29.供養塚関係石造物のタイプ別代表例

 

 その28と29の一覧表で示したように、江戸時代の三山信仰関係の石造物には幾つかの種類があります。今回は種類別にその代表的な石造物をご紹介いたしましょう。

 

宝筐院塔

 数は少ないが17世紀の古いものが見られる。

下矢田川間お塚:寛文10年(1666)

 

青柳西共同墓地内供養塚

 

 おそらく宝筐院塔の一部を大日如来の台座として転用したものと考えられる。

 

大日如来

飯沼供養塚大日如来:寛文3年(1663)

 

・湯殿山供養塔(文字塔)

山倉墓地内供養塚

 

・三山供養塔

椎津新田供養塚

 

廻国塔

能満供養塚(緑えん通り北に向かって右側)

 

・日記念仏講関係

山倉墓地内供養塚

 

下矢田川間お塚:日記念仏講が建てた聖観音(寛文6年=1666)

 

 

 江戸時代は伊勢講、成田講、八日講(三山講)、大杉講、大山講(石尊講)、富士講、金毘羅講、庚申講、月待講、子安講…といった各種の講が続々とされるが、多くの場合、母体となったのは中世から存在してきた念仏講であった。したがって念仏講の一種、日記念仏講が八日講とメンバー的にほぼ重なっていただろうことは想像に難くないし、古い供養塚上に念仏講の名が刻まれた石造物が多い背景もきわめて分かりやすいだろう。