していった。

 今回、東京オリンピックに絡む贈収賄が疑われている事件は巨額の資金が投じられるオリンピックに目を付けた電通などの企業と政治家との汚い関係が背後に潜んでいるようだ。コロナ禍のもと、開催に反対の動きが見られる中でオリンピックを強行した政権の隠れた意図が見え隠れしていよう。

 さらに安倍元首相殺害事件が加わり、オリンピック開催と統一教会の改名に深く関わってきたかつての安倍政権が目指した政治の実相が暴かれつつある。

 にもかかわらず、現岸田政権のもとで安倍氏の「国葬儀」が強行された。なぜ安倍政権が2016年から検察人事に強引な介入を繰り返したのか、その理由が疑われるだろう。2020年に安倍政権が検察人事介入に失敗した事が安倍氏の体調不良を理由とした退陣に繋がるとすれば安倍氏がこれまで行ってきた「忖度」政治の危うさがいかなるものかも深く考えていくべきである。

 2030年の札幌冬季オリンピック実現に向けて既に動き始めた現在、森友事件、桜を見る会の疑惑などとともに東京オリンピックに関わる贈収賄事件への徹底的な解明が待たれる。

 

 政治やスポーツの世界にはびこる年功序列の権威主義的体質はどうやら人脈を利用した汚職事件と親和性が高いように思われる。そうした中で事件に関与したと疑われている元首相で文教族出身の森喜朗元オリンピック組織委員長の功績を称えて森氏の銅像を建てようとの動きがスポーツ界に見られるとのこと。

 これまたどう見ても疑問だらけの動きだろう。疑惑の渦中にある安倍、森二人の元首相をこのタイミングで臆面も無く顕彰しようとする政治家達の動きに日本のスポーツ界が関与するとすれば高体連や高野連はどう対応するのか・・・

 公教育における政治上、宗教上の中立性が改めて問われるに違いない。

 

 統一教会についてはぜひとも「◎【YouTubeとの向き合い方】旧統一教会の授業をするまでの葛藤と覚悟 2022/09/01 中田敦彦のトーク 39:29」を視聴していただきたい。中田氏が真剣に自己肯定感を高める上で何を失い、何を得てきたか、深く考えさせられる内容。民主主義の孕んでいる危険性が見えてきて社会科学習の究極的目標の一つが中田氏の発言に潜んでいるようだ。

 

・大阪万博開催出来る?

参考記事

大阪万博は防災対策も不安だらけ…南海トラフ地震でも「夢洲は液状化しない」大

 甘想定だった 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2024.8.11

 安全確認すらまともにできていない万博に遠足や修学旅行で訪れる事の犯罪性について学校や教育委員会はきちんと考えておくべきだろう。

「どんどん場当たり的に」大阪万博「会場下見」要望に ちぐはぐ 対応引率する

 教師からあふれる「呆れ」と「憤慨」

 SmartFLASH によるストーリー 2024.7.24

 《遠足の下見がどういうものか知りもしないで、思いつきで方針を決める。現場はそのたびに振り回され、余分な仕事が増えて職員はますます疲弊する。同じ過ちを何度繰り返せば気がすむのだろう》…その通りであるが、この指摘は文科省、政府の教育政策にも当てはまるだろう。

万博、海外館14カ国「厳しい」 関西同友会の永井氏が懸念

 共同通信 によるストーリー 2024.6.14

「参加を催促し強要」万博招待の意向調査で大阪・交野市長が再び批判 出展取りや

 めも示唆 産経WEST 2024.6.10

 ただでさえ開催に疑問を持つ声が聞かれる中で、見学可能な展示館の詳細、団体予約可能な食事場所と収容人数、バス確保の可能性、ガス爆発の危険性の有無など、現時点でいまだに不透明な要素が多い。にもかかわらず、半強制的に児童生徒の見学を促す大阪府、大阪市の高圧的姿勢に学校側から反発が出るのは当然だろう。

