その2.イジメ事件をめぐる学校の隠蔽体質(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・原点となった大津イジメ事件:ウィキペディアより抜粋・引用

 大津市の中学校で発生した出来事で、複数の同級生(加害生徒3名)が2011年9月29日に体育館で男子生徒(被害生徒)の手足を鉢巻きで縛り、口を粘着テープで塞ぐなどの行為を行った。10月8日にも被害者宅を訪れ、自宅から貴金属や財布を盗んだ。被害者は自殺前日に自殺を仄めかすメールを加害者らに送ったが、加害者らは相手にしなかった。男子生徒は10月11日、自宅マンションから飛び降り自殺した。被害者の自殺後も加害者らは自殺した生徒の顔写真に穴を空けたり落書きをしたりしていた。学校と教育委員会は自殺後に、担任を含めて誰もいじめの事態に気付いていなかった、知らなかったと一貫して主張していた。後の報道機関の取材で、学校側は生徒が自殺する6日前に「生徒がいじめを受けている」との報告を受け、担任らが対応を検討した事は認めたが、当時はいじめではなく喧嘩と認識していたと説明した。学校側と監督する教育委員会も当初自殺の原因はいじめではなく家庭環境が問題と説明していた。

 クラス担当の担任は、自殺した生徒より相談や暴力行為の報告を受けていたが、適切な対応をとらなかった。自殺後の保護者説明会にも姿を見せず、在校生徒に取材を避ける旨の放送とプリントの配布が行われ、事件直後より2013年3月まで休職してしまい、教育委員会や第三者調査委員会の調査にも支障をきたした。また遺族には謝罪を行わなかった。

 大津市教育委員会はのちに、「いじめた側にも人権がある」として、『教育的配慮』より加害者の生徒に聞き取り調査は実施しなかったことが明らかとなった。また調査自体も3週間で打ち切っていた。特に「いじめた側にも人権がある」とする大津市教育委員会の姿勢に対しては非難が殺到した。2回目のアンケート調査には、「男子生徒が先生に泣きながら電話でいじめを訴えたが、あまり対応してくれなかったらしい」との指摘や、「先生もいじめのことを知っていた」、「いじめをみて一緒に笑っていた」などの記述も15件あったが、それらを拾い上げていなかった。その理由として学校側は、「記載を見落としていた」とした。

 2013年1月29日、生徒が自殺前に「死にたい」と同級生に相談していたことを、学校側が自殺直後の調査で把握していたことが同市教育委員会への取材で分かった。校長は調査を受け、自殺の6日後の2011年10月17日にあった職員会議で、いじめとの因果関係がある可能性を認めていた。学校は同日、全校生徒を対象にしたアンケートを開始。市教委は同年11月、いじめがあったと認定したが、自殺との因果関係は認めていなかった。しかし、この時点で、学校側が行った調査の存在は遺族には伝えられていなかった。市教委によると、学校側は自殺翌日から在校生20人近くに聞き取り調査を実施し、その中に自殺前の11年9月、塾で男子生徒から相談を受けた同級生の証言があった。男子生徒は「死にたい」と言っていたが、理由については言及しなかったという。また他の生徒への調査で、いじめがあったことが判明した。

 学校側は、それまで「男子生徒が自殺するまでいじめを認識していた教諭はいなかった」としていたが、校長が9月18日に緊急記者会見を開き、「少なくとも教諭3人がいじめを認識していた可能性が高い」と従来の説明を一転させた。また、複数の教諭が男子生徒への「いじめ」を自殺前から認識していたとする内容を生徒指導担当教諭が文書に記録し、校長に提出していたことも判明した。この文書は、男子生徒が自殺した日に作成された「生徒指導連絡書」で、同校の生徒指導担当教諭が問題の経過を教諭らに聞き取って纏め、校長に提出した。それによると、自殺6日前の同月5日、男子生徒が同級生から校内のトイレで暴力行為を受けたことについて「被害生徒を呼びつけ、殴る」「加害生徒の身勝手な行動を『いじめ行為』ととらえ、被害生徒と加害生徒を呼んで指導」などと経緯を記し、自殺前から2年生を担当する複数の教諭が「いじめ」を認識して対応にあたっていたことが示されていた。市教委によるとこの連絡書は県警が加害者の暴行容疑の関係先として学校を捜索した際に押収したうちの一つで、事実確認のため関係資料を探していた市がコピーを受け取り、18日に遺族による損害賠償請求訴訟の第3回口頭弁論で証拠として提出した。

