その1.画一的、管理主義的教育の弊害(後編)
導入:欧米と日本との間に横たわる高等教育の在り方の決定的な違い
◎【成田悠輔のガチ友人】ハーバード式!世界で戦うための教育法【下北沢駅前で小
田急と寮運営】 ReHacQ−リハック−【公式】 2023/11/06 39:39
◎【成田悠輔のガチ親友】ハーバードと東大!違いとは?【けんすう衝撃】
ReHacQ−リハック−【公式】 2023/11/13 39:20
日本の高等教育の最大の問題点は「リベラルアート」の果たす機能の重要性を軽く見る一方でひたすら同質的集団内,専門的学問の枠内にとどまり続けることで画一的、管理主義的教育を温存させてきた点に求められるだろう。小林氏の指摘する通り、国籍や年齢、専門などを超えた多様な出会いを保証する寮生活の重要性を見直すことは今後、日本の大学に一層求められてくるのかもしれない。
ハーバード大学が一人の大学生に年間でつぎ込む経費は4500万円ほど、経費面で日本のトップ東京大学ですらせいぜい800万円程度に過ぎないという小林氏の指摘にも驚かされる。早稲田、慶応にいたっては何と200~300万円程度に過ぎないらしく、アメリカの有名大学には遠く及ばない現状があるらしい。こんなお寒い状況で日本の大学がアメリカを上回るような教育の成果、研究の成果を上げることなぞ、まったく不可能なのは当然。
これまでも日本の教育関連予算は削られる一方であり、日本の学校教育の危機もまた今後、深まる一方となるのは不可避である。したがって今や高卒段階で学力にそれなりの自信がある生徒ならば日本の大学ではなく、積極的に海外留学を目指すべき時代なのだ。年収1500万円以下のご家庭出身ならばハーバード大学等では学費無料で受け入れてくれるそうなので経済的心配は日本よりも不要である。
○文科省の博士増加対策には安易に賛同できない理由
塾講師チャンネル 2024/07/17 13:11
この問題でも文科省の官僚のあからさまな劣化が推察できるだろう。学校現場の実情を調べる事すらサボり続ける文科省官僚たちの机上の空論に近い一方的で無謀な指図にひたすら振り回される教師たちの無念さ、悲惨さが伝わってくる動画である。
〇「全て他人のせい」日本人に主体性が育たない背景とは?レジェンド校長“工藤勇
一”が指摘する「教育の大問題」【成田修造/宮村優子/平川理恵/西村祐二】
NewsPicks /ニューズピックス 2024/05/18 14:39
〇「みんな仲良くなんてできない」先生主体のいじめ対応が子ども自身の解決能力を
奪う。当事者の生徒達が自ら考え、いじめを解決に導く方法とは?【工藤勇一/平川
理恵/西村祐二/成田修造/宮村優子】
NewsPicks /ニューズピックス 2024/05/25 14:31
参考資料
・日本の教科書検定制度(文科省のホームページより)
1)教科書検定の意義
我が国では、学校教育法により、小・中・高等学校等の教科書について教科書検定制度が採用されています。教科書の検定とは、民間で著作・編集された図書について、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査し、これに合格したものを教科書として使用することを認めることです。
教科書に対する国の関与の在り方は、国によって様々ですが(表2参照)、教科書検定制度は、教科書の著作・編集を民間に委ねることにより、著作者の創意工夫に期待するとともに、検定を行うことにより、適切な教科書を確保することをねらいとして設けられているものです。
2)教科書検定の必要性
小・中・高等学校等の学校教育においては、国民の教育を受ける権利を実質的に保障するため、全国的な教育水準の維持向上、教育の機会均等の保障、適正な教育内容の維持、教育の中立性の確保などが要請されています。文部科学省においては、このような要請にこたえるため、小・中・高等学校等の教育課程の基準として学習指導要領を定めるとともに、教科の主たる教材として重要な役割を果たしている教科書について検定を実施しています(付表2参照)。
本当に日本の教科書検定制度はこのままで良いのか、きちんと問い直すべきではないのか?特に義務教育でもない高校での教科書検定制度は不要なのではあるまいか?
・学校における柔道・剣道の復活
「戦後の武道教育についての研究―学校における武道の取り扱いに着目して―
久保 優樹,武井 幸二,岸本 卓也 2017」によると以下のように整理できる。
・敗戦後ただちにGHQの指令により軍事教練や武道が禁止
・昭和25年(1950)、柔道が学校教育に復活 ←サンフランシスコ講和条約
・昭和27年(1952)、剣道が「しない競技」という名称で復活 ←「剣」はダメ
・昭和33年(1958)、中学校学習指導要領の改訂により柔道や剣道は「格技」
とされ、男子のみが各学年一種目を行うこととされた。「道徳の時間」が設けられ
たことで格技は徳育をも担う種目として従来よりも重視されるように。
・昭和44年(1969)、中学校学習指導要領の改訂で格技の授業時数が倍増。ただの
体力作りに止まらず、公正な態度、規則遵守の精神、責任感などを育成する種目と
して一層重視されていく。
・平成元年(1989)、中学校学習指導要領の改訂で「格技」から「武道」に改称さ
れ、戦前からの呼称としての武道が復活。「伝統的な行動の仕方に留意する」と定
められ、礼法の徹底が図られた。もはや単なるスポーツという位置付けから昇格。
・平成10年(1998)、中学校学習指導要領の改訂で「我が国固有の文化として伝統
的な行動の仕方が重視される運動」や「武道に対する伝統的な考え方を理解し、そ
れに基づく行動の仕方を身に付けることが大切である」 というようなことが示され
た。
・平成20年(2008)、中学校学習指導要領の改訂で武道がついに必修化され、伝統
文化の尊重、愛国心や道徳心の涵養が武道を通じて図られた。
→教育基本法の改正(2006)
以上、柔道・剣道の復活の歩みを概観してみた時、何を感じるだろう。もちろん、カッパは柔道や剣道の精神を頭から否定するつもりはない。「礼に始まり、礼に終わる」礼儀正しさ、特定の型を反復して身につける練習方法…それらは長い伝統から培われた、一定の根拠を有する大切な日本の文化でもある。ただ、その文化を学校という公教育の場で有無を言わせず強制的に学ばせることの是非は厳しく問い返さなければなるまい。
