その1.想定している読者層

 

①中学校、高校の社会科教師、とりわけ高校地歴公民科の若手教師

   主に現代社会(⇒公共)、政治経済、倫理、日本史、探求学習の授業で使える面白ネタを紹介しています。心理学や学校問題、差別問題は中学校の公民分野でも使えるネタを含みます。内容によっては道徳や総合の時間、LHRでの利用も考えられるでしょう。授業の導入時に上手く使うと生徒の反応が爆上がりのネタもあるはず。

 

②心理学に興味のある中学生、高校生、一般の方

   錯視という現象を切り口にして明らかにされつつある感覚、知覚、認知の働きや仕組みの一端を探ります。さらには意識の深層にも迫ります。認知心理学、認知行動療法やマインドフルネスなどにも触れていきます。またヒトのサイボーグ化とロボットのアンドロイド化の行方についても簡単に触れます。10年余り前、千葉県立東葛飾高校でのリベラルアーツという授業で行った講演内容を土台としています。

 

③教職にある方、教職志望の大学生、学校教育に関心のある方

   学校教育の諸問題(ブラック校則、防災教育、体罰・虐待、部活動と体育、欧米の学校と日本の学校との違い、イジメと隠蔽、不登校問題、君が代と教育勅語、一斉講義形式の残存、討論の進め方、学校のブラック化、これからの学校教育等)に焦点をあてています。ネット上の記事やYouTube動画の紹介が軸となります。

 

④差別や偏見の問題に興味のある方

   特に性差別、性教育の遅れ、障がい者差別、格差問題に焦点をあてています。「人格の多面性」と「多様性の尊重」との関わりが一つのポイントとなりますので、人格についてもここであらためて考えていく必要があるでしょう。

 

⑤日本の文化に興味のある方

   特に外国人観光客の視点を中心に「日本らしさ」とは何か、YouTube動画のネタを中心に探っていきます。

 

⑥若者と日本の進路に興味のある方

   ブラック企業の問題に加えてGAFAや中国企業の躍進に対してやや出遅れ気味の日本社会が抱える将来への不安と進むべき道を探求していきます。少子高齢化、防災対策、デジタル社会の進展など、とりわけ高校での進路指導に役立つネタをセレクトしていきます。

 

⑦沖縄修学旅行の事前学習に関心のある方

   たとえば成人式の日の光景を切り口に沖縄社会の光と影を探っていきます。沖縄戦の悲劇と戦時中の教育、戦後の基地問題、尖閣諸島を巡る日中の対立、本土復帰を巡る問題、公文書問題、沖縄観光業の明と暗、沖縄の学校教育、「車社会」と言われる沖縄独特の交通事情、ウチナーポップスなどにも触れていきます。内容としてはYouTubeの動画やネット記事の紹介がメインとなります。

 

⑧日本の現代史や現代社会に関心のある方

   特に戦後史まで授業で扱った経験がほとんどなく、新科目「歴史総合」や「公共」の登場に面食らっている地歴公民科の先生向けです。ただしあくまで沖縄ネタを中心に絞り、ごく限られた話題にとどまりますが、討論の題材として論争を呼びそうないくつかのネタを用意しております。これで当面の窮状を脱することは出来るかもしれません。

   とはいえ、時に際どい論争ネタがあり、それなりの「危険物」も含まれます。授業で扱う際にはかなりの慎重さと勇気を要求されますので悪しからず。

   この分野に関してはあくまで自己責任でご利用下さい。

 

⑨千葉県市原市の郷土史に興味のある方

   基本的には高校の授業範囲を超える内容を数多く取り上げます。千葉県市原市における歴史散策の見所案内がメインです。特に身近に見られる江戸時代の石造物を詳しく紹介します。迅速測図などを利用して江戸時代の街道や集落の復元など歴史地理的アプローチも取り入れます。地元の学校ならば中学校や高校の授業でも扱える身近なテーマが含まれます。歴史ネタはすべての生徒を惹きつける事が極めて難しい分野ですので、このブログを一つのきっかけにしてぜひご自分の学校近くの史跡、文化財、出来事を見つけてみてください。

   ここではあくまでカッパの地元の郷土史教材という極めてローカルでマイナーな内容をご紹介いたしますが、他の地域の方は郷土史を教材化する上での私の「目の付け所」、着眼点を参考にしていただければ幸いです。

 