 大津市の越直美市長は、市長の下に第三者調査委員会を設立し、独自調査を依頼した。5人の委員は元裁判官や弁護士、大学教授らで構成され、今後のためのモデルにしたいと述べた。副委員長には明石花火大会歩道橋事故の遺族側代理人を務めた弁護士の渡部吉泰が選ばれた。委員の選出については大津市側のみならず、遺族側からの推薦で選任が行われた。市や教育委員会からは段ボール箱10箱分の資料が提出された。越市長は「学校や市教委の調査は不十分で、杜撰だった。再調査で事実を徹底的に明らかにしてほしい」と述べ、真相解明への期待感を示した。2012年8月25日から8月26日にかけ初会合が開催された。

 2012年12月22日、大津市役所での第11回会合で最終報告書を2013年1月20日を目処に纏める方針を決めた。当初は年内を目指していたが、関係者への聞き取り調査が難航し遅延した。会合後、記者会見した横山巌委員長は「20日に完成させて、1月末には市長に提出したい」との意向を示した。また、県警が加害者らを書類送検するなどの方針を固めたとの動向については、「警察の動きに関係なく、淡々とやるべきことをやる」と話した。

 2013年1月31日、調査委員会は自殺の直接の原因は同級生らによるいじめであると結論付けた。また大津市教育委員会やいじめ側の家族らが主張した「家庭環境も自殺の原因となった」という点については「自死の要因と認められなかった」と否定した。滋賀県警は7月11日夜、被害者への暴行容疑の関連先として市教育委員会と学校に対して強制捜査を実施した。いじめが背景にある事件の場合、学校や教育委員会から証拠の任意提出を受けるのが一般的で強制捜索に至るのは異例とされた。学校では7月12日に緊急保護者会が開催され、学校側より強制捜査を受けるまで至った一連の経緯が保護者に説明された。保護者からは「納得いく説明がない」などと厳しい批判が噴出し、保護者会は3時間を越えて続けられた。保護者らが求めた担任からの説明もなく、学校側の保身と、それに対する保護者らの不信感が増したとされた。校長は、担任教師が会場に姿を見せなかったことに関しては、「私の判断で出席させていない」とした。

 滋賀県警が強制捜査に入ったことを受け、それまで学校名を他紙同様匿名としてきた中日新聞(東京新聞)は翌12日の朝刊から実名報道に切り替えた(新聞各社で学校名の実名報道に踏み切ったのは中日のみ)。

 2014年(平成26年)3月14日、大津家庭裁判所は加害者3人の内、2人保護観察処分、1人を不処分とした。捜査の過程で、加害者の1人が2012年5月下旬に女性教師への暴力事件を起こしていたことも、同年7月に学校などを家宅捜索して押収した資料や学校関係者への聞き取りにより発覚した。捜査関係者などによれば、事件は体育館での修学旅行の事前指導中にあった。少年が理由もなく帰宅しようとしたため女性教諭が制止したところ、少年が複数回殴る蹴るの暴行を加えた。この事件の直前にはいじめに関する民事訴訟の第1回口頭弁論が開かれており、捜査関係者は、学校側が訴訟への影響に配慮し県警に相談をしなかった可能性もあるとみている。

 教育委員会は当初、報道機関の取材に「暴れる生徒を教師が止めようとして小指を負傷した」と説明していたが、実際は小指骨折のほか、顔や胸、脇腹など計5カ所に打撲やすり傷を負い、病院で全治1カ月の重傷の診断を受けたという。学校側は当初県警に事件の相談はしなかったが、市教委により県警へ被害届を出すよう指導された9月以降、大津署に被害届を提出した。

 加害者の1人で、事件後に京都府内の市立中学校に転校した生徒が、2012年6月12日に同級生に対して殴ったり所持品を燃やすなどの行為を行っていた。被害者からの被害届をうけ京都府警はこの生徒を傷害容疑で書類送検した。