確かに武道において「型」は重要な概念であり、決して軽視すべきものではない。しかし学校教育全体にまで型の精神を安易な形で敷衍し、一般化することは許されまい。武道の復活を通じて変に型にはまった、柔軟性に欠けるものの考え方が戦後の学校教育に浸透したとすれば事は重大である。実際、いまだに形式ばった、軍隊式の卒業式や入学式が多くの学校ではびこっていないだろうか。そこではかなりの確率で武道の顧問がこれらの式の号令をかけていないだろうか。
こうしたことは戦前、戦中まで当然のことと考えられてきたが、戦後、人権尊重をうたう日本国憲法のもとではいかがなものだろう。「人権尊重」をうたう公教育が児童生徒の多様性、個性を踏みにじるものであってはあるまい。学校での画一的管理主義は新憲法の精神とはどうみても相性が悪い。どうやら戦前まで支配的だった日本の画一的管理主義教育は戦後、武道の復活とともに巧妙な装いをもってよみがえってしまったのではなかったか…このUターン現象をリードしてきたのは一体、誰だったのか(「昭和の妖怪」岸信介らに違いあるまいが)、どんな政治的思惑がそこに働いたのか、疑念は尽きない。
すなわち教師ならば誰でも日本の戦後教育の歩みを大学時代にしっかりと振り返る必要があったのだが、一体、どれだけの教師がこのことについて今も真剣に考えているのか…大学における教師養成教育の貧弱な実態と教師の置かれた厳しい職場の実態を考えると実に心もとない。人権教育に関心の低い現在の日本の教師のあり方には歴史的にも大きな問題が潜んでいるのだ。
なお、武道の禁止から復活への過程は武道を描いた漫画や時代劇の禁止から復活への過程とはほぼ平行して実現しているので、カッパの調べた範囲でそちらの動向も簡略ではあるが以下に示しておく。もちろん公職追放の解除や戦犯の社会復帰、戦争物の漫画やドラマの復活、軍隊の復活もまた武道の復活と軌を一にしている。総じて「戦前への回帰」とも捉えられるこれらの動きをもたらした最大のきっかけは朝鮮戦争時におけるアメリカの対日政策の転換と考えられる。
・時代劇の復活と終焉
敗戦後、いわゆる「チャンバラ禁止令」がGHQから出され、映画などでの剣戟のシーンや仇討ちシーン(アメリカへの復讐心を煽るおそれ)は御法度に。
1951年頃から時代劇の復興が見られるように ←サンフランシスコ講和条約
※姿三四郎の映画化、テレビドラマ化が続々と行われ、テレビアニメも登場。漫画
の世界でも武道を描いた作品が登場し、1952年から1954年にかけて柔道漫画
『イガグリくん』(福井英一)が『冒険王』で連載された。この作品は講談や時
代劇などで描かれてきた伝統的な日本人的心情に則ったもので、柔道だけでなく
異種格闘技戦の要素も含んだ作風は熱血スポーツ漫画のルーツとも呼ばれ、後の
作品群に大きな影響を与えることになったという。
1960年代半ば以降、時代劇の映画上映は減少する一方でテレビ放映が急増
※「柔道一直線」(TBS:1967~71)ブーム、スポ根ものドラマの一つ。
「おれは男だ」(日テレ:1971~72)ブーム ⇒森田健作、青春ものスターへ
以上は学校における柔道、剣道の復活と歩調をあわせてブラウン管に登場。当
時の児童、青少年に与えた影響は小さくないだろう。
1990年代、いわゆるトレンディドラマの流行によって時代劇衰退へ
このテーマは近年、NHKの朝ドラ「カムカム エヴリバディ」で時代劇好きの主
人公(川栄李奈主演)が登場した事で多少はタイムリーなテーマとなっている。
ここでは時代劇復活の是非を巡って授業で討論させたい。すなわち手段や理由は何であれ、「人殺し」シーンに拍手喝采を送るドラマの是非について、西部劇や戦争物映画の歩みについても併せて討論すべきだろう。
参考動画
◎【禁断のテレビ史①】日本を支配した電通とテレビ局!命がけの超授業【オリラジ
アカデミー】中田敦彦のYouTube大学 2022/11/19 57:30
◎【禁断のテレビ史②】業界騒然の神回!失われた30年の真相【オリラジアカデミ
ー】 藤森慎吾のYouTubeチャンネル 2022/11/19 56:51
戦後日本のメディア史を分かりやすく整理して、面白く語ってみせる中田氏の授業力には参考となる点も多い。2本でかなり長尺の動画だが、途中まったく飽きさせることなく、興味津々の展開が続くオススメの番組。ただしテレビ番組の内容における洗脳的側面には一切、触れていない。あくまで映画やテレビが大衆娯楽の主役を降りていき、ネットが台頭してきた過程を中心に解説したメディア興亡史の授業である点には留意すべき。オリンピックでの電通問題に関しては大いに参考となる内容。
・スポ根ものブームと運動部
一般的に「スポ根」の発祥となった作品や元祖と呼ばれる作品は『週刊少年マガジン』で1965年から1971年にかけて連載された『巨人の星』(原作:梶原一騎、作画:川崎のぼる)。スポ根とは、1960年代から1970年代の日本の高度経済成長期に一般大衆の人気を獲得したジャンルであり、メキシコ五輪が開催された1968年前後に人気のピークを迎えたと言われる。
日本国内のスポーツ競技の集団主義や精神主義といった事情とスポ根を結びつける指摘があり、スポ根作品がそうした価値観を美化して描いた影響により学生スポーツにおいて過度の練習や体罰を後押しする結果となったという見方が生まれた。例えば1960年代から1970年代当時、部活動などの現場ではウサギ跳びやアヒル歩きのような半月板や膝関節に負担が掛かるばかりで実質的な効果の少ない運動法が全国的に推奨されていたが、これらは運動生理学を知らない指導者達が漫画やドラマの影響を受けて部員に対して課したものだとする指摘がある。
スポ根ブームの渦中には学校の部活動において練習中の事故や、退部を申し出た生徒が部員から暴行を受けるなどの事件が多発したらしい。組織内の上下関係を背景とした指導や、ひたすら鍛錬を積み、勝利のみを追求する価値観は第二次世界大戦後の民主化の流れの中でも温存され、とりわけスポ根作品が支持を得た1960年から1970年代当時の日本のスポーツ界では体罰も辞さない厳しい指導が常態化していたと思われる。
1980年代以降、科学的な分析に基づく効率的なトレーニング方法の導入によりスポーツ界の内情もかなり変化してきたようだが、一部の学校現場では相変わらず「しごき」の強要といった古典的な指導法が残されているようだ。
・甲子園大会は必要なのか?
