その7.①教職の大安売り!
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
カッパの伝言板ではその4、その5、その6などで教育問題、とりわけ高校教育の問題点、授業のあり方などを取り上げてきました。ただしそれぞれブログとしてはあまりにも長文で読みにくいものとなっております。
スマホでブログを見る人にはとりわけ厳しい展開…ご迷惑をおかけしております。確かにこんなダラダラした長文はホームページを作るか、本にして発表しろ…とのご叱正も当然、あるでしょう。
他方で、あまりにも文章を短く刻んで連載形式にしてしまうと、文章全体の流れが分断されてしまい、かえって分かりにくくなるおそれもあると考えてます。
実際、扱っているテーマが読みやすい短文に分解できる話題ではありませんので、カッパのワガママかもしれませんが、その4,その5,その6などはそのままの形に今後もとどめておきたいと思っております。
しかし、それでも、一人でも多くの人に、カッパの伝言板への興味を持っていただき、読んでいただきたい…
そこで「その7」では以前の長文から、「これぞ」という短い文章をピックアップしてご紹介していくことにいたしました。具体的には記事や動画の紹介にちょっとしたカッパの意見を付け加えたものがありますので、まずはその中から多少、手を加えつつ、順不同でピックアップしていく予定です。
今後、新たに紹介したい動画や記事を付け加えていくこともしていきますので、その中からも「その7」に加わっていく文章があるでしょう。したがってカッパの伝言板「その7」は今回の①から始まって延々と続く可能性のあるものです。
では早速…
参考動画
〇【教員とは】新任教師の退職が過去最多に?負担が大きい?給料が安い?
ABEMA Prime #アベプラ【公式】2025/04/29 21:04
職員会議の非民主化、教育内容への過剰統制、教員人事の歪み、学校の不透明性(隠蔽体質、ブラックボックス化、発信力の弱さ…)、管理主義的で画一的な教育行政、大学での教員養成教育の不十分さ、公教育全体の貧しさと遅れ…日本の学校教育が抱えている問題を挙げればキリがない。
教員の中途退職や志望者数の減少は、そうした数多くの深刻な問題の上に次々と生起する沢山の症状の内の一つに過ぎない。教員の過剰労働ばかりに焦点を当てて教員不足の解消のみを目指す軽薄な議論では効果の極めて限られた、表層的な対症療法しか浮かんでこないだろう。
それだけ根深い問題を数多く孕むこのテーマについて、まともな識者、専門家すら招いていないこのメンバーでしっかりとした議論が尽くせるわけはない。せっかく採用試験合格を辞退した人を二人呼んだのだから、もう少し議論を深められる発言の出来る人を複数人、ゲストに呼ぶべきだろう。にもかかわらず、このレベルの軽薄な企画しか思いつかないスタッフの学校教育に関する無知無理解ぶりにはただただ呆れるほかない。
参考記事
〇【独自】教職課程の必要単位見直しへ 免許取得の負担軽減、文科省
共同通信 2025.5.23
どうして文科省はこんなトンチンカンな政策を繰り返してしまうのだろう。官僚としての資質を根本的に疑わざるを得ない。教員免許取得のハードルを下げれば教員志望者が増える…という安易な発想はいい加減、やめてもらおう。これは教員採用試験の倍率低下、さらに免許を持たない人を教師に採用する動きと相まって教師の質をひたすら低下させることにつながりかねない、明らかな愚策である。今、各地ではやり始めた教員採用試験の早期化も有害な弥縫策の一つに過ぎない。
教員の労働負担の軽減こそが最優先させるべき課題であるはず。こちらは給与引き上げよりもはるかに重大な案件である。したがってこれからは高校においても真っ先に部活動の地域社会への移管を進めて校内での部活指導を全廃し、教員の力を授業力向上に全集中させるべきではないのか。
部活動の学校から地域への移管は間違いなく人員と経費の負担がかなり増大する政策である。そして自公政権が続く限り、そのための予算がまったく確保されそうもない。そこで仕方なく、ほとんど予算をかけないで済む安易で安価な政策を文科省は立て続けに打ち出しているのだろう。
しかしくどいようだが、そうした「泥縄式」のゴマカシに過ぎない政策はもはや、百害あって一利無し、であろう。結果的に旧態依然の学校教育の延命を図るに過ぎないような種々のエセ改革は、いたずらに貴重な時間と労力を空費し、いよいよ日本の学校教育を手詰まり状態の袋小路に追い込むだけに違いない。