   なお各テーマに関してはそれぞれにおいてYouTubeでのオススメ配信やネット記事を数多く紹介しています。教室で支障なくYouTubeを視聴できる環境にある学校ならば教師の皆さんが授業で使える面白動画を幾つか見つけることが出来るでしょう。YouTubeの膨大な動画から時間を掛けて苦心の末、見つけ出された生徒の反応が爆アガリする可能性を持つ良質な配信を授業で利用出来れば生徒達の授業参加度は格段に向上します。そうした授業を経験した生徒の中から自分にフィットする良質の動画を自らの判断でYouTubeから選び出し、授業以外でも自主的に視聴しようという動きが生まれてくるかもしれません。少なくともネット記事やYouTubeの動画が授業ネタの宝庫である事だけはここで保証しておきます。

※参考記事

 ○私立中学入試に「探究型」登場、資料調べて伝える力を問う…国語・算数などの教科試験は実施せず 

    読売新聞 によるストーリー 2024.2.3

 ○地域の課題と解決策を…高校生が「探究」授業の成果発表 八王子市

 日テレNEWS NNN によるストーリー  2024.2.12

 〇脱・陰謀論 文化人類学者が重視する、「分からない」に耐える力

  毎日新聞 によるストーリー 2024.1.12

 一つしかない正解を理解させ暗記させるだけの授業が児童生徒からどんな力を奪ってしまったのか、

   反省するところから出発したい。多様性、個性の尊重はその先にある目標であろう。

 〇教師が抱える“孤独”「授業について語り合う場面がなかった」、150年続く旧態依

 然とした教育現場の異常 ORICON NEWS によるストーリー 2023.12.7

 ◎日本の高校生、自律学習の「自信」最下位 文科省「国民性が関係か」

   朝日新聞社 によるストーリー  2023.12.5

 文科省はこの結果を国民性の違いによってある程度説明できると匂わせるような解釈をしているらし

   い。責任逃れも甚だしいし、絶望的に的外れな考えだ。そもそも画一的な学習内容と単調な授業の容

   認とによって高校生の自律的学習欲求をすっかり台無しにしてしてきたのは一体、どこのどなただっ

   たのだろう。

      義務教育ならまだしも高校教育レベルでいまだに単調で窮屈な検定教科書の利用を押し付け、加え

   て共通テストを通じて学習内容を厳しく統制してきたお役所こそが、多様であるべき学習を画一化

   し、高校生の自立学習、自律学習の芽を摘んできた最悪の元凶なのだ。そして文科省の見え透いた

   嘘、責任逃れの言い訳に関して一切批判することなく口をつぐんでいるマスコミ側もまたその存在意

   義が問われるはずである。

なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか日本人の「生産性」を高めるために必要なこ

   と プレジデントオンライン 田中 道昭 によるストーリー 2024.2.13

 「日本は、“強み”より“弱み”にフォーカスするカルチャーが根強い。会社では組織の弱みを正して、全体の平均点を上げようとし、採用でも「◯◯ができない」と弱みばかりを問題視して強みのほうはあまり評価しない。アメリカのカルチャーでは、明確な強みがある人材の弱みなど、ほとんど気しないのだ。日本人は小学生の頃から「苦手科目を克服して平均点を上げよう」という発想が染みついている。自分についても他人についても、欠点や弱みがすぐに意識される。外国に比べて英語を話せない人が多いのも、「発音や文法が完璧でなければ話せない」という意識が邪魔しているからではないか。」

 引用が長くなってしまったが、こうした日本の残念な企業文化を生み出し、支えてきた主犯格は間違いなく日本の画一的な学校教育であると私は考えるがいかがだろう。

   社会科などで重んじられてきた暗記中心の、正解が一つしかないような知識の記憶ばかり問う授業や試験のあり方が、加点方式ではなく減点方式の評価を企業社会にも定着させてしまったのではあるまいか。多様性や個性を犠牲にして一つの正解、一つのルールへの同調を強要し、多数派への忖度を強いる窮屈な社会を創り出してしまったのではあるまいか。突出した個性を持つ有名人への中傷を煽り、日本ではどの集団,、社会においてもイジメが横行する、足の引っ張り合いを繰り返す、妬み、ヒガミに満ちた非生産的な群集心理を生み出してきてしまったのではあるまいか。

 そして挙句の果てには、幸福度や仕事への熱意、労働者一人当たりの生産性が低い、現在の閉塞した日本社会が形成されてしまったのではないのか。

「先生よりもYouTube」昭和生まれの親が知らない子どもの学習事情

    ASCII 2022/09/02 19:00

 