参考動画
◎【野球離れ】甲子園は高校生にとってベストなのか?20年で部員半減の厳しさも?
スポーツ業界における野球の役割|《アベマで放送中》2022/05/14 12:43
◎[FACES いじめをこえて 30min.] いじめ、貧困生活を乗り越えた青年が始めた命
がけの「勉強」| NHK 2023/02/08 7:49
何のための野球部だったのか、一生付き合える仲間を作るはずの部活動が地獄となってしまうメカニズムを探りたい。彼に対して学校がどれほど無力だったのか、学校の何が問題なのか、なぜ、それほどまでの貧困が放置されてしまったのか、問うべき課題は多い。
◎【成田悠輔で社長退任!】320億円の会社辞めたカリスマ起業家【真の幸せは?】
日経テレ東大学 2022/06/28 47:14
高野連を新聞の販売促進団体と見なす考えが新鮮。長老を頂点とする中央集権的組織がはびこる日本の問題点は日本のスポーツの在り方を見直すとよく分かると言う。莫大な赤字に終わった東京オリンピックと黒字となったロサンゼルスオリンピックとの違いから日本社会が抱える反民主主義的、非合理的体質が浮かび上がってくるらしい。日本社会を最適化するには「何が幸せなのか」を足下から真剣に問い直す必要があるという指摘に頷かされる。
◎【勝利至上主義】歪んだ思想を植え付ける?勝ち負けより大切な学びも?全国大会
は必要なのか 2022/05/21 ABEMA 【公式】 16:04
スポーツや運動部、学校体育、運動会のあり方全体が問われている。この世界にはびこる勝負至上主義、根性主義、体罰体質、集団主義、同調圧力、管理主義、イジメ…その温床としての、これまでの日本におけるスポーツの負のあり方には反省が必要。ひろゆきの「甲子園大会は不要」という提案は議論のテーマとしてかなり刺激的ではあるが、問題提起としては非常に面白い。
◎【日本】我々にかけられている深刻な呪いについてお話しします【山田玲司/切り抜
き】 2022/07/09 10:42
勝利至上主義の弊害がいかに大きいか・・・山田氏の指摘と実践は興味深い。自分にかけられている「呪い」とは何だろう、そこから目覚めるにはどうしたら良いのだろう・・・声優や漫画家などに憧れを持つ高校生は多い。十分、刺激的な内容であり、討論の材料になるだろう。
◎【改革】部活動民間委託・水泳自由参加…”学校の当たり前”を廃止の名物校長と考
える学校改革「トップダウンじゃないことが一番大事」
2022/09/01 ABEMAニュース【公式】 18:52
※参考記事
◎休日の部活、地域移行しても教員が指導? 先行実施で浮かんだ課題
朝日新聞社 2022.12.11
大体予想通りの状況となっている。予算をケチるあまり、きちんとした受け皿を用意せずにた
だ地域移行を叫んでも無理なのは当たり前であった。地方によっては教員以外の指導者や施設を
確保すること自体が極めて難しい事も予想できていたはずである。指導者の養成や資格、施設の
確保など、それなりの予算を必要とする措置についてきちんとした論議が尽くされていないま
ま、「やってます」感を演出するためにきれい事の掛け声だけが先行し、徒に現場の混乱を招い
てしまっている。政府、特に文科省の責任は極めて重いだろう。
とは言え条件が全て揃うのを待っていられるほど悠長な状況でもあるまい。教員の負担軽減が
主な狙いであるならば、取りあえずクラス担任や主任クラスの運動部顧問としての休日における
指導は認めない、といった何らかの歯止めとなる原則を予め設けておかなければならなかったは
ずである。でなければ折角の取り組みが人員や施設の不足を理由になし崩し的に後退してしま
い、「元の木阿弥」にならないとも限るまい。いずれにせよ、官僚や政治家達がいかに学校現場
を知らないか、知ろうともしていないのかがよく分かる調査結果である。
参考記事
◎甲子園で長髪旋風! 非丸刈りチームの決勝進出が確定 「高校生らしくない」に著名
人が反論「時代は常に変化」 ENCOUNT によるストーリー 2023.8.19
この話題から入ると高野連や運動部の抱えてきた問題点を浮き彫りにしやすいだろ
う。まずは高校野球での「丸刈り」に対して賛否を問い、それぞれの理由を挙げさ
せてみたい。
◎なぜ朝日新聞社は私の原稿をボツにしたのか…「夏の甲子園」との異常な癒着ぶりは
ジャーナリズム失格である プレジデントオンライン
玉木 正之 によるストーリー 2023.5.25
日本のマスコミが抱える闇は日本の学校教育が抱える闇と通底するものがあることに気づきたい。ABEMAの動画視聴と併せ、討論の資料としてぜひ配布したい。
〇球児よりヤバいのは審判・チアガール・吹奏楽・観客…夏の甲子園でバタバタ倒れ「熱
中症死」が出る日 プレジデントオンライン 酒井 政人 2023.8.8
〇【甲子園】6回に土浦日大、上田西の両チームの選手が動けなくなりベンチに運ば
れる 今大会から暑熱対策を実施 報知新聞社 によるストーリー 2023.8.6
〇もう夏の甲子園はやめませんか?高校野球を巡る諸問題はやめれば解決する
Bpress 関 瑶子 によるストーリー 2023.8.5
