2.市内歴史散歩の着眼点

 

 千葉県市原市はとりあえず都内まで電車で40分余りの通勤圏にありますが、「千葉都民のベッドタウン」という性格はそれほど強くありません。何せ養老川の上流まで市域が南部(内陸部)深く、細長く伸びていますので、養老渓谷など、緑豊かな景観も広がります。ただ北部(湾岸部)の平野では都市化が進み、五井などは今も子供の数が増えている地域があり、それなりに人口の多い地域になります。

 市の特色は湾岸部に工場地帯が広がり、その労働者の居住区として平野部、及び平野をのぞむ丘陵部の縁辺から1960年代以降、大規模な団地が続々と造成されました。

団地や新興住宅地は次第に内陸部、牛久周辺まで及んでいます。しかし牛久よりも南は少子高齢化が急速に進み、小中学校の統廃合が次々と行われてきました。

 こうした市原ですので、湾岸部には自然豊かな歴史的景観は少なく、かつて半農半漁の田舎だった市原の面影を見る事は難しくなっております。また県内の他の市町村同様、国指定重要文化財が少ないため、分かりやすい見所も限られております。加えて緑豊かな南部でも丘陵上は数多くのゴルフ場となっていて、空中写真を見ますとゴルフ場開発で蚕食された様子がよく分かります。かつて丘陵上に祀られていた三山塚や石造物の多くが開発によって失われてしまったと考えられるのです。

 実はかつて数多く存在していた北部の貝塚や古墳なども団地造成などの開発によって既に多くが失われております。

牛久周辺のゴルフ場(グーグルマップより)

チバニアンで有名な田淵付近で写真右側がゴルフ場(2011.5.19撮影:国土地理院空中写真より)

 

 山間部に限らず、産業廃棄物処理場が数多く存在し、市原の特色は実際、「工場、ゴルフ場、ゴミ捨て場」と揶揄されてしまうような側面があることは否定できないでしょう。自然豊かな中をゆったりと歴史散歩を楽しみたい…という希望は一見すると実現できないように思えます。しかし…

 

 そんな市原の歴史散歩を楽しむためのつのポイントをご紹介いたしましょう。

 

1.地図を読む訓練

  先人たちの川と海とのかかわり、古道と村の成り立ちを知るためにも最も大切な

  ポイント。次の配信で地図を読むコツを伝授いたします

2.お寺と神社の基礎知識を知る

  宗派と経典、神仏習合、尊王攘夷と神道などは特に。

3.江戸時代の民間信仰を知る

  稲荷・庚申・子安・修験道・冨士講などは特に。

4.石造物の世界を知る:上記の2と3の基本さえ分かれば実は何とかなります。

 

 以上、4つのポイントを押さえておきますと、一見、ただの新興住宅街であったとしても何かが違って見えてくるでしょう。どこにでもありそうな何気ない風景ですら、いかにもその土地の由緒、歴史を雄弁に語り掛けてくるように感じてくるはずです。

 

 さぁ、皆さんも以上の知識をたずさえ、地元の歴史散策に出かけてみませんか。

 

参考動画

「ほーりーとお江戸、いいね!」

 堀口氏の解説は分かりやすく、親しみやすい。時刻、お金の単位、浮世絵、歌舞伎、長屋の暮らし、庶民の旅、各種興行…郷土史の基礎となる江戸時代の民衆の生活文化、娯楽などが楽しく学べる、イチオシの動画。10~15分ほどに収まる視聴時間がほとんどなので授業でも使える動画は多い。

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 NHKの「ブラタモリ」や「くもじい」、「くもみ」が登場するテレ東の「空から日本を見てみよう」が好きな人だったら、この動画が示している観光のポイントと郷土史への関心の持ち方とが極めて似通っていることに気付くだろう。

 グーグルマップなどを多用して地形などから町の歴史を推理する、遠くの観光地ではなく、地元のさりげない風景から面白さを見出す…世界中を旅する人気ユーチューバーの「スーツ」氏とテレ東で旅番組を担当してきた高橋氏との刺激的な対談。