 事件に関連して学校で5人、教育委員会で2人の処分が行われた。事件発生時の校長は、2013年2月26日に男子生徒へのいじめに適切に対応するための体制づくりを怠ったこと、教員らへの指導・監督を怠ったこと、保護者や社会に説明責任を果たさなかったこと、以上の責任に対して減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を受け、同日に依願退職した。事件当時の教頭2名が文書訓告、被害者の在籍していた学年主任が厳重注意処分となった。

 教育長および教育部長は減給相当の処分と判断されたが、すでに退職していたので処分は実施されなかった。退職金は規約通り満額支給されたが、これに対して遺族は強い不満を表明した。また教育長が『自殺の原因は家庭環境が問題であり、いじめが原因ではない』と当初表明したことについても未だに謝罪も説明もないとして、退職金の公庫返納を求めた。

 2013年5月17日、教育委員会は男子生徒の担任であった男性教諭に対して、「教員としての職務上の義務を怠り、教育公務員としての信用を著しく失墜させた」として、減給1/10とする1カ月間の処分とした。第三者調査委員会は、担任が意図的にいじめの認知を回避しようとしていた感があるとして、報告書で担任の対応のまずさを指摘した。これに対しては遺族側の家族が「学校、教育現場に、よりよい教育現場を作ろうとする意欲が感じられないことを改めて思い知らされ、愕然とする思いだ」と県の教育委員会を批判した。教諭は2013年3月より職場復帰しているが、事件から1年半経過した時点でも、遺族には説明や謝罪を行っておらず、遺族は「男性教諭からまだ謝罪を受けていない。本人の口から、この問題をどう思っているか聞きたい」と述べた。

 大津市の越直美市長は、2012年7月6日の定例会見で、学校と教育委員会の調査が不十分であったことを認め、再調査を明言した。その後、遺族推薦の委員含む第三者調査委員会を市長直轄として立ち上げ、徹底した原因調査に取り組んだ。これにより市長に不信感を抱いていた遺族も、越市長の対応に感謝と信頼を示した。第三者調査委員会の報告書を受け、市長部局としていじめ対策推進室を新設、常設第三者機関として、大津の子どもをいじめから守る委員会を設置等、積極的な教育改革に取り組んでいる。

 県教育委員会による担当の教師についての処罰が、僅か数万円の減給1カ月間のみに終わったことについて強い不快感を表明し、教育委員会に対しても改めて不信感を表明した。また、教員の処分を始めとする人事上の任免権を県の教育委員会が持っており、行政が関与できない制度は問題があるという見解を表明した。教職員の処分が甘すぎるという大津市長の指摘に対して、河原恵滋賀県教育長や嘉田由紀子滋賀県知事は、相応の処分だと反論した。

 東京新聞は、「いじめ自殺 隠すことが教育なのか」と題する社説を掲載した。調査を3週間しかせず、その結果も自主的公表もせず、加害者への聞き取り調査もせず、「自殺といじめの因果関係は判断できない」と結論づけたのはあまりに拙速で無責任すぎると批判した。また学校や教育委員会が組織を守ることを優先し、子供の立場に立てなかった不明を深く反省すべきだと指摘した。

 広島県の中国新聞は「大津の第三者委 いじめ解明のモデルに」と題する社説を掲載し、教育委員会が調査に加わった場合、「身内」である学校側への追及は甘くなりがちであり「事なかれ主義」で事実に看過することが繰り返される恐れがあるので、外部の識者だけで構成された調査委員会が必要であると訴えた。

 教育評論家の尾木直樹氏は、「生徒からこれだけいじめの報告が出てくるケースは珍しいですが先生方の感覚が麻痺している。加害者側と一緒になって笑っていることなど感性が教師のレベルに達していない」とコメントした。また、教育委員会は戦後日本の教育における「癌」になっており緊張感が足りないとして学校と教育委員会が相互に評価しあうシステムなどが必要だと提言した。

 藤原和博東京学芸大学客員教授も、本事件では教員集団の「隠蔽体質」や「事なかれ主義」が感じられ、そのことは2006年に自分が文部科学省の対策チームに加わって感じたものと同じものであるとし、それらの背後にあるのは教員集団での強固な「親分-子分関係」であると述べた。また、それらを打破するためには、校長に民間人を大量投入して学校や教育委員会で身内だけの論理を通用させなくする必要があると主張した。