児童、生徒の野球離れに危機感を持つ野球関係者は多い。大リーグでの大谷翔平選
手の活躍はあるものの、ひと頃に比べれば日本の野球への関心は確かに低下しつつあるだろう。野球部員の人数がそろわずに他校との合同チームを組むことを余儀なくされ、ついには廃部に追い込まれる、などといった残念なケースが少子化の進展も手伝って徐々に数を増しているという。
しかし高校教育における野球の問題点はそうした野球人気の陰りとは別の観点からもこれまで数多く指摘されてきた。高校にはスポーツ指導者の団体として体育科の教師を中核とする「高体連」があるが、なぜか野球だけは別格扱いで「高野連」という野球部顧問中心の組織が高校野球を完全に仕切ってきた。そして野球部員たちにかつて丸刈りを事実上、強制してきた厳格な高野連ルールはこれまでも幾度か物議をかもしてきている。いわゆるブラック校則を側面から支えてきた高野連の体質には昔から数多くの根深い問題があったとみられるのだ。
実は高校教師の異動に際して高野連が介入する「高野連人事」がかつて普通に見られた。もちろん「高体連人事」もあるにはあったし、スポーツ種目によってその事情は相当異なるだろうが、多くの場合、高野連ほど露骨ではなかったという個人的印象がある。皆さんの場合、いかがだろう。そこそこ有名な野球監督であるならば自ら望まない限り、野球部の存在しない女子高や定時制、通信制に異動することは私の記憶では一度も無かったと記憶している。
他方で私生活を犠牲にして野球指導に専心する顧問の負担は極めて過酷であり、自身の家庭生活や心身の破綻を招くことも少なからず見られた。すなわちブラック校則のみならず、職場としての学校のブラック化を側面から支えてきたのも実は高野連であったといえなくもない。
部活動過熱化の核として甲子園を頂点とする高校野球の勝利至上主義的あり方があったことは否めない。テレビ放映が地方大会レベルから行われ、高校野球の熱狂的なファンは全国に大勢ひしめいていた。根性論、鍛錬主義に基づく体罰や暴言、先輩による後輩へのしごきなどが当たり前のように繰り返されてきたのも間違いなく野球部が中心。50年以上前のテレビアニメ「巨人の星」(当時、絶大な人気を誇ったアニメだが、現在、どれほど要望があったとしてもコンプライアンス的に再放送することはできないはず)を見て育った60代の世代はとりわけ行き過ぎた熱血指導を賛美しがちであったと思われるが、いかがだろう。
※ちなみに1958年生まれのカッパはまさにスポ根ものアニメの洗礼をまともに受けた世代であり、教師
や先輩による体罰、暴言、「しごき」などは当時、日常茶飯事の光景であった。自分自身、中学生の
時に厳しい運動部に所属していたこともあり、体罰や暴言、しごき程度に何の違和感すら抱いていな
かったのだ。その後、大学でカウンセリングの基礎や教育社会学を学び、頭では体罰などが良くない
ことと思うようになれたが、いざ、自分が運動部の顧問になってしまうと、結局、時間が経つにつれ
て鍛錬主義的発想が再び表に出てきてしまった。
技術や知識、部員たちのチームワークよりも個々の根性を鍛えることが運動部の大切な目的である
との信念から私がほぼ完全に解放されるのは定時制高校に転勤となり、運動部を指導しなくなってか
らのことに過ぎない。アニメやドラマ、運動部の経験を通じて施された一種の洗脳は私の骨の髄にま
で染み込んでいたのである。したがって運動部の指導をしていた時、厳しい練習と怒鳴り散らす叱責
は運動部の指導に必要不可欠のものと私は固く信じて疑わなかった。一生懸命取り組むことと鍛錬主
義的指導とは密接不可分であり、試合中でも生徒たちを怒鳴り散らすことが自分の義務であり、職務
であるとすら考えていたわけだ。
夏の甲子園、春の選抜はそれぞれ朝日新聞と毎日新聞が高野連と共催し、ほとんどの試合は予選の地方大会も含めてNHKによってテレビ放映されている。また予選を含めた試合での全校応援も多くの高校で見られた。まして甲子園出場ともなれば学校側は大規模な応援団を編成する必要に迫られる。当然、勝ち続ければ億単位の予算が必要となり、関係者は卒業生などに寄付を募るなど、周囲の人々に様々な労力と金銭面での大きな負担を強いてきた。甲子園大会は熱狂と美談、数々の感動的ドラマを生み出す裏側で、様々な矛盾を抱えてきたのだ。
他のスポーツではサッカーを除くと全国大会ですら学校が組織的に応援団を送ることは稀であり、テレビ放映もかなり限定的。高体連の各専門部の資金力も多くの種目では高野連とは比較にならないほど貧弱である。様々な面でのスポーツにおける種目間格差が、特に野球と比べた際の格差の大きさが教育における公平さを欠くのでは…などとかねてから学校現場では指摘されてきていた。近年は多少の改善が見られるものの、いまだに格差解消には程遠いのが実情である。
マスコミ各社にはぜひこうした問題にも言及していただきたい。
◎高校野球で「そんなの認めない」 ペッパーミルだけじゃない、審判の怒りを買っ
た“球児の行為” AERA dot. 2023.4.5
討論のテーマとして格好の素材になるだろう。
※参考動画
◎甲子園のペッパーミル騒動…クーニンズメンバーはこう思っている!