これからの高校教育の改革に必要不可欠で最も急がれる重要課題とは、教師の労働条件の劇的な改善(部活動の地域社会への移管に加えて学校行事の精選、学校事務のDX化、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー及びガイダンスカウンセラーなどの加配と待遇改善…)、それに加えて授業技術の高い教師の育成(授業技術の向上に力点を置いた大学での教員養成教育と教員免許取得要件の見直し)と採用(授業技術評価に重点を置く採用試験)、以上の二点であると考えるが、いかがか。
もちろん、こうした改革を実現していくには、これまで根本的な改革をひたすら妨げ続け、長期にわたって教育予算をケチってきただけの自公政権の、一刻も早い退場が前提となるのは言うまでもないことなのだが…
◎教員採用、日程前倒しも受験者減8割 朝日新聞社 2024.11.22
当然の帰結であり、こんな当たり前の事を予想できなかった文科省と教育委員会の責任者は、自らの不明を深く恥じて潔く何らかの責任を取るべきだろう。教員不足という事態を招いた本質的で最大の原因が何なのか…この分かり切った、極めて単純な事由を一切分かろうとして来なかった頑迷さにはただただ辟易するほかない。
これまでまともに学校や教師の現状を直視してこなかった彼らの怠慢と的外れの対応の数々が学校現場をさらに混乱させ、無駄に疲弊させてきてしまったのだ。かえって事態の悪化を招き、早期打開の芽を摘んでしまった彼らの責任は極めて重大なものと考えるが、いかがか。
授業ではなぜ、教員採用の日程前倒しが教員採用試験の受験者数増大につながらなかったのか、生徒たちの中に教師志望者がどれほど存在するのか、教師志望者はなぜ教師を志望するのか、教師たちの働き方を今までどう感じてきたのか等々…まずアンケートを用いて問いたい。
◎教員の魅力を動画でPR 千葉県教委作成、来月にも公開
東京新聞 2023年9月10日
教員採用試験の倍率低下、教員不足に危機感を抱いた文科省と各地の教育委員会は恥も外聞も考えるこ となく、「青田買い」どころか教職のバーゲンセールまがいの詐欺的商法にまで手を伸ばし始めている…ずいぶんと落ちぶれたものだ。
さしずめ千葉県の場合は例えていえばこう言った塩梅ではなかろうか。
これまで堅調に売り上げが出ていた人気商品がこのところ何だか少しずつ、売り上げが落ちている。宣伝広告にもっと力を入れればきっと売り上げは回復するに違いあるまい。だって商品の質にはそれなりの自信があるし、老舗としての伝統の力もある、問題は宣伝不足…そこで思い切った新機軸を打ち出そう。そうだ、若者に訴求力のある動画作成を業者に依頼し、商品の魅力を分かりやすく、かつガッツリとアピールしてもらおうではないか…
しかし本当に商品の品質は保たれてきたのだろうか。肝心のお味の方は時代の流れに取り残されていないだろうか。風味は古臭くなっていないだろうか。今どきパッケージだけ飾り立てても胡散臭いだけ…箱の中身は実際、いかがなものだろうか。とっくの昔に賞味期限が切れていないだろうか…
どうみても強烈な腐臭が漂っているはずなのだが、なぜ、売り場の誰一人としてそれに気づかないのだろうか。そもそも商品が劣化していないか、誰か定期的にきちんとチェックしてきたのだろうか。
腐り切った商品を30年以上の歳月と交換に若者へ売り渡し、彼らをたちまち過労死や精神障害に追い込む…こんなブラック企業のような悪徳商法を国と県はいつまで続けるつもりなのだろうか。
完全なブラックボックスと化している学校の中身は意外なほど闇が深い。箱の中身が見えにくかったからこそ売れてきただけのインチキ商品に、日本の将来を背負うべき未来ある若者が騙されて手を出してはなるまい。
それにしても罪深い、とはこのことだ。
〇教員採用試験で合格者「7割辞退」の高知県の波紋 現代の若者には通じない「やり
がい」「教職への憧れ」 AERA dot. 板垣聡旨 2024.11.3
文科省や都道府県教委はこれまで教員不足解消の方策の一つとして教職のやりがい、魅力をアピールしてきた。しかし「やりがい」を疑似餌にして若者を釣る行為は個人的には詐欺同然だと思っている。これはかつてブラック企業が甘い言葉で若者を騙して入社させ、ボロボロになるまでこき使った挙句に短期間で使い捨ててきた問題と酷似しているのではないか。お役所がそんな汚いことをして良いのだろうか。