 2013年4月、与野党6党によって「いじめ防止対策推進法案」が国会に提出された。自民党・公明党は、保護者には子供の規範意識指導が求められることを明記し、自治体や学校には、加害生徒に懲戒や出席停止措置を講じるよう求めたが、野党側は「国が家庭教育に介入すべきではない」「厳罰化では解決しない」と批判的で協議は難航。一時は成立が危ぶまれた。2013年6月21日、参議院本会議で賛成多数により可決成立した。社民党、共産党は、教育現場の意見が十分に反映されていないとして反対した。本事件では、教育現場での隠蔽体質が問題視されたので、重大ないじめの場合には自治体や文部科学省への報告義務が課せられた。また、いじめへの対応がなされず自殺に至ったことより、各学校にいじめ対策の為の組織を常設するよう定められた。インターネット上でのいじめについても対策が強化された。いじめが犯罪行為を伴う場合は、ただちに警察への届出を行うことも明記された。

参考資料

いじめ防止対策推進法(H.25)

第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(学校及び学校の教職員の責務)

 第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

 

・旭川イジメ事件

参考動画

ドキュメンタリー「告白~旭川中2女子いじめ問題~」(43分)2022年3月26日

 放送 2022/03/28 HBCニュース 北海道放送 44:15

徹底検証・旭川いじめ①学校はなぜ?【報道特集】

 TBS NEWS 2021/12/05 31:09

 旭川いじめ事件の全体像が見えてくる。

徹底検証・旭川いじめ②広がる衝撃【報道特集】

 TBS NEWS 2021/12/05 12:20

 繰り返されるイジメと隠蔽

【全音声3】「あのおぞましいものを見て涙が出た」「児童ポルノだ」Y中学校は保

 護者の声に本当に向き合ったのか?《旭川14歳少女イジメ凍死》

 文春オンライン2021/05/21

【旭川女子中学生いじめ凍死事件】ー文春も報じない旭川市立北星中学校 教職

 員の腐敗についてーYASU先生の学び場 2021/08/21

旭川中2女子凍死 市教委が緊急会見 真相解明どこまで? 2021年8月30日放送 

 HBCニュース 2021/08/30

旭川市の女子中学生いじめ疑いで遺族が「名誉棄損」を訴え SNS投稿を開示

 請求 HBCニュース 2021/09/16

旭川中2女子凍死 爽彩さん“肉声”が語るいじめの苦悩 2021年10月1日放送 

 HBCニュース 2021/10/01

【密着】"変人"と呼ばれ突き抜けた才能もつ少年画家 不登校からの再出発|

 ABEMAドキュメンタリー 2022/08/11 ABEMAニュース 40:44

 彼の絵と廣瀬さんの絵に類似点を感じる。学習障害や発達障害への理解を深めることがイジメを減らすポイントの一つかもしれない。

旭川中2凍死 市長が“異例”言及「いじめと認識」(2021年10月29日)

 ANNnewsCH 2021/10/29

旭川・凍死の女子中学生 学校に「死にたい」と電話(2021年11月5日)