qooninTV 2023/03/20 10:41
パフォーマンスなどに対する高野連の指導についてどう思うか、けっこう意見は分かれるだろ
う。グラブの色などの規定も含めてスポーツと学校教育との関係性について考えてみたい。夏と
春の甲子園自体の存在意義を含めて考見直すべきポイントは多いだろう。特に近年における野球
人気の凋落ぶりの背景には何があるのか、これを機に探ってみても良いかもしれない。
〇【書評】『“歪んだ法”に壊される日本』組織を支配する「空気」の存在を浮かび上
がらせる NEWSポストセブン によるストーリー 2023.5.14
一見、このテーマとは無関係に思える記事であるが、日本的組織を支配する保守的空気を醸成するのにこれまで大きく加担してきたのが、上下関係やメンツを偏重する日本の伝統的な学校文化、とりわけ旧来の部活動における集団主義、年功序列型の組織風土ではなかったか…なぜ、「チームの輪を乱すな」と言わんばかりに周囲への忖度を一方的に迫るような、硬直した息苦しい組織風土が日本社会に蔓延してしまったのか、ぜひ推理させたい。
〇53日間で休み1日だけ…中学教諭の「過労死」 訴え認め…約8300万円の支払い命
じる 遺族の思いは 日テレNEWS によるストーリー 2023.7.6
ふと気づくとそういえば一か月間、一日も休んでいなかった…若いころは疲れ気味の自分自身に対する思いやりなど持てず、有給休暇を一年間で一度もとっていないことを武勇伝であるかのように自慢する傾向が自分にもあったことは否めない。文化祭の準備でさえ午前様になることは珍しくなかった時代があったのだ。
こうした先輩教師たちの武勇伝は美談化されることでおそらく後輩たちを相当追い詰めていただろう。無謀なまでの精神主義的根性論を柱とする心性は子供時代、「スポ根アニメ」の洗礼を浴び続けて育った、今や60代となっている元教師に多く見られたように思う。私などは間接的にではあるが、こうした過労死事件に心ならずも加担してしまった一員として深く反省しなければなるまい。
◎「日本一」を決める大会が多すぎる…生徒も先生も疲弊させる「ブラック部活」が一向
に減らない根本原因 プレジデントオンライン
中澤 篤史 によるストーリー 2023.4.16
全国大会を行う競技数と開催頻度の増加が学校での部活動の過熱、勝利至上主義、体罰や管理主義をもたらし、一斉講義形式を柱とする授業のマンネリ化をも全国隅々まで蔓延させてきた一因であったのは事実だろう。
◎熱中症で帰宅中の女子中学生が死亡「なんでこんな暑さで部活やらせる?」高校野
球にも「中止」の意見が SmartFLASH によるストーリー 2023.7.31
直近では体育の授業で熱中症の警報が出ているのにリレーをさせて大勢の生徒たちの救急搬送を引き起こしたりする日本なのでこうしたことは十分予想できた事態であったはず。しかしこれは今や過失傷害致死事件なのだ、というコンプライアンス的認識がそろそろ学校側には必要な時代であろう。たとえ学校体育の世界であっても我慢と鍛錬という根性論、精神論で突き進んでいける時代ではない。
◎制裁も覚悟した…部活顧問の「強制はおかしい」職員会議で声を上げた教員
2022.6/6(月) 9:54配信 西日本新聞
この問題、教師にとっては極めて重大な問題である。カッパが指導してきた部活の種類は通算で6種類に及び、そのうち4種類の部活がメインの顧問であった。体育教師ならばともかく、社会科教師である私がズブの素人であるにもかかわらず、なぜ、複数のスポーツを専門的に指導できなければならないのか、まったく納得がいかなかった。いずれも私生活を犠牲にする休日返上の指導である。
部活動人事は勤務先の学校生活全体を左右しかねないほどに重大な影響力があるため、ケースによっては教師間、生徒間ともに不公平感と不満を生みだしかねない。実際、未経験の種目を指導することになった部員から毎回、冷ややかな眼差しで見られる辛さは並大抵のものではなかった。部員の親から「なぜ素人のお前が顧問をやってるんだ」としつこくクレームの電話がかかってきたが、未知の種目を指導できないのは私の責任ではない。責任を負うべきは私の希望を無視して人事を決めた管理職の方だろう。
◎中1自死 関連指摘の教諭を懲戒免職に
朝日新聞社 2022.12.3
これも酷いケース。教育委員会や校長の責任は重い。2020年、市教委は40件もの体罰等の不適切な指導を認めておきながら2022年まで当該教諭を教壇に立たせてきた。2019年に被害生徒の一人が中学入学後に自殺しているにも関わらず、3年以上も放置してきたのだから当該教諭を懲戒免職にするだけでは済むまい。当時の校長や教育長への厳しい処罰も行うべきであろう。
◎なぜ部活動の暴力はなくならないのか? 背景に指導者個人の資質と過度な勝利至上
主義 2022/08/01 07:00 AERAdot.
※AERA 2022年8月1日号より抜粋
◎部活の体罰、なぜ絶えない? 専門家「悩ましいのは指導者の評価が競技成績という
事実」 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2022/11/05 18:04
学校教育をもっとオープンにすべきなのは当然であるが、牢固な隠蔽体質を持つ学校が多い中で掛け声だけではオープンにはなるまい。ではどうすべきなのか、生徒にも問いたい。おそらく本質的な問題は部活動にのみ限定されず、伝統的な日本社会の体質、学校教育の深層領域にも潜んでいるのではあるまいか。
○国が進める「部活動改革」を専門家は危惧 生徒にも影響「学校から活気なくなる」 Full-Count 2022/10/18
部活ではなく学校の授業にこそ活気を取り戻すべきではないか。
○学校単位の部活どころか高校そのものがなくなる? 先が見えない日本の少子化問題
を考える Sportiva 鈴木雅光 2022.12.26
〇荻窪小クギ問題「事故直後に校庭を使うなんて理解できない」…負傷児童の保護者
が本紙取材に明かした経緯 東京新聞 2023.5.24
運動会などの際、グランドに釘を打つことはどこでも普通に見られよう。当然、釘は後片付けの際に撤去されてきたはず。ところが杉並区の小中学校全体で4263本ものクギがグランドから発見されたという。事故のあった荻窪小だけで500本以上も見つかったというから驚きだ。つまり杉並区ではグランドの釘は基本的に後片付けの対象とされていなかったということらしい。グランド内に釘などの危険物が(ほとんどは土中ではあろうが)数多く埋まっていても、それが危険だとの認識は教職員間に共有されていなかったと推察できる。しかも運動会が行われるたびに杉並区では新品の釘を用意していた可能性もある。
であるとするならば金額的には少額であっても明らかにムダな出費であろう。おそらくこれだけの非常識なことを平然と見逃し続け、誰もが気づくはずの無責任で杜撰な行為を10年以上も繰り返すことのできた荻窪小や杉並区の学校教育風土には教育委員会を含めて相当大きな問題が潜んでいると思われる。徹底的に追求すべきはその点なのではあるまいか。
◎校庭のくぎ問題、続々見つかる 江東、北、江戸川区の小中学校、幼稚園などから
計1236本 東京ニュース 江東区 2023年6月1日
何と校庭への釘放置問題は杉並区にとどまらず、北区、江東区、江戸川区でも広範に確認されたという。私としてはビックリ仰天の出来事なのだが、おそらく他の区でも、いや全国の学校でもこれは少なからず露見してしまうようなありふれた事象なのであろう。だとすればこの問題は日本の教師たちが普遍的に抱える、子供たちに対する人権感覚の低さが学校風土全体にはびこっていることを示しているのかもしれない。でなければ20年近くもの間、クギは放置されてこなかったはずである。
確かに高校の校庭でも小さからぬ数の石が埋もれていたことは幾度か体験している。部活動で生徒たちが転倒やスライディングなどした際に危険なので見つけ次第掘り起こして校庭の端に捨てていたが、この場合は誰かが故意に石を埋めていたわけではあるまい。精々、事務長か誰かがグランドの土を入れ替える際に費用を節約するため、砂礫の混じる安い土を業者から購入してしまったのが最大の原因なのだろう。釘を故意に放置していた東京都の案件と比べればそれほどの「悪意」は覚えない。むしろただでさえ少ない学校の予算の中での、苦しいやり繰りから生じてしまった、ある程度はやむを得ない出来事だったとさえ思われる。
それにしても校庭の釘問題、なかなか奥は深そうだ。二言目には子供たちの健康と安全を口にしながら、性懲りもなく体育祭や運動会での事故、熱中症の集団発生を繰り返してしまう日本の学校教育の持つ人権意識の低さは本来、最優先されるべき子供たちの安全への配慮に綻びをうみ、肝心な場面での気の緩みを招く。積年、校庭に放置された釘の数々はそうした教師たちの心理を雄弁に物語っているに違いない。
◎小学校の校庭の“くぎ”で児童が大けが 校庭の“大量のくぎ”はなぜ見逃されていた?