大阪万博開幕1年前でも「関心ない」69%…読売世論調査

   読売新聞 によるストーリー 2024.4.21

   この調査、一体、有効回答数は何人なのか?世論調査の結果を発表する際には最低限の基本データくらい、記すべきだろう。この程度の初歩的ミスを大新聞が堂々と犯している現状が情けない。全国で実施されていても有効回答数が少なければそもそも調査として失敗であり、記事にするのは諦めた方が良いはず。仮にそれなりの有効回答数が得られている調査結果がこの数字であるとするならば、大阪万博は計画を大幅に見直すべき段階にきていると考えられなくもないのだが、肝心のデータが示されていないので国民はこの記事から何一つ、判断する根拠が得られない。これ、ただの根拠なき煽り記事である可能性すら疑われるだろう。

 生徒たちにはこの手の記事の怪しさにぜひ気付かせたい。

ラサール石井 2350億円の大阪万博と国立科学博物館の窮状を比較「この国は狂っ

   てる」 東スポWEB の意見 2023.11.8

   これは正論。文教費をケチる一方でカジノによる収益拡大をもくろむ大阪万博には湯水のように税金を投入する…確かにバランスが悪すぎる。

日本維新の支持率低下が止まらない…壮大な無駄を生む「IR・万博」で大ブーメラ

   ンの大阪維新がつけるべき落とし前

   現代ビジネス 伊藤 博敏 によるストーリー 2023.10.26

成功すれば維新の手柄、失敗したら誰の責任に…? 問題山積の「大阪万博」にただ

   よう「デタラメ感」 文春オンライン プチ鹿島 によるストーリー 2023.10.24

   絶妙な皮肉のきいた記事で大阪万博の裏側を突いている、読んで面白くかつ分かりやすい資料。このテーマの冒頭に紹介しておけば今後の展開がしやすくなるだろう。

万博建設費、協会が増額報告 最大2350億円、当初の1.9倍

   産経新聞 2023.10.21

大阪万博を開催する意味は本当にあるのか、札幌五輪断念を機に再考を

   JBpress 伊東 乾 によるストーリー 2023.10.13

大阪「カジノと万博の島」に鉄道は延びるか IR誘致の候補地「夢洲」へ3つの路線延

   伸案 森口 誠之 東洋経済オンライン 2018/06/16 6:00

大阪・関西万博の開幕まで2年 パビリオンの建設など課題に

   NHKニュース 2023年4月13日

大阪万博「関心ない」が65%「全世界辞退で恥かきそう」「まだ間に合う」準備進

   まずSNSで高まる「中止論」 yahooニュース 7/24(月) 23:36

 大阪万博、建設費が当初の1.8倍、2300億円に…巨額税金投入で中止論も

   文=Business Journal編集部 2023.9.30 

大阪万博建設費1・8倍、2300億円に三輪記子弁護士「前進だけでなく、やめます

   という選択肢も」スポニチ 2023/10/1 18:09

“存在しない”としていたメール…さらに7通見つかる 大阪IR用地の不動産鑑定 

 MBSニュース 毎日放送 によるストーリー 2023.10.31

   ※参考動画

  【スクープ】『3社の鑑定額が一致』大阪IRの疑惑...専門家が解説「100%ありえないです」

   さらに大阪市の審議会委員を取材で『新証言』も

     MBS NEWS  2023/01/31  15:39

   夢洲の土地価格の鑑定に際して鑑定業者間に談合疑惑が生じているらしい。当然、大阪市や市長

   らが情報をリークし、かわりに怪しげな「献金」を受け取っている可能性を疑うべき。ことと次

   第によっては維新の会の政党としての存在意義自体、疑われてくるだろう。

参考動画

【2】院内集会「日本の没落」―登壇:内田樹氏(神戸学女院大学名誉教授)

    Movie Iwj  2023/10/25  25:40

 データに基づく現実的な将来予測を悲観的過ぎる弱腰の敗北主義とけなして排除し、無責任な楽観主義的軍事行動を止めようとしなかった帝国陸軍参謀本部や福島原発を巡る東電及び日本の原子力政策の過ちを決して繰り返してはなるまい。