 ANNnewsCH 2021/11/05

川で見た娘の姿…母が語る胸中 旭川中2"いじめ疑い" 「何されたら」認められるの

 か  進まぬ調査に疑問  北海道ニュースUHB 2021/11/05

【教育】いじめ防止法はなぜ機能不全に?隠ぺい&責任逃れの学校や教育委員会の 

 課題は?子どもたちを守るために今必要なことを考える【EXIT】【いじめ探偵】|

 #アベプラ 2021/05/08

【特集】旭川中2凍死 母親語る「何があったのか知りたい」 

 2021年11月12日HBCニュース 11:09 

 これまでの経緯がまとめられている。

旭川中2凍死 調査対象生徒と〝接触〟第三者委メンバー2人調査から除外(もう

 ひとホリ)2021年11月26日 HBC放送 2021/11/26 9:32

旭川いじめ凍死問題/学校教育委員会の隠蔽 事件の再調査求め100万人署名活動も

 妨害され…街録chあなたの人生、教えて下さい2021/11/28 36:20

旭川中2女子凍死…調査10か月 第三者委員会「いじめ」を認める (もうひとホ

 リ)2022年3月28日放送 HBCニュース 北海道放送 8:13

ドキュメンタリー「告白~旭川中2女子いじめ問題~」(43分)2022年3月26日

 放送 2022/03/28 HBCニュース 北海道放送 44:15

ギャラクシー賞受賞『空白~旭川いじめ問題 問われる社会~』2022年4月30日放

 送 2022/05/01 HBCニュース 北海道放送 47:03

旭川中2女子凍死 学校内でもいじめか アンケート調査に複数の生徒が回答 遺族

 側が市教委に説明求める 2022/06/21 HTB北海道ニュース 0:31

【いじめ】田村淳「どう解決したかを評価基準に」なぜ隠ぺい体質?子どもの責任

 は親に?学校に?2022/08/17 ABEMA 【公式】16:51

【旭川いじめ問題】SOSはなぜ届かなったのか 最終報告書を公表 自殺の

 背景は不明 STVニュース北海道 2022/09/20 11:44

 学校内でのイジメが認定されなかった点は大問題であろう。これこそが自殺とイジメとの因果関係を特定できなかった最大のポイントである。つまりこの結論は中学校側が校内でのイジメを見逃してきた事に加え、隠蔽してきたことの問題を第三者委員会が十分に追求できなかったという事だろう。そもそもこの事件が世論を賑わすまでに多くの時間が経過していた。しかも警察のような強制的捜査権のない委員会が調べられる事には最初から限界があったはず。裏を返すと闇の奥まで知っている学校内部の職員の情報提供がこれまでほとんど無かったということであり、強力な同調圧力を用いた組織ぐるみの隠蔽工作が行われていた可能性が極めて高い。この地域の学校組織が持つ異様なまでの閉鎖性がうかがわれよう。

なぜ防げなかった?旭川いじめ問題…再三の訴えを放置 上司と部下の関係、そん

 たく、隠蔽は? HBCニュース 北海道放送 2022/10/05 9:09

 六稜会(北海道教育大学旭川分校の卒業生からなる団体で旭川市内の小中学校教師の多くが所属している)のメンバー同士による忖度、なれ合いといった旭川独特の教育村の風土が隠蔽体質の背景にあるようだ。しかしこうした特定大学卒業生からなる団体が教員人事をこれまで一定程度左右してきたことは多かれ少なかれ全国各地で見られた現象である。それだけでは旭川特有というほどのものではないだろうが、わずか一つの大学が教員の供給をほぼ独占しているという過激な状態は確かに珍しいケースかもしれない。

 いずれにせよ大学における教員養成や教育委員会による教員採用の在り方において大きな問題があるといえよう。なお、第三者委員会の報告書に不十分さを感じた旭川市長が新たな第三者委員会の設置を決めている。中心となるのは大津のイジメ事件でも活躍した「尾木ママ」こと尾木直樹氏とされるようで、今回はかなり期待できそうだ。

参考記事

“任意”のいじめ調査には限界も。学校関係者も含まれる「調査委員会」の問題点と

   事実認定の3原則を元調査委員が解説

   FNNプライムオンライン によるストーリー  2023.10.26

 刑事事件として警察が捜査に乗り出した場合にはその捜査には強制力が働き、ある程度までは証言や証拠を集める事が出来る。しかし「イジメ」の重大事態として調査委員会(教育関係者が加わる可能性あり)や第三者委員会が調査に乗り出したとしてもその調査に協力するか否かはあくまでも任意とされる。このため証言や証拠を提出することを拒否されてしまうケースでは調査が先に進まなくなることも起こりうる。

こうした場合には被害者側が刑事・民事事件として警察及び裁判所に訴え出ないと埒が明かない。加害者の特定やイジメの事実確認自体が困難なケースは決して少なくあるまい。

 「教育的配慮」の名のもとに加害者側の人権ばかりが守られ、被害者側が泣き寝入りする印象がこの問題には常にまといつく。しかしその背景に教師や教育委員会の調査がどうしても不十分になってしまう、教師側の法的な限界があることは予め知っておかねばなるまい。授業では早めにこのことを周知させておかないと、議論が深まるのに余分な時間がかかってしまうかもしれない。

