その3.地図を読む
さて、地図を読むと言っても、一体どんな地図が歴史散歩に役立つのでしょう。
もちろん、散歩するコースの地域に該当する村の、江戸時代に作成された絵図があれば、いかにも歴史散歩らしくて良いのですが、市原市の場合、村絵図をネットで見つけ出すのは極めて難しいと思います。しかも、村絵図は現在の地図とは対応していないため、村絵図で自分が今いる場所を見つけ出すことさえ、難しいでしょう。
そこでオススメなのが歴史的農業環境閲覧システムが提供している迅速測図(1880年代に陸軍が作成)と現在の地図との「比較図」です。幸いにも市原では明治維新後もしばらくは大きな道路建設等が一部を除いてほとんど見られません。したがって迅速測図は市原市の場合、ほぼ江戸時代末期の村の様子や道筋を現在の地図並みの正確さで推定できるのです。しかも比較図の場合、右側には現在の地図が同時に見られるので、調べたい場所にポインターを合わせれば、過去と現在の地図上の場所を両方とも確認できます。
迅速測図では当時の土地利用の様子から、家並みまで確認できるので便利この上ない地図であり、歴史散歩には絶対に欠かせない情報源となるのです。
皆さんは上の比較図を見てどんなことを読み取れるでしょう。次回、この隣村の比較図を私なりに読み取ってみますので、どうかお楽しみに。
もう一つ、役立つのが戦後まもなく撮影された白黒の空中写真(国土地理院)。こちらは特に海浜部の集落を探索する上で役立つでしょう。下の写真を見てください。
養老川の河口部とデルタ地帯を中心とするこちらの写真からも沢山のことが読み取れます。ただし、読み取っていくためには予め、多少の知識の蓄えがどうしても必要となります。これも後日の配信で読み取っていくことにしましょう。
注目ポイントは真ん中、上の部分の不自然な白っぽい場所。さらに河口部沖合に見える灰色のゾーン。