【news23】 TBS NEWS DIG_Microsoft の意見 2023.6.2
Q「校庭のくぎはなぜ見逃されていたのか?」
〇校庭を金属探知機で調べたら…クギ以外も続々 鉄筋、空き缶、蛇口も
朝日新聞社 によるストーリー 2023.6.9
校庭の土に対する学校側の関心は伝統的に低かったようで、グランドにはあまり金をかけない傾向が個人的には感じられた。高校時代にグランドの土には破傷風菌がいる可能性があるので注意してほしいと体育教師から言われた記憶がある。本来なら学校側がグランドの殺菌に取り組むべきなのだろうが、日本では基本的にすべて自己責任。ケガをしたり、ケガが化膿してしまっても、これまではもっぱら生徒側の不注意が原因であり、傷の治療や消毒をきちんとしなかった生徒、および保護者の責任とされていたのではあるまいか。しかも多くの学校ではかなり安い土をグランドに投入しており、石以外にも様々な危険物が土に混じっているのが普通だといってよい。教育予算の少なさと学校の安全軽視の伝統がこうした事件を生み出す背景にはある。
・【独自】 立川市 小中学校の校庭でくぎ4012本
TOKYO MX+ によるストーリー 2023.6.19
〇小学校校庭の大量くぎ問題 実効性ある安全点検は「学校任せ」でよいのか…
東京新聞 2023.6.19
案の定、校庭の釘放置は都内各所で確認されている。都や区の教育委員会の指導がこれまでどうだったのかが、厳しく問われよう。小学校では近年、相次いで英語や情報といった新しい授業が導入され、教師はその対応に追われている。確かに多くの教師たちには時間的、体力的余裕がない。しかし本来、児童生徒の安全確保ほど教師が優先すべき作業・点検項目はないはず。教師のゆとりが無いからといってこれを業者任せにする発想はどう考えても芳しくないだろう。むしろ教師たちが校庭の安全点検をきっちりと行えるだけの時間的、体力的ゆとりを確保していくことこそが最も優先される課題と思うが、いかがか。
安全性の確保・点検は校庭だけではなく、当然、各種教室や階段、駐車場、体育館、遊具、U字溝のフタなど、学校の隅々まで実施できなければなるまい。児童生徒と日常的に向き合っている教師でなければ、目が行き届くことの難しい箇所だって少なくない。様々な施設・用具があり、死角の多い学校空間である。ごく短時間しか学校に来られない業者が児童生徒の予想しがたい動きをも想定した点検ができるのか、疑わしくはないだろうか。たとえ予算がついて特定の業者に任せられたとしても、本当に実効性のある安全確保など外部の業者には極めて難しいと思うが、いかがか。
もちろん、児童生徒の健康や安全確保を最優先する心構え自体が従来の日本の学校には圧倒的に欠けていた側面があることも否めないだろう。深刻な組体操の事故が相次いでいても決して止めようとしない学校はいまだに少なくない。また暑い日であるにも拘わらず敢えて運動会や長距離走を強行したり、蒸し暑い体育館で長時間にわたり全校集会、学年集会を強行して大勢の児童生徒を体調不良に陥れることを繰り返す学校も少なくない。今や傷害罪に問われるかもしれないような、我慢大会と化した学校行事の数々…そうした戦前からの集団主義的、鍛錬主義的な教育の在り方は時間をかけて徹底的に見直すべきであろう。そしてそのためにこそ、教師たちには児童生徒の健康と安全を確保する地道な点検作業だけはむしろ万難を排してでもすべからく、怠りなくやり続けていくべきである…今後、様々な学校事故を少しでも着実に減らしていくにはそれしかあるまい…と思うのだが、いかがだろう。
実は学校でのケガ、体調不良の発生を安易に児童生徒の自己責任・自己管理能力の欠如と決めつけるような、学校事故・事件の当事者意識に欠ける教師は現在も決して少なくない…というのが私の正直な実感である。
・東京オリンピックとは何だったのか?
◎【恐怖】洗脳教育を受けた韓国人が韓国を嫌いになったワケ
2021/08/07 コリプロ「ファンカイと韓国語」 14:18
オリンピックの隠れた目的が見えてくるのでは?
◎【東京五輪の闇】日本経済衰退の戦犯「利権ビジネス」とは?【ドーム元社長・安
田秀一】日経テレ東大学 2022/12/08 38:07
◎小泉演説 2021年7月 都内某所 (松下アキラ)
イヌとネコ 2023/01/18 6:11
東京オリンピックの問題の導入として利用価値が高い動画。かなり笑える。
◎汚職日本代表の活躍を見逃すな!
ワラしがみ 2022/09/23 7:55
東京オリンピックの問題点が分かりやすく面白く解説されている。
◎【なぜ儲からない】スポーツビジネスの転換が必要?【東京オリンピック汚職】日
経テレ東大学 2022/12/13 37:42
◎【五輪汚職〜安倍政治と検察①】東京五輪でなぜ汚職が相次いで起きてしまったの
か?政権と検察の関係にも迫る!
2022/09/24 中田敦彦のYouTube大学 -37:46
◎【五輪汚職〜安倍政治と検察②】戦後最長の安倍政権vs検察人事への介入
2022/09/25 中田敦彦のYouTube大学 - 28:19
◎【五輪汚職】の授業を終えて中田が感じた事は?