とはいえ、最近の若者は近年、様々な詐欺が流行してきた中で文科省が期待したほどには騙されなくなった、ということだろう。これはむしろめでたい事であり、若者の、賢明で素晴らしい判断だと賞賛すべきである。
そもそも、教員の現場では「やりがい搾取」という言葉がとっくの昔に叫ばれていたにもかかわらず、恥知らずにもやりがいを餌に若者を釣ろうというお役所的で手抜き丸出しの魂胆…文科省の若者を見下す官僚的傲慢さと時代の風潮を読めない昭和な老害たちのピンボケさの象徴がこれなのだ。
一方で高知県や鳥取県など、人口急減と少子高齢化の荒波に飲まれている地方の深刻さはさらに悲劇的となってきている。今、東京や大阪などの都市圏に住むそれらの県の出身者が、大学生、労働者、無職、フリーター、独身者、既婚者を問わず、こうした状況の下で今さら地元に戻ってきてくれるなどと安易に期待してはなるまい。それは将来的に見てもかなりの無理ゲーを一方的に若者に強いることと同様である。だからこそ高知県出身の教職希望の若者は地元に就職しないことを選んだのだ。
過疎化と教員不足、就職先の急減、交通機関の縮小、各種学校の統廃合、病院やスーパーの撤退などが相次ぐなかで、地元に戻るリスクは年々急上昇し、肥大化している。もはや少なからぬ地方自治体は既に存亡の危機を迎えているのだ。そして文科省の無能ぶりもこの危機の深刻化に加担している。加えて組織が硬直化してしまい、学校現場を知ろうという努力すら払ってこなかった文科省が、今更ながらそれらを反省して自ら方向転換することを私たちは一ミリほども期待することができない。
かつてスマート都市構想なるものが叫ばれていたが、このままでは多くの住民がいずれ餓死しかねないレベルにまで地方自治体はやせ細り、極限まで「コンパクト」かつ「スマート」になってしまうに違いない。しかもそれは近い将来、市町村レベルに留まらず、都道府県単位にまで拡充していくはずである。
参考動画
◎新採用教員の大学偏差値が50を切る時代【質低下が起こる理由】
もりてつさんチャンネル 2023/06/14 12:26
◎公立学校教員の4割が偏差値50未満の大学出身という時代に突入
Morite2 English Channel 2025/02/06 8:43
こんな状況下にあるにもかかわらず、教員不足に対して教員免許取得や採用試験のハードルを下げる対症療法で乗り切ろうとする愚策が全国的に続けられている。根本的には大胆な学校業務の削減などを軸とする教員の待遇改善と教員養成教育の見直しを断行すべきなのだが、こちらは遅々として進んでいない。
教師への道のハードルを下げて教員になりやすくすることは教員の社会的地位を今以上に引き下げることにもつながりかねないだろう。むしろ逆に教員免許取得や教員採用試験のハードルを上げるくらいでなければ、現今の賃金安・物価高による生活難が急速に強まる中において、給与面などでの教員の待遇改善に対しては世間的な理解を得られる状況にない。ただでさえ、公務員叩きが常時横行する世の中なのだ。
とりわけ、教員の学力低下がこれ以上進めば、現状でも十分低い教師の社会的地位は一層地に堕ち、結果的に教員の不祥事や保護者のクレーム対応が激増するだろう。となれば教員の待遇改善どころか学校のブラック化が加速するだけかもしれない。加えて文科省はこうした事態に対してこれまで通り、ひたすら無意味な官製研修を教員に課すだけとなる。いよいよ教師の徒労感は増すばかりとなるだろう。
どう見てもこのままでは日本の学校教育崩壊の日は近いのである。
○「教育なめてる」文部科学省の五輪アスリートを『免許なしで教員』方針にネット
猛反発「何のための教員試験?」中日スポーツ 2024.9.15
民間人校長の採用から始まって、昨今では教師不足の解消のために採用試験の早期化など、教職への抵抗感を軽減する対応が続いていた。そしてついに五輪選手を教員免許状無しで採用することを可能とする施策が打ち出された。ただでさえ採用試験の倍率が低下する中で、一部のアスリートたちに免許状不要の措置をとることは免許状を持つ現教師陣の存在価値を否定し、侮辱することにもつながりかねないだろう。また教員免許取得と採用試験突破を目指す大学での教員養成教育の存在意義を文科省自身が真っ向から否定しかねまい。
一体、誰がこんな突拍子もない愚策を提案したのだろう。これ一つだけであっても文科大臣は直ちに引責辞任すべきである。
・・・なぜカッパがここまで文科省や教育委員会を批判するのか、知りたい方はカッパの伝言その4(前編)をお読みください。