※本記事は、別居した当日の話です

 

別居を開始した日の夜。

娘がバイトで不在の時を見計らって

息子に状況を伝える事にした。

 

娘には、うっかりと先に話してしまい

悲しい思いをさせてしまった。

気が重い。

 

夕飯を食べ終え、息子はソファーに座りまったりとした様子だった。

 

向かいに座り切りだす。

 

「あのさ・・・お父さんと離婚したいと思ってて。

ちょっと、一緒にいるのしんどくて。

今日から別居することになった。」

 

「あ、そうなんだ。」

 

「〇〇(長女)には、話してしまって。本当は〇〇(長男)に先に

話そうと思っていたんだけど。就職の話とかあって

話の流れで先に話してしまったんだよ。

それで、またメンタル崩してしまって・・・。本当に馬鹿だよね、私。

でも、住宅ローンの事があってね。

私、この家に君たちと住み続けたいんだよ。〇〇(長男)は仕事で

転勤になるかもしれないけどさ。それに、〇〇(長女)の病気の事が

あるから、引っ越しとか負担かけるじゃん。

唯一落ち着ける場所が、この家だと思うし。

住宅ローンを払っていくのに、一人では無理だから。

まともに就職して、家にお金を入れて欲しいなって。

ショック療法じゃないけどさ、ここで一緒に頑張ろうって!

なればいいなと思って。・・・甘いよね。

やっぱり、〇〇(長男)に先に、相談すれば良かった」

 

「それは、分からないよ。俺だって良い回答できてたかは

分からないしね。そうやって言いたくなる気持ちも分かるし

仕方ないんじゃないかな」

 

「どうしても家の事を考えると・・・本当は、家を売って

現金もらって、引っ越しがいいのかもしれないけどさ。

それでも、やっぱりここにいたい」

 

「苦労してきたからね。」

 

こんな話を聞いて、本人もショックを受けているに違いなかった。

涙こそ流さないが、眼のふちが赤くなっている。

おそらく、我慢しているのだろう。

それでも、私の気持ちを慮っている事が随所に伝わり

涙が出そうになった。

「いや、それほどでも・・・」

と返すのがやっとだった。

 

「本当に君たちには、申し訳ない事をしたと思ってます。

それが、辛い。こんな事になってしまって。

まさか、こうなるとは思ってなくて」

 

「まぁ、それは夫婦のことだから・・・。

でも、なんで?父さんの仕事のこと?」

 

一瞬何て回答しようか、悩んだ。

嘘は嫌いだ。

「違う。仕事のことで、離婚なんて考えないよ。

・・・不貞行為」

 

「・・・・そう」

息子の顔が曇った。

 

「ちょっと、一緒にいられなくて。これから転職もあるし

まずは、体調優先したくてさ」

 

「まあ・・・『あの人』がいるとね」

 

息子は、とても優しく心が広い。

感情をむき出しにしたり、声を荒げる事もない。

イケイケどんどんで、「海賊」と呼ばれるような

私の性格とは、似ても似つかない。

 

しかし、1度嫌いになった人は徹底的に嫌う。

 

『あの人』という呼び方に

息子が旦那に対して強い嫌悪感を抱いたことは、明らかだった。

 

その後、今後自分がどのようなプランでやっていくつもりか。

お金のことも包み隠さず、説明した。

 

「それにしても、波乱万丈ですねぇ」

 

「え。そうかな。私もちょっと思ったけど。

この程度で波乱万丈とかおこがましいかなって」

 

「そこ、謙遜するんだ!」

 

二人で大爆笑した。

 

「来月から、もっと家にお金いれようか?」

家にいれているお金の増額を提案してくれた。

息子は、就職してから、毎月家にお金を入れているが

私はそのお金を息子名義の通帳に貯めていた。

息子が結婚するときがあれば、そのお金を渡してあげたかったからだ。

今後は、そのお金もローン返済に回す事になるだろう。

 

それを告げると

「使い方は自由だし。そんなの気にしなくていい」

 

増額については、離婚して生活をまわしてみてから

考えると回答した。

でも、出来る限り子供たちの力は借りたくないと思っている。

(無理かもだけど・・・)

 

今月誕生日を迎える息子。

私が息子を産んだ歳になる。

 

彼のこれからの素晴らしい未来の

足枷になる事だけは避けたい。

と、切に願うのであった。