   大阪万博を強行しようとする政府、維新の会の動きに潜む、精神主義的な思考の欠点を語る内田氏の指摘は非常に興味深い。少子高齢化という現実を直視し、将来的に予測される労働力不足、あるいは巨大地震や富士山噴火などの悲劇的事態を出来るだけ多くあげつらい、それぞれの対応策を予め考えておくことは決して「敗北主義」ではあるまい。

   岸田政権は台湾有事ばかりを強調して軍事予算を一気に拡大させたが、日本に迫る危機は他にも沢山ある。プランAだけではなくプランB、C,Dを用意しておく必要があるはずである。

【未着手】大阪・関西万博が泥沼化?中止や見直しの声も?海外勢は撤退?誘致し

   た元政治家と考える ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/07/21  16:21

【大阪・関西万博の苦悩①】国民の税金で行われるビッグイベントが大ピンチ!

   2025年までに間に合わないのか?

   中田敦彦のYouTube大学  2023/09/23 23:34

【大阪・関西万博の苦悩②】政治戦略として万博…岸田首相「私が先頭に立つ」 

   中田敦彦のYouTube大学  2023/09/24 21:02

【大阪・関西万博の苦悩】2025年の開催に向けた4つの選択肢

 中田敦彦のトーク  2023/09/29 17:02

課題山積の大阪・関西万博 開幕まで620日 海外パビリオンの建設はなぜ遅れて

   いるのか【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG 2023/08/02  6:01

「ここが値上がりの最後」大阪・関西万博の会場建設費が450億円増額 背景に資

 材価格や人件費の高騰など|TBS NEWS DIG  2023/09/26 2:02

 東京オリンピックも問題だらけで強行されてしまったが、この大阪万博はもっと闇が深そうである。2025年開催はとりわけ会場の夢洲(ゆめしま)の軟弱地盤問題がおもなネックとなって開催自体、非常に危ぶまれる状況。ちょうど沖縄の辺野古への基地移転問題で地盤の軟弱さが工事費のかさ上げと工事期間の延長を招くことが分かっていても工事を強行しているのと同じような理屈なのだろうか。いったん動き出した公共事業は巨額の利権が絡んでいてなかなか止められない…

 加えて南海トラフを震源地とする巨大地震が今後30年の間に8割もの確率で発生する可能性が指摘されている。もっぱらごみ処理場として機能してきた夢洲の地盤強化には途方もない巨額の税金を投じる必要がある。しかし一時的な地盤強化に成功したとしてもその後の巨大地震による液状化は不可避であり、寿命の短い施設にとどまるだろうパビリオンや社会インフラ等の建設、整備は無謀としか言えない危険な投資。海底にトンネルを掘って鉄道を会場に引いてくる工事自体も難航が予想され、地震時の安全が確保できるのか、極めて疑わしい。

 維新の会が大阪府、大阪市を中心に万博開催へ向けて市民を引っ張り、2023年4月の地方統一選で大躍進を遂げたのは記憶に新しい。実際、予想以上の大きな民意を受けて大阪万博は開催に向けて動き出してしまったのだが、あまりの難工事に多くの建設会社がしり込みしてしまい、パビリオン建設は遅々として進んでいない。岸田政権が国の威信にかけて開催にこぎつけると8月31日に発表し、万博の主導権を維新の会から国が奪い取る形になったが、これは国家全体の税金が湯水のように無謀な万博建設へと投じられることを意味する。

 他方で大阪府立高校の場合、高校入学者数が一定数を満たさない状態が一定期間続いてしまうと統廃合の対象とするという原則を冷徹に厳守する姿勢は守ってきただけに、政策のバランス面でいかがなものなのか…疑念は少なからず残るだろう。

 東京オリンピックの時と同様、国民はまた騙されて税金を無駄遣いされ、関係者の誰かがこっそりと得をするだけで、結局、大増税という形で国民が尻拭いさせられることになるのかもしれない。