旭川いじめ「黒塗りない報告書」流出疑惑 小川泰平氏が懸念「指紋など証拠の採取

 は行っているのか?」 デイリースポーツ によるストーリー 2023.10.13

 この件に関して早くから繰り返し発言してきた小川氏が指摘するように故人への尊厳を踏みにじるような、極めて悪質な人権侵害が事件後も旭川で続発してきた流れの中で捉えるべき事案であろう。特に今回の漏洩事件は断じて許されないレベルの悪質さを感じるとともにこの事件の底知れぬ闇の深さを痛感させるものとなっている。

 この犯罪的行為が実行できるのは被害者の関係者以外では、政府、北海道教育委員会、旧第三者委員会、旭川市教育委員会しか考えられないという。被害者の関係者が黒塗りしていないプライベートにかかわる極秘資料を自ら旭川市議宅に投函する可能性は極めて低いだろう。肝心の動機が見当たらない。政府や北海道教育委員会もわざわざそんなことをする動機はほぼ無いと見てよい。そもそも守秘義務違反にあたる危険な行為を敢えて行う動機がこれらの関係者にあるとはどうしても思えない。

 したがってこれまでのこの事件の極めて残念な経緯からすればこれは尾木直樹氏が主導する新第三者委員会の報告が出る前に、事件の責任者たちへの追及をかく乱しようと画策した旭川市関係者の犯罪的行為と必然的に推理されるだろう。すなわち旧第三者委員会か旭川教育委員会に属する者の犯行の可能性が極めて高いということだ。 

 実際、この組織はこれまでも事件の誤魔化し、隠蔽に深く関わってきた張本人たちと深いつながりのある人たちが含まれていると疑ってかかった方が良い。つまりこの一連の行為は被害者遺族への脅迫的意図を持って行われている可能性があるだろう。

 さらに特定の旭川市議宅に投函した動機が疑われる。この市議がさらなる資料の漏洩に関わっていないか、捜査する必要も当然、あるだろう。市議に何を期待して投函したかが疑われるからである。

 また小川氏によると旭川市議の中には元校長がいるらしく、市議会にも極めて疑わしいメンバーがいるようである。しかも黒塗りしていない報告書は市議によってたちまち破棄されており、投函されたとSNSでこれ見よがしに発信した市議自身がそもそも相当、疑わしい人物であるらしい。

 以上のようなことから小川氏は今回の犯人を探し出す上で欠かせない証拠となる流出書類、特に封筒の指紋採取を行ったのかどうか、警察に確認すべきだと指摘されているのだと思われる。

 旭川の教育界、市議会における恐ろしいほどの闇の深さ…これは神戸市で連発する闇深い学校事件と双璧をなす、日本の学校教育事件史上、最悪なケースとして長く記憶されるに違いない。

旭川いじめ防止条例を可決 中2凍死巡り、即日施行へ

 共同通信社 によるストーリー 2023.6.30

“女子中学生凍死”を受け 旭川市がいじめ相談ダイヤルを開設 いじめ防止条例案も公

 表 HTB北海道ニュース によるストーリー 2023.6.9

 学校側の隠蔽を明確に禁止し、隠蔽への罰則規定を設ける条文は条例案の中にあるのだろうか。いつものように表面的な対症療法に終始し、きれいごとの努力義務ばかりが並んでいるとしたら効果は期待薄。そもそもあれだけ全国に衝撃を与えた大津イジメ事件の反省すら教師たちには周知されず、せっかく制定されたいじめ防止対策推進法などをまったく指導に生かすことが出来なかった日本の学校現場の深刻なゆがみ、本質的問題点をあまりにも甘く見過ぎてはいないか。その暗部の多くを見逃してはいないか。