   動画の視聴後にどんな発問をするのかも生徒達の動きに大きな影響を与えるでしょう。特にエモーショナルな反応が予想される動画の視聴後には生徒達の思いを自由に吐露させる自由記述を含んだアンケート形式のプリント提出が生徒達の多様な意見を引き出す上でもかなり効果的です。逆に重要単語のみを教師が解説しながら穴埋めするプリントの形式は出来るだけ少なくしていきましょう。そもそも教師からの一方的な教え過ぎによって序盤から特定の結論に誘導してしまうような展開、あるいは過剰な情報量によって生徒達の関心や思考が混乱したり麻痺してしまうような展開だけは避けるべきです。議論を活発にしていくためには授業の導入部で強烈に生徒達の心をワシヅカミしてしまうような訴求力のある動画を視聴させることで生徒の思考意欲、表現意欲を最大限、刺激していきたいものです。

 

   様々な手段を講じて生徒達の自己表現欲求を僅かでも満たしていく努力こそが、インプットばかりで一方通行になりがちな授業に風穴をあけていくことにもつながるのではないでしょうか。不毛な単語だらけの授業は生徒を受け身にさせてしまうだけではなく、教室をアッという間に酸欠状態にしてしまいます。聞き慣れない言葉達のシャワーを息つく暇もなく、容赦なく浴びせるだけのマシンガントーク授業で生徒達を窒息させてはなりません。これまで長らく授業の主役だった重要語句の紹介とその解説は今すぐにでも脇役に降格させるべきだと考えます。

 

   繰り返しになりますが、生徒の感性や感情をしっかりと刺激する教材を用いて生徒の興味関心を最大限に引き出し、生徒自らが言葉を紡ぎ出したくなる・・・そんな機会をできるだけ多く作り出すことがこれからの社会科授業では最も大切な目標となると考えます。その流れの中でこそ、生徒はおのずから社会科における重要語句の本当の重要さに気付いていくのではないでしょうか。物事に面白さ、驚き、怒り、悲しみを感じた時こそ、人は物事の仕組み、メカニズムを知りたくなるものです。この順序を逆にしてしまっては折角の素材の面白さが台無しでしょう。それはちょうど手品の種明かしをしてから手品を見せるようなものです。授業の冒頭から重要語句の解説と暗記のための反復学習を強いる展開に生徒達がトキメキを覚えることは決して無いと思います。

 

   そもそも授業の最大の成果は重要語句をいかに多く覚えたか、理解できたか、テストで高得点を挙げたか、ではないと考えます。一年間を通じて生徒達がどれほどあなたの授業を楽しみにしていたのか、あなたの授業科目、授業内容をどれだけ好きになれたのか、社会についてどれだけ生徒達自身の頭で考えられたのかを真っ先に問い直すべきではないでしょうか。授業中、退屈して寝てしまう生徒が多いようならば、今すぐにでも授業の導入部分を見直し、一方通行のインプットばかりでアウトプット無しの授業を変えていくべきなのです。

 

   こうした観点から授業に取り組んで行くには当然、他の教師や教科書に縛られ過ぎない独自の内容と展開の工夫が求められるでしょう。幸い、社会科の場合には同じ科目を担当する教師との共通問題で定期考査を行うとするような規定を持つ高校はかなり稀です。すなわち高校社会科では授業のペースや内容面での共同歩調をあまり意識する必要はありません。社会科という教科は内容面や進度面で他の教科(国語、数学、英語、理科・・・)ほどには教科書等に縛られておらず、教師独自の教材をマイペースで導入できる余地がかなり大きく残されている・・・そうした面では画一的で制約が大きいと言われている日本の学校教育において高校の社会科は特異な性質を備えた、極めて貴重な教科なのです。

 

   他方、国数英理では評価の公正が厳しく問われるため、学年共通問題を用いて定期考査を行うことが圧倒的。そうした教科では内容面だけでなく、授業の進度面でも他のクラスや教師と歩調を合わせる必要が生じてしまいます。つまりこれらの教科では教師個人の独自教材の利用がかなり限定的となってしまうのは教科の性質上、ある程度致し方ない事なのです。

 

   確かに同じ社会科と言っても地歴科の場合には内容面でそれなりの大枠があって他の教師の進度にもある程度合わせていく必要があるなど、制約が大きい側面はあります。しかし公民科の場合にはどの高校でも内容や進度の面で教師個人の裁量がそれなりに認められている場合が多く、フリーな部分が地歴科よりも大きい傾向があります。ならば公民科の場合、この特色を最大限、授業に活かしていくべきでしょう。逆に言えば公民科の授業の出来不出来に関して地歴科以上に生徒側から教師個人の力量が厳しく問われてしまうと考えるべきでしょう。授業がつまらない原因を教科書のつまらなさに転嫁することは、社会科、とりわけ公民科教師の場合、絶対に許されないはずです。

 