 岸田政権はウクライナ情勢や尖閣問題を背景として既に大幅な増税を前提とした防衛費の倍増を実現させている。高度成長期に建設された数多くの社会インフラが耐久年数を過ぎつつあり、補修、改修、建て替えが待ったなしで迫られてきている現在、本当にこれで大丈夫なのだろうか。政権はさらに子ども家庭庁を設置して少子化対策に本腰を入れ、教師の働き改革も待ったなしだと叫び続けている。加えて万博開催への大々的な国家関与…日本の国家的危機レベルがマックスに達しようとしているにも関わらず、政府は口先だけの、景気良さげなパフォーマンスを際限なく繰り返している。が、残念なことにそれでも政権への支持率は低迷したままである。

 巨額の赤字を抱えた国家財政と世界最悪レベルでの少子高齢化の進展、いつまでたっても止まりそうもない日本経済の地盤沈下、近い将来に予測されている巨大地震の発生と富士山等の火山噴火…こんな時に大した経済効果を望めない、むしろ巨額の借金を背負いかねないお祭り騒ぎに興じている場合だろうか?

 カジノ建設で泡銭を稼ぐのが裏の狙いと揶揄される大阪万博の強行開催はさらなる大増税となって今後の国民に降りかかるのではあるまいか。格差拡大は一層進み、若者の生き辛さが限界を突破する日が来るのも待ったなしの問題なのかもしれない。

参考記事

課題山積 「万博に行けるんですよね!」子供の期待に気をもむ校長 大阪府の子供招

 待事業 産経新聞 2024.6.10

爆発後に「他にはない」と断言したのに…可燃性ガス4カ所で発生 大阪・関西万博

   会場 「出ないわけないやん」 東京新聞 2024.6.3

万博無料招待、大阪の学校7割が希望 「不参加」の選択肢ない調査手法に批判も 

 産経新聞 2024.6.3

「本当に横暴」万博遠足アンケート巡り「現職の校長」が怒り 府内約7割の学校が

 訪問希望も課題山積   FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.6.3

 同様の事態が東京オリンピックの際にもあったことを思い出した。数年前、ある高校でパラリンピックの応援を学校全体で行ってほしい、との打診が県の教育委員会からあった。立地的に会場周辺にある学校が不幸にも応援動員の候補に選ばれているようだった。しかも競技は夜間にまで食い込むという。パラリンピックの観客席に空席が目立つことを恐れた主催者側からの強い働きもあったに違いない。当然、教師たちから反対や疑問の声が噴出していたが、職員会議ではいつものように校長のゴリ押しで応援に行くことが決定してしまった。児童生徒に対してスポーツ観戦を名目に、応援を事実上強制することは高校野球でも同様の問題をはらんでいるだろう。

 コロナによってオリンピック開催が延期になり、私はその学校から別の学校に転勤となったので、実際に応援に行ったのかどうかは知らない。が、学校に対してのオリンピックへのほぼ半強制的な動員はおそらく東京を中心に関東圏内各地で組織的に行われていたはずである。ただでさえコロナ騒動で開催自体が危ぶまれていた東京オリンピックに学校の児童生徒を強制的に動員することを教師の意向を無視して独断専行で決定した校長、及びそれをそそのかした教育委員会…まさに国家総動員的「翼賛体制」には非常に危険なものを感じた。実際に応援に行かされたとすれば、夜間、強制参加させられた教師たち及び当該児童生徒たちにとってはいい迷惑だったに違いあるまい。ぜひともオリンピック、パラリンピックの見学を児童生徒たちに強制参加させることの是非を問いたい。

 大阪万博にも様々な問題が潜んでいるようだ。政界、財界の思惑が蠢く、疑問の多い国家的プロジェクトを強行し、無関係な児童生徒まで当然であるかのように半強制的に巻き込むオリンピック、万博の開催意義とは一体何だろう。生徒たちには万博遠足参加への賛否、その理由等を問いたい。