2022/09/26 中田敦彦のトーク - NAKATA ATSUHIKO TALKS 22:24
中田氏が危険を冒してまで真情を吐露するに至った理由について討論させたい。これまでアマチュアスポーツ界における利害を超えた平和の祭典と美化されてきたオリンピックであるが、1984年のロサンゼルスオリンピック以来、プロスポーツ選手の参加が許され、運営上の巨額な経費を賄う上で企業の関与が一気に拡大していった。
今回、東京オリンピックに絡む贈収賄が疑われている事件は巨額の資金が投じられるオリンピックに目を付けた企業と政治家との汚い関係が背後に潜んでいるようだ。コロナ禍のもと、開催に反対の動きが見られる中でオリンピックを強行した政権の隠れた意図が見え隠れしていよう。さらに安倍元首相殺害事件が加わり、オリンピック開催と統一教会の改名に深く関わってきたかつての安倍政権が目指した政治の実相が暴かれつつある。にもかかわらず、現岸田政権のもとで安倍氏の「国葬儀」が強行された。なぜ安倍政権が2016年から検察人事に強引な介入を繰り返したのか、その理由が疑われるだろう。
2020年に安倍政権が検察人事介入に失敗した事が安倍氏の体調不良を理由とした退陣に繋がるとすれば安倍氏がこれまで行ってきた「忖度」政治の危うさがいかなるものかも深く考えていくべきである。2030年の札幌冬季オリンピック実現に向けて既に動き始めた現在、森友事件、桜を見る会の疑惑などとともに東京オリンピックに関わる贈収賄事件への徹底的な解明が待たれる。
政治やスポーツの世界にはびこる年功序列の権威主義的体質はどうやら人脈を利用した汚職事件と親和性が高いように思われる。そうした中で事件に関与したと疑われている元首相で文教族出身の森喜朗元オリンピック組織委員長の功績を称えて森氏の銅像を建てようとの動きがスポーツ界に見られるとのこと。これまたどう見ても疑問だらけの動きだろう。疑惑の渦中にある安倍、森二人の元首相をこのタイミングで臆面も無く顕彰しようとする政治家達の動きに日本のスポーツ界が関与するとすれば高体連や高野連はどう対応するのか…公教育における政治上、宗教上の中立性が改めて問われるに違いない。
統一教会についてはぜひとも「◎【YouTubeとの向き合い方】旧統一教会の授業をするまでの葛藤と覚悟 2022/09/01 中田敦彦のトーク 39:29」を参照していただきたい。中田氏が真剣に自己肯定感を高める上で何を失い、何を得てきたか、深く考えさせられる内容。民主主義の孕んでいる危険性が見えてきて社会科学習の究極的目標の一つが中田氏の発言に潜んでいるようだ。
※森元首相による女性差別的発言の件は§4「差別問題」で触れます。
・不登校とイジメの背景
参考動画
◎【坂井風太】「生存者バイアス問題」と若手の不本意離職を防ぐにはReHacQ−リ
ハック−【公式】 2024/01/17 52:35
組織マネージメントの専門的見地を学校組織に当てはめると、学校での不祥事、隠ぺい事件の背景にどのような組織文化があるのか、探っていく必要があるだろう。坂井氏の指摘には非常に有意義なポイントが数多く含まれているようだ。特に「生存者バイアス」は極めて重要な観点で、このバイアスこそ学校をダメにしている大きなポイントではないだろうか。バイアスを自覚し、さらに新人教師の教師としての自己効力感を高めるマインドセットをどう創り出すのかを探ることは大学での教員養成教育においても必要不可欠なはず。
◎今世紀に反抗期は無い
宮台真司の部屋 2022/11/04 8:16
醜悪な現代社会において「キョロメ、ヒラメ」であることがいかに危険なのか、確かに留意すべきだろう。「承認虫」と呼ばれるようなクズにだけはなりたくない、と思うならば大人社会とは安易な妥協をせずに自らの価値観の軸をずらさない努力が必要となる…思春期における反抗期を無くしてしまった現代においては、むしろ大人になってからの反抗期を永続させるような覚悟が不可欠なのかもしれない。刺激的で考えさせられる内容。やや難易度が高いが、是非、生徒達の意見を募りたい。
○【不登校】全ての親御さんへ【山田玲司/切り抜き】
山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説【山田玲司 切り抜き】
2023/02/07 16:28
○【教育】不登校ははっきり言って○常ですよ…。学校嫌いとその親に知っておいて
ほしい現実【山田玲司/切り抜き】
2022/08/18 11:36
○日本で自○が異常なほど多い理由…【山田玲司/切り抜き】
2022/06/04 8:21
山田氏は今の学校がどんなにダメなのか、かなり過激にこきおろしているが、このような視点を学校教師が多少とでも理解できているのかは疑問。とはいえ、意識、無意識のうちにイジメを放置し、隠蔽してしまう学校の無様な現状の背景に何があるのかを見ていく必要もあるだろう。
◎歴史的偉人が現代人を論破するアニメ【第34弾】「なぜいじめが起きるのか教えて
やるよ カール・ポパー」ピヨピーヨ速報 2021/12/26 4:02
◎小学校担任50代男教諭「スルーしよう」児童に相次ぎ“いじめ行為”滋賀・野洲市教
委が謝罪|TBS NEWS DIG 2022/09/30 5:10
いじめの扇動を指導方法の一つとする教師が出てくる背景に、イジメられる側の責任を強く問う考えが多くの教師に共有されている可能性は指摘できよう。大抵、イジメる側がクラスの生徒では多数派であるため、担任には生徒の多数派にすり寄ることでクラス経営を楽にしようとするインセンティブがどうしても働きがち。
かなり昔に有名になった担任による「葬式ごっこ」事件(東京都中野富士見中学いじめ自殺事件:1986年)以降もこうした事件はほとんどが表面化しないまま一定程度、各地で続発していたのではあるまいか。
◎【成田悠輔】評価と仕事と学校教育|好き勝手なことをやる意志|他人の評価、分
類、肩書きに捉われない生き方|無感覚観
日本経営合理化協会 2022/08/20 8:23
不登校経験者の学校論。他人の評価ばかりを気にせず、自分のやりたいことを優先すべき…強力な同調圧力のもと、イジメを恐れて周りの空気を読み続けるうちに自分を見失いがちになる、息苦しい現在の学校社会から自立していくにはどのような心構えが必要なのか、考えてみたい。これは児童生徒だけの問題ではなく、教師の学校におけるあり方の問題でもある。