 このブログは以上の考え方に共感してくださる方に向けてもっぱら発信されております。したがって授業の素材となるネタの紹介が中心となります。これがあれば授業準備は不要!というものではありませんし、決して綿密に作り込まれた完璧な授業案を提案するつもりなど毛頭ないのです。そもそも授業のあり方に「正解」は無いし、自分の「正解」を一方的に押しつけるつもりもありません。あくまで素材の提供に重点を置いており、素材をどのように調理して味付けするのか、盛り付けはどうするのか、といった教師の一番の腕の見せ所は皆さんの創意工夫に委ねられております。もちろん、ごく稀には私の展開例を示すこともありますが、それは例外に過ぎません。

 

 また著作権への配慮から本来は理解しやすくする上で使うべき画像や動画、図表、ネット記事の多くをここでは紹介できない事もご了承ください。特に授業では必要不可欠な写真や図表の類いの場合、公的な機関のホームページに公開されているものにほぼ限定してしか紹介しておりません。実際の授業ではネットで検索させるか、YouTube上の動画を静止させてグラフの読み取りをさせるなどの工夫をしていただけると良いでしょう(当然、スクリーンショットの画像をこのブログで紹介することも、ほぼ不可能です)。

 

参考動画

「え、YouTubeでは先生と違う説明をしてたんですけど?」教育系YouTuberの

   影響で“ヤバい学生が増えている

   文春オンライン   羽場 雅希 によるストーリー 2023.12.9

【歴史教育】「戦国武将の名前は知ってるのに」近現代史より縄文弥生を重視?な

 ぜ知識・暗記に?今の国際情勢を 理解するための学びとは?|#アベプラ《アベ

 マで放送中》 2021/12/10 ABEMAニュース【公式】 14:03

 「歴史総合」の登場によって課されることになった、世界史や日本史における近現 代史の重点的な取

   り扱い。その意義と課題は非常に大きいと考える。予想される課題としては教科書検定の歴史から見 

   ても分かるように、事実認識や解釈の点で分断と対立を招きかねない近現代史を大々的に扱うがゆえ

   に授業での繊細な配慮が教師側により一層強く要求されてくるに違いない。

    一方で若者の政治離れや近現代史への知識不足、理解不足の背景には高校時代の歴史授業が多くの

   場合、20世紀の出来事にほとんど触れることなく終了していたという残念な事実があったことも否

   めない。従って「現代社会」という科目が消滅するダメージを「歴史総合」がカバーできる部分はか

   なり大きいと期待もしている。

    いずれにせよ、「歴史総合」は教師の力量が今まで以上に問われる科目であり、今後、高校現場で

   の授業がどう展開され、入試問題でどのような出題がなされるのか、非常に興味深い。なおカッパは

   これまでも日本史等では十分に扱えなかった近現代史を「現代社会」や「政治経済」で部分的にフォ

   ローしてきたので「歴史総合」の登場を大歓迎している。

【Z世代】世界を激変させるニュージェネレーション!Z世代の価値観を徹底解説

 2021/12/11 中田敦彦の YouTube大学  32:25

【Z世代】次の時代を制するにはZ世代の心をつかめ! 

 2021/12/12 中田敦彦のYouTube大学  29:29

 「Z世代」に属する生徒達への理解なしに社会科授業は組立てられないだろう。

【心理的安全性】誰もが率直に意見を言える環境とは?組織改革を進めるカギ?超 

 重要概念を学ぶ2022/05/29 ABEMA 変わる報道番組【公式】 24:20

 多様な意見を引き出すために必要とされる心理的安全性とは何か、理解できる。

※参考記事

子どもの幸福度“ほぼ最下位”の日本で、「こう育って」願望より大事なことは?IT

 教育から子どもに寄り添う水野雄介さんの挑戦 

 ハフポスト日本版 によるストーリー  2023.6.27

もう、学校を教員だけで運営するのは無理 正解がない問題へのアプローチを教える

 のは誰か?  AERA dot. 2023.6.30

人生100年「先生だって人生の正解はわからない」 失敗さえも学びにし、自由な発想

   を面白がろう 東洋経済オンライン 住田 昌治,赤司 展子 の意見 2023.10.20

子どもが小学校で使った教科書、処分のタイミングは? 3位「中学にあがったら」2

 位「とっておく」 まいどなニュース の意見 2023.7.1

 学年進行と同時に廃棄されてしまうような、面白みに欠ける教科書に一体どれほどの存在意義、利用

   価値があるのか、極めて疑わしいだろう。むしろ多くの子供たちに忌み嫌われてしまっているのが日

   本の教科書なのではあるまいか。ましてその教科書を解説するだけの授業に児童生徒たちの学習意欲

   をかきたてる力は期待できまい。

政府の「理工系新学部」後押しで大学再編が始まる 名門女子短大&女子大は募集停

 止や統合の流れ(木村誠) 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.8.15