 本質的な問題は上意下達に走る教育行政や教育委員会の在り方、学校管理職の人事や資質、ブラック化した職場、旧態依然の学校風土、穴だらけの教員養成と無駄だらけの教員研修などに求められるはず。それらの改革を棚上げしておいて、このような形で行政府による教育への政治介入ばかりが強まってしまえば今後、取り返しのつかない事態をも招きかねないだろう。本来、改革の主体はあくまでも教育行政でなければなるまい。しかし残念ながら肝心の教育行政本体が機能不全に陥っており、自浄能力までも失ってきている。従って徹底的に攻め込むべき本丸は現状維持ばかりを目指す日本の教育行政、教育法制全体である。これは政府と国会が責任を負うべき国政レベルの課題。地方行政で何とかなるレベルの問題ではない。もちろん旭川の取り組みは地方行政レベルでできる努力として旭川市民の立場からは一定程度、評価すべきであるが、国民としては真の敵を見失うことがあってはならない。

旭川いじめ加害者扱い、投稿者に賠償命令

 共同通信社 によるストーリー 2023.6.7

 ネット上での公開処刑のような投稿が相次いでしまった原因の一つに当該中学校と旭川市教育委員会の隠蔽、対応の遅さ等の問題があったと考えられる。それが無関係な生徒への被害拡大を招いたとするならば、中学校側と教育委員会の賠償責任も本来は問われるべきだろう。

旭川女子中学生凍死は「イジメではなく、性犯罪」…脅迫、強制わいせつ、殺人未

 遂など、小川泰平氏が罪名を想定 

 2021.8/21(土) YAHOO!ニュース16:32配信

旭川の女子中学生イジメ凍死事件、元校長の被害者への信じられない反応とは?

 小川泰平氏が直撃 2021.8/20(金) YAHOO!ニュース 20:30配信

加害・生徒と「親しい」と認識、いじめと認めず 中2死亡で旭川市教委

 朝日新聞社 2022/04/22 08:13

【速報】「子どもたちの"勇気ある声"無視した」旭川中学生いじめ 死亡の広瀬さん

 に校内でもいじめ疑い 6/21(火) 10:17配信 北海道ニュースUHB

「正直何も思ってなかった」自慰行為強要、わいせつ画像拡散のイジメ加害生徒ら

 を直撃【旭川14歳女子凍死】《遺族が手記を公開》

 2021年8月19日 11時0分 文春オンライン

旭川中2凍死 「市長直属で再調査」表明 市教委調査では不十分

 毎日新聞 – 2022.9.20

 今の今となってもいじめと死亡の因果関係については「いじめ事件がどの程度の割合で関与していたかまでは不明」として責任を回避しようとする旭川市教育委員会の頑なな姿勢にはもはや絶望的なものしか感じられない。そもそも黒蕨氏ら重い責任を負うべき人々がいまだに学校教育の世界に止まっていること自体、異常というほかあるまい。自浄能力の欠片すら感じられない。

 なお、2022.9.24、黒蕨氏はようやく本件の責任を感じて教育長を辞職することとなった。凍死事件から1年半も経ってからの辞職であった。この異常なまでの無恥厚顔さ、鈍感さ・・・今後は旭川市における学校や教育委員会側の硬直化しきった無責任体制が一体何によって成立してきたのかを厳しく問うべきだろう。

「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思

 います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃《被害者母が悲痛告白》

 「文春オンライン」特集班 2022/09/24 18:33

《旭川14歳少女凍死》「ゆがんだ性知識を持つ生徒が野放しに」「彼女には希死念

 慮があった」ようやく開いた保護者会で学校と市教委が見せた“当事者意識ロ”【音

 声データ入手】 「文春オンライン」特集班 2022.11.20

 廣瀬さんの自殺から1年半をとっくに過ぎた段階でようやくこの事件に関する2度目の説明会としての保護者会が当該中学校で開かれた。しかし教育委員会や学校側は第三者委員会の報告を楯にして自殺の原因とイジメとの関係性を不明とし、いまだに責任逃れを続けている。黒蕨氏一人が教育長を辞したものの、その隠蔽体質と無責任体質に変化はまったく見られない。実際、説明の仕方や内容には学校側の厚顔無恥な姿勢ばかりが突出していて誠実さや反省の色の欠片も見られないのだ。資料棒読みの国会答弁と同じで、これでは説明責任をまっとうに果たしたとは言えまい。自己保身の程度にも限度があろう。ほとんど呆れてものが言えない、というのが素直な感想である。

旭川いじめ 「加害生徒にも未来」発言教頭が否定

 テレ朝news -2022.11.22
 

  後編に続く