◎【成田悠輔】学校、会社の強制してくる価値観から逃げ出す能力を作るために社会
性をどう削ぎ落としていくかが教育の重要な約割。成田悠輔の子育て論
【成田悠輔/切り抜き】 ゆうすけの部屋 2022/04/03 4:51
社会性が無いことでむしろ学校が押し付けてくる価値観から守られる自分らしさ、自分なりの価値観があることが示唆されている。成田氏らしい個性が光る言説。
◎【ネタバレ注意】“かがみの孤城"に隠された謎!【本の紹介・レビュー】
文学YouTuberベル 2018/05/05 10:25
不登校問題を考える上で最良の入り口の一つが近年、アニメ化された「かがみの孤城」だろう。同調することばかりを強いて多様性を尊重できない日本の学校文化に潜む排他性がスクールカーストと陰湿なイジメを生み出す集団心理の土壌となっていると思える。作家の辻村氏が描く作品の多くはそうした社会の中で個性的な自分という存在を持て余しながらも、不器用に生きている人たちをどのように支えていくのか、その方途を指し示しているようである。
○学校を休むことの重大さが日本とアメリカで違いすぎる!日本 VS アメリカ
#Shorts 2021/05/28 Kevin's English Room / 掛山ケビ志郎 0:40
こういう、ちょっとした身近な話題から日本の学校社会の異様さを浮かび上がらせる工夫は大切だろう。
参考記事
◎給食に生徒が「ふりかけ持参」で賛否 「弁当と給食は別物」猛反発した市議が語っ
た問題の本質 AERA dot. 米倉昭仁 の意見 2024.3.17
賛否相半ばする議題としてぜひ授業で取り上げたい記事。ふりかけ持参に反対するのはいかにも全体主義的な傾向をにじませる共産党議員。激怒するところなぞはまるっきり中国や北朝鮮の反応に近く、そのことにむしろ恐怖を感じてしまうのだが、いかがだろう。
大の大人がなぜ、こんなことで激論を交わさなくてはならないのか、個人的にはまったく理解できない。件の市議、全国隅々まで画一的に統制することを美徳とするような気味の悪い全体主義を平等の理想とすっかり取り違えているのではあるまいか。
「弁当と給食は別物」と決めつける思想には個性や多様性、自由を危険視するファシズムの臭いが強烈に漂う。児童生徒個々人が必要としている栄養バランスは間違いなく、多様性に満ちているだろう。どんなに栄養バランスを考慮したメニューであっても、全員一律のメニューである限り、栄養面で全ての要求を一人一人適性に満たすことなど不可能に決まっている。児童生徒からすれば昨日の夕飯や今朝の朝食メニューと給食のメニューとが折悪しく重なってしまうことだって十分ありうる事態だ。
そんなに栄養のバランスをとりたいのなら給食担当者は手分けして各御家庭の食卓に突入し、一日三食、一年365日すべてのメニュー指導を厳格に実施するほかあるまい。硬直し切った薄気味悪さを発散する共産党市議に猛反発したくなるのはおそらく私だけではないだろう。
〇元気な小学生が中学生になると面白みのない生徒になる…「みんなも我慢している
んだから我慢しろ」無能教師がはびこる日本の同調圧力教育
集英社オンライン 2023.08.07
〇なぜ多くの日本人は昔から、同調圧力が「好き」なのか…自由を「わがまま」や
「自分勝手」ととらえ、厳しい校則で圧をかける教師もいる
集英社オンライン 2023.8.8
◎「不登校の原因はいじめ=0.2%」という文科省と学校を信用できないワケ
JBpress 石井 志昂,湯浅 大輝 によるストーリー 2023.8.18
これほど違和感の強い調査結果を一体、誰が信用できるだろう。どれだけ文科省や教育委員会、学校が世間からズレてしまっているのかを雄弁に物語るデータ。
〇「いじめ」が生まれる「深刻な構造」の正体…多くの人が意外と知らない「学校」
とはなにか 現代ビジネス 内藤 朝雄 の意見 2023.5.25
〇日本の学校の「深すぎる闇」…私たちが「理不尽なこと」を受け入れてしまう「根
本原因」の正体 現代ビジネス 内藤 朝雄 の意見 2023.5.26
極論も含まれているが、刺激的な分、訴求力はあるだろう。日本の学校ははたして子供たちが成長していく上で本当にふさわしい条件を備えているのか、冷静に問い直してみる必要はあるに違いない。子供たちにとって本質的に害悪となる側面も学校教育にあるはず。少なくとも「学校という場では教育という素晴らしい営みが行われている」という幻想、思い込みだけは捨てておかなければなるまい。ならば日本の学校のどういう点が良くないのか、討論させる上で一つのたたき台にはなるだろう。
◎公立小が98%の日本で「オルタナティブスクール」が増える本当の価値「モンテッソ
ーリやシュタイナー」日本でも脚光 東洋経済オンライン 2022/11/01
日本の場合、98%以上の子ども達が公立の小学校に通うという異常な選択肢の狭さに、国民意識を植え付けるための洗脳装置としての学校という国家戦略が明治以降も変わること無く続いてきたという近代日本の普遍的な流れが示されているようである。学校の在り方にも今後、更なる多様性が切実に必要とされているのではあるまいか。ただし、本来はどの学校においても尊重されるべき多様性を圧殺してきた日本社会のあり方そのものへの反省がまずは求められよう。
◎「日本人には自由な精神が足りていない」安藤忠雄が世界とわたりあって知った"本当
に大切なもの" プレジデントオンライン 高橋 克明 2022.12.5
大学に行かなかった安藤氏が世界的に活躍する建築家にまで登り詰めた背景に何があったのか、刺激に富む内容。国家の行く末と青年達の進路を重ね合わせて考える上で格好の素材となるだろう。
◎多数派の考え方を変えるために少数派の人たちができることとは?【社会心理学】
ラブすぽ の意見 2023.6.22
少数派の意見が多数派に影響を与えられるようになる条件として、少数派の意見が一貫している(多数派に阿らない)、他の論点では多数派の意見を持っている(ただの天邪鬼ではない)、多数派が現状に満足できず、改革を求めている、などがあるという。集団の同調圧力に屈せず、イジメと戦う、あるいは学校社会を変えていこうとする少数派には大いに参考となる知見だろう。
参考文献
○「学校ってなんだ!~日本の教育はなぜ息苦しいのか~」
工藤勇一・鴻上尚史 講談社現代新書 2021
※イジメなどをめぐる学校側の隠蔽体質については後に配